イオンリート投資法人 2024年7月期決算概要

イオンリート投資法人
2024年7月期(第23期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/3292/20240919/rhy7543/
○説明資料
https://www.aeon-jreit.co.jp/file/ir_library_term-0eddd9c6bab6151d7674d009830da9f2584dfa04.pdf
○説明者 イオンリート投資法人 執行役員 兼
     イオン・リートマネジメント株式会社 代表取締役社長 関 延明
○説明
第23期(2024年7月期)の決算について、決算説明資料に沿って説明させて頂きます。先ず6頁、23期の決算概要となります。今期の分配金は、4月に修正公表しました前回予想通り、3,340円で着地致しましたが、これは3月の決算発表時の予想と比較すると、イオンモール太田増築棟を取得したことによる収益が寄与したことにより、5円上振れしています。又、1月1日に発生した能登半島地震による被害を特別損失で計上しています。他方、保険金受取相当額を特別利益で計上した結果、当期純利益は、修正予想と比較して39百万円上振れての着地となっております。

予想数値との差異を一口当たりの分配金で説明したものが、7頁の資料になります。第23期は、営業収益では為替差益による配当金の増加などがあり、17円上振れました。営業費用は、修繕費は予算比で増加しましたが、3年に1度の固定資産税の見直しおよび清算による賃貸事業費用の減少等もあり 34円上振れています。今期は特別利益、特別損失を計上しています。これは、先ほど申し上げた能登半島地震被害の保険金受取額と対象工事の額であり、この差額が利益の減少要因となっています。

以上により、一口当たりの当期純利益は3,107円と、予想より19円上振れました。次に、配当準備および利益超過分配の、当初予想252円と実績の差分について説明します。先ず、セレンバン2を保有する海外SPC に関わる外国子会社合算税制、所謂、CFC税制に起因した海外SPC処理の税会不一致が6円分発生しています。この6円については 資本の取り崩しを伴わない利益超過分配の増加要因となります。続いて資本の取り崩しを伴う利益超過分配ですが、能登半島地震による特別利益と特別損失の差33円は増加、その他運営コストの削減分58円については減少となりました。結果として、配当準備積立金は予想通り117円、資本の取り崩しを伴わない利益超過分配は6円増加の43円、資本の取り崩しを伴う利益超過分配は25円減の73円となっています。

8頁をご覧下さい。イオンリート における利益超過分配の活用イメージを記載しています。後ほどご覧頂けますと幸いでございます。
9頁をご覧ください。こちらの頁では第24期、25期の業績予想をお示ししています。イオンモール太田増築棟取得による賃料の増加が通期寄与をしています。第24期の営業収益については、前回予想差で減少となっていますが、これは先ほど申した3年に1度の固定資産税の評価見直しにより、マスターリース会社から受領する税額分の金額が減少するためです。その分費用も減少となるため、営業利益への影響はありません。一方で、保有物件の活性化投資の増加などで修繕費は増加しており、一部利益超過分配による対応を実施する見込みであります。

10頁をご覧ください。こちらは第23期のポートフォリオ指標となります。NOI利回りは6.0%、償却後は3.7%、含み益は882億円、一口当たりNAVは154,493円、敷金込みのLTVは44.3%となっています。引き続き高い収益力の確保と財務健全性を意識して運営してまいります。

11頁では、中期目標に対する進捗状況を記載しています こちらにつきましても 参考資料となりますので 後ほどご覧いただけますと幸いです
12頁をご覧ください。ここからは、今期のトピックスについてお伝えさせて頂きます。4月にイオンモール太田の増築棟を、工事請負契約上の発注者として地位承継という形で取得致しました。これはイオンリート にとっては初めての手法による取得となりました 投資金額 約55億円に対し 取得時の既存棟と増築棟と一体での鑑定評価額で約60億円の増加 含み益は約5億円増加させることができました この増築棟のオープンに合わせ、既存棟もリニューアルし、群馬県最大級の商業施設へと進化しています。

13 頁をご覧ください。今回の増築棟建築によって既存棟への投資機会も新たに生まれました。具体的には、リニューアル工事に加え、既存不適格改修工事を行うことでイオンモール太田全体の価値を向上させています。又、取得した増築棟についても、第24期に追加工事を行うことが決まり、更なる賃料増加を見込んでいます。
14頁をご覧ください。今期の第23期活性化投資事例のトピックスとなります。物件価値の維持向上につながる活性化投資を行い、賃料増額を実現しています。先ず、イオンレイクタウン森の事例を紹介します。

私どもの保有物件ではありませんが、隣のレイクタウンアウトレットと森を繋ぐ出入り口の周辺について、快適にお買い物を楽しんで頂けるように環境整備工事を行いました。イオンモール成田においては、お身体の不自由な方のための駐車場において、設備の更新工事を行いました。具体的には、ナンバープレート認証方式へとリニューアルしたものです。又、今回の更新工事に合わせて、当エリアのアスファルト補修工事も行い、多くの方に安心してご来店頂ける駐車場に進化させております。これらの工事により、投資額に対して、イオンレイクタウン森では5.4%、イオンモール成田では6.1%の賃料増額を実現しています。

15頁をご覧ください。次に海外物件について説明します。イオンリートでは、海外のマレーシアに2 物件を保有しています。国内保有物件同様、基本的に固定賃料でございますが、海外保有物件に関しては、3年毎にCPI 変化に連動する賃料改定が行われる契約となっています。実際に、イオン・タマン・ユニバーシティー・SCでは、取得後10年間で20%の賃料増額。イオンモールセレンバン2 においては、取得後8年で11%の賃料増額を実現しております。又、イオン・タマン・ユニバーシティー・SCについては、10年の賃貸借期間満了が今年の6月に到来し、契約更新を行いました。契約期間は最長10年で、更新のタイミングで、更にCPI連動賃料の見直しを行い、2年前倒しで賃料増加を実現しています。

16頁をご覧ください。今回の決算発表のタイミングで、イオンリートは、30億円の枠を設けて自己投資口の取得を決定致しました。NAV倍率が0.85倍近くまで推移した中で、一定程度の水準に達した場合取得する方針でございます。スケジュールですが、今回の発表後 12月末までを買付期間とし、24期末である1月末までに取得した投資口の全てを償却することを予定しております。詳細は後ほど説明致します。

17頁をご覧ください。今期のサステナビリティの取り組みについて説明します。イオンリートでは、従前より投資家の皆様への分かりやすい情報開示に向け、サステナビリティレポートやウェブサイト上の開示情報の検討や拡充に重点を置いて対応してまいりました。これらの結果、本年5月に公表されたMSCI ESG評価については、昨年のBBから2段階上昇しA評価を取得、中期目標に掲げていた目標値を達成致しました。その他、第三者認証取得においては、3物件で認証の再取得を実施し、イオンモール釧路昭和では、3-Starsから4-Starsに上昇致しました。これまでも申してきた通りでございますが、決して評価を向上させることが目的ではなく、引き続き必要な取り組みを推進し、その結果として正当に評価がされることを目指していきたいと考えています。

18頁をご覧ください。現在、J-REITの運用環境は、金利上昇やインフレの加速、修繕費、資本的支出の増加、投資口価格の低迷など、厳しい環境が続いております。そのような環境下においても、イオンリートの巡航分配金は、しっかりと維持した上で、更なる分配金成長を目指してまいりたいと考えています。詳細については、次の頁より説明致します。

19頁をご覧ください。分配金の安定および成長を目指すべく、様々な対応を検討しています。先ず、金利上昇についてですが、10年国債の推移を見ても、金利は引き続き上昇傾向にあります。イオンリートの資金調達においては、長期金利・固定化が基本の方針ではありますが、調達環境を見極め、場合によっては、平均調達期間の短縮や変動金利の導入も検討してまいります。又、右側のデータにありますように、インフレの定着による工事金額の上昇、保有物件の築年数経過に伴う修繕費の増加に加えて、リオープニングに伴う集客を見据えた投資拡大により、投資金額の増加は今後も予想されています。これらの複合的な要因についての対応策は後程の頁で説明致します。

20頁をご覧ください。従前よりお伝えしている通り、減価償却費相当分から創出される豊富な元資金が、イオンリートの強みの一つであります。第24期、25期においては、年間約106億円の減価償却費を見込んでいます。豊富な手元資金を活用し、キャッシュマネジメント戦略として、これまで物件の取得や活性化投資を実行してまいりました。右側のパイチャートは、過去5年における手元資金の投資総額と収益力向上につながった投資の割合を示したものです。1,300億円を超える手元資金を使い、そのうち85%が収益力向上につながる投資となっております。イオンモール太田の増築棟やイオン上田ショッピングセンターの取得も手元資金によるもので、収益力の向上につながっております。

21頁をご覧ください。今回イオンリートとして、初の自己投資口の取得を決定したわけですが、あくまでも運用環境を踏まえ選択した結果であり、手元資金を柔軟に活用するという考え方は従前から変わっていません。現状保有する不動産ポートフォリオの価値に対して、著しく割安と考える投資口価格が続いていることや、DPUに占める利益超過分配の増加への対応として、自己投資口の取得および償却が投資主価値の向上に繋がる最善策だと考え決定致しました。頁左下は分配金のイメージとなります。予定通りに取得できた場合ですが、一口当たり当期純利益EPUは、発行済み投資口数の減少分増加します。一方でDPUへの影響についてですが、投資口数の減少により上昇した分の一部は、利益超過分配を抑制することを検討しています。尚、取得価額の上限での取得が行われなかった場合は、余った手元資金は別の用途に活用することを検討してまいります。

22頁をご覧ください。今後のポートフォリオの質の向上に向けて新規・既存物件、夫々の対応を検討しています。新規物件については、イオングループが運営する物件から取得対象を厳選し、投資主価値向上に資する物件の取得機会を継続的に追求してまいります。イオンリートが取得対象とする物件は、イオングループが保有する物件、第三者が保有する物件と幅広くございます。その中から厳選して投資を行うことが、質の向上に繋がると考えています。又、運用を取り巻く環境が大きく変化する中、新たに契約を締結する際には、これまでと異なる契約形態も合わせて検討してまいります。

既存物件については、前回の決算説明会で申し上げた通り、個別物件の今後の収益性を踏まえ、投資条件の見直し等様々なアクションを検討し、一部実行してまいります。増加する修繕コストの対応として、活性化投資のうち投資金額における修繕費用など、損益に関係する費用について賃料増額の交渉、又は、修繕費負担交渉をマスターレシーと行い、双方にとって最適な結果を追求してまいります。又、物件特性に応じた更なる投資選別を強化し、質の高いポートフォリオの維持を目的とし、既存物件の売却も検討します。

23頁をご覧ください。イオングループの方針として、国内既存モールの大規模活性化を推進しています。イオンリートでも投資機会が増えるチャンスでもあるため、グループ各社と連携し、収益力の向上に繋がる投資を増やしていきたいと考えています。又、前の頁で申し上げた損益に影響する費用負担の交渉の実例として、第23期ではイオンモール鈴鹿のリニューアル工事の事例がございます。こちらは投資金額約2億円、年間の賃料増加率は7.9%増加した事例ですが、このような競争力を高めるリニューアルについては、双方ともメリットがあり、慎重に協議をして進めてまいりました。その結果、初期費用を抑えながら賃料増額を実現させており、今後も同様な事例を水平展開したいと考えております。

最後に本日の説明の纏めとなります。戻りまして5頁をご覧ください。イオンリートはDPU の安定性とEPUの成長性の両面を追求してまいります。本年1月1日に発生した能登半島地震の影響については地震保険による対応、一部の活性化投資については初期費用を抑えた投資を行い、今期の分配金に与えるマイナスの影響を抑えました。海外物件の契約更新による賃料増加、国内物件への活性化投資を継続、又、イオンモール太田増築棟の取得により、収益力の向上も実現しています。今後、新規取得物件では様々な契約形態での取得を検討し、既存物件については更なる活性化投資の機会を追求してまいります。又、自己投資口の取得のような運用環境を踏まえたアクションをし、より投資の仕方の向上につながる対応をしてまいりたいと考えております。
以上で 第23期 決算説明を終わります。有難うございました。