星野リゾート・リート投資法人 2024年4月期決算概要

星野リゾート・リート投資法人
2024年4月期(第22期)決算動画説明書
〇動画
https://www.irwebmeeting.com/hoshinoresorts-reit/vod/202406/z8TAVYQW/202404_22nd_01_ja/index.html
〇説明資料 https://ssl4.eir-parts.net/doc/3287/ir_material_for_fiscal_ym/157706/00.pdf
〇説明者 株式会社星野リゾート・アセットマネジメント 
代表取締役社長          秋本 憲二
      経営企画本部長          蕪木 貴裕
      運用投資本部長          高橋 悦郎
      チーフ・サステナブル・オフィサー 菊池 昌枝
〇説明 
<代表取締役社長 秋本 憲二>
星野リゾート・リート投資法人、第22期決算説明動画をご視聴頂き誠に有難うございます。本題に入る前に、先ず、従前よりお伝えしておりました、星野リゾートの一時的な労働力不足からの脱却について、お話をさせて頂きます。2024年4月、星野リゾートには750名の新卒社員が入社しました。彼らは、オリエンテーションと研修を経て、各地の配属先施設で業務を把握しつつあります。そして夏休み前の7月中旬までには、最低限必要な業務知識とスキルを身につけてもらう計画で順調に進んでいます。その段階で星野リゾートは、労働力不足から脱却すると考えています。脱却は、単に採用強化したことで達成されたわけではなく、2023年春から進めてきた業務最適化プロジェクトの成果も大きいです。止めたい作業、残したい作業、そして追加したい作業等根拠を持って整理し、新しい必要労働時間を把握する取り組みを行ってきました。業務は細かい作業であっても何か一つを少し変えるだけで、顧客満足度、収益力、ブランド力、短期的集客力、スタッフの身体的負荷、そしてスタッフの意識という6要素に影響を与えます。これら6要素を高い次元でバランスさせることが良い運営であり、最適な業務内容であると星野リゾートは考えています。

この業務最適化プロジェクトは、変革を実現するチャンスであり、現時点で必要な労働時間を新たに作り出し、その上で必要な人員を補充するという正しいプロセスを実行した結果、労働力不足からの脱却の目途を立てることができた訳です。星野リゾートでは、今回の労働力不足を、労働環境を改善するチャンスであるとも捉えました。優秀な人材を受け入れて育てていくためには、給与を含む労働環境は以前からの課題であり、労働力不足時には、その改善の投資は採算が合いやすいからです。労働環境を整えることが、ホテルのRevPARを最大化することに繋がります。これは当然ながらコスト上昇を招きますが、それはRevPAR上昇に加え、生産性向上でカバーできると考えます。今回星野リゾートでは、業務の最適化から生まれた真の生産性向上が図れたと感じております。投資家の皆様にはご心配おかけしましたが、星野リゾートは、正に今、労働力不足が解消し、更なる成長のフェーズに入りつつあります。

決算の概要につきまして、目次に沿った順番でご説明申し上げます。各パートの担当よりご説明申し上げます。
<経営企画本部長 蕪木 貴裕>
6頁ご覧ください。2024年4月期第22期の決算サマリーでございます。当期の分配金は9,048円と、昨年12月の予想から+348円 で着地しました。12月の予想時点では大部分の賃料が固まっていましたが、東京の活況なインバウンド事業の追い風を受けたThe B 浅草など、前月実績連動の変動賃料の物件が好調に推移したことが、増配の要因となっています。その他では、ポートフォリオ全体のNOI利回りは5.3%、LTVは38.8%、一口当たりのNAVは584,150円となっています。NAVにつきましては、4月末時点の継続鑑定で評価額が全体的に成長したため、含み益が増大しました。

続いて7頁です。分配金の実績および予想についてです。第22期実績は、先ほども説明した通りです。第23期予想については、昨年12月の予想8,700円に対して、+400円の9,100円を見込んでおります。星野リゾートの運営物件については、一時的な労働力不足の影響を受けていますが、星野リゾート以外の運営物件では、先ほどのThe B浅草の好調や全体的なコロナ禍からの回復もあり、賃料が前期比でプラスとなっています。又、この期は10回目の公募増資と、界川路の譲渡を行った期でもあります。界川路の譲渡益が計上される一方で、公募増資の一時費用も計上されます。続いて第24期については、OMO7大阪取得による外部成長効果が、本格的に寄与し始める期となっております。変動賃料の算定期間の関係上、星野リゾートの労働力不足の影響を最も受ける期ではありますが、OMO7大阪の取得効果と星野リゾート以外の賃料増により、業績をカバーしております。これまで外部物件の回復の遅れを、コロナ前を上回る成長で星野のリゾート物件が牽引してきました。しかし、星野リゾートで労働力が発生したことにより、下記のグラフの通り、分配金の回復の足踏み期間が長引いてしまっています。しかし、星野リゾートへの宿泊需要は依然として非常に旺盛であり、冒頭の説明にもあった通り、労働力不足の解消が見え、更なる運営力の強化も図っています。今後、外部物件の更なるに回復と合わせ、2026年頃に迎えるスタビライズに向かって、分配金が回復していく見通しです。

それでは次の8頁です。こちらのグラフは、2019年コロナ前比のRevPARの変化率の推移をグラフで示したものになります。青が星野リゾート運営物件のグラフです。この冬、昨年の夏に行った短期的施策の後も、業務最適化プロジェクトを推進してきました。結果として、稼働制限は想定より緩和され、高い水準でRevPARを維持することができました。賃料に関しては、労働力不足の影響を、算出期間に含む24期において、星のやなどで減少しています。一方で、紫のリゾート以外の運営物件については、足元でコロナ前と同程度の水準まで、着実な回復を見せています。23期、24期にかけて賃料が増加する見通しです。

<代表取締役社長 秋本 憲二>
それでは続いて、先日実施した第10回公募増資の概要について説明致します。11頁をご覧ください。こちらのページでは、中長期目標達成に向けた歩みを示しています。本投資法人の資産規模の中長期目標は3,000億円、星野リゾートグループ運営物件比率は50%超としてまいりました。今回の公募増資後、資産規模は2,266億円となり、目標まであと734億円と近づいてきました。又、星野リゾートグループ運営物件比率は49.3%となり、ほぼ目標達成の水準となりました。今後も資産規模3,000億円、星野リゾートグループ運営比率50%超を目指して、引き続き取り組んでまいります。

それでは続いて12頁をご覧ください。今回公募増資で、6月6日に取得した物件のハイライトでございます。2022年4月22日に開業しましたOMO7大阪です。コンセプトは、「ほれてまうわ、なにわ」です。全436 室、星野リゾートの都市観光ブランドOMOの中で、最大のフラッグシップホテルとなります。物件の概要については、左下の表の通りでございます。償却後利回りは4.3%で、我々の取得目線である4%を上回っています。足元の運営実績および鑑定評価上のKPI は、右下の表の通りです。大阪マーケットの回復、そして成長途上であるこのタイミング、来年には観光をあと押しする巨大イベント万国博覧会が開催される予定ですが、その前のこのタイミングだからこそ、鑑定評価額比85.3%、鑑定評価額対比-50億円という格安価格で取得することができたと考えております。このホテルの近くの西成地区は、昔労働者による暴動などがあったことから、関西では良いイメージはありませんでした。しかし実は観光には最適の場所なのです。世界の大都市が新しい時代に、新しい魅力を創出し変わっていく時には、こういう場所がその役割を果たします。

1980年代、マンハッタンのソーホー地区は、危険な場所でした。アクセスは良い場所なのに不動産価格が安かったので、当時世界のアーティストやミュージシャンが集まり始め、新しい文化の拠点になっていきました。そして30年後には、ソーホー地区はトレンドをリードするエリアになりました。アップルストアも、先ずここに店を開きました。こうした観点から見ると、新今宮の30年後は、関西のトレンドをリードするエリアになっているはずです。そしてOMO7大阪は、本当にいい感じのホテルで、大阪で一番勢いがあるホテルになると思っております。そう思う理由は4つあります。

13頁をご覧ください、先ず1つ目の理由は、アクセスがとても良いということです。関西国際空港や新大阪駅からは、電車1本で来られます。OMO7大阪の目の前の新今宮駅、徒歩2分の動物園駅前を含めて、合計で8路線の電車が走っています。東京でいえば、渋谷10本、池袋9本の次に来るレベルです。新今宮駅は、大阪中心部では関西国際空港から最初に直結する駅です。こういう意味では、渋谷、池袋よりも上かもしれません。又、インバウンドにも人気の京都や奈良へのアクセスもよく、関西旅行の宿泊拠点としても利便性が高い立地です。

14頁をご覧ください。次に大阪で一番勢いがあるホテルになると思う2つ目の理由は、都市ホテルなのにリゾートの要素を備えているという点です。この頁では、大きな庭の「みやぐりん」を紹介しています。都会に居ながら広々と緑を感じることができる約7,600m2のガーデンエリアです。庭に出て建物部分を振り返ったら、建物全体が巨大スクリーンになっていて、夜は季節感あるライトアップが楽しめ、この「みやぐりん」では、季節ごとのイベントもお楽しみ頂けます。そして、隣接するモダン銭湯、そして大阪の食文化の本質を現代風に表現するレストランとカフェを楽しむとか、盛り沢山です。大阪には多くのホテルが供給され、特に最近は外資系の高級ホテルが増えてきています。それらは、殆どが高層ビルの上の方に入っており、景色は良いが開放感と広がりはありません。

続いて15頁をご覧ください。次に、大阪で一番勢いがあるホテルになると思う3つ目の理由は、客室の魅力です。写真でもわかる通り、OMOっぽい楽しい部屋となっています。436室の部屋は、このクラスのホテルにしては広々としています。例えば、写真右上61室ある、いどばたスイートでは、4つのセミプライベート空間にベッドがあり、それらの真ん中にリビングが位置している全く新しいコンセプトの部屋になっています。その他のタイプの部屋も、グループやファミリーの旅のニーズに応える、バリエーション豊かな広々した客室を用意しています。又、広さに加えて、全部屋靴を脱ぐタイプのため、お子様連れのファミリーでも安心して過ごせます。更にお部屋は、大部分が畳張りの部屋であり、インバウンドの方が日本文化の体験をすることもできます。新規供給も多い大阪において競争に勝つには、魅力強化と差別化が大事だと思います。このようにOMO7大阪は、ハード面において、他の外資系ホテルとは全く違うポジションを獲得していると言えます。

続いて16頁をご覧ください。最後に、大阪で一番勢いがあるホテルになると思う4つ目の理由です。なにはラグジュアリーな滞在を楽しめるということです。ちなみに、OMO7は、7がついているので、グレードの高いフルサービスのホテルです。そしてOMO7大阪が目指しているのは、なにわラグジュアリーです。それは、笑いとおせっかいが文化である大阪のラグジュアリーはどうあるべきか、という星野リゾートの挑戦でもあります。お客様の過ごし方の一例を、この頁では紹介しています。リゾートのように快適なホテルステート、ご当地ならではの体験を楽しむことができます。こってこての大阪が味わえる近所には、徒歩圏内に通天閣があり、その周辺にはディープな大阪を体験できる新世界が広がっています。このご近所の見どころを、ご近所ガイドのOMOレンジャーと、まるで地元のようにお散歩しながら巡る街歩きをお楽しみできます。

続いて17頁です。この頁では観光業界、そして大阪府を取り巻くマクロ環境を紹介しています。お示しした4つの視点から見ても、大阪の観光マーケットが回復し、そして今後成長していくことが推測されます。

それでは続いて18頁をご覧ください。OMO7大阪を割安な価格で取得したことにより、ポートフォリオの強化が図られますのでご説明します。本募集前と本募集後の数字を比較して見てまいります。資産規模は1,986億円から2,266億円に成長、NOI利回りは本募集前が5.3%ですが、OMO7大阪の鑑定後利回りは、この5.3%を上回る5.5%です。ただ、同じ時期に界川路を売却しましたので、その影響もあり本募集後は横這いとなります。星野リゾートグループ運営比率は42.1%から49.3%へ増加、グリーンビルディング認証取得率および一口当たりNAVも、ご覧の通り増加しており、取得余力も増加しています。ここで今回界川路の売却に至った背景についても、簡単にご説明します。ご覧の通り界川路のNOI利回りは 11.4%と高い利回りでした。しかし築約30年という築年の古さもあり、改装なしでこのまま行くと、年々利回りは低下していく見込みでした。そうした中、改装投資と外部売却を並行的に検討していたところ、日程の売却益が確保できる買主を見つけることができました。大規模改装の投資改修の蓋然性、改修期間中の賃料低下懸念、CAPEX資金の効率性等々を勘案した結果、改装よりも売却することの方が、本投資法人 メリットがあると判断し今回売却を決定しました。

続いて19頁をご覧ください。この頁ではOMOブランドの進化についてお話しします。OMOブランドを立ち上げたのは2018年の春、OMO7旭川を開業させた年です。2年後の2020年春にコロナ禍となり、ブランディング活動を一旦停止しましたが、それらを本格的に再開できたのは2023年です。実質的には3年間の活動を経て現在に立っています。星野リゾートは、コロナ禍中において、都市ホテルの運営を任せて頂く多くの機会を得て、星野リゾートが運営するOMOの施設数は増え、現在16施設となりました。

星野リゾートの都市ホテルへの参入は、差別化戦略を踏襲しています。多くの都市ホテルがビジネス客を中心に据えているのに対して、OMOには都市観光市場に重心を置いています。星野リゾートが、都市ホテル市場に参入する際には、都市観光市場にターゲット絞り、その市場のニーズにぴったり合うホテルを作り出していく戦略を設定し、テンション上がる街中ホテルというコンセプトが誕生しました。コンセプトに沿ったサービスを具現化する役割を担っているのがOMOレンジャーです。ホテルから500歩以内のエリアをご近所と定義し、カフェ、飲食店、ショップ、そしてスーパーマーケットなど、地域文化を担っている方々とのリレーションを築き、街を楽しむコンテンツを作ることが役割です。ホテル内に設置されているご近所マップ、ホテル内で開催される様々な講座、ご近所を一緒に巡るツアー、これらを通じて、滞在日にタイムリーな情報と体験を提供する機能を担っています。OMOレンジャーの観光人材としての想像力こそが、OMOの競争力のエッセンスであり、模倣しにくいホテルになるための活動と位置付けています。

都市観光にとってテンションが上がるホテルが、ブランドプロミスなので、同じOMOブランドの中でも、ハードとソフトは幅があって良いと考えています。しかし、ハードとソフトのグレードを顧客は事前に知る必要があるので、それを番号で表現するというホテル業界では全く新しい方法を導入しました。左下の図の通りです。このナンバリングで、各ホテルに期待して頂ける正しい情報を伝えています。全てに共通する要素は、OMOレンジャーが、どこでも同じレベルで活動し、ご近所と連携しながら特別な体験を作り上げている点です。顧客満足度は、期待値に対し提供される価値ですが、継続して実施している顧客満足度調査の推移を見てみますと、OMO3からOMO7までの、同レベルの満足度を得られるようになってきており、仕組みが顧客に浸透し始めていることを感じています。星野リゾートは、このように、OMOブランドの新しい概念を辛抱強く浸透させてきましたが、2024年には進化の手応えを実感しています。その理由は、OMOのコンセプトに共感する市場セグメントは、インバウンドは勿論のこと、主には日本国内市場である点です。これは、インバウンドがまだ来ていない、地方の魅力ある都市においても展開する可能性を高めています。

頁右にあります都道府県別インバウンド集客でまだ下位にいる高知県で、2024年5月の16日にリブラランド会議をしたOMO7高知も、短期的には国内市場で埋めて、時間をかけてインバウンドを上乗せしていくことができると考えています。似たコンセプトのホテルが乱立する市場に参入することが容易でないことから、OMOは最初からメインターゲットを都市観光市場に絞り、特色あるサービスを積極的に展開することを選択しました。取り組んでいる内容に前例がなく、特殊性が高いことから、市場への浸透には一定の時間が必要ですが、コロナ禍が終了し、観光市場が回復している時に、OMOコンセプトの共感するターゲット市場にフックしていることを、今実感しています。今後も当初の戦略からぶれることなく、今まで存在していなかったブランドポジションを、しっかりと想像していきたいと考えています。

<運用投資本部長 高橋 悦郎>
続いて20頁でCAPEX事例をご紹介します。保有物件の中長期的な競争力を強化すべく、スポンサーである星野リゾートの持つソフト力を生かすCAPEXを計画的に実施し、宿泊 魅力の向上に取り組んでおります。ここでは、直近で魅力的投資を実施した界遠州とリゾナーレ八ヶ岳をご説明します。界遠州においては、全国有数のお茶処を楽しめる施設とするため、客室にはお好みのお茶を入れられる茶処リビング、共用部には13種類のお茶を選べるティセラーを導入するなど、滞在中いつでも、どこでもお茶の魅力を満喫できるという、宿泊魅力を創出致しました。リゾナーレ八ヶ岳では、メインダイニングであるOTTTO SETTEをリニューアルしております。宿泊者のみが利用可能なファインダイニングを進化させることで、ADRに見合った宿泊魅力を提供してまいります。又、OTTE SETTEでは、お子様をお預かりする託児サービスも提供しており、ゆっくりと大人の時間を楽しみたい方にも、ご満足いただける施設となっています。下段に取得以降のトラックをグラフ化しておりますが、ADRの上昇が継続していることがご理解頂けるかと思います。引き続き力強く成長していくために、お客様に選ばれ続ける施設になるよう、新たな宿泊魅力の創出を検討してまいります。

続いて21頁をご覧ください。運営実績のサマリーです。左側が星野リゾート運営物件、右側が星野リゾート以外の物件でございます。左上の図をご覧ください。星野リゾート運営 物件は、各ブランドのADR がコロナ禍前より上昇しており、直近1年のRevPARは、コロナ禍前より26.4%を上回る好調な運営実績でした。続いて星野リゾート以外の運営物件です。右上の図をご覧ください。対昨年RevPAR比で見ますと、+14.4%と継続的な回復を見せており、コロナ禍前比で見ましても、-5.7%とのところまで回復をしてきました。ブランド別につきましては、下半分をご参照頂ければと思います。

それでは続いて24頁です。不動産鑑定評価額等サマリーでございます。ご覧の通り、不動産鑑定評価額等は、好調な運営実績や足元の需要回復を反映して、全体的に上昇しております。詳しい説明については割愛させて頂きます。

<経営企画本部長 蕪木 貴裕>
25頁をご覧ください。財務ハイライトです。引き続きサステナブルファイナンスを初めとする多様な調達手段を実現することで、金融情勢の変化に対応した機動性の高い財務運営を行っています。直近の取り組みの1つ目は、ホテルリート初となるグリーンエクイティオファリングとグリーンローンの組み合わせによる資金調達により、OMO7大阪を取得しています。この取得におけるエクイティデットにグリーンフランドをつけることにより、アセットであることを強調することができました。2つ目は、銀行団との良好なリレーションを背景とした、主要5行による最長9年のファイナンスの実施です。又、日本銀行の気候変動対応を支援するための、資金供給オペレーションを利用した調達や、中長期固定ローンの調達により、スワップ固定化の水準よりも低い金利コストでの資金調達を可能としました。3つ目は、J-REITとして初の取り組みとなる、海洋保護や持続可能な水産業に資する事業として、「星のや竹富島」海水淡水化装置の資金を、ブルーローンにより調達しております。4つ目は、環境改善効果および社会的便益を有するサステナビリティファイナンスの調達により、2024年1月にARES ESG AWARD 2023「ベストレコメンド社会部門」を受賞致しました。このようにファイナンスの都度、サステナブルファイナンスに資するファイナンスや、金利コストを少しでも削減できるファイナンスを検討し、実行する戦略を取っています。

次に26頁をご覧ください。バンクフォーメーションにおきましては、引き続きメガバンクおよびDBJにて全体の8割超のシェアを保持しております。OMO7大阪取得のファイナンスにおいても、各行の資金提供の意欲は旺盛でした。又、与信期間を9年に延ばしており、各行のリスク共有度は強まっていることも確認できました。格付におきましては、ホテルリート初のAA計画を目指して、引き続き安定したバンクフォーメーションを維持し、機動性のある資金調達や金利コストの削減、効果的なサステナブルファイナンスの調達を積極的に取り組んでまいります。2024年10月期のLTVは、38.8%となる見込みです。引き続きJ-REIT においては、5、6番目に低い水準となっています。

<チーフ・サステナブル・オフィサー 菊池 昌枝>
それでは27頁をご覧ください。OMO7大阪の環境性能は、建築的に自然エネルギーをコントロールする、パッシブデザインを重要視して設計され、科学的であるばかりでなく、デザインがユニークなのも特徴です。先ず1つ目に、この施設の特徴4つをご説明致します。1つ目は、建築とランドスケープの両方に、省エネのみならず敷地全体のヒートアイランド現象を軽減する機能が備わっていることです。2つ目に、建築は断熱に効くLow-E複層ガラスと高効率のエアコン、LED照明制御など、省エネの基本設備は利用した上で、左の図に示してありますように、簾や大庇のような日本が培ってきたパッシブ性能を持つ伝統技術を、現在のテクノロジーでアップデートしたものを採用しております。パッシブな伝統技術とは、簾や大庇の日射遮蔽と太陽熱遮断、茅葺きの空気層による断熱、打ち水の冷却などで、資料の図にありますような建築デザインに致しました。

その結果、竣工時に省エネの設備の認証であるBELS5つ星とZEB Orientedの高い評価を受けています。3つ目に、特出すべきは、先に挙げた日射遮蔽効果がある簾からアイディアを得て、建築全体を風呂敷のようにフッ素樹脂の外皮膜が覆うことで、日射を遮蔽するという新しい考え方とデザインです。この日射遮蔽効果は窓から入る日射量を30~40%削減する計画です。しかも酸化チタンコーティングで光触媒反応を促進する、セルフクリーニング効果があり、窓ガラスそのものの清掃回数を削減できるメリットがあります。加えて、緊急時には避難経路のバルコニーにもなっています。最後に、大阪府緑の風促進区域である「みやぐりん」には、緑化広場の樹木と芝生、東屋の緑の蒸散乗算による気化熱と冠水による気化熱、この2つの気化熱が打ち水のように周辺の温度低下を実現した結果は、資料の左下の通りです。このように建築と広場のユニークな活用法により、大阪府大阪市から令和4年度大阪環境に優しい建築証を頂きました。

<運用投資本部長 高橋 悦郎>
次に今後の運用戦略についてご説明致します。29頁をご覧ください。こちらは本投資法人の目指す姿です。この頁に記載しておりますのは従前と変更ございません。右の5項目、これを目指してまいります。
次に32頁の左の図をご覧ください。ホテル事業は、所有、運営、開発の3つの重要な機能によって成り立っています。私達の場合は、本投資法人が所有、星野リゾートが運営、そして、星野リゾートと日本政策投資銀行との共同ファンドが開発を担うことで、互いの競争優位性を高める特徴あるストラクチャーを構築できています。昨年9月にはこの共同ファンドで、3号ファンドが立ち上がり、第1号案件として、リゾナーレ下関の開発案件が組み入れられております。ソーシング活動は順調であり、今後も継続的に開発を行っていく予定ですので、中長期に亘って外部成長のメインのパイプラインとして期待できると考えております。

33頁をご覧ください。いつもの通りパイプラインの一覧をお示ししています。周期的に取得可能性のあるものを簡易的に試算しますと、合計で約1,300億円のパイプラインがあります。これらを適時に取得して参りたいと考えています。
34頁をご覧ください。星野リゾートの今後の開業予定を紹介しています。引き続き運営施設数は拡大していく見込みです。数字でお示ししますと、コロナ前の2019年12月時点では施設数が39、客室数が3,074室であったのに対し、今年4月時点においては施設数が70、客室数が7,321室と大きく成長しています。コロナ禍での危機対応力が高く評価された結果、多くの案件を獲得しておりますし、ソーシング活動も順調です。足元ではOMO7高知、1955東京ベイ、函館や横浜でのOMOなど、都市部でのホテルが増加しております。又、昨今特徴的なのは旅館開発だけでなく、温泉街全体の再生を担った界長門の事例のように、行政から出店と合わせて地域の活性化まで依頼されるケースが増えてきていることです。地域一体となって取り組むことで、出店する地域のステークホルダーに貢献するとともに、競争力の高い施設開発に取り組んでまいります。

<チーフ・サステナブル・オフィサー 菊池 昌枝>
それでは今期のESGの取り組みの結果をご説明致します。
36頁をご覧下さい。不動産価値を高めるために、不動産、地域社会、従業員に対するエコシステムとその環境経営に関する考え方は、気候変動の移行リスクに十分注意しながら、今後も継続してまいります。
37頁には、具体的な環境経営に関して、代表的な施設を3箇所挙げております。星のや軽井沢は、水力発電と風の流れを利用した、星野リゾート初のパッシブデザインです。更に食品残渣の堆肥化、ピッキオによる生態系の保全など、独自のエコシステムを推進中です。星のや竹富島は離島であり、飲料水の受給を可能にする海水を淡水化する装置を設置致しました。災害などの緊急時の島民の飲料水として利用し地域貢献をするほか、二酸化炭素排出削減も可能にしています。西表島ホテルは、2021年世界自然遺産に認められた西表島の保護のため、エコツーリズムリゾートを展開中です。海岸のプラスチック除去、希少動物のロードキルを防ぐため草刈りをするなど、宿泊者への魅力サービスとしてのイベントを開催するなど、理解浸透を図っています。同時に施設内からはペットボトルを廃止、洗剤レスのスマートランドリーなどの設置、アメニティ削減などを行って、今後更にエコリゾートとして発展していくと考えられます。

次に38頁をご覧下さい。環境パフォーマンスの結果はご覧の通りでございます。グリーンリース契約はOMO7大阪が増えました。BELSについては、青森の物件が更新および追加されています。
最後に、39頁、社会課題の解決に関して簡単に説明致します。今回新しいことと致しましては、運用会社のホームページをリニューアルし、会社の価値創造の歩み、ボードメンバーと社員のインタビュー、働く環境、採用ページを新たに設け、採用におけるマッチングと人材獲得のパイプラインを強化致しました。従業員に関する取り組みおよび地域社会、経済 貢献に関しても、ご覧の通り積極的に関係人口の増加と魅力の発信を続けております。
<代表取締役社長 秋本 憲二>
以上でございます。ご清聴頂き有難うございました。今後も長期的に本投資法人をサポート頂けると幸いでございます。