ユナイテッド・アーバン投資法人 2024年5月期決算概要

ユナイテッド・アーバン投資法人
2024年5月期(第41期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/8960/20240719/xcbkqwrl7/
○説明資料
https://www.united-reit.co.jp/file/ir_library_term-9d4a25614c1f6c4f89289f504b6c1091d1691488.pdf
〇質疑応答
https://www.united-reit.co.jp/file/ir_library_term-1bd29d52b481e7cd9b7c34de10c22624639281fc.pdf
○説明者 丸紅リートアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長執行役員 馬躰 純一
○説明 
本日は、ユナイテッド・アーバン投資法人、2024年5月期決算説明動画をご視聴頂き誠に有難うございます。日本経済は、マイナス金利政策解除により、金融政策の正常化が図られ、インフレ型経済への移行期待を背景に、設備投資の拡大、雇用、所得環境の改善が進み、 加えて、インバウンドの増加の影響もあり、引き続き緩やかな回復が期待されます。株式市場においても、日経平均株価が史上最高値の更新を繰り返しています。一方、 J-REITマーケットにおいては、投資口価格の低迷が続いています。日銀の追加利上げの一方で、FRBの年内利下げが見込まれており、金利政策の先行き不透明感が払拭されない中、J-REITマーケットは一進一退の状況にあります。しかしながら不動産売買市場では、国内投資家を中心に投資意欲は依然として旺盛で、賃貸市場も概ね堅調に推移し、本投資法人においても堅調な業績を継続しております。今後も持続的成長に向けて尽力致しますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

それではまず初めに、本投資法人の成長戦略についてお伝えしたいと思います。資料2頁をご覧ください。本投資法人の成長戦略の目標は、投資主の皆様の価値を最大化することです。基本方針として、市場の変化に柔軟に対応しながら、総合型リートの強みを生かし、長期的で安定した成長を目指します。内部成長と外部成長を組み合わせ、持続的な価値向上と積極的な還元も行っていきます。又、マーケットの状況を見ながら、物件取得、借入金の返済、自己投資口の取得などの資金使途の判断を機動的に実施します。内部成長戦略においては、内部成長を継続させることにより、年間一口当たり7,000円超の実態利益を、安定的に確保することを目標とします。インフレ環境を活用して収益力を強化、賃料ギャップを生かした賃料の引き上げを目指します。

特に、ホテルセクターでは、インバウンド事業の拡大による業績向上を引き続き見込んでいます。又、これまでも実践してきたハンズオン・マネジメントにより高稼働を維持し、戦略的な賃料引き上げにも取り組んでまいります。外部成長においては 戦略的な資産入替を行い、ポートフォリオの質の向上を図るとともに、売却益を還元してDPUを引き上げていきます。引き続き開発案件にも取り組み、将来の成長基盤を作り、ポートフォリオの若返りも図っていきます。最後に財務戦略との連携についてです。金融コストの上昇局面、キャッシュフローと金融コストのバランスを取りながら、強固な財務基盤を維持していきます。以上が我々の成長戦略の概要です。これらの取り組みを通じて、投資主価値の向上と投資主の皆様へ還元を最大化していきたいと考えています。

それでは資料に沿って2024年5月決算内容を説明致します。資料3頁をご覧ください。2024年5月期のDPU、一口当たり分配金は3,629円となり、前期比、6ヶ月前予想比ともにプラスでの着地となりました。
当期においては、2物件11,070百万円の資産取得と、2物件4,150百万円の資産譲渡による資産入替を実施し、ポートフォリオの質的向上、収益力と築年数を改善させながら、資産規模の拡大を図るとともに、190百万円の売却益を実現しました。内部成長においては、ホテルの業績拡大、商業施設の機動的なリテナントとオフィスビルの高稼働を生かし、賃貸事業利益を押し上げる結果となりました。前期、当期の年間DPU実績が7,000円となり、前回決算発表時の想定を前倒して達成することができました。今後もポートフォリオの収益性の向上により、DPUの成長を継続してまいります。

続きまして資料4頁をご覧ください。2024年11月期、2025年5月期までの業績予想です。2024年11月期のDPUは3,830円、前期比+201円、+5.5%を想定しており、川崎東芝ビルの譲渡に伴う収益が主な増益要因となります。2025年5月期のDPUは3,680円、 前期比-150円、-3.9%を想定しており、川崎東芝ビルの譲渡による収益の剥落があるものの、青色で示す実体利益は3,500円超を継続する見通しです。予想2決済期の年間DPUは、前年比+510円、+7.3%の7,510円を想定しています。今後も実体利益に加え、資産入替に伴う売却益の実現により、DPUの嵩上げを実現し、持続的に成長してまいります。

資料5頁目にお進みください。2024年5月期DPUの前期比増減の主な再要因となります。2024年5月期のDPUは3,629円、前期比+258円、+7.7%となりました。大きな増減として、右から3列目、既存物件利益増減として+283円、主な内訳は、賃料・共益費で+252円で、この主な要因は、ホテルの業績改善による歩合賃料の増加で+146円、商業施設の歩合賃料の増加、リテナント影響等による増収+41円、オフィスの賃料・共益費の増収+39円となっています。中央に記載がある売却損益増減は、前期売却したグランルージュ栄の売却益+101円の剥落と、当期売却のブラッシングウェーブ江ノ島および府中ビル(土地)の売却損益計上+61円の差額として-40円となります。左から2列目にある新規取得物件利益寄与は、+32円となっています。

次に資料6頁にお進みください。2024年11月期、2025年5月期の業績予想における、前期比増減の主な差異要因を説明します。2024年11月期のDPUは3,830円、前期比+201円、+5.5%となります。主な要因は、頁左側に記載の通り、川崎東芝ビル利益増減として売却益相当+101円、賃貸事業利益+265円の合計+366円、新規取得物件利益寄与+126円、既存物件利益増減-164円等を想定しています。川崎東芝ビル売却益相当+303円のうち、+202円は内部留保し、2025年5月期および2025年11月期のDPUに、+101円ずつ均等加算する予定です。尚、既存物件利益増減-160円の主な内訳は、賃料・共益費で-58円、これは年次で収受する歩合賃料の剥落による影響等で、商業施設-38円、ホテル-34円に因ります。その他公租公課では、川崎東芝ビル譲渡に伴う控除対象外消費税の影響で-57円、商業施設、オフィスにおける違約金、原状回復収入等の一次収入の減-42円等となります。2025年5月期のDPUは3,680円、前期比-150円、-3.9%となります。増減要因として最も大きいのは、川崎東芝ビル利益増減-547円で、新規取得物件利益寄与+82円、既存物件利益増減+263円、販管費・営業外損益ほか-50円となっており、これに内部留保分配金+101円を加算してDPU3,680円、実体利益でも3,500円超を想定しています。

次に川崎東芝ビルの譲渡についてご説明します。資料7頁をご覧ください。川崎東芝ビルについては、2024年6月28日に、鑑定評価額を上回る190億円で譲渡致しました。売却益940百万円については、譲渡に伴う賃貸事業利益減少の回復に、一定期間を要することが想定されるため、3決算期に均等分配することとし、DPUを嵩上げ、安定分配を継続させることとしました。売却代金の活用については、DPUの成長に資する物件取得資金および借入金の期限前弁済に充当することとしました。売却益相当の分配原資と譲渡コストを除いた177億円を、大阪ベイタワーの追加取得資金に147億円、借入金の期限前弁済30億円に夫々充当する予定です。大阪ベイタワーについては、2023年3月より運用中の物件で、順調な運用状況を背景に、今後更なる収益の向上を見込んでいます。借入金の期限前弁済については、支払い利息の削減とLTVの抑制を目的に実施する予定です。

次に外部成長、資産入替と、取得パイプラインについてご説明します。資料8頁をご覧ください。2020年5月期から2024年11月期の資産入替についてです。本投資法人においては、ポートフォリオの収益力向上と質的改善に資する資産入替を実施しております。今回、川崎東芝ビルの譲渡に伴う賃貸事業利益の減少を回復するため、351億円の新規物件を取得致しました。これらの新規取得により、譲渡に伴う賃貸事業利益の減少を十分に補填し、ポートフォリオの収益力を維持・向上させる見込みです。物件取得にあたっては、様々な手法を駆使し、多種多様な地域、用途の物件の中から、ポートフォリオの質的向上を目指した結果、オフィス3物件とホテル1物件を取得価額合計351億円、想定NOI利回り4.1%の取得となります。

総合型リートの投資方針のもと、利回り水準を意識しながら、多様なアセットタイプの物件を取得することができました。資産譲渡においては、将来の設備投資負担、マーケット動向等を踏まえて、物件の売却を判断し、2024年5月期には、既に建物部分を売却済みである府中ビルの土地に加え、鑑定評価額および帳簿価額を上回る水準で、ブラッシングウェーブ江ノ島を2,150百万円で売却し、売却益190百万円を実現しました。2024年11月期には、川崎東芝ビルを19,000百万円で売却し、売却益940百万円を見込んでいます。川崎東芝ビルを譲渡できたことで、シングルテナント退去に伴い、当面のNOI利回りが大きく毀損する懸念を解消し、今回の資産入替により平均築年数も、32年から21年へと若返りを図り、ポートフォリオの質的向上を図ることができました。現時点における取得パイプラインを頁下段に示しています。用途・地域を分散させながら、9物件、600億円程度の公募物件があり、引き続き本資産運用会社の情報ネットワークとスポンサー機能を活用し、資産規模の拡大を図ってまいります。このような戦略的な資産入替を通じて、中長期的な業績悪化懸念を払拭し、ポートフォリオの収益力強化、質的改善を図る持続的な成長による投資主価値の向上と、売却益の還元を今後も図ってまいります。
資料9頁、10頁は譲渡物件と取得物件のサマリーとなりますのでご確認ください。

資料11頁は開発案件の取り組み状況についてです。博多祇園開発用地は、本投資法人が開発事業主体して取り組む開発プロジェクトで、博多祇園エリアの立地のポテンシャルを生かしたホテル開発案件です。博多祇園エリアは、ビジネス、観光両面での宿泊需要を享受できる希少な立地にあり、今般、ホテルオペレーターをロイヤルホテルに決定し、同社が提案する新コンセプトのホテルを開業予定です。本年秋に着工し、2026年秋の開業を目指しております。本開発案件の取り組みにより、新築案件が5%を超える高利回りでポートフォリオに組み入れることを計画しています。今後も、開発リスクやリーシングリスクを極力を抑えた取り組みを構築し、一定数の開発プロジェクトを継続してまいります。

資料12頁は、内部成長、共込賃料と変動賃料についてです。2021年以降、オフィス、ホテルの賃料増をドライバーとして内部成長を続け、共込賃料は持続的に向上してきました。頁左側のグラフにありますように、年間の共込賃料は、年3から4.5%の増収を続けています。頁右側のグラフは、賃料に占める変動賃料の割合を示しています。インフレ環境下において、戦略的に賃料の交渉を進め、変動賃料を含む契約が増加し、アップサイドを享受してきました。引き続きポートフォリオのキャッシュフローとNAV向上に繋がる内部成長を継続してまいります。

続いて用途ごとの内部成長について説明します。資料13頁をご覧下さい。ホテルの運用状況についてです。左上段のグラフの通り、2024年5月期の RevPARは、ADRの上昇を主因して前期比+3.5%、6ヶ月前予想比+2.6%となりました。日本人の宿泊需要増加に加え、インバウンドの旺盛な宿泊需要により、コロナ禍前の水準を超える状況が継続しています。今後もADRの上昇に伴わないRevPARの改善は継続する見込みです。右上段のグラフは変動賃料型ホテルの地域別RevPARとなりますが、コロナ禍前の水準を100として示したグラフとなります。2024年5月期では、首都圏におけるインバウンドの影響で大幅に上昇をしておりますが。大阪圏においては、一部ホテルの特殊要因による下落、沖縄においては8割強の回復で、前期比横這いとなっております。今後、左下段の国際線の2024年夏スケジュールにありますように、国際線定期便が更なる回復をすることにより、沖縄などの地方エリアにおける宿泊需要が回復し、結果RevPARの上昇および収益貢献につながることを期待しております。

14頁は、ホテルのタイプ別共込賃料と変動賃料型ホテルの売上構成についてです。頁左側のグラフにある通りRevPARの改善に伴い、ホテルの賃料は順調に回復しました。グラフ上部に示すように、2024年5月期の賃料合計は、東京所在のホテルの変動賃料の増加等により、コロナ禍前の水準を超える51億円を計上し、今後更なる増収を見込んでいます。頁右側のグラフは、変動賃料型ホテルの年間売上構成です。年間の売上は、ほぼコロナ禍前の水準になり、宿泊部門については、既にコロナ禍前の水準を超えているものの、料飲部門の需要回復が緩やかで、コロナ禍前の水準には回復しておりません。今後料飲部門の回復は緩やかではあるものの、宿泊部門の伸びにより、ホテル全体の売り上げ、GOP が更に改善し、収益貢献が期待されます。

資料15頁、16頁はオフィスの運用状況です。多様なリーシング手法を追求することにより、高稼働を継続しております。東京都心部のオフィスマーケットでは、大型新築案件が供給され、一部の案件ではリーシングに苦戦が見られたものの、本投資法人のオフィスポートフォリオは、左のバーチャートの通り、退去区画の埋め戻しも好調で、2024年5月期の稼働率 は98.5%と、引き続き高稼働を維持しております。2024年11月期、2025年5月期におきましても、一部案件でテナント退去はあるものの、97%を超える高稼働が維持できる見通しです。

16頁はオフィス改定状況ならびに賃料ギャップとなります。左側の賃料改定状況のグラフにありますように、2024年5月期は、引き続き増額での賃料改定を継続することができました。緻密なマーケット分析や賃料査定に基づいた契約条件交渉を行うことにより、数多くの案件で増額での改定ができました。右の賃料ギャップに記載の通り、賃料ギャップの大きな地方案件に加えて、首都圏でも個別テナントごとに賃料交渉を行い、大幅な賃料改定も実施しました。頁右下の賃料改定状況と、主な増額事例を記載しておりますのでご確認ください。

資料17頁は商業施設の運用状況です。2024年5月期の稼働率は98.8%と、プロアクティブなリーシングにより高稼働を維持しております。頁左側のバーチャートの入退去状況をご覧ください。2024年5月期にはジョイパーク泉ヶ丘の主要テナントの退去により、退去面積が上回っておりますが、ダウンタイムなく入替ができたことから、翌2024年11月には入居面積が回復し、高稼働を維持する見込みです。本投資法人では、中長期的な施設全体の収益向上、安定化を図るべく、リスクの低減とダウンタイムの縮小を念頭に、テナント入替を継続しております。又、業態転換やテナント入替戦略により、収益の向上だけでなく施設の集客力や活性化を促進し、2024年11月期、2025年5月期においても、引き続き高稼働を継続する見込みです。

18頁は住居の運用状況です。首都圏の物件は、ファミリータイプを中心に高稼働で安定的に運用できています。入替時には賃料が物価上昇率を上回る増額はできており、中でもファミリーについては、近年分譲マンション価格の高騰から賃貸需要が高まっており、賃料は増額傾向、今後もこの傾向が継続する見込みです。頁右側の住戸タイプ別のパイチャートにもありますように、住宅のポートフォリオは幅広い需要層の獲得が可能で、今後も住宅の安定運用を見込んでおります。

19頁は物流施設を含むその他の運用状況です。物流施設は15物件、516億円で100%の稼働を維持し現在運用中です。物流需要の大きさに応じて地域を分散し、各テナントの契約は長期化を図ることにより、今後も安定運用を継続します。頁右側は、沖縄のコールセンター の賃料改定事例です。旺盛な需要を見極めて、戦略的な契約条件交渉により、収益を大幅に向上させることができました。ハンズオン・マネジメントにより、高稼働を維持しながら、マーケットやタイミングを捉えて賃料引上げを実践し、今後も収益の向上に努めてまいります。

続いて財務運営となります。資料21頁にお進みください。頁左上段に記載の通り、2024年5月期では175億円を資金調達しました。市中金利が上昇傾向にある中、コストの抑制を意識しながら、短期の借入や変動金利による借入も一定程度組み入れた結果、当期の調達コストは前期と同程度の水準となりました。今後も安定した財務基盤を維持しつつ、柔軟な資金調達による金融コストの抑制を継続してまいります。
21頁は物件取得時における売却代金と自己資金の活用についてです。頁左側の表にありますように、物件取得にあたっては譲渡物件の売却代金と自己資金を有効活用することにより、新規の借入を抑制し、総資産LTVを40%台半ばの水準でコントロールしています。頁右側のグラフにありますように、2024年11月期末の総資産LTVは、2024年5月期末と同水準を維持する見込みとなっております。

最後に資料22頁、23頁にESGおよび気候変動への取り組みを纏めております。22頁にありますように、2023年6月に温室ガスGHGの排出量削減に関する新目標を設定しました。これまで新目標達成に向けた対応策を検討し推進するとともに、TCFDの提言に沿った財務影響における定量分析を行っています。定量分析の主な内容は23頁の通りとなります。今後も新目標の達成、財務影響を低減させる取り組みを推進してまいります。その他ESGに関する取り組みにつきましては、補足説明資料55頁から66頁を合わせてご覧ください。
説明は以上となります。決算業績予想、運用状況の詳細は、補足説明資料に纏めておりますので合わせてご確認ください。
ご清聴、誠に有難うございました。