ジャパン・ホテル・リート投資法人 2024年6月期決算概要

ジャパン・ホテル・リート投資法人
2024年6月期(第26期)決算動画説明書
○動画  https://net-presentations.com/8985/20240822/wbdhou8dd/
○説明資料
https://www.jhrth.co.jp/file/term-9c8d1743427a1444d216b816211e406cce792530.pdf
○説明者 ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ株式会社
      取締役財務企画本部長 花村 誠
○説明
ジャパン・ホテル・リート投資法人の2024年12月期中間決算および通期の見通しについて説明致します。
資料の1頁目の目次をご覧下さい。左側の枠内、SectionⅠからⅥを順に説明致します。
それでは3頁の中間決算ハイライトをご覧下さい。先ず、外部成長についてですが、本年6月にグローバル・オファリングを実施し、7月に新宿および沖縄の4物件を取得しました。4物件の鑑定評価額合計690億円に対し、取得価格合計は561億円と、鑑定価格を2割ほど下回る、割安での取得となりました。この取得により、本投資法人の保有する物件は51物件、資産規模は、取得価額で4,531億円、鑑定評価額ベースで6,238億円となりました。

中央上段のホテルの運営状況をご覧ください。変動賃料等導入の28ホテルの2024年のRevPARは、前年比+15.0%と予想しています。売上は、宿泊部門で+15.3%、料飲部門で+16.7%、売上合計は14.3%増を見込み、適切なコストマネジメントの結果、GOP は+20.9%と大きく増加する予想です。今後も、外部成長と内部成長の両輪により、成長サイクルを加速させていきたいと考えています。財務については、健全性を意識した財務戦略 という基本方針に変更はありません。借入期間は、最長で7年のローンを調達しました。又、固定金利比率を引き上げ、73.7%としています。右上段に、DPUの推移を示しています。2024年12月期のDPUの前回予想は6月の公募増資時に公表した3,764円でしたが、今回予想は、上期の上振れ実績分を取り込み、前回予想比51円増の3815円に上方修正しています。

前年対比では800円増の26.5%増となります。右下の一口当たりNet Asset Valueは、前年比+7,517円、+9.6%の86,178円と大きく増加しています。7月に割安な価格で物件を取得したことに加え、既存物件の鑑定評価額が上昇したことが 要因です。

それでは決算の説明に移ります。5頁をご覧下さい。本年度の予想についてご説明します。この中間決算発表に合わせて、本年6月の公募増資時に公表した収益予想を、上方修正しました。左から2列目が今回の修正予想です。前年との差異の内訳を、既存物件、2023年取得物件、2024年取得物件の3つに分けて示しています。比較は、前年との差異になります。不動産運用収益は、前年比6,335百万円増、+23.8%となる32,910百万円を見込んでいます。そのうち既存物件で3,802百万円の増加です。

又、不動産運用収益6,335百万円増のうち、その他収入12百万円を除く6,323百万円の差異要因を、右上に記載しています収益予想の表に戻り、下から2番目の投資口数ですが、公募増資により5,097,006口と、前年比9.9%増となっています。この期中増資による希薄化に関しては、負ののれん1,240百万円を活用し、結果、一口当たり分配金は、前年比800円増の3,815円を予想しています。

6頁にお進みください。2024年12月期中間期の実績です。こちらは、今期の中間期と前年を比較した表です。表の作りは5頁の通期収益予想と同一です。際の物件の既存物件の欄をご覧下さい。固定賃料に関しましては、ホテル以外のテナントによる-1百万円があるものの、ホテルからの固定賃料は前年と同額です。変動賃料については、前年同期比2,264百万円と大幅な増収となっています。本年度中間期の純利益は、7,433百万円と、コロナ禍の影響がやや残っていた前年同期と比較して+51.8%で着地しています。

次に外部成長についてです。8頁にお進みください。8頁の上段は、資産規模の推移です。昨年2023年は、コロナの間慎重な姿勢をとっていた物件取得を再開し、6物件を総額333億円で取得しました。2024年は4 物件を、総額561億円で取得しています。今後もマーケット環境に留意しつつ、ポートフォリオの質の向上に資する物件の取得を行い、アクティブ・アセットマネジメントを通じた成長を目指していきたいと考えています。

9頁をご覧下さい。本年7月に取得した4ホテルの概要です。いずれもレジャー 需要、インバウンド需要が旺盛な、新宿エリア、沖縄エリアに所在する差別化された、成長余地の大きなホテルです。MIMARU新宿東京WESTは、2020年3月に開業した築浅のリミテッドサービスホテルです。平均客室面積が広く、ファミリーやグループでの長期滞在が可能なパートメントタイプ型のホテルのため、大人数でのロングステイのインバウンド需要の取り込みに優れています。周辺エリアにおいては広めの客室を有するリミテッドサービス型のホテルは少なく、その点で大きく差別化されています。ホテル アマネク新宿歌舞伎町は、2023年4月に開業した築浅のリミテッドサービスホテルです。定員数2名以上の宿泊が可能であり、インバウンド需要を中心に、幅広い宿泊需要に対応しています。

沖縄ハーバービューホテルは、那覇市中心部に所在する、沖縄随一の伝統と格式を誇るフルサービスホテルです。客室は、いずれも25㎡以上で、多様なタイプがあり、幅広い客層の取り込みが可能です。サザンビーチ&リゾート沖縄は、那覇空港から至近の、南国の大型リゾートホテルです。全室30m2以上のバルコニー付きの客室があり、最上客層は専用のラウンジを備えたフロアとなっています。ホテルには、ウォータースライダー付きガーデンプールと屋内ホテルがあるほか、目の前にあるビーチは、直接アクセスが可能です。

そのではこの4ホテルのストック効果とアクティブ・アセットマネジメント戦略についてご説明します。10頁にお進みください。頁の左側の表は、4物件の今期の年換算の予想NOIおよび取得後に実施するアクティブ・アセットマネジメントの効果を勘案した場合に、想定されるNOIを示しています。4物件合計の、今期の年換算の予想NOI利回りは4.5%ですが、アクティブ・アセットマネジメントの実施により、6.3%に向上することを見込んでおり、将来的なアップサイドを追求します。頁右が、各ホテルにおけるアクティブ・アセットメント戦略です。

先ず、沖縄ハーバービューホテルですが、35億円ほどのCAPEXを投じ、2025年中を目途として、プール、客室、レストラン等の大規模改装を実施し、大幅な売上増加を図ります。又、改装によるアップサイドを最大限に引き出すべくHMJと連携し、GOPの向上を図ります。2025年12月の定期賃貸借契約満了時には、契約関係によるアップサイドの取り組みをしています。サザンビーチ&リゾート沖縄においては、レベニューマネジメントの一層の精緻化等により、ホテル収益の増加を図ります。又、2025年12月の定期賃貸借契約満了時には、契約改定によるアップサイドの取り組みを企図しています。MIMARU東京新宿WESTとホテル アマネク新宿歌舞伎町については、好調なホテルマーケットの中でも、特に強い新宿エリアにおいて、レベニューマネジメントの一層の精緻化等により、更なるホテル収益の増加を図ります。

次に収益予想の背景となる、ホテルの運営状況の説明に移ります。12頁をご覧ください。こちらは、上段が変動賃料等導入28ホテル、下段がHMJ19ホテルの宿泊部門の主要指標です。上期については2023年と2024年の実績、下期および通期については2023年の実績と2024年の今回予想を並べています。変動賃料等導入28ホテルの上期のRevPARは、18.6%増となりました。ADRが+11.0%と、強い伸びを実現できたことに加え、稼働率が81.1%と上昇した結果です。下期は、足元の状況から、6月に公表した前回予想が妥当であるとの判断のもと、予想を据え置いています。通期では、高価格販売戦略により、ADRは8.8%増を見込み、稼働率の上昇と合わせ、RevPARは前年比15.0%増となる予想です。

次にホテルの売上とGOPの見通しについて説明致します。13頁をご覧ください。左が売上、右がGOPです。売上については、宿泊部門、料飲部門、その他に分けて表しています。上野28ホテルの増減率をご覧下さい。今回予想において、売上の合計は、通期で前年比14.3%の予想です。宿泊部門の売り上げは、前年比15.3%と、コロナ禍前と同水準であった昨年を大きく上回る予想です。料飲部門の売上も、前年比16.7%と、表には記載がありませんが、2019年を上回る予想となっています。次にGOPですが、宿泊部門、料飲部門とも売上の上昇を見込むことに加え、適切なコストマネジメントの効果もあり、前年比+10.9%と予想しています。

売上対比のGOP比率について、GOPの棒グラフの中に、オレンジ色のボックスで示しています。こちらにあるように、2024年は36.6%と、前年の34.6%から10ポイント上昇し、過去最高となる見込みです。今後一定のコスト増は想定されますが、売上の更なる増加に伴いGOP、GOP比率とも一層の向上が図れるものと考えています。尚、ホテルマーケットにおいては、いまだ人員不足の問題が取り上げられていますが、人材確保についても、適切に対処ができています。人員不足が今後の成長に向けて、大きな障害になるとは考えておりません。

14頁にお進みください。こちらは、アクティブ・アセットマネジメントの全体像です。上段のホテルの関わる取り組みとして、1.売上の向上施策と、2. コストの見直しがあり、これらはホテルのGOP向上に繋がるものです。又、本投資法人においては、3.にあるように、リブランドや賃貸借契約の更改時に、賃料スキームや賃貸条件を変更することなどで、NOIの向上を図ります。これら、ホテルおよび本投資法人、双方の取り組みにより、DPUの最大化を追求します。今期取得した4物件については、私共のアクティブ・アセットマネジメント手法を存分に活用し、お示しした想定値を超える成果を目指してまいります。
15頁は、夫々リブランドの事例を示しています。従前ご説明した内容なので、詳細は割愛します。リブランド前と2024年予想を比較していますが、いずれの事例においても、足元、高い効果を上げることができています。

次の16頁にお進みください。こちらは、直近実施した客室改装およびレストラン改装を一覧にしたものです。オリエンタルホテル東京ベイ、神戸メリケンパークオリエンタルホテル、オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパ、および、ラ・ジエント・ステイ札幌大通の4ホテルの事例となります。客室、レストラン、いずれも一層の売上向上を図るための、戦略的CAPEX投資であり、頁下段にあるように、高い改装実績を上げています。ホテルマーケットは、新たな成長局面に入っているという認識ですが、これらはマーケットを大きく超える成長を達成するための、戦略的CAPEX投資となります。CAPEX投資の概要については、次の頁でご説明致します。

17頁にお進みください。2023年は、減価償却費5,083百万円に対し4,769百万円のCAPEX投資を実施しました。その内、先ほどの事例で紹介しました改装のために、CAPEXⅢとして1,295百万円を投じています。このようにCAPEX投資は、原則として減価償却の範囲内で管理していく方針ですが、現在は戦略的投資により、積極的にアップサイドを目指していくマーケット環境であると考えています。2024年は、頁下段にある3,165百万円のCAPEXⅢを含む総額7,311百万円となり、減価償却5,630百万円を超える見込みです。

18頁にお進みください。2024年の賃料改定について纏めています。2024年は、アコーグループホテル、ラ・ジエント・ステイ札幌大通、ホテルフランクスの計7ホテルで、実質賃料増額となる賃貸借契約の改定を行いました。アコーグループホテルに関しては、賃貸借契約の期限が2029年9月であったメルキュール札幌を含め、ホテル一括で協議を行い、全5ホテルにつき実質賃料増額の契約を結ぶことができました。又、ホテルフランクスにつきましては、固定賃料同額のまま、GOP連動の変動賃料スキームに契約改定致しました。

19頁にお進みください。本投資法人は、サステナビリティの向上を、重要な経営課題の一つとして捉え、積極的に取り組んでおり、今後も力を入れて行く方針です。頁上段に外部評価、下段に主な取り組みと環境目標を記載しています。ESGに関する取組みは、多岐に亘りますが、本決算資料では、抜粋して取り上げています。本投資法人のWEBサイトにあるESGへの取り組みの頁や、ESGレポートなどでは、より詳細な内容につき開示しておりますので、確認頂ければ幸いです。

次は財務の状況について説明致します。21頁にお進みください。左上の主な財務諸指標の表は、中間期末の数字を記載しています。中間期末後、7月の物件取得に対し、300億円を新規借入しています。そのため、左上の主な財務指標以外は、全て新規借入後の、2024年7月末時点の数字を記載していますので、7月末の数字で説明致します。頁右上をご覧下さい。総資産ベースの負債比率は42.3%です。尚、鑑定評価額に基づく時価ベースの負債比率は32.9%であり、J-REIT水準より低い数字となります。固定金利比率は、73.7%まで高めています。有利子負債の平均残存年数は3.5年で、返済期限は2031年まで分散しています。
22頁左をご覧下さい。7月の新規借入に際し、大和ネクスト銀行、沖縄銀行、琉球銀行を招聘し、レンダーフォーメーションの強化を図りました。

23頁上段は、鑑定評価額、含み益の推移です。2024年7月末時点の鑑定評価額の合計は、6,238億円、含み益は1,761億円です。負ののれんの活用方針は、変更ありません。今期は、希薄化対応1,240百万円を含む1,802百万円を取り崩し、2024年12月期末の見込み残高は6,952百万円となります。

マーケット環境についてご説明します。25頁にお進みください。上段のグラフは、延べ宿泊者数の推移です。2023年の延べ宿泊者数は、617百万人泊を記録しました。右端は、2024年上期の宿泊施設の宿泊者数を、前年同期と比較したものです。上期の延べ宿泊者数は、前年同期比+7.5%の305百万人泊となりました。下段は日本人の宿泊需要の月次推移です。青の折れ線グラフは、2019年同月との比較を%で表しています。ホテルの新規供給が限られ、インバウンドによる宿泊需要が増加している中、日本人の延べ宿泊者数は、昨年来、概ね2019年と同水準となっており、今後も日本人の宿泊需要は、底堅く推移するものと考えています。

26頁にお進みください。左上段は、2016年以降のインバウンド数の推移です。2023年は、年間で2019年の約8割まで回復しました。2024年上期は、2019年同期比+6.9%となり、2024年通期では、2019年を大きく超えるインバウンド数が見込まれます。左下がインバウンドの国別構成比、右が月別の推移となります。米国、豪州など旅行消費額が多く、長期滞在の傾向のある国々の増加が見られます。又、戻りの鈍かった中国も、2024年6月には、2029年同月比75%まで回復しています。2024年は、2019年を超える過去最高のインバウンド数だけではなく、旅行消費額の面でも大きな増加が期待されます。

27頁にお進みください。こちらは、ホテルの新規供給データです。右は半年前のデータを参考地として示しています。2024年の開業数は、半年前に見込んだ数より減少し、2025年以降への開業予定の先送りが見て取れます。ホテルマーケットは成長局面にあるため、今後の動向には注意が必要ですが、全国の新規供給割合は、2023年が+1.1%であり、2024年は+0.9%と、相対的に低い水準が継続することが見込まれています。

ホテルマーケットは新たな成長期を迎えています。金利や物価上昇等不透明な外部環境ではあるものの、ホテルはそれらに対して耐性の強いアセットクラスです。私共は、好調なホテルマーケットの追い風を的確に捉え、アクティブ・アセットマネジメントによる内部成長と、質の高い物件取得による外部成長により、成長サイクルを加速し、投資法人の成長を追求してまいります。
皆様には今後ともご視線、ご鞭撻のほど宜しく申し上げます。
ご清聴、有難うございました。