産業ファンド投資法人 2024年7月期決算概要
産業ファンド投資法人
2024年7月期(第34期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.net-presentations.com/3249/20240913/tshsr124/
○説明資料
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/32490/1b3c2206/f96a/4803/b8b7/8fc4fe6b84cf/20240911205804004s.pdf
〇説明資料別冊 Appendix
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/32490/993d1715/1362/4810/b57d/007224a3df4c/20240911205912687s.pdf
〇説明者 株式会社KJRマネジメント
代表取締役社長 鈴木 直樹
執行役員インダストリアル本部長 守津 真
○説明
産業ファンド投資法人2024年7月期(第34期)の決算説明会を開催致します。これから約20分程度決算説明会資料本編に沿って説明し、その後Q&Aという流れにしたいと思います。
2頁をご覧ください。今期の決算のハイライトは大きく3点あります。先ず、1点目です。左をご覧ください。第34期決算は、公募増資により28物件を取得し、3物件の売却も実施しましたが、既存物件のテナントの入替による収入の増加、借入コスト削減等により、前回公表時から増収増益となり、DPUは3.5%の上振れとなりました。現在走っております第35期につきましても、当初比で1.5%の増加を見込んでおります。又、今回新たに公表する第36期につきましては、第34期当初予想対比で+1.8%となる3,450円となり、こちらも前期比増収・増益となる予定です。
巡航DPUにつきましても、2月の増資実施前の水準と比較し、4.0%の増加を見込んでおります。2月の増資時にお伝えした+3.0%成長から、内部成長や新規取得の効果により1%増加しております。ハイライトの2点目です。右をご覧ください。インフレ環境を迎えるにあたり、インフレ耐性を備えたポートフォリオへのシフトを行ってまいります。新規取得物件におけるCPI連動賃料の導入や、湘南ヘルスイノベーションパークにおいては、来年10月以降固定型のマスターリースを、エンドテナントからの賃料を同額受領するパススルー型マスターリースへと変更致します。加えて既存物件においては、内部成長を追求し、工場、研究施設、物流施設夫々において賃料増加を実現しております。3点目ですが、CREカーブアウト戦略の推進と再開発を通じた資産価値向上です。昨日、兵庫三田LCⅡの取得を発表しました。又、習志野LCⅡの再開発プロジェクトを、本格始動させております。
本日は、私が新本部長として就任後初の決算説明会ということでもあり、今後私が考えておりますIIFの中長期的な成長戦略、およびポートフォリオの絵姿を整備致しました。4頁をご覧ください。IIFは、日本の産業活動を不動産面から支えるという理念のもと、国内における唯一無二の産業用不動産特化型リートとして2007年に上場しました。現在も多くの物流リートはあるものの、工場・研究施設、インフラ施設など産業不動産に特化したリートは、IIFが唯一の状況は変わっておりません。私がこの度本部長に就任した2024年現在、IIFを取り巻く産業用不動産については、産業構造や日本企業の資本効率に対する意識の変化により、過去17年でかつてないほどの追い風が吹いていると感じております。
ここでは4つの投資のテーマとして整理しておりますが、IIFにとって、現在大きな飛躍の機会が目の前に広がっていると考えています。加えて、2022年のスポンサー変更以降、KKRと共同した、CRE カーブアウトという新たな不動産ソリューション提案手法が加わり、プライベートエクイティのチームと共同することで、物件取得の幅と質大きく広がりました。一方、J-REITマーケットに目を向けますと、内外の金利上昇の影響を受け、バリエーションは低迷しており、残念ながらIIFにつきましても、ファンダメンタルズは順調なものの、IIFの投資口価格は、一口当たりNAVを下回る水準となっています。IIFとしては、先ず足元の利益成長と資産価値向上にしっかりと取り組み、バリエーションの改善に努めてまいります。そして資本コストを慎重に見極めながら、IIFを取り巻くこの膨大な投資の機会を獲得することで、投資主に中長期的に高いリターンを実現し、IIFがアルファを取れる貴重な銘柄であると思って頂けるよう運用してまいります。
さて、4頁について補足します。産業不動産投資の観点からは、4つのテーマを考えています。ガバナンス改革、国内回帰とサプライチェーンの再構築、ライフサイエンス、そして産業構造の変革に伴う新たなアセットクラスです。ガバナンス改革については、日本企業は、かつてないほど市場から資本効率向上のプレッシャーを受けており、今後アセットライトニーズが更に増加すると考えております。又、製造業の国内回帰により、新たな工場や研究施設の新設、付随する物流施設ニーズが期待できます。更に2020年に取得した湘南ヘルスイノベーションパークは、創薬の主体が、急速に発展するバイオや資材、医療にシフトする中、オープンイノベーションを促進する施設への需要がますます高まっております。
新たなアセットクラスとしては、生成AI等のデータセンター需要の高まりや、エネルギー・資源関連の需要拡大を取り上げております。昨年、インフラについては、KKR のインフラチームとのコラボレーションより、セントラル・タンクターミナル案件を取得しました。IIFのこれまでのネットワーク、テナントリレーションを生かしながら、インフラアセットの開拓を継続してまいります。これらの投資のテーマは、いずれもIIFにとって、将来の資産取得、内部成長機会の増加に繋がると確信しております。
5頁をご覧ください。 今後の中長期的な成長戦略を整備しております。外部成長については、引き続きCREカーブアウト戦略により、企業のガバナンス向上に資する不動産ソリューション提案を通じた取得を行ってまいります。又、キャッシュフローの成長性や含み益、再開発余地に着目した厳選投資を行ってまいります。更に積極的な資産入替により、売却資金の活用と売却益の実現も実施してまいります。内部成長につきましては、CPI連動賃料の導入によるインフレ耐性の強化と飽くなき内部成長の追求を行ってまいります。加えて、湘南ヘルスイノベーションパークについては、バリューアップと増築の検討を進めてまいります。財務につきましては、安定した財務基盤を活用し、金利上昇の局面において、デットコストコントロールに注力し、加えて、幅広く資金調達手段の拡充を図ってまいります。今後は、資本市場を慎重に見極めながら、これら各施策を融合し、DPUとNAVを成長させ、投資家のトータルリターン向上を目指してまいります。
6頁をご覧下さい。中長期的なポートフォリオ構築方針について記載しております。ポートフォリオについては、これまで通り、物流、工場・研究施設、インフラの3つの分野を手掛けてまいります。一方で、J-REITは銘柄数も約60となり、IIFのポートフォリオは、現在、物流が約6割を占めており、IIFも物流リートと比較されることが増えてまいりました。今後は、IIFの特徴でもある工場・研究施設、インフラといったアセットにもしっかりと注力し、ポートフォリオの差別化と分散、収益性の拡大を図ってまいります。特にライフサイエンスについては、増築等の計画もあり、今後、更なる拡大を目指しております。物流については、これまでのIIFのノウハウを生かし、CPI連動賃料等キャッシュフロー成長や再開発余地、含み益の確保に着目した取得を追求します。
又、資産入替については、好調な不動産市場を捉え、中長期的な視点から、課題の存在する物件やアップサイドがある程度実現できた施設については、積極的に入替を行うことで、ポートフォリオの質の向上と売却益の還元を行ってまいります。尚、資産規模の拡大については、J-REITの資本コストが高止まりする中、弊社においては、私募ファンドのチーム機能を有しておりますので、IIFのバランスシートで取得するだけではなく、先日のロジスティード案件のように、SPCを用いた共同投資スキームも活用しながら、公募、私募の両輪でAUMを拡大することを考えております。
8頁をご覧ください。IIFの今後の成長戦略を実行していく上で、今後インフレーションを迎える中、ファンドとしては新たな投資運用報酬について整理しました。これまでIIFは、長期固定賃貸借契約による安定的なポートフォリオを形成し、賃料下落リスクの回避を最優先する運用を行ってまいりました。一方で、今後インフレを迎えることを踏まえ、投資運用方針をアップデートしていく必要があると考えております。具体的には、今後はEPU成長に加え、NAV成長を目指すトータルリターンの向上とポートフォリオの構成を、よりインフレ耐性を具備したポートフォリオにシフトすることが重要と考えています。
9頁をご覧ください。IIFのトータルリターンを、J-REIT平均と比較しております。直近5年間で見ますと、J-REIT平均を超える9.9%の高いリターンとなっております。これまでのIIF独自の運用戦略により、この高いリターンの実現ができたものと考えていますが、今後トータルリターン向上を目指す上では、スポンサー変更後に新たに加わった、CREカーブアウト戦略が重要であると考えています。
10頁をご覧ください。CREカーブアウトの事例として、前期に取得したロジスティード案件を掲載しております。今回日本を代表する大手3 PL企業が保有する、日本全国の優良立地28物件1,082億円の旗艦物流施設を取得しました。これらの含み益の合計は113億円、含み益率は10.5%となり、CPI連動賃料を導入し、結果としてトータルリターンの向上に繋げることができています。これらはKJRMの20年間の運用スキルとノウハウ、人的リソースを融合させた総合力により、実現ができたものと自負しております。
11頁をお開きください。今回のCREカーブアウト案件においては、KKRとのコラボレーションにより、不動産ソリューション提案を行い、ロジスティードの課題の解決や企業競争力の向上に繋げることができました。今後もこのような、日本企業の課題解決に資する案件を着実に積み上げていきます。
12頁をお開きください。IIFは、長期固定賃貸借が中心のイメージがあるかもしれませんか、既にインフレ耐性あるポートフォリオへの転換が進んでいます。既にポートフォリオ全体で、CPI連動条項付きの契約が約15%を占めております。又、湘南ヘルスイノベーションパークについては、来年10月以降固定型のマスターリースから、エンドテナントからの賃料収入をパススルー型として収受する形態へと変更することになっております。エンドテナントは概ね3から5年程度の契約が中心となっているため、全体の44.4%がインフレ耐性ある契約形態に変わっております。つまりIIF のポートフォリオにおける内部成長ポテンシャルは、着実に増加しております。
続いて決算の概要ですが、冒頭説明しましたので14頁および15頁は説明を割愛させて頂きます。
16頁をご覧ください。左の棒グラフは、ポートフォリオ全体のNOIを2年前と比較しています。そのうちの左側の棒グラフですが、今回大型のポートフォリオを取得したこともあり、単純に比較すると27.3%の増加になりました。他方、非稼働物件、即ち、同一物件ベースのNOIで比較しますと、2年間で5.2%の成長となっています。この2年間で見ますと、既存物件の賃料増額やコスト削減、水光熱費収支改善等の取り組みにより、IIFの収益性が力強く改善していることがお分かり頂けるかと思います。右側は一口当たりNAVの増加推移ですが、こちらも2年間で3.4%の増加となりました。
続いて足元の運用状況です。18頁をご覧ください。兵庫三田ロジスティクスセンターⅡは、前回増資時に、優先交渉権を有する物件として公表しておりましたが、今回取得を決定しました。本物件は、兵庫県の三大エリアの工業団地に所在しており、現在ロジスティードにより開発中ですが、今年の11月に竣工する予定です。ロジスティードへの1棟貸で、賃貸借契約も締結済み、エンドテナントは製薬系企業の入居を予定しています。30年間の定借ではありますが、CPI連動条項が付いており、将来のキャッシュフローの成長性が期待できることに加え、9.3%の含み益率を有していることがポイントです。又、前回増資時にて取得した物件には、増床余地のある物件も複数あり、その他の物件においては増築等の検討を行っております。
19頁をご覧下さい。CPI連動賃料によるアップサイドにつきまして、前回のIRにおいてもご質問が多かったため、改めて説明致します。先ず、賃料改定のタイミングとしては、最初が5年後、以降は3年ごとの改定となります。最初の改定、即ち、5年後の賃料については、この間のコアCPI の上昇率で計算します。仮にコアCPIが、今年から5年後まで、前年比で毎年1%ずつ上昇すると仮定しますと、上昇率は、101%×101%かける計算を5年間繰り返し、+5.1%となります。5年後の賃料は、この+5.1%を今の賃料にかけて計算しますので、1期当たり243百万円、分配金にして96円の増加インパクトがある計算となります。他方、コアCPIの毎年の上昇率には、2%が上限としてキャップが付いております。加えて改定後は、当初の賃料を下回らないフロアがついていることから、所謂、アップサイドオンリーの契約となっていることが特徴です。これらの物件は、5年間は賃料は変わらないのですが、その間は、その他の既存物件における内部成長にしっかり取り組み、足元のインフレに対応します。そして5年後には、これらのCPI連動効果なる物件によって、アップサイドを積み上げていくことで、長期的にもポートフォリオの収益性向上を図ってきます。
20頁をご覧ください。習志野ロジスティクスセンターⅡの再開発は、この度建物に入居するテナントも確定し、正式に再開発がスタート致しました。未消化容積率を活用し、開発前と比べ面積、鑑定ともに大幅にバリューアップします。又、既存の土地坪単価は、単純計算すると約22万円程度ということもあり、デベロッパーが新たに土地を買って、物流施設を建設する場合の事業収支と比較すると、建設費は高騰する中でも、十分に採算にあう形で仕上げることが可能となっています。又、スキームについては、開発のブリッジャーとしてSMFLみらいパートナーを選定しており、開発期間中の一時的な多額の費用計上を回避し、建設中も地代を頂くことで、ダウンタイムなく再開発を実施します。竣工後は、将来の新築建物の優先交渉権を、IIFが保持する契約となっており、取得についてはオブリゲーションを負っておりません。資本市場の状況を見ながら、適切なタイミングにて優先権を行使する設定としております。
頁を飛んで22頁をご覧ください。引き続き日本企業のガバナンス改革を目的とした、流動化ニーズは高まっており、パイプラインの拡充が進んでおります。既に優先交渉権を確保している物件も複数ございます。又、パイプラインの詳細検討案件のうち、37.2%ほどが非物流となっており、引き続きアセットクラスについては、バランスよく取得を継続してきます。
23頁をご覧ください。湘南ヘルスイノベーションパークは、2020年に取得し、武田薬品によるマスターリースのもと、施設の活性化を行いながら資産価値向上に努めてまいりました。来年の2025年10月以降は運用体制の変更を予定しており、右にあります通り、マスターリースを解消し、エンドテナントとのパススルー型へと契約形態の変更を予定しています。加えて、施設の運営については、もともと武田薬品が行っておりましたが、2023年4月以降、IIF、武田薬品、三菱商事の3社が株主として設立したオペレーション会社アイパークインスティテュートが行っており、研究者出身の方々を中心とする約40名の専門家チームが常駐し、施設運営を担っております。今後は、同社がパススルー型のマスターレッシーになる予定です。
冒頭、ライフサイエンスの需要は高まっていると申し上げました。背景としまして、建築費が高騰する中、大手製薬中心に賃貸ラボのニーズが高まっていることや、世界各国がパンデミックを経験したこともあり、グローバルで新薬の開発競争が複雑化、激化する中、これまでのような大手製薬会社が自社で薬を開発するのではなく、スタートアップとアカデミア、製薬企業、ベンチャーキャピタルが、1つ屋根の下で連携することがグローバルスタンダードとなっております。そのためには、これらを繋ぐ高度なオペレーション力を有していることと、Day Ondeから高度な実験ができる設備が整っていることが、その施設がテナントに選ばれる上で重要な要素となっています。湘南ヘルスイノベーションパークは、2020年の取得来、ライフサイエンスエコシステムを構築するというミッションのもと、テナントの入替や空室部分への新規誘致を伴う施設の活性化に取り組んでおり、リーシングは順調に進んでおります。又、エンドテナントの賃料単価は、マスターリースよりも高く設定されていることから、マスターリース解消による単価のアップと空室部分の稼働上昇により、本施設全体としてアップサイドを目指しております。
24頁をご覧ください。更なるテナント需要に応えるため、現在敷地内の増築を検討しております。現時点ではまだ何か確定したわけではなく、テナント需要の確認、行政との協議、建設会社の選定等を含め、採算性、スキームについてスタディを開始しております。JR東海道線の村岡新駅が2032年に開業予定であることや、この藤沢・鎌倉エリア一帯で、ヘルスイノベーション拠点としてのまちづくり計画も主導しており、本施設を中心として長期的に更なる資産価値向上が期待できます。
25頁をご覧ください。主な満了テナントの賃料アップ事例です。物流のみならず、工場・研究施設においても。増額事例が出てきていることがポイントです。IIFは、長期契約が多いことや伝統的な物流リッチ、即ち、良い立地の物件が多いため、 契約満了時にレントギャップを有していることが多いということが、要因としてあげられます。又、弊社のアセマネチームが、リノベーション、LED化、設備更新など、粘り強く様々な提案を行い、テナントにもメリットがある、WIN-WINの形で提案を行うことで増額に繋げられました。
26頁をご覧下さい。続いて既存物件の契約満了ですが、右にあります通り、31期から36期までに満了するテナントについては、半数近くの43.6%が増額しており、増額率は16.8%となっています。減額したテナントも含め、全体の上昇率でも5.0%であり、全体的に増加 トレンドとなっています。今後、インフレを迎える中、短期的な内部成長にもしっかりと取り組んでまいります。
28頁に飛んでください。財務についてです。IIFは元々金利上昇への耐性が強いと考えています。こちらの頁でお分かりの通り、IIFの財務の特徴としては、長期固定を中心とした 安定した財務基盤を有していることから、J-REIT平均で見ても、期間が長めで元々の金利コストも高めであるということが挙げられます。今後の借入については、ベース金利が上昇していることもあり、長期固定を基軸としつつも、一部変動金利や短期借り入れも組み合わせるなど柔軟な施策を取り入れ、財務安定性を維持しながらコストコントロールを図っていきます。
30頁に飛んでください。LTVの推移について記載しています。足元は簿価で見ますと 50.8%ですが、含み益も順調に伸びてきていることから、時価ベースLTVで見ますと42.4%となっています。LTVについては、これまでと同様に、簿価ベースで50%前後にてコントロールしてきます。
32頁をご覧下さい。最後、サステナビリティです。元々2030年までに、Scope1、2のGHG排出量削減を42%削減としておりましたが、RE100の導入や省エネの施策を実施することで、2023年において42.3%の減となり、中期目標を一旦は達成致しました。今後は更に排出量の削減を目指していきます。
その他のサステナビリティの取り組みは、33頁および34頁に記載しており、35頁以降は決算および予想の増減要因の詳細を纏めておりますのでご参照ください。
以上、私からの説明は以上となります。長時間となってしまい恐縮でございます。ご清聴有難うございました。
続きましてQ&Aに移りたいと存じます。
<質疑応答>
Q:物件取得の機会が増えているとのことでしたが、基本としてはスポンサーとの共同案件が中心となっているのかどうかをお伺いします。
A:今後の取得というところでございますが、あのスポンサーの案件と、我々運用会社独自のCRE提案活動を行っており、パイプラインにつきましては正直申し上げますと、スポンサー由来、我々運用会社由来というようなイメージでございますので、今後もこのような感覚で取得活動を進めてまいりたいと考えております。
Q:ライフサイエンス分野のことを強調されておりましたけれど、ライフサイエンス物件取得の可能性、それから、先ほどの詳細検討案件というお話の中に、そういうものも入っているのか、お話頂ける範囲で結構ですので、お話し頂ければと思います。
A:ライフサイエンスの可能性というところですが、こちらは、先ずは足元、湘南ヘルスイノベーションパー、こちらの施設の活性化にしっかり取り組んでいくというところでございます。その背景としては、先ほど申し上げました通り、ライフサイエンスに対する需要が高まってきているという認識のもと進めております。他方、資産の取得という観点からは、今今では、24頁に記載の通り、増築のプロジェクトに注力をしていければと考えております。一方で、先ほど申し上げましたオペレーション会社を設立したということもありまして、このオペレーション会社を活用しながら、こうしたまちづくりのところに何らか関わっていけないかとか、その他各日本の、他の地方自治体に中にも、こういったライフサイエンスを基軸としたまちづくりをしたいというようなお話も頂いており、構想としてはそういったところにIIF、若しくは弊社として、何らかの不動産ソリューション提案ができないかというところは、考えているところでございます。
Q:CPI連動賃料を導入しているとのことですが、前回取得したあの案件と、昨日発表したロジスティール案件以外のところでの導入は進みそうかどうか。先ほど25頁の一部で載せては頂いておりますが、ロジスティール案件以外での、CPI 連動への移行というところの取り組み具合っていうのもお伺いできればと思います。
A:CPI連動についてですが、今後、他の既存物件にも導入していくかということですが、既存のテナントの中には、まだCPIに慣れていないところもあり、導入することはなかなか簡単ではないと思っておりまして、イメージとしては新規の物件で、1から賃貸借契約書を作り込むセールス&リースバックの取引で実施、増やしていければと思っております。他方で、CPI連動については、交渉上5年後に増額開始になるケース、今回もそうですが、なることが多いということで、ポートフォリオ全体の収益性を考えた時には、足元の金利も上昇してきておりますので、手前の段階で賃料アップをしていく方が、それなりにメリットがあるのではと考えておりますので、5年後に、CPIが上積みで乗っかって来るというようなイメージを持っておりますので、そのあたりバランスをとってやっていければと思っております。
Q:外部成長について積極的に追求していく方向性というのが全体的な印象だったのですが、POというのは、具体的にはどのような条件が揃えば行うという判断をするのか、この点に関してご説明頂ければと思います。
A:POについての実施の判断についてですが、これは、これまでと変わらなくて、公募増資を通じて物件取得ということになるかと思いますけども、投資主価値、DPU、NAV、これらが上昇するかどうかというのが、最大の基準かなと思っております。一方で、そうは言ってもということで、投資家の皆様が、しっかりと公募増資に対してニーズが、資金のニーズがあるか、要はセンチメントがしっかりついてきているかというところは、定性的に証券会社と会話等しながら見極めて行く必要があるのかなというふうに考えてございます。
Q:上の質問と関連するかもしれませんが、今のインプラントキャップレートは何パーセントと認識されているか。このインプライドキャップレートと新規で投資する場合の利回りとか、この辺はPOを決断する際には、どういう判断材料になってくるのかご意見をお聞かせ願います。
A:上の質問に関連するところかと思いますけども、今のインプラントキャップレートは、償却前で4.5%、償却後で3.5%という形で認識をしております。ですので、物件取得の際に、今、目線として置いているのは、償却後で3%後半から4%前後というところは1つの目線、ポートフォリオ物件取得の塊として、それぐらいの取得をしていきたいというところと、先ほどトータルリターンの話もさせて頂きましたが、含み益の向上という観点からは、やはり含み益率としては10%程度を目指していきたいと考えてございます。
Q:先般のインベスターデイで、鈴木社長から、割安な株価の訂正目的に、自社株買いなどを積極的に検討していきたいという話があったと思うんですけども、行うかどうかは具体的に、何をどのように判断の基準にしていくのか、この点に関してご意見をお聞かせ願います。
A:バイバックの基準ですが、何%であればやるとか、やらないとかの水準というのは、特段、明確に決めてございません。今今のIIFの投資口価格の水準であれば、バイバックを実施するよりは新規物件取得のほうが、取得物件の利回り感等を含めて投資主価値の向上に資するのではないかと考えております。その辺も踏まえて、昨日、自己資金ではありますけれども、兵庫三田の取得というところを発表させて頂いているという形でございます。
Q:今、インプライドキャップレートが4.5%ということでしたが、昨日発表された兵庫三田は、NOI利回り4.2% なんですけども、これは結局、償却後で3.5とか、3.7という風に 括弧で書いてありますけれども、償却後で、一応今のインプライドキャップレートと同じところだから良い、という判断で取得されたということでしょうか。
A:一つはそれですけれども、水準を見極めているというところと、あとは、取得するにあたって何で取得するかにもよりますけれども、特にインプライドキャップレートを強く意識するのは公募増資のタイミングかなと思っておりますので、昨日の物件については、基本的には自己資金で取得することを考えておりますので、取得させて頂いたということでございます。
Q:先ほどの資本コストに対する考え方ですが、お聞きしていたカーブアウト案件ですが、恐らく割安に取得できる可能性があると認識していますが、これは、資本コストが高くてもペイできるという理解で捉えて良いのか。POの有無ということではないのですが、仮に調達にいくという時に、先ほど条件を色々と言って頂きましたが、NAVが上昇するということが条件の一つではあるので、ただ一方で、カーブアウト案件は割安に取得できるということもあって、そうすると、それだけで捉えると資本コストが相対的に高くてもペイできるのであれば、という理解をしても良いのか。一方で株式市場のコンデションは重要ですよと言う話なのか、確認をお願いします。
A:資本コストがペイできるかというところ、カーブアウト案件だというところですが、そこは株価にもよりますし、物件利回りにもよりますので、今この時点で言い辛いところではありますが、基本的には先ほど申し上げた通り、POで取得する場合にはNAVとDPUはしっかり上がっていくという目線感を持っていると考えております。一方で、先ほど戦略のところでも申し上げましたが、我々は私募のチームの機能も有しておりますので、場合によっては私募で買って、共同投資いう形で参画するということも視野に入れながら進めていく、又、加えて、例えば、一旦リース会社にブリッジして、リース会社でやるとか、他のブリッジの機能を持ちながら、一旦ブリッジして頂くとかの取得の手法、調達の手法を組み合わせながら、取得の機会を捉えていくという考え方を持ってございます。
Q:時価LTVが42.4%ということで、上がっていますということですが、基本的には財務レバレッジを活用した積み上げというところは、一定程度ここは限度という捉え方をされているのか、少し財務レバレッジの観点で補足できることがあれば、説明をお願いします。
A:LTVについて少し補足をということですが、今今でいきますと50.8%というところですが、時価で見ますと42.4%ということでありますので、直ぐに引き下げる必要があるかという意味では、そこまでの必要性はないのかなと思っておりまして、基本的にはここに書いてある通り、前後でマネジメントということでありますので、維持しているということでございます。
Q:今回ロジスティードよりの大規模取得があり、又、KKRとの共同ワークもあったと思いますが、この案件があったということで、色んな持ち込み、或いは、逆にIIFより仕掛けることもあるのではないかと思っています。お話しできる範囲で、今どのようなことが進んでいるのか教えて頂ければと思います。
A:ロジスティード案件を取得したことで、IIFもそうですし、弊社のマーケットのプレゼンスも非常に向上したのかなというところがありまして、水面下を含めて案件を進めているというところはあります。持ち込み案件もそうですし、あとは共同出資のパートナーの候補としても、一緒にやりたいというお話を頂くことがあって、そういった意味でも、非常に良かったと思っております。
Q:借入金の支払利息、支払利子率のところですが、日銀の審議員の方のお話、総裁のお話を聞かせて頂いても、金利は上がっていくと思うところですが、これに対して賃料増額というところで、カバーできるのというところがありますが、金利の上昇について、もう一段踏み込んだところでのお話を頂けますでしょうか。
A利息について補足させて頂きます。29頁にも記載している通りでございます。先ず、1つ申し上げたいのは、現在の35期、36期の業績予想ですが、当然一定の仮定を置きながら業績を作成している訳ですが、金利についてはそれなりのバッファーを見ております。34期、終わった期も、結構上振れた要因としては、金利が当初見ていたものよりも、そこまで上がらなかったということもあったと記載もして頂いている通りです。金利の上昇については、それなりのバッファーを見ております。加えて、今後どうなのかということでございますが、こちらについては、先ほどの質問者が言われたように、既存物件についての内部成長、ここは今後もしっかりとやっていきたいと思っております。特にNOI、この上昇率を示した16頁に、2年間の同一物件ベースで5.2%と記載しております。これは結構よい数字ではありますが、今後がどうかということになりますが、今見ている中でいきますと、向こう3年間ぐらいで考えますと、既存物件の、同一物件ベースで、大体NOIの上昇が3%から4%を目指していけるかなと考えておりまして、そこから逆算すると金利の増加を加味しても、十分にお釣りがくるような見立てをしておりますので、先ほどのDPUの成長にも関連しますが、内部成長効果は、金利を加味しても1%ほどの成長を見込めるかなと思ってございます。
以上を持ちまして、2024年7月期(第34期)の決算説明会を終了させて頂きます。
本日はお忙しいなか、ご参加頂きまして誠に有難うございました。