ジャパンリアルエステイト投資法人 2025年9月期決算概要
ジャパンリアルエステイト投資法人
2025年9月期(第48期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.irwebcasting.com/20251118/1/2192047f13/mov/main/index.html
○説明資料
https://www.j-re.co.jp/file/term-187547d889c31fc206b608ac349babd28d436bd4.pdf
〇質疑応答
https://www.j-re.co.jp/file/term-6b2c077b2bff7ffc73cf08fc99687d39e8e03241.pdf
○説明者 ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 井上 和幸
〇説明
只今よりジャパンリアルステート投資法人の、2025年9月期決算についてご説明申し上げます。私は運用会社であるジャパンリアルマネジメントの井上です。それでは早速説明に入ります。
先ず、3頁をご覧ください。はじめに当期の決算実績と業績予想の主なポイントについてです。先ず、当期である25年9月期の決算実績について。既存ビルの賃料収入は好調な賃貸 マーケットも追い風にして、前期比および半年前の予想を共に上回る着地となりました。
又、前期に取得したコモレ四谷の収益の通期寄与もあり、EPUについても前期比および半年前の予想を共に上回る2019円での着地となりました。次に2期先までの業績予想です。今期である26年3月期は、新宿イーストの大口解約に伴うマイナス影響があるものの、既存ビルの賃料収入は、その他での物件の賃料の増加がそのマイナスをカバーする見込みです。又、10月に取得したThe Link Sapporoの収益寄与もあり、EPUは半年前の予想を上回る1,970円を見込んでいます。翌期である26年9月期は、増額改定が加速することにより、賃料収入の更なる上昇を見込みます。
4頁をご覧ください。当期の決算実績です。当期は赤坂パークビルの6分割での売却の1回目の売却を行い、売却益約39億円を計上し、営業収益411億円、当期純利益178億円となりました。右側は主な増減要因を記載しています。前期比では、既存ビルの賃料・共益費が テナント入替と増額改定の効果により+0.5%、約170百万円増加致しました。又、解約違約金など一時的な収入は470百万円の増加です。賃貸事業費用では、修繕費が前期から550百万円減少し、公租公課などその他の費用増を吸収しています。
業績予想比においても、既存ビルの賃料・共益費が未達よりも若干上振れました。その結果、一番左の項目の下から3段目、EPUは前期を64円、半年前の予想を33円上回る2,019円となりました。DPUは、赤坂の売却益を全額配当した上で内部留保を一口当たりで約13円分取り崩し、前期比24円の2,511円とさせて頂きました。
続いて6頁をご覧ください。今期、来期の業績予想です。先ず今期ですが、10月に赤坂の2回目の売却を、同じく10月にThe Link Sapporoも取得しています。赤坂の売却益は、当期とほぼ同水準の約39億円を計上し、営業収益4,007億円、当期純利益176億円となる予定です。右側は 主な増減要因です。前期比では既存ビルの賃料・共益費が+0.9%、290百万円の増加を見込みます。今期は新宿イーストの大口解約に伴うマイナス影響が大きいものの、前期比増加額は前期に比べて拡大する見込みです。
一方で前期に計上した解約違約金など、一時的な収入の反動減4億円等による収入減が影響し、DPUは前期比で-49円となる1,970円となる見込みです。尚、右下でお示ししていますが、EPUについて半年前の業績予想比では、The Link Sapporoの取得などのプラス影響により+11円の予想です。DPUは、赤坂の売却益を全額配当した上で、内部留保を一口当たり約85円分取り崩す想定とし、前期比+25円の2,536円とをする予定です。翌期については、現時点では赤坂の3回目の売却のみが決定しています。既存ビルの賃料・共益費は賃料改定が加速することを織り込み、前期比+1.8%、580百万円の増加を見込み、EPUでは前期比+10円の1,980円を見込みます。DPUは、赤坂の売却益約40億円を全額配当した上で、内部留保を一口当たりで約92円分取り崩す想定とし、前期比+25円の2,561円とする予定です。尚、今申し上げた予想2期の内部留保取り崩し想定ですが、今後新たな物件売却を行う場合には 売却益に差し替わる可能性があることはご理解のとおりです。
続いて9頁をご覧ください。左のグラフは賃料・共益費の推移です。当期の賃料・共益費は327億円となり、前期比約1%の上昇です。今期、来期の予想2期については、赤坂の分割 売却があるものの、ベース物件の内部成長とThe Link Sapporoの寄与により、2期先の26年9月期では333億円となり、予想2 期の年間成長率約2%を見込んでいます。今後の外部成長次第では、賃料収入の更なる成長もあると考えています 右側のグラフでは既存ビルにおける賃料・共益費の前期比増減をお示ししています。緑色がテナント入替等による変動、オレンジ色が賃料改定による変動です。既存ビルの賃料・共益費は、毎期順調に成長する見通しです。当期から翌2期にかけて、テナント入替と賃料改定の増加率は夫々バランスよく、そして加速度的に拡大し、翌2期を合計した1年間の増加率は+2.8%です。
続いて10頁をご覧ください。入居率についてです。当期は新宿イーストの大口解約が発生致しましたが、それ以外の物件のリーシングは順調に進捗しており、当初の予想通り97.4%での着地となりました。その後今期末には、98%を超える水準まで上昇する見通しです。全国的に好調なリーシングが反映されたものであり、特にリーシングが進んだ物件を右側に記載しています。新宿イーストについては、大口退去後の全ての埋め戻しが今期末までに完了し、入居率は99.8%まで上昇する予定です。尚、The Link Sapporoを除いたベースでの26年3月末の入居率は98.5%を見込んでおり、その後についても更なる引き上げ、具体的には99%を目指します。
次に11頁、賃料改定です。左のグラフは、各期に契約公開を迎えたもののうち増額できた割合を緑色でお示ししています。ご覧の通り明確な上昇傾向にあり、特に前期から当期にかけては、その割合を大幅に伸ばすことができました。凡そ半数のテナントとの間で増額合意をしています。今後更にこの割合を引き上げていき、27年3月期までに70%以上に引き上げることを目標とします。又、右側のグラフ、増額の改定率についても、同時期までに7%以上とすることを目標としています。ご案内の通り、賃貸マーケットは引き続き好調な状況です。需給には逼迫感があり、賃料は明確な上昇傾向を示しています。又、我々の保有物件には十分な競争優位性があると自負していますので、今申し上げた目標に向けて増額交渉に全力で取り組んでまいります。
次に12頁をご覧ください。契約形態についてですが、定借の割合は7割を超えています。又、左下の賃料ギャップについては、保有物件の査定賃料の上昇を受けて、ギャップの割合が前期から更に拡大をしています。これらは、いずれも増額交渉を後押しするものと考えています。又、フリーレントの月数は3ヶ月を切る水準まで低下しており、当期では2.5ヶ月となりました。
続いて13頁は外部成長です。現在、ポートフォリオの競争力を向上させるための資産入替戦略を進めていますが、物件取得については、スポンサー物件を中心に進めています。ご覧の通りスポンサーである三菱地所からの取得物件は、どの物件も都心の好立地に所在する、築浅でハイグレードなオフィスビルです。昨今オフィスニーズは大きく変化しており、より良いもの、つまり交通利便性に優れ、高品質で快適な環境を提供できるオフィスが求められています。スポンサーから取得しているこれらの物件は、こういったテナントニーズの変化に合致した資産だと考えています。左下では保有物件の査定賃料の前期比上昇率をお示ししています。ご覧の通り、スポンサー物件の上昇率が全体平均を大きく上回っており、スポンサー物件のリーシング競争力の高さが表れているものと思います。又、右下は、スポンサー物件における今期以降の成約の事例です。いずれの事例も、直近の査定賃料を上回る賃料水準での増額改定であり、新規契約です。このような水準感の賃料アップを、今後更に積み上げていくことで、賃料収入の力強い成長を目指してまいります。
14頁をご覧ください。こちらは、三菱地所の直近の竣工物件と今後の開発予定物件です。これは、先日同社が公表した決算資料の中から許可を得て転載しているものですが、都内・地方を含め、魅力的なパイプラインが控えていることがお分かり頂けると思います。現時点で、これらの物件について具体的な協議を行っているわけではありませんけれども、このような優良物件の取得機会が今後も控えているということは、持続的な外部成長を強く後押しするものと考えています。
続いて15頁をご覧ください。先月の10月に取得したThe Link Sapporoです。この物件は、独自のソーシングルートから取得したもので、札幌駅北口から徒歩3分という好立地にある築浅物件です。基準階面積が320坪、5分割対応もできることから、大小様々なテナントに柔軟に対応できます。取得日時点での入居率は約7割ですが、札幌市内の賃貸マーケットは良好であり、既に具体的な引き合いが複数ある状況です。この機を捉えて、早期の満室稼働を目指します。札幌市内では、オフィスの新規供給が続いておりますけれども、堅調なオフィスニーズに支えられて、賃貸マーケットは良好です。
寧ろ新築ビルの成約賃料が周辺の賃料相場を引き上げているという側面もあって、マーケット賃料は、引き続き上昇傾向にあります。我々としては、こうしたマーケット見通しを前提に積極的なリーシング戦略、賃料改定交渉を実施し、中長期的には、頁中段にお示ししている想定利回りを上回る収益性を目指してまいりたいと思っています。スポンサーである三菱地所からのパイプラインと独自のソーシングルート、この双方の強みを最大限活かして取得機会を作り、そしてマーケットを意識した適切な資金調達を行うことで、外部成長についても力強く推進してまいります。
続いて16頁はファイナンスについてです。左上の表をご覧ください。当期末の簿価LTVは42.8%、平均利率は0.62%、平均残存年数は4.77年、長期固定比率は82.7%となりました。当期も引き続き長期固定での借り入れを基本としつつ、長期変動での借入等も組み合わせてデット資金の調達を行いました。
次の17頁ですけれども、これは直近の資金調達事例を記載しています。上段の表でご覧頂けます通り、今期10月にも低い金利水準での長期固定借入を行うことができています。国内金利は緩やかな上昇傾向が続くことが予想されます。引き続き長期固定を基本としつつも、借入コストの上昇の抑制と強固な財務基盤のバランスを取りながら資金調達を進めてまいります。
次に18頁をご覧ください。EPUとDPUの成長目標と、それを達成するための戦略についてです。先ず、目標については、引き続き中長期的にEPUは年平均3%、DPUは年平均2%の成長を目指します。次にこの目標を達成するための戦略です。先ず、EPU3%成長について下段のボックスをご覧ください。内部成長では、入居率は98%台を捉えるところまで来ましたが、もう1段の上昇、具体的には99%を目指します。それと同時に先ほどご説明した賃料改定を、今よりも 1段、2段、更に高い水準へと引き上げるべく、全力で賃料交渉に取り組んでまいります。そして外部成長です。
先ほどご説明したスポンサーパイプラインと独自のソーシングルート、この両輪で、成長が期待できる優良な物件の取得を積極的に進めていきたいと考えています。一方売却については、赤坂の分割売却が、今後も28年3月期にわたり確定していますが、これ以外にも収益性に懸念のある物件については売却を検討し、ポートフォリオの競争力を向上させてまいります。尚、EPU3%成長の前提となる賃料の成長率は、凡そ年平均3から4%を想定しています。次にDPU2%成長については上段のボックスです。DPUについては、これまでと同様、資産入替の過程で生み出される売却益 や、それを原資とする内部留保還元をEPUに上乗せし2%成長にコミットしてまいります。赤坂の分割売却が当期からスタートし、今後6期にわたり、凡そ230億の売却益を投資主の皆様へ還元致します。
又、今後の物件売却に伴う+αの売却益計上も含め、持続的なDPU2%成長を目指します。そして黄色い点線でお示ししている部分ですが、EPUについて、主に内部成長ドライバーとして3%を超える成長が見込めると判断できる場合には、DPUの2%成長目標を見直し、上方修正したいと考えています。
次はESGです。20頁をご覧ください。上段はCO2排出量の削減目標に対する進捗状況です。CO2排出量の削減比率、再エネ電力導入比率ともに、2030年度目標に対し90%を超える進捗率となっています。引き続き保有物件の空調更新やLED化工事、或いはZEB化の推進などによって、ポートフォリオ全体の省エネ化を推進するとともに、再エネ電力の一層の導入にも取り組んでまいります。下段の左側、環境認証の取得率は、前期から当期にかけて更に引き上げることができ、当期末時点で凡そ95%まで上昇しました。引き続きESGの面からもポートフォリオの競争力を高める取り組みを推進してまいります。
以上 資料に沿った一通りのご説明とさせて頂きました。
それでは最後に、改めまして私の方から現在のオフィス賃貸マーケットの認識と今後の取り組みについてですけれども、長らく日本において賃料と名のつくものについては、オフィスに限らずなかなか値上がりしないものとの認識がありましたけれども、インフレ経済に移行する中で、近年賃料が値上がりすることに対するテナントの意識にも変化が現れています。具体的には、テナントの中にはインフレ下においては、賃料も当然に上がっていくものとのこういった意識が根付き始めていて、賃料増額改定要望に対して、以前ほどの拒否反応は薄れつつあるなという風に感じています。
実際に丸の内・大手町といったプライムエリアに所在するオフィスビルを始め、我々JREの所有する好立地、ハイスペックなオフィスビルについては、順次高単価の賃料増額改定が実現し始めています。より良いものが高く評価され、その価値に見合った賃料を頂戴できるという、質が価値を生む時代が漸く到来し、この流れは今後更に加速していくものと考えており、当社の利益成長を強力に下支えしていくものと確信しています。JREは、こういった内部成長の加速と資産入替などの外部成長を組み合わせることで、今後もインフレを凌駕する成長を続けてまいりたいと思っております。どうぞJREの今後の取り組みにご注目ください。
私からの説明は以上です。有難うございました。
