ジャパンエクセレント投資法人 2024年6月期決算概要

ジャパンエクセレント投資法人
2024年6月期(第36期)決算動画説明書
○動画  https://c-hotline.net/Viewer/Default/46191a36c7b61e8a830ce62a1224ef2c50ac
○説明資料
https://www.excellent-reit.co.jp/file/ir_library_term-1f53a8e2680f98fc8ca37dee34d402e23c22577d.pdf
○説明者 ジャパンエクセレント投資法人 執行役員 兼
     ジャパンエクセレントアセットマネジメント株式会社 
代表取締役 香山 秀一郎
○説明 
36期(2024年6月期)の決算、業績予想についてご説明をさせて頂きます。今期は、これまでに取り組んできました様々なコーポレートアクションの成果が、稼働率、収益の回復 改善の動きとなって現れてきた期であり、又、足元の運営方針に沿った各種の取得を、具体的に推し進めた期という位置付けです。

それでは、資料の5頁をお開きください。先ず初めに、今回の決算、業績予想のポイントとして2つ申し上げます。1つ目は、稼働率についてです。36期末の稼働率は、計画97.9%を上回る98.4%まで引き上げることができました。前回、前々回の説明の際には、今後予定されている1,725坪の退去の影響により、先行きについては、場合によっては95%台まで低下する可能性ありとの見込みをお示ししてまいりました。その後、リーシングを着実に進め、既に空室予定の半分の埋め戻しを決めましたことから、稼働率は大きく落ち込むことはなく、97%以上の高い水準を維持することになりました。2つ目は、収支状況と分配方針です。収支につきましては、稼働率が想定以上に改善したことから、実績、業績予想ともに、前回予想比で増額改定となっております。

これまでの稼働率回復を図る局面においては、厳しいリーシング環境の中で稼働率が予想比で下振れしますと、収益へのマイナスの影響が大きいことから、業績予想については、かなり保守的、慎重な組み立てを行い、投資家の皆様には、あえて自粛シナリオをベースとする説明を行ってまいりました。半年後の見直しの際に、下方修正となるようなことがなく、改善努力が着実に現れ、常に上方修正となるよう努めてまいりましたが、今回の36期、37期についても、正に、その通りになっております。

赤い枠の36期実績でございますが、賃貸事業にかかる収入増、コスト減等により、同期純利益は4,200百万円まで改善しました。37期については、4月の大崎の物件取得効果や退去予定の後ずれによる賃貸事業収入の増加等により、当期純利益が4,066百万円まで改善する見通しです。又、38期は、退去の影響から賃貸事業収入が減少するものの、既に売却益を767百万円、前期比+260百万円確保していることから、当期純利益は4,184百万円となる見通しです。

分配方針でございますが、先ず基本的な考え方として、36期以降は、それまで設定していた2,800円の下限目標を撤廃し、各期の収支状況をベースに分配金水準を決めることとしておりますので、収益の改善効果ならびに自己投資口の償却効果については、投資主の皆様に還元することとし、分配金水準を上方修正することと致しました。具体的には、36期は、当初予想2,600円から既に2,760円へ上方修正しておりますが、更に102円増額し、2,862円と致します。37期については、やや保守的に見込んでいた2,600円を、170円増額し、2,770円に引き上げます。又、38期については、収支予想を踏まえて2,850円と致します。尚、内部留保残高は、36期末の1,724百万円、分配金換算1,077円から、37期、38期と、いずれも積み増しとなり、38期末には2,248百万円、分配金換算で1,701円、着実に財務基盤が強化される見通しです。
以上、簡単ではございますが、今回の決算発表、業績予想のポイントにつき、初めに説明をさせて頂きました。

続きまして、足元の取り組み課題と推進中の施策について説明致します。6頁をご覧ください。取り組み課題としましては、枠内にあります3点を主軸に据えております。先ず1つ目が、売却益を含まない実力収益の引き上げ、コスト削減でございます。リーシング方針を賃料増額の方向に切り替えて、積極的果敢にチャレンジしていくことと致しました。前回2月の説明の際には、リーシング方針につき、賃料増加の方向へ軸足をシフトすると申し上げましたが、今回は完全に賃料増加の方向へ切り替えるというところがミソでございまして、ここが今後の運営の最重点課題になるものと認識しております。

2つ目は、ポートフォリオの質・収益の改善です。足元のLTV水準や物件の収益性等を意識した上で、入替を基本線として検討していく方向です。3つ目は、資本・資金効率の改善です。金融環境、投資口価格の動向等を踏まえつつ、投資主還元をより強く意識した運営を継続してまいります。これらの方針に基づき、具体的に進めております施策について簡単にお話を致します。先ず内部成長路線へのチャレンジとなります実力収益の引き上げ、コスト削減についてですが、核となる賃料収入の増加については、賃料ギャップマイナス先に対するアタックリストを作成し、PMと連携して幅広く、強力、且つ、柔軟に賃料の引き上げ交渉を進めております。

又、埋め戻しの際の賃料水準の引き上げや、フリーレントの短縮などについても、やや強めの交渉スタンスで臨んでおります。加えて、リーシング環境の変化に応じたバリューアップ戦略として、賃料の増額交渉に資する投資工事、例えば共用部の改修やセットアッパーを戦略的に活用する方向で取り組んでまいります。一方、金利上昇による調達関連コストの上昇懸念に対しましては、先行きのイールドカーブの形状変化を睨みつつ、固定比率の調整や借入年限の多様化等により、金融コストの増加を抑える工夫を行います。

下の棒グラフをご覧ください。棒の上の部分が各期の分配金の水準、濃い青の部分が売却益等を含まない実力分配金の水準です。その推移をご覧頂きますと、34期にかけて稼働率の低下により、大きく落ち込んでいたところから、足元2,600円台まで回復させてきたところです。今後は、只今申し上げました各種の収益増強策を力強く進めていくことで、この実力水準の引き上げを図ってまいります。先ずは、先般下限目標としておりました2,800円の水準を極力早いタイミングでクリアしてまいりたいと考えております。

次に7頁をご覧ください。ポートフォリオの質・収益性の改善についてです。左側の図は、前回もご覧頂きました直近約3年にわたる入替オペレーションの効果を実施したものです。縦軸が収益性、横軸が物件の質になっておりますが、この期間は、売却した物件が赤い丸、それから入れ替えた物件が青い丸、この位置関係を比べて頂きますと、全て右側へシフトしている、即ち、ポートフォリオの質をどんどん高めるように努めてきたということが、分かり頂けるかと思います。下に1例を示しておりますが、平均築年数は5年経過しているにも拘わらず現時点の方が短くできている。又、駅距離3分以内についても、73%まで高めてまいりました。ポートフォリオに関する今後の取り組みにつきましては、右上をご覧ください。

築年、立地適正等に関する質の改善につきましては、これまで通り取り組みつつ、今後は収益性の改善に、より重きを置いた入替策に注力して参りたいと考えております。低採算物件の売却による利回りの改善や、含み益を活用した収益増強等について検討してまいります。又、テナント集中や将来的なエリア適性への懸念というような、潜在的なリスクを排除することについても真剣に検討したいと考えております。3つ目の資本・資金効率の改善につきましては、現下の環境下、アセットマネジメント会社としての重要な責務であるとともに、腕の見せ所であるという認識をしております。既に、ご案内の通り、2回目の自己投資口の取得・償却と、借入金の一部返済を行ったところです。

今後も引き続き投資主価値の向上を強く意識して運用してまいりますが、右下の枠内に示しました通り、物件売却資金の活用方法としては、物件取得、バイバック、借入金返済のいずれを選択するか、又は、どう組み合わせるのかということにつき、様々な要素を総合的に勘案して判断してまいりたいと考えております。

それでは決算、業績予想について説明致します。9頁で36期の決算概要について簡単に補足を致します。真ん中のオレンジの列が決算の実績となります。まじ、前期比について、右上の青い枠と合わせてご覧頂ければと思います。賃貸事業収入が、前期のグランフロント、当期の大崎といった取得物件による嵩上げと、既存物件の稼働率引き上げ等により大きく増加しており、諸々の賃貸事業費用をカバーしたことから、当期純利益は、150百万円増益の4,200百万円となりました。

又、前回予想との比較につきましては、右下の赤枠をご覧下さい。賃貸事業収入が稼働率の引き上げ努力により、+45百万円の上乗せとなり、加えて、営業費用では保守的に織り込んでいた賃貸事業費用が減少したこと等により、当期純利益は98百万円改善しての着地ということになっております。分配金につきましては、先ほどご説明しました通り、収益改善と自己投資口償却効果を勘案し2,862円とし、前期比で+62円、前回予想の上方改定時の2,760円に対しては、更に102円となります。

続きまして11頁へ飛んで頂きまして、ハイライトで当期の主要な動きや、24年6月末の数字についてご確認頂ければとおもいます。外部成長については、大崎の物件の取得131億円と売却した京橋ビルの2回目の決済を実行しまして、資産規模は2,943億円、外数として匿名組合出資持分52億円と合わせますと、2,995億円、ほぼ3,000億円の規模になりました。又、含み益につきましては718億円、含み益率は26%となっております。内部成長ですが、退去率は4期連続の低下となり、退去の動きはほぼ沈静化してきたと言えると思います。

又、賃料更改については、増額改定で前向きな取り組みを進め、前期比では倍増となる2,322坪と計画を大いに上回る一方、減額改定については概ね見立て通りの782坪となり、前期比では減少しており、リーシング環境の変化を数字でも確認できるようになってきております。財務戦略としましては、自己投資口の取得・償却につき、後ほど改めて触れさせて頂きます。資金調達については、3月に日銀の金融政策の変更がございましたが、この時点では、これまでの金利見通しを大きく変えることはせず、長期金利の見通しの部分のみ若干の修正を行いました。金融緩和の大枠が変わる段階ではなく、順イールド、且つ、ある程度スティープな形状が大きく変化することはなかろう、しかしながら、長期金利については、この先あまり低下を期待できず、中長期的には上昇していくかもしれないと、こういう見方に致しました。

この金利感を受けての資金調達の方針としましては、現状の固定比率の水準を概ね変えることなく、短期金利をベースとする長期変動借入を活用して、コスト削減に役立てること、一方で、期間10年の長期固定の安定資金を現行金利水準で、ある程度押さえるということに致しました。こういったオペレーションを受けて、平均残存期間は4年とこれまでとほぼ変わらず、又、平均金利は、長期金利が上昇した局面でございましたが、+0.04%とほんの僅かな上昇にとどめることができております。固定金利率は67.8%へ一時的に低下しておりますが、7月の借入金の返済、投資法人債の発行により、72.3%へ戻しておりまして、足元では概ねその水準でコントロールをしております。

Loan to Valueは、6月末45.6%ですが、売却した本郷ビルの決済を勘案しますと44.7%へ低下することになり、今後の物件取得余力は131億円となります。内部留保は、先ほど申し上げました通り、1,424百万円、分配金換算では1,077円となっています。ESGにつきましては、GRESBは最上位であるGreen Starを9年連続で、5-Starsを4年連続で維持しているということでございます。又、グリーンビル認証比率は84%、サステナブルファイナンス比率は23%と、いずれもオフィス系のリートではトップクラスの水準であろうと思っております。

それでは37期、38期の業績予想の説明に移らせて頂きます。
先ず13頁で業績予想の前提についてお話を致します。先ず、当面1年を展望してのオフィスのリーシングマーケットの見通しですが、需要は堅調である一方、供給は、足元は過去の平均以下、25年も懸念はされておりましたが、大きな山とはならない見通しとなってきておりますので、オフィスマーケットは全体として改善基調になるものと思います。今回の業績予想の前提としては、空室率は横這い圏内、賃料は概ね上昇基調の動き、但し個別の物件力により、差が生じる展開だろうと致しました。

個人的には、空室率のついては、足元低下傾向がもう少し続くのではないかと思いますが、大型のビルが空室を残した状態で竣工しますと、一時的に空室率が上振れすることから、統計数字としては一本調子の改善とはならず、多少レンジの広い横這い圏になるのではないかと思っております。又、賃料につきましては、アセットオーナー側が本格的に賃料増額の方向に動き始めているということや、いよいよ金利引き上げの動きが具体化し、よりインフレが意識され始めたということもあり、賃料の上昇圧力というのは、今後確実に高まっていくと考えています。ただ、賃料引き上げの幅やスピード感つきましては、個別の物件力に加えまして、今後の景況観とか、物価、賃上げの状況にもよると思いますので、まだ見通しは立てづらいとは思っております。

次に業績予想の組み立てについてです。内部成長についてですが、今までは、入退去の時期、条件や賃料更改についてかなり慎重な見方をベースに、自粛的シナリオ的な業績予想を策定してまいりました。ここへ来て、稼働率が相応の水準に回復し、収益の下振れリスクが小さくなったということ、マーケットリーシングの地合いも良い方向に原価をしてきたということを受けて、今回からは賃収の増額に意欲的にチャレンジしていくということを、前面に出すというスタンスへ変更することと致しました。稼働率の想定は、頁の一番下の表にあります通り、37期が98.2%、38期が98.1%と、高い水準を維持する見通しとしております。又、PMと連携して、賃料の引き上げの動きを積極的に進めていますが、増額面積、収益増加につきましては、これまでは、予想の策定時までに妥結している分のみを、計画として織り込んでおりました。

今回からは、果敢にチャレンジする予定のアタック先で、即ち、これから交渉する増額改定見込み、まだ未内定という部分ですが、この部分についても目標として業績予想に反映させることに致しました。この部分については後ほど内部成長の賃料更改のところです説明することと致します。外部成長については、既に公表済みの資産売却を織り込み済みであります。又、財務戦略に関わる金利見通しですが、賃上げ、物価、為替等の動きを注視している日銀の、次の政策変更の時期を睨みつつ、長期金利は緩やかに上昇していくと思っておりまして、1年後、大体10年国債で1%半ばぐらいの水準を想定しております。分配方針については、昨年の夏発表しました通り、基本的には各期の収支予想に応じた分配金の支払というスタンスで取り組んでおります。

具体的な業績予想の収支内容が14頁になります。37期、38期ともに、比較は前期比となっておりまして、右側にそれぞれの変動要因を示しております。先ず、37期でございますが、右上の青い枠と合わせてご覧ください。賃貸事業収入は、物件譲渡や退去の影響による賃収減を、前期に取得した大崎の物件のフル寄与でカバーしているものの、売却益の222百万の減少、ならびに、営業外費用での資金調達コストの増加等から、当期純利益は、前期比134百万円の減益となる4,066百万円となる見込みです。但し、今年の2月の業績予想でお示ししました当期純利益の予想3,823百万円に対しては、退去予定先の半分強が後ろへずれたという影響がありまして、243百万円改善しての着地ということに なります。

これを受けての分配金につきましては、前回業績予想時の2,600円に対し170円上乗せをしまして、2,770円とさせて頂き、圧縮積立金を405百万円積みますことと致しております。38期につきましては、今度は右下の赤い枠等を合わせてご覧ください。賃貸事業収入が物件譲渡と退去先影響等から-13百万円、調達コストの増加想定等により営業外費用が-52百万円となりますものの、不動産売却益+260百万円で打ち返しまして、当期純利益は前期比118百万円の増益、4,184百万円となる見込みでございます。これを受けて、分配金に関しましては2,850円とさせて頂き、圧縮積立金を418百万円積み増すこととしまして、結果、38期末の内部留保残高は2,248百万円、分配金換算で1,701円となる見込みでございます。以上が決算、業績予想についての説明となります。

続きまして運用状況について少しお話をさせて頂きます。17頁をご覧ください。こちらは今年の2月決算発表にて公表致しました、投資主価値の向上策ということでございます。築古のビルを鑑定価格以上で売却して、売却益を獲得しつつ、その売却資金を自己投資口の取得、借入金の返済に活用して、資本・資金効率の改善を図るということになってございました。自己投資口の取得につきましては、今年の2月から5月にかけて実施し。6月期末前のタイミングで、全株を償却しております。左下にあります通り、金額は予定通り約20億円、発行済投資口数の1.19%相当を償却しまして、これにより、一口当たりのNAVを502円、EPUを38円引き上げる効果が生じております。

次に内部成長について説明します、18頁をご覧ください。先ず、入退去の状況から説明します。左上に期末の稼働率を示しております。冒頭で説明しました通り、36期末に98.4%まで上昇してきまして、先行きについても高い水準を維持する見通しになりました。この稼働率の前提となります入居・退去の面積が、その下に棒グラフとしてお示ししております。入居面積が青、退去面積が赤で示しております。先ず、36期、赤枠の中の実績でございますけれども、退去の面積は833坪、計画は黄色でございますけれども、若干減少した一方で、入居の方は埋め戻しを木目細かく積み上げまして1,318坪、黄緑の計画をやや上回る 着地ということになっております。

37期、38期の退去見込みについてですが、先ず、1,725坪の退去予定がどうなっているかということについて、右下の図で説明を先にさせて頂きます。退去の時期と面積が決まりまして、退去の時期は、37期815坪、38期910坪ということで決まりました。リーシングを前向きに進めまして、37期に445坪を、38期に444坪の計889坪、約半分につき既に埋め戻しを決めることができました。入居先の賃料の方が高い水準になったということや、退去予定先のビルの稼働率は、この、今決めた現時点の埋め戻しの状況でも、既に96%まで戻るということ、又、残る退去区画についても、今、複数の先との交渉を進めておりますので、退去予定先の影響ということについては、あまりご心配を頂かなくても大丈夫かなという感じでございます。

これを含めまして、37期、38期の退去見込みを見て頂きますと、37期は前回の見込み3,583坪から2,684坪に減少しています。又、38期は、後づれをした910坪を含めまして2,596坪としております。尚、この退去通知を受領しておりますのは、37期は2,684坪全てですが、38期は1,331坪ということで、見込みの約半分という状況でございます。一方、入居の見込みにつきましては、足元のリーシングマーケットを勘案しつつ、賃料水準をより重視した埋め戻しを進める方針とした上で、37期は2,427坪を、38期は1,461坪としてございます。

続きまして19頁をご覧ください。賃料改定についてです。左側の棒グラフで、緑が各期の改定対象面積、そのうちの増額改定が青、減額改定がオレンジということです。36期の実績でございますが、増額改定については、予想1,595坪においておりましたが、これを大きく上回り2,322坪となりました。これは、予想策定時点で、増額の合意先のみを計画の中に織り込んでいた、チャレンジの部分は含めていない保守的な計画だったということがあります。また減額の改定は、予想720坪に対して782坪となり、概ね計画通りの仕上がりとなりました。

マーケットの環境変化を受けて、足元では減額の要請は殆どなくなってきているという状況です。業績予想の前提のところでお話ししました通り、今後は賃料引き上げに最大限注力をしていくということで、37期以降の増額予想数字につきましては、これまで通りの増額改定合意先に加えて、今後取り組むアタック先、未合意分ですが、ここについても含めることに致しまして、達成に向けて努力するような数字の作り方に変更致しました。

一方、減額予想数字については、減額の要請自体が少なくなってきたことを踏まえまして、従前織り込んでおりました収益のマイナスバッファーを大幅に縮小し、概ね、予想策定時に合意しているのを数字にしてございます。具体的な数字ですけれども、37期、38期において、先ず増額改定においては、既に合意しているものを青い棒、未合意ながら今後増額交渉にアタックする部分を、青の点線で表示致しまして、この両者の合計を上側に表示してございます。左の下にご覧頂きます通り、増額改定の面積の割合は、合意先に限りますと37期が7.9%、38期が2.5%となりますけれども、アタック先を含めますと37期が21.3%、38期は28.4%になります。PMと連携して、この目標達成に向けて努力してまいりたいと考えております。

一方減額は、ほぼ合意先のみとしまして、37期、38期ともに0.5%程度の数字としております。このように、賃料改定にある業績予想は、これまでよりかなりチャレンジの色の濃い組み立てとなっております。取り進めのスタンスを保守的からチャレンジの方向に変えたと思って頂けたと思いますが、まだこの段階においては、幅広く増額の要請を行うことにはしておりますが、増額の金額の幅につきましては、あまり行き過ぎた金額設定にはならないように配慮しているつもりです。右側の更改による月額賃料の上限のグラフをご覧頂きますと、36期の実績で、概ねプラスマイナスゼロの水準まで回復しておりますが、今後はプラスの領域に入っていくものと想定しておりますが、その増加幅は現時点では非常にマイルドに設定しているというような計画の作り方にしてございます。

次の20頁でございますが、賃料ギャップの状況でございます。CBREの査定によりますと、今回はマーケット賃料の上昇を受けまして、賃料ギャップ幅が、やや縮小して+3%となっております。
続きまして外部成長に関してですが、ちょっと頁を飛ばして頂いて、23頁でございます。売却の代わり物件として取得を予定しておりました大崎ブライトタワー、ブライトプラザでございますが、4月に予定通り131億円で取得をしております。詳細につきましては、前回既にご説明させて頂いておりますので、予定通りの取得ということの報告のみをさせて頂きます。

次に24頁、こちらの資料の下の部分でBIZCOREシリーズの開発状況をアップデートしております。左の赤い枠で囲ってある4物件は、既に当投資法人の所有になっております。その右側がまだスポンサーにあるものということですが、左から物件が竣工済み、更にその右側の2物件が開発中という状況でございます。建設計画が先延ばしになる案件が増えております中、BIZCOREについては順調にパイプラインが仕上がってきておりますので、当投資法人による継続的な取得が期待できるものと考えております。

頁を少し飛んで頂いて、次は28頁財務戦略です。3月に日銀の金融スタンスが変更されることになりましたが、ハイライトのところで申し上げました通り、この段階では、まだ金利見通しについては若干の修正ということで対応致しました。具体的なオペレーションについては、大崎の取得に際し、低利の短期借り入れを導入し、先行きの物件売却に自動的に資金繰りの調整ができるように致しました。また難しい起債環境ながら、投資法人債を積極的に活用し、7月の起債も含めますと、期間10年を1%台で72億円、期間5年を0.7%台で20億円調達しております。7月の日銀による更なる政策金利の引き上げがあり、日本でも金利のある世界が現実となったわけですが、先行きの米国景気の減速、金利引き下げのスピード感については、見方が分かれている状況でございます。

又、それによる不安定な為替、株価動向も相まって、足元では日銀の政策スタンス、引いては日本の金利動向の不透明感があるという状況だと思います。今後は金利の上昇も視野に入れつつ、色んな諸要件を注意深く睨みながら、緊張感を持って運用していく局面になるのかなと思っております。今後の日銀の政策変更のタイミング、それを受けてのイールドカーブの形状変化を予見して、固定比率の調整、借入期間の構成変化。こういったことで調達コストの上昇をできる限り抑制、コントロールしながら、安定的な財務運営を目指していく所存でございます。36期末の有利子負債の状況につきましては、右下の赤い枠のところでございますが、残存時間は4年で、又、長期金利が徐々に上昇する環境下でしたが、オールインコストは0.98%、いずれも前期比で大きな変化はなくコントロールができているという状況です。

その上にございますLTVですが、総資産ベースでは足元 45.6%でございます。物件売却資金による借入金の返済により、今後44%台へ低下をする予定です。今後のLTVコントロールにつきましては、金利動向に影響を与える要件を幅広く注視しながら、方針を柔軟に見直していく必要があると考えております。

それでは最後に、ESGへの取り組みについてですが、31頁、32頁にわたり、取り組みおよびトピックスとして、環境、社会、サステナブルファイナンスに関する内容を掲載してございます。
次の33頁、現状のESGに関わるステータスをお伝えしておりますけれども、ESGにつきましては、経営の最重点課題として位置付けておりまして、関連する皆様のご支援、ご協力を頂きながら、今後も着実に対応してまいる所存でございます。

駆け足になりましたが、以上で私からの説明を終わらせて頂きますが、本投資法人は、新たな方針の下、今後、実力収益を増加させ、分配金を着実、安定的に伸ばしていく成長シナリオをお示しできますように、より高い収益性、より高いポートフォリオの質、より高い資本・資金効率を目指してまいります。全社一丸となって取り組んでまいる所存でございますので。今後も引き続きご支援を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。