平和不動産リート投資法人 2024年5月期決算概要

平和不動産リート投資法人
2024年5月期(第45期)決算動画説明書
○動画 https://www.video-streaming.net/ir/8966/45_j/
○説明資料
https://www.heiwa-re.co.jp/file/ir_library_term-3baa5badb0e12260ebe0f8d56183d2edab70e0cd.pdf
○説明者 平和不動産アセットマネジメント株式会社 代表取締役 平野 正則
○説明 
平和不動産リート投資法人は、この6月には公募増資に取り組ませて頂きました。今回の公募増資におけるテーマは、将来の内部成長を生む成長資産の取得です。私達は、昨今の金利上昇、インフレ局面において、バリューアップ工事を通じた賃上げによる内部成長戦略をとっています。新規取得物件につきましても、賃料ギャップの高い物件を、鑑定評価額を大きく下回る価格で購入することにより、将来の内部成長に繋げていくものでございます。又、今回の決算発表におきましては、賃上げの状況が顕著となり、これが金融コストの上昇を上回ることにより、今後しっかりとEPUを成長させていくことが可能であることをご案内しております。物件の売却益や内部留保を活用しながら、年間ベースで11年連続の増配を続けてまいりましたが、今後もこれをアップサイドとして捉えつつ、ベースとなるEPUの成長に留意した運営を行ってまいります。

3頁をご覧下さい。本決算期および来期以降の分配金についてですが、2024年5月までの本決算期(第45期)は、前期より80円増額の3,380円とさせて頂きました。又、今走っております第46期の業績予想を、ここから60円増額の3,440円、第47期を更に10円増額の3,450円とさせて頂きました。

4頁をご覧下さい。今回、分配金水準の推移に加え、譲渡益、若しくは内部留保充当額、又、バリューアップ関連費用、およびこれらを差し引いたEPUに分解した資料をつけさせて頂きました。分配金水準の向上はもとより、本資料におけるバリューアップ投資前の本来EPUの水準を引き上げていくことに注力をしてまいります。尚、本決算期(第45期)におきましては、バリューアップ関連費用が予想より抑えられることとなりました。見積りの精査とレジデンスの解約が、想定以上に減少したことによるバリューアップ対象戸数の減少によるものです。一方で、想定以上に賃上げが進捗したため、本来EPUが2,640円から2,676円に向上し、分配金を上方修正したものでございます。既存オフィスが予想対比でマイナスとなっておりますが、営業収益については、賃上げの効果により対前期比でプラスとなっております。本決算期は、全体収益が好調に推移したため、オフィスの修繕項目を前倒して実施させて頂きました。今走っております第46期も賃上げの状況が顕著に推移しております。これにより、既存オフィス、既存レジデンスともに大きな収益の向上が見込まれ、これが金融費用の増加を上回る見通しです。内部成長効果によるEPUの向上により、分配金水準を更に向上させてまいります。

ここからは本年1月に公表しましたNEXT VISION Ⅱの進捗状況について説明致します。10頁をご覧下さい。先ず、分配金についてですが、内部成長によるEPUの成長をエンジンとして、年間3%成長を目指してまいります。資産規模につきましては、年間150億円から200億円の取得を目指していきます。公募増資を経たことにより、今後は低下したL TVを活用し、分配金の向上に資する物件取得を行ってまいります。尚、マーケット事業の変化や社会ニーズへの対応として、都市型商業施設、ヘルスケア施設に続き、運用ガイドラインの変更により、ホテルへの投資が可能な体制をとっております。私達の得意とする区分所有物件を含めた複合型施設の取得や、普通借地権を活用したホテル開発等も意識をしております。

スポンサーの平和不動産は、ホテル開発等のノウハウを重ねておりますので、今後、これを生かしてまいりたいと思います。尚、平和不動産リート投資法人の投資対象の中心は、オフィスとレジデンスであり、その他のアセットにつきましては、全体の10%以下の運用と現時点で位置付けております。NEXT VISION Ⅱにおける最大の重点項目は内部成長にありますが、既存のオフィス、レジデンスの新規、継続を合わせた賃料上昇は、ポートフォリオ全体に対し年率0.48%となりました。又、バリューアップ投資に関わるROIは12.2%と、目標とする10%をクリアしております。引き続き規律を持った投資により、年率1%の賃料収入向上を目指してまいります。格付けに関しては、先日格付け機関とのレビューを実施し、今回は据え置きのAA-となりました。尚、格付け向上への課題は、資産規模にあるとの指摘を受けており、運用状況や財務状況は良好に推移をしているという認識でございました。格付けの向上は、今後の金融コストの増加を抑制する効果に繋がると考えておりますので、これを意識した運営を行ってまいります。最後はESGですが、GHG削減比率が79.5%と順調に推移をしております。

11頁をご覧下さい。平和不動産リート投資法人のバリューアップの特徴は、その原資を潤沢な内部留保残高と含み益の活用においているところです。サステナブルな投資主還元を目指し、EPUの向上へ攻めの資金活用をしてまいります。

13頁をご覧下さい。ここでNEXT VISION Ⅱの内部成長を生む、バリューアップ事例について紹介致します。レジデンスからは、ファミリータイプのHF銀座レジデンスEAST Ⅱと、DINKSタイプのラ・レジダンス・ド・白金台についてです。500万円前後の投下資金を持って、キッチン、バス、トイレ、洗面の水周りと、床、壁、天井を更新することで、投下費用を抑えることによってROIの向上を実現しております。
14頁のHF辻堂レジデンスにつきましては、集会室をコンバージョンしたものですので、賃料収入全てがアップサイド部分となります。オフィスにつきましては、HF岩本町ツインサカエビルに続き、HF浜松町ビルディングにおいてセットアップオフィスに取り組みました。港区のオフィスビルの大量供給を受け、需給の軟化からマーケット賃料が下落した物件です。セットアップオフィス化により、全賃料を大きく上回るROI10%を確保する水準でテナントが決まっております。オフィス、レジデンスともに顕著な実績が重なってまいりましたので、今後は対象物件の拡大を図ってまいります。

ここからは外部成長、内部成長、財務についてです。
18頁をご覧下さい。ここではポートフォリオの推移を、含み損益率とNOI利回りを切り口にグラフに表しております。説明の通り、平和不動産リート投資法人は、物件の入替により売却益を創出し、投資主還元に努めておりますが、入替後のポートフォリオにおきましても、しっかりとその質を高めていることが見て取れます。売却益は、14期連続での計上となりますが、それにも拘わらず含み益は拡大を続けております。これは、賃上げによるキャッシュフロー向上が、含み益拡大に寄与していることを意味しております。市場環境の変化によるキャップレートの変動に拘らず、キャッシュフローの向上によって、売却益の創出が可能となるポートフォリオを構築してまいります。

19頁をご覧下さい。ここでは公募増資により購入した物件を紹介しております。先ず、HF北千住レジデンスについてですが、JRおよび東京メトロ北千住駅徒歩9分に位置する、昨年竣工したばかりのお寺さんを底地人とする普通借地権開発物件です。平和不動産以外のデベロッパーの手によるものですが、平和不動産がテナントリースアップ後の買主となることを前提に開発されたものです。私自身も、開発スタート時の先方の社長さんと長い間懇意にさせて頂いており、平和不動産グループの普通借地権開発に強い関心を持って頂いておりました。プランにおいても私共のリクエストが反映されており、1LDK90戸から構成がされております。次にHF曳舟レジデンスレジデンスですが、京成曳舟駅徒歩8分、2019年築と都心の築浅レジデンスとなります。商店街に面した生活利便性の高い立地で、1階にはスーパーマーケットが入居し、1K20戸、1LDK12戸から構成されております。レジデンスにおいては、築年とエリアおよび間取りに注意を払った入替を継続しております。

築古の地方シングルタイプを中心とした物件を売却し、東京近郊のDINKS・ファミリー向け物件を志向しております。この入替を支えておりますのが、21頁で案内しておりますスポンサーとの協業による普通借地権開発です。通常ですと、地方の築古から都心物件への入替は、利回り低下に繋がり容易には進められませんが、普通借地権開発事業の推進により、これを実現させていっております。オフィスの代表物件は19頁に記載の進和江坂ビルです。大阪メトロ御堂筋線江坂駅徒歩1分に位置する延床約1万平米のビルです。江坂エリアは鉄道の利便性と車でのアクセスに優れたエリアです。65台収納可能な大型駐車場を有しており、営業車両を必要とするテナントに対し高い遡求力を有しております。ワンフロアーは270坪と、エリア内で優位性を有すると同時に分割利用が可能となっております。本物件取得の決定打となりましたのは、近接地でHF 江坂ビルディングを保有しており、江坂エリアの底堅いマーケットを熟知していたことによるものです。併せて本物件がエントランスや水回りにとどまらない空調設備に至るまでのフルリニューアルを経て、53.7%という極めて大きな賃料ギャップを抱えていたことによるものです。私自身、数多くのリニューアル事例を見てまいりました。エントランスの大空間などの基本スペックの高さによる効果もありますが、隅々まで手を抜かない施工という意味では、最もテナント訴求力の高い仕上がりであると感じております。

北浜1丁目平和ビルに関しては、昨年に続いての取得であるため詳細説明は割愛させて頂きます。尚、22頁に完全保有化の効果として、1.6億円の鑑定評価額の増加が見込まれますことをご案内しております。19頁の最後は北二条ビルです。札幌エリアは新規供給が限定される中、受給がタイトに推移し、マーケット賃料が上昇しているエリアです。本物件は市営地下鉄札幌駅徒歩4分、JR札幌駅徒歩10分に位置し、札幌駅南口エリアと大通りエリア双方へのアクセスに優れております。対象区画7.9坪からの分割が可能となっております。地方都市におきましては、好立地で小割対応というのが オフィスビルの安定運用に繋がります。本ビルは、テナント募集において高い競争力を有しております。公募増資においては、大型の資金ということで、賃料ギャップの大きなオフィスの取得が中心となりました。一方でLTVが引き下げられたことで、今後は機動的に分配金の成長に資する物件の取得が可能となります。成長著しい東京、若しくはその近郊エリアのファミリータイプのレジデンス取得に努めてまいります。

ここで平和不動産の販売用不動産について見ていきたいと思います。20頁をご覧下さい。平和不動産の説明資料を抜粋したものですが、ポートフォリオの入替の過程で、物件売却益を獲得していくという方針が打ち出されております。尚、継続しております普通借地権開発につきましても、押上において新たなプロジェクトが進行中であることを申し添えます。
ここからは内部成長です。24頁をご覧下さい。先ずは、オフィスの運用状況についてです。期中平均稼働率は98.6%、期末稼働率は99.2%となりました。フリーレントの水準が4.2ヶ月と若干増加しましたが、全体としては引き続き良好なリーシング環境を表しております。

25頁をご覧下さい。次に賃料改定についてですが、バリューアップ効果もあり、賃料増額基調が鮮明なものとなっております。NEXT VISION Ⅱでは内部成長で賃料収入年率1%増を目標としておりますが、オフィスポートフォリオ全体に対して0.4%増のスタートとなっております。尚、46期以降に関しても、既に多数の賃上げ予定が纏まっております。又、賃料ギャップは大きく拡大しております。既存物件対比でも、賃料ギャップは拡大しておりますが、原宿や心斎橋などの商業エリアの店舗賃料が、新型コロナの終焉により上昇をしております。併せて、公募増資にて新江坂ビル等賃料ギャップの大きい物件を取得していることによるものですが、これを今後の賃上げに繋げてまいります。

26頁をご覧下さい。ここでは、最近の取得物件の賃料増額の状況を示しております。今回の公募増資にて追加取得し、1棟所有となりました北浜1丁目平和ビルにおきましても、賃上げが着実に実行されています。又、公募増資対象物件の進和江坂ビルの近隣に所在する、HF江坂ビルディングでも大型の賃料改定が実績として積み重なっています。
27頁をご覧下さい。続いてレジデンスの状況についてです。先ず稼働率ですが、期中平均稼働率は97.3%と、4期連続して97%を超えております。エリア別およびルームタイプ別の状況を示しましたが、稼働率に賃上げの状況を加味すると、賃貸市場は東京圏が総じて好調に推移しております。

28頁をご覧下さい。賃料改定状況ですが、顕著な増額改定傾向が拡大しています。レジデンスにおいては、ポートフォリオ全体の賃料が、0.56% 引き上げられています。併せてマーケットの好調を受け、礼金取得率が大幅に向上し、更新率も伸びております。将来の賃上げに繋がる賃料ギャップも顕在化してきており、レジデンス全体の好調さを裏付けています。

29頁をご覧下さい。将来の投資主還元の原資であり、バリューアップ投資の原資でもある含み益の状況ですが、引き続き高い水準を維持しています。含み益額は前期比で約10億円拡大しています。
30頁から31頁をご覧下さい。財務においては、強固な財務基盤が維持され、今後の外部成長を支えるLTVコントロールも継続されています。公募増資により、鑑定LTVは39.3%まで引き下げられました。調達期間は7.3年、固定化比率も70.4%と、前期末水準を維持しております。平均調達金利は上昇傾向ですが、これをNEXT VISION Ⅱで掲げた内部成長でカバーしてまいります。

32頁から35頁はESGへの取り組みについてです。NEXT VIOSION Ⅱにおいて、GHG排出量90%削減目標を掲げましたが、現在79.5%減の水準です。これをしっかりと達成させて参ります。尚、GHG排出量削減に対する取り組みについては、本年3月にSBT認証を取得しております。又、グリーンビルディング認証についてですが、半年前の1月の決算発表の際には26.1%でしたが、35.6%まで向上させております。GRESBの評価における3-Starsへの復帰を意識した取り組みによるものですが、環境認証については40%の取得を意識して運営していきたいと思います。地域社会への取り組みも積極化してまいりました。平和不動産グループとしての活動が中心ですが、清掃活動のほか、山王祭にも参加しております。従業員への取り組みとして、今年から永年勤続表彰をスタートさせました。又、健康増進に向け、社内にウェルネスアクションサポーターズという部門を超えた組織を作り、体力測定やスポーツイベントの開催をスタートさせました。今年はフィンランド発のモルックという競技に日本モルック協会様にご指導頂きながらチャレンジをし、社内の親睦を深めております。

36頁をご覧下さい。今回の運用会社リーダー達の頁では、企画財務部から2人のリーダーを紹介しています。当社では、時流にあった施策を迅速に取り纏め、着実に実行に移すことを旨としています。NEXT VISION Ⅰでは、コロナ禍における内部留保の積極活用による分配金の安定的な向上を、そして今回のNEXT VISION Ⅱでは、金利上昇とインフレ下におけるバリューアップ投資と、賃上げによるEPU向上策を推進しております。彼らは、これらの施策の迅速な打ち出し、若しくは実行に向けての旗振り役を担っております。IRの場面では、投資家の皆様の窓口ともなっておりますので、お見知りおきのほど宜しくお願い申し上げます。

本決算説明資料に関するご説明は以上となります。
私達が進めてまいりました物件入替と内部留保の積極活用策は、分配金の安定化とこの着実な向上に寄与しております。一方で投資家の皆様からは、インフレ、金利上昇局面においてもサステナブルな形での分配金成長を期待されております。私達は潤沢な内部留保と含み益を活用したバリューアップ投資により、つまりEPU向上へ攻めの資金活用を行うことで、一過性ではないサステナブルな投資主還元を目指してまいります。私達はどんな環境下におきましても、Steady Growth & Sustainable Profitをより高い次元で実現をしてまいります。引き続き平和不動産リート投資法人、並びに、平和不動産アセットマネジメントを宜しくお願い申し上げます。