産業ファンド投資法人 2022年1月期決算概要
産業ファンド投資法人
2022年1月期(第29期)決算説明 動画配信説明書
動画 https://www.net-presentations.com/3249/20220318/dauhea/
資料
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/32490/ccc7da42/5b42/405d/92ff/dbf566dc3f18/20220316135646997s.pdf
説明者 三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社
代表取締役社長 岡本 勝治
執行役員 インダストリアル本部長 上田 英彦
説明
第29期、2022年1月期決算を説明致します。
3頁をご覧下さい。取得環境の変化、資本市場の変化など予断を許さない状況ですが、
本投資法人は、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、継続的な投資主価値の向上を目指し
ます。第29期決算ハイライトは、3点あります。
先ず1点目は、取得環境の変化に対応したCRE提案によりパイプラインは積みあがって
おります。取得予定の物件から、現在提案中のショートリストの中でも、確度が高い物件の
合計額で、約390億円になっております。
2点目は、既存物件において再活案件や賃料アップなどを、本投資法人独自の取り組みに
より収益向上が出来ております。再開発では、厚木ロジスティクスセンターⅢに続き、先週
公表したように、羽村ロジスティクスの再開発が今年6月からスタート致します。又、内部
成長も、物件によっては契約更改前と比較して、大幅に賃料アップが実現できた事例も
あります。
最後3点目ですが、湘南ヘルスイノベーションパークのValue-upがスタート致します。
第29期に湘南ヘルスイノベーションパークの残り持分40%を取得したことで完全所有と
なり、将来のダイレクトリース化に向けて、空き区画のリーシング、イノベーションに着手
しており、武田薬品工業様と三菱商事の知見の活用により、更なる資産価値の向上に取り
組みます。
5頁をご覧下さい。第29期分配金実績ですが、物件関連費用の増減がありましたが、当初
予想から14円上振れし、3,060円となりました。
続いて第30期の予想分配金ですが、当初予想から30円上振れし、3,100円と見込んで
おります。当初予想からの上振れ要因は、先月公表した入間、及び、栃木真岡マニュファクチュアリングセンターの収益が、部分寄与する点です。又、再開発や、湘南ヘルス
イノベーションパークでの一時的な費用発生は利益超過分配で平準化を図ります。
6頁をご覧下さい。第31期の分配金予想は、3,020円を見込んでおります。主な変動要因
は、入間、及び、栃木真岡マニュファクチャリングセンターの通期寄与、四日市ロジス
ティクスセンター新築棟の部分寄与、2021年取得物件の固都税の費用化、及び季節変動等
があります。一番右のグラフをご覧下さい。こちらは、固都税の調整や、一過性損益等の
影響を控除した分配金です。新規取得物件、及び、内部成長の通期寄与の調整、季節要因、
又、神戸レジスティクスセンターについては通期空室、を前提とした場合、3,100円と試算
しております。
7頁をご覧下さい。巡航ベースの分配金は、前回公表した3,040円からプラス60円、2%
アップの3,100円になっております。今後は、外部成長と内部成長を通じて収益アップを
図ると同時に、公募増資を通じたLTVの引き下げも含めて、先ず、巡航分配金は3,160円
以上、3,040円比較で4%以上の成長を目指していきます。
8頁をご覧下さい。一口当たりのNAVは順調に成長しております。資産入れ替え効果や、
保有資産の含み益の増加、来月取得予定の物件も含めると、直近1年間で、一口当たりNAV
は5.1%増加する見込みです。
10頁をご覧下さい。パイプラインの状況です。既に公表済みの物件以外では、優先交渉権
を得て取引に入っている物件や、近いうちにブリッジ決済予定のものも含むDue
Diligence中の物件の合計で175億円、現在売り主と相対で交渉できており比較的確度が
高い物件が約90億円となっています。取得利回りは、個別物件ごとに違いはあるものの、全体ではNOI利回りで約5%、償却後利回りで約4%を想定しております。
11頁をご覧下さい。直近発表した入間、及び、栃木真岡マニュファクチャリングセンター
です。本物件は、自動車用ゴム、合成樹脂製品の大手メーカーである鬼怒川ゴム工業様の
ニーズに対してセールアンドリースバックの提案により取得する物件です。昨今の
自動車業界を取り巻く環境は大きく変化をしておりますが、鬼怒川ゴム工業様が製造する
部品は、EV化になっても必要不可欠です。又、最近の半導体不足に影響で、部品メーカー
各社が色々苦労されている中、鬼怒川ゴム工業様も工場ラインの最適化やコスト削減等の
努力を続け、足元の業績も堅調に推移していると聞いております。本2物件は、鬼怒川ゴム
工業様の基幹工場であり継続性は高く、立地も夫々交通アクセスが良く、工場団地内に所在
しており、物流用途にも転用可能な汎用性を有しております。賃貸借機関も長く、本投資
法人は長期に亘って高い収益を享受することが出来ます。
12頁をご覧下さい。本投資法人を取り巻く取得環境について説明致します。左上に最近の
動向を記載しています。先ず1点目ですが、事業会社による一定のセールアンドリース
バックは継続しております。2点目は、不動産価格高騰により、事業議社が保有する多様な
ノンコア資産の売却の動きが見られます。その中には、築古の物流施設もありますが、
未消化容積が大きく、将来的に立て替え可能な案件も確認できており、こうした物件には
前向きに取り組んでいきたいと考えております。
3点目、4点目も最近相談が多い案件です。E-Commerceの拡大による物流事情が増えて
いるのは周知のとおりですが、業績が堅調な製造業むけの新規物流開発や、資金に余裕が
ある事業会社様が保有する不動産を、借地にて有効活用したいとのご相談もございます。
例えば。先ほど紹介しました四日市ロジスティクスセンターも、旺盛な半導体需要から
ご相談を受けた案件であり、又、当初は物流会社から借地案件として依頼されたのですが、
交渉の過程で所有權での売買に変更になった経緯もありました。
左下に、最近のCRE提案の一部の例を記載していますが、事業会社のCREニーズは個々
の業界、企業ごとに変化をしており、その変化に対応した提案が求められているとの認識
です。右側をご覧下さい。検討案件のロングリストとしては39物件、2,107億円あり、
足許詳細検討案件、所謂、ショートリストは15件となっております。ショートリストの
内訳は、工場・開発施設を中心とした非物流施設が40.7%、物流施設が59.3%となって
おります。この物流施設の59.3%は、開発案件も含んでおり、内訳としては本グループでの
開発案件が物流施設のうち約6割、外部パートナーを活用した開発案件が約2割、既に
稼働している外部の物件が約2割となっております。取得手法別では、CREにより開拓
した案件が100%と、取得状況は順調であり引き続き産業ファンドらしい取得が継続できる
と考えております。
14頁をご覧下さい。現在本投資法人が手掛けている増築、再開発のスケジュールです。
上段の厚木マニュファクチュアリングセンターの増築は完了し、当初の予定通りNOI
利回り、鑑定評価も上昇致しました。中段の厚木ロジスティクスセンターⅢも、当初の予定
通り2月から解体工事が始まっており、2023年10月に竣工予定です。下段の
羽村ロジスティクスセンターは、2022年6月から解体工事は始まり、2024年2月末に
竣工予定です。
15頁をご覧下さい。羽村ロジスティクスセンターの再開発の概要です。
前回の決算発表でも説明した通り、本物件はコカ・コーラグループ様の配送センターでした
が、2022年5月で中途解約が決まりました。現状リーシングか、建て替えリーシングかに
ついて投資効果を比較した結果、この度東京ロジファクトリー様と賃貸借契約を締結し、
再開発を進めることが、投資主価値の最大化に資すると判断致しました。再開発により延床
面積は3.5倍に増加、本物件は最新の施設に生まれ変わります。年間NOIも大きく向上
でき、鑑定評価額も34.2億円と開発コストに対して37%を超える評価額の増加を見込んで
います。再開発前の状態では電気工事などの改修工事も今後発生する見込みであり、その
影響で鑑定評価が伸び悩み、含み損の状態でしたが、再開発後は含み益が9.1億円、
含み益率も36%を超え、NAVの向上に繋がる投資になる見込みです。尚、本開発に伴う
解体費、及び、期間中の収益減少分は一時的利益超過分配での対応により、分配金の平準化
を図ります。
16頁をご覧下さい。内部成長の状況です。契約更改の機会を捕らえ、収益アップと契約
期間の長期化を実現出来ております。上段の東大阪ロジスティクスセンターですが、
築年数は30年を経過していますが、更改後の契約期間は15年、NOI利回りは7.7%から
9.4%へ、鑑定評価額は25.5%アップとなります。柏ロジスティクスセンター、
鳥栖ロジスティクスセンターも同様に資産価値向上が出来ております。先ほどの
羽村ロジスティクスセンターは築30年で再開発を行っておりますが、本投資法人としては、
築年数が古いから直ぐに再開発というのではなく、今回の事例のように、築年数が経過を
していても立地とスペックが良ければ、賃料も2割弱増加した事例もありますので、今後
も個別案件毎に、何が資産価値の最大化を図る施策なのかを考えて、対応していく予定です。
17頁をご覧下さい。神戸ロジスティクスセンターの概要です。
残念ながら、現時点で、まだ後継テナントは決まっておりません。これから3点、建物の
改修工事の状況、リーシングの状況、港湾荷役の採用状況について説明致します。
先ず、建物の改修工事は順調に進捗しております。建設設備等の遅延もなく、当初予算内で
コントロールも出来ており、2022年4月に完了見込みです。次にリーシングですが、関西
の物流事情は順調であり、本件の内覧企業や引合いの検討数も多い印象です。テナント
候補先からは、立地、及び、建物スペックの評価は高い一方、マルチ化後の港湾対応の
問い合わせも多く見られました。最後の港湾荷役の対応ですが、当初、テナントが退去した
あと、旧テナントの日新様には残って頂くことで、一緒にリーシングを進め、引き続き港湾対応もお願いする予定でございました。しかし、日新様の事業戦略上の理由により合意解約することになり、本投資法人自ら港湾協会との事前協議等の対応をすることとなりました。
1棟借りの物流施設をマルチ化する事例というのは、神戸の摩耶埠頭では初めてであった
こともあり、少し時間をかけて丁寧に協議を進め、結果としてマルチ化後の港湾荷役の
整理にも目途がつき、今後は早期のリースアップを目指していきたいと考えております。
18頁をご覧下さい。ご参考までに、先ほどご説明した開発案件が内部成長の収益向上効果
の累計額を試算しております。現在の発行口数を元にした一口当たりの分配金インパクト
は、習志野ロジスティクスセンターまで含めると、合計で260円~310円程度を見込んで
おります。
19頁をご覧下さい。続いて期間満了を迎えるテナントへの対応状況です。
左上の円グラフにあるように、本投資法人のポートフォリオ全体で賃貸借残存年数が、5年
以上のものが66.7%あり、直近2年未満が7.1%あります。下段のリストをご覧下さい。
こちらは今後2年間に期間満了を迎えるポートフォリオ賃料比率が1%以上のテナントの
対応状況です。昭島ロジスティクスセンターについては、継続利用の確認が出来ており、
今後契約条件について協議を進める予定です。
20頁をご覧下さい。今後の内部成長と賃料改定を纏めております。
上段の表についてですが、前回の決算説明会、及び、先ほど説明した物件以外では、3行目
の鳥栖ロジスティクスセンターで、照明設備のLED化につき電気量削減効果の一部を享受
する覚書を締結、6行目の埼玉ロジスティクスセンターでは、既存テナントと定借期間延長の覚書を締結することで、安定化を実現しております。下段は賃料改定の状況ですが、今後、協議改定を迎える物件については、概ねマーケット賃料のレンジ内であり、予算上も現状
維持で想定しております。
21頁をご覧下さい。将来のダイレクトリース化に向けた今後の湘南ヘルスイノベーション
パークのAction Planです。2021年8月に追加取得して完全所有となり、今後は武田薬品
工業様と三菱商事グループの知見を活用し、本施設の更なる資産価値向上に取り組みます。
中段をご覧下さい。施設内の空き区画のリーシングとリノベーションに着手しており、直近
では次世代医薬分野のテナント誘致の検討も進め、様々な属性のテナント様から引き合い
が来ております。今後の収益性については、取得時に想定したNOI利回りは6.2%ですが、
ダイレクトリース化後は7%を目標にしております。
22頁をご覧下さい。リノベーション期間中の収益安定化を図るために、一時的利益超過
分配金を実施致します。左側をご覧下さい。本物件は取得時から、空き区画のリーシング、
及び、リノベーションのために一定の追加投資を予定しており、その戦略定投資を現時点で
30億円前後と想定しております。この戦略的投資の一部は、会計上修繕費に該当するもの
もあり、こうした一時的費用増加に対して利益超過分配で対応、具体的には当初の修繕予算
1期当たり7億5千万円を超える部分について実施致します。右側をご覧下さい。こちらは
水光熱費の対応です。本施設は各テナントと水光熱費を含めた賃料設定となっており、その
背景として、元々武田薬品工業様1社の研究開発施設として設備設計され、区画ごとに
計測する個別メーターの設置がなされていなかったためです。しかし、昨今の資源価格の
高騰により、光熱費が当初想定より大きく上昇しており、当面の対応として、当初予算を
超える部分に対して利益超過で対応し、同時に個別メーターの設置や水光熱の負担区分等
の、契約条件の見直しにも着手していく予定です。尚、湘南ヘルスイノベーションパークに
かかる一時的利益超過分配の一口当たりの金額は36頁に記載しており、第30期で
水光熱費125円、第31期は水光熱費と修繕費の合計で138円となっております。
23頁をご覧下さい。ご参考として、周辺エリアの再開発の状況です。本施設の正面に新駅
が開業致します。JR東海道本線の、JR東日本管轄の新駅は107年ぶりとのことです。
本施設が所在する村岡地区は、神奈川県の、かながわ都市マスタープランで、ヘルスケア・
ニューフロンティアの最先端の地域拠点に位置付けられており、右側に記載のように、
本施設を含む神奈川県、鎌倉市、藤沢市、湘南鎌倉総合病院の5社は、村岡深沢地区の
ヘルスイノベーション最優先拠点形成に関わる覚書を締結しております。そして、昨年の
12月にはその一環として、自動運転車を用いたヘルスケアMaaSの実証実験も行われて
おり、三菱商事も参加しております。
24頁をご覧下さい。先日の日経新聞でも取り上げられましたが、現在、本施設では91社が
入居、約2,000人が勤務し、多くの協業が成立しております。
少し飛びますが、27頁をご覧下さい。継続した公募増資を通じてLTVは少しずつ低下して
おりましたが、直近は借り入れでの物件取得を見込んでおり、LTV48.6%、時価LTV
40.4%となっております。足許LTVは少し上昇したものの、先ほどご説明したように、
今後の公募増資の中で調整は可能であると考えており、基本的にはこれまでとLTVの
考え方に変わりはなく、多少の上振れ、下振れはあるものの、現状の水準感を維持する方針
であります。
28頁をご覧下さい。今後の借り換えの状況です。
左上に記載しているように、第29期も好条件で借り換えが出来ております。
ポートフォリオ全体の平均適用金利は0.71%であり、今後も金利コストの改善余地が
ございます。特に2024年までは高金利の既存借を見込めますし、逆に金利が上昇した
局面でも、本投資法人は金利上昇によるコスト増による影響を受けにくいとみることも
出来ます。
最後にESGについてです。30頁をご覧下さい。
再エネ由来の電力への切り替え状況ですが、今期は相模原R&DCにおいて切り替えが完了
致しました。これで、本投資法人直接電力管理物件の再エネ由来の電力への切り替え実績は、
使用量ベースで約80%に達する見込みです。右側をご覧下さい。こちらは照明設備の
LED化の事例です。今期は、横須賀テクノロジーセンターと鳥栖ロジスティクスセンター
で、LED化を進め、夫々電力量・CO2削減率が68%、72%となっております。これで、
ポートフォリオ全体では、26件でLED化を進め、更に電気代の削減金額をテナントと
本投資法人とシェアしているものもあり、その累計は年間7千万円に達しており、本投資
法人の収益にも寄与しております。右下をご覧下さい。2022年のESGレポートを発行
致しましたので、詳細は本投資法人のHPを参照下さい。
31頁をご覧下さい。外部機関からの評価と認証取得の状況を纏めております。
32頁、33頁、34頁はMCグループが参画するイニシアティブ、本投資法人の
サステナビリティ、ESGマテリアリティを記載しております。
36頁以降は、利益超過分配の明細、第29期決算数字、及び、第30期と31期の業績予想
の増減要因の詳細を纏めておりますのでご参照下さい。
以上で私からの説明は、これで終了いたします。
質疑応答
Q:湘南ヘルスイノベーションパークは、どの程度三菱商事グループに依存した運営を
行っているのか。
A:現時点では、武田薬品工業様から来られた方々が、実質、テナントの対応とか運営を
行っている。三菱商事との関係では、三菱商事のグループでバイオファインケミカル
グループというヘルスケアを管轄している部署があり、そこと業務委託を締結し、三菱
商事の知見を活用している。運営の三菱商事への依存度であるが、現時点では武田薬品
工業から来られた方々の影響が大きく、運営においてMCグループへの依存はさほど
大きくはないといえる。
Q:18頁に開発案件が述べてあるが、資源高の環境下ではあるものの、契約上はコストも
確定しており、マージンの縮小イメージは考えなくても良いとの理解で良いのか、
今後のコストアップの懸念はないのか(予算に与える影響)。
A:資源価格、資材価格が上昇する環境下ではある。ただ、我々はデベロッパーではない
ので、資材価格等の開発コストの大きな要素が繋がっているわけではなく、そうした
部分が大きく影響するようなことは無いと思っている。羽村ロジスティクスセンター
の再開発の際には、建築コストが当初の想定から高くなったものの、ゼネコンとの
交渉がうまくいって、収益の範囲内に収めることができた。次は既に着工しており、
羽村ロジスティクスセンターも枠内でコントロール出来ており、影響はないと
思っている
それ以外のところで言うと、既存物件の物流とかに関しては、特に大きな懸念はないと
思っている。
Q:底地の取得が2件あったが、最近底地を買うというPlayersが増えて来ているように
思えるが、底地購入の競合状況についてお聞きしたい。
商業施設とかはPlayersは多そうではあるが、産業ファンドさんのような工場とか
研究所とかは相対的に競合が少ないので、CREとの取り組みで、相対(あいたい)で
進めていく確率が、引き続き高いとい見て良いのか伺いたい。
A:底地に対しての競合というところで言うと、それほど、環境としては大きくない。
というのは、例えば、デベロッパーとか、最近の物流開発にも言えることだが、底地と
いうより、テナントが1年、2年で出ていくことを前提での良い物件の購入を
考えているところが多いと思っている。
我々のビジネスモデルは、どちらかというと、リースバックするにしても、テナントに
長く使ってもらいたいというCRE提案をしており、そもそもの提案が少し違うと言える。
又、テナントも長期での保有と、J-REITというPublicなVehicleで安心感を持って
受け入れて頂いており、その部分では大きな競合は無いと思っている。あるとすれば、
競合ではないが、売り手、テナントが、リースバックした方が良いと分っていながらも、
経営判断で保有を選択することがある、Dealまでいかなかったケースもある。
これが、今の取得環境といえるかと思います。
Q:4%のDPU成長目標について伺いたい。
従前より、年間4%のDPE成長目標掲げておられたが、そのDriverとしては、再開発
ではダウンタイムがありつつも、結果的には年率1~2%程度の利益成長。一方、外部
成長は、取得利回りの低下、金利上昇、それに伴う株価の調整といったEquity Costの
上昇といったことで、従来よりもDPU成長の推進力が低下していく可能性がある。
こうした環境を踏まえて、年間4%のDPU成長の長期的な持続可能性、内部成長と
外部成長の貢献の内訳の変化とか、ご説明を頂きたい。
A:これまで、年間4%の内訳として、再開発の取り組みを含めて外部成長というか物件
取得で3%、内部成長では金利の削減等のコスト削減で1%、計4%で考えている。今回、
外部成長が2%の印象になってしまったようだが、物件取得を行っている中で、Due
Diligenceに時間が掛かるとか、決定に時間が掛かったとかあるが、基本的には再開発も
含めた物件取得がDriverであり、3%位が物件取得になると考えている。
Q:今後のインフレ対応についてお聞きしたい。
コスト上昇は利益圧縮懸念としてそこまで見ていないとのことでしたが、一方で、内部
成長は1%程度とDPU目標に掲げているが、トップラインのインフレ対応度について
考えを伺いたい。コストはフラットで、トップは契約条件の組み合わせによって、
インフレを取り込みに行くということ自体は考えられるシナリオとは思うが、従来から
長期契約、固定契約がメインとは思っているが、足元の地合いを受けて、何か考え方が
変わられたか、或いは、従来通りか、お考えを伺いたい。
A:3つに分けて説明します。物流と、工場・R&D、と湘南。
物流に関していうと、今回でもいくつか賃料アップの更改が出来ている。比較的昔から
持っている物件で、大きく賃料ギャップがあったところを上手く契約更改に合わせて、
やってきたところもあり、マーケット環境の賃料が上がっていけば、それに合わせて
多少はヘッジできるのかなと思っている。
工場・R&Dは、底地もそうだが、利回りが高めで、長期で契約をしているというところ
です。周辺物価が著しく変動があった時に交渉できるという文言があったとしても、
なかなかすぐに出来るものではなく、一定のマージンを取りながら、長期的に安定させて
いきたい。
最後に湘南ヘルスイノベーションパークだが、水光熱費については先ほど説明したが、
資源価格が落ち着いたあとに、テナントとどのように話していくかということになる。
サイエンスパークというのは、オフィスと違って大きな共有部をテナントに活用して
もらい、そこで色々コラボして、研究してもらう施設であるので、サイエンスパークを
維持するコストが、上がってきた時には、テナントとはコストも含めての契約更改に
なると思っている。ただ、相手有っての話であるので、テナントとは慎重に協議を進めて
いきたいと考えている。