日本プロロジスリート投資法人 2024年5月期決算概要

日本プロロジスリート投資法人
2024年5月期(第23期)決算動画説明書
○動画  https://www.video-streaming.net/ir/3283/23_j/
○説明資料
https://www.prologis-reit.co.jp/file/ir_library_term-7f32f3ac3d6f6a0067930864b79ac83107a14756.pdf
○説明者 日本プロロジスリート投資法人 執行役員 兼
     プロロジス・リート・マネジメント株式会社 代表取締役社長 山口 哲
○説明 
日本プロロジスリート投資法人第23期(2024年5月期)決算説明を始めます。
先ず、2頁をご覧下さい。第23期(2024年5月期)におきまして、私から投資家の皆様にお伝えしたいことは、こちらの4点となります。1点目として、前回の第22期決算説明において、私は投資家の皆様に、世界と日本を取り巻くマクロ環境変化についての、我々の現状認識とその変化に対応する我々の成長戦略を説明しました。私が説明しました成長戦略を、我々は着実に力強く遂行しています。2点目、本投資法人のポートフォリオ運営は、盤石で、高水準の内部成長を実現し、好調な業績を継続しています。物流不動産市場の短期的な需給バランスの変化は、我々の業績に影響を及ぼしていません。3点目、本投資法人は、クオリティの高い外部成長機会を引き続き確保しています。4点目、本投資法人は、金利上昇局面に対し、柔軟に対応できる業界トップクラスの強靭な財務基盤を維持し続け、機動的な財務運営を展開しています。

それではこれら 4つの項目ごとに説明させて頂きます。3頁をご覧下さい。私は前回の決算説明の場において、世界と日本を取り巻く環境変化を現状認識した時、投資主価値の向上のために、内部成長戦略こそが最も重要だと申し上げました。その内部成長に関しては、現在、日本および世界のマクロ経済は、インフレ環境が継続するターニングポイントにあり、又、先進的物流施設に対する需要は引き続き力強く、今後については、建築費高騰等によって、需給バランスが引き締まっていくものと認識しています。そういう状況の中、足元においては、従来予想を上回る稼働率を達成し、更にマーケット賃料の上昇の好機を捉え、力強い賃料増額を達成しました。外部成長については、本投資法人の投資口価格は、他の物流J-REIT銘柄と同様に、NAVプレミアムが解消している状況にあり、本投資法人は、市場環境に応じて機動的かつ柔軟に、アクリーティブな外部成長機会を追求してまいります。財務戦略では、我が国の金利が次第に上昇する環境下にあっても、本投資法人の強靭な財務基盤を活用し、効果的なデットコストコントロールを実施し、ペイアウトレシオの柔軟化にも取り組みました。

4頁をご覧下さい。内部成長に関する環境認識について補足致します。特に首都圏において、市場全体の空室率が上昇した環境においても、本投資省人のポートフォリオにおけるマーケット賃料は、その高い競争力により、過去5年間で年平均1.4%上昇しています。このマーケット賃料の上昇と我々の積極的な内部成長戦略推進の結果、セイムストアベースのNOIは、1年前と比較して3.9%を上昇しました。我々のポートフォリオに向けるマーケット賃料と現行賃料との差、所謂、賃料ギャップは、現在3から4%程度あります。今後も需給バランスの改善を背景に、マーケット賃料の上昇が期待できる中、将来、賃料ギャップを着実に回収することで継続的な賃料上昇、NOI成長を目指してまいります。

続いて当期の運営状況と決算概要を説明致します。5頁をご覧下さい。先ず、最も重要視し、強く推進している我々の安定的かつ力強い内部成長の状況です。ポートフォリオの平均稼働率は、左上の折れ線グラフの通り当期は高い設定であった当初想定の98.3%を0.2%上回り、98.5%で着地、続く第24期、第25期は98.5%、98.4%と、ポートフォリオ運営は安定的に推移できる見込みです。この稼働率の実績・予想数値からも、特に首都圏において、マーケットの空室率が上昇傾向にあることとは対照的に、本投資法人のポートフォリオは、継続して安定的で、力強い運営が可能なものとなっていることがお分かり頂けると思います。賃貸借契約更改時における平均改定賃料変動率については、グラフ下の青地に白抜きの数字に記載の通り、第23期はリース契約期間のマーケット賃料上昇分を確実に捉え、継続して賃料を大きく上昇させることができ、+4.2%の力強い平均改定賃料変動率となりました。又、右側グラフは、満了を迎えた契約の改定状況の内訳です。再契約は77%、又、90%以上のペースで賃料増額が達成できており、賃料上昇のモメンタルが継続しています。物流不動産賃貸市場は、2023年にピークを迎えた新規供給の影響で、特に首都圏において空室率が高止まっていますが、高いレベルでの需要等を背景として、マーケット賃料は上昇が続いており、今後もレントギャップの解消を通じ、ポートフォリオの内部成長を継続できる見込みです。

次に当第23期の業績および24期以降の業績予想をご説明します。6頁をご覧下さい。当第23期のNOIは、平均稼働率が想定を上回ったこと、継続的な賃料増額改定の効果、水道光熱費収支の安定化、事業費用面での効果的なコストコントロールに加えて、実施予定であった修繕工事が翌期にずれたこともあり、予想比+1.1%の23,655百万円と大幅に予想を上回りました。第24期に関しては、修繕費の時期づれとリーシング報酬の一時的増加により、現時点では第23期比NOIがやや減少する数値となっておりますが、前回予想と比べると+0.7%の増加を見込んでおります。第25期において平均稼働率98.4%と、安定的に推移する見込みであり、又、着実な賃料増額改定の効果もあり、全体的にやや保守的な想定をしつつも、NOIは安定的に推移する予想です。本投資法人のポートフォリオ運営は、引き続き堅実かつ安定的に推移するものと考えています。

7頁をご覧下さい。一口当たり分配金です。当23期において力強い内部成長の結果、NOI成長を達成し、一口当たり分配金は、予想を2.0%上回る5,196円の着地となりました。第24期以降の予想としては、NOIは継続的に安定して推移し、又、賃貸事業費用、デットコスト等を適切にコストコントロールし、一口当たり分配金は、5.100円を安定的に上回り、第24期は5,114円、第25期は5,115円と予想しています。財務戦略の箇所で申し上げた余剰キャッシュフローの有効活用の一環として、決定したレイアウトレシオの柔軟化として、継続的利益超過分配の減価償却費比率を、これまでの30%から、当第23期に31%、24期以降は32%へと引き上げることとしています。この効果のみで一口当たり分配金が、約1%増加する見込みです。今後も長期的に一口当たり分配金を安定的に成長させていきます。

8頁をご覧下さい。力強く推し進めている内部成長について、事例を3件紹介させて頂きます。先ず、プロロジスパーク北本において、こちらは再契約の事例になりますが、マーケット賃料の上昇を捉え、粘り強く交渉し、賃料上昇率+8.6%と大きな内部成長を実現しました。続いてプロロジスパーク成田1-A、Bにおいて、退去予定を早期に確認し、レーシングチームが素早く既存カスタマーの増床ニーズを獲得、交渉の結果、ダウンタイムなく既存契約の再契約と館内増床の新規契約と合わせて、賃料上昇率+4.5%と内部成長を実現したものです。もう1つの事例は、BTS の案件で、入居カスタマーの施設改善要望を受けた改善工事とエネルギー効率化推進工事を行い、メリット還元につき協議した結果、契約期間中に賃料改定率+4.1%と、長期契約期間内での内部成長を実現しました。このようにプロロジスグループ内にあるインハウスのプロパティマネージャー、リーシングチームと我々アセットマネジメントチームが日々常に協議を重ね、着実に内部成長を力強く積み上げています。

9頁をご覧下さい。足元のインフレ局面において、マーケット賃料に素早くキャッチアップできるリース契約の比率は、本投資法人のポートフォリオ全体の太宗を占めるまで上昇しており、今後の賃料収入上昇の強力な基盤となっています。内訳として、契約期間7年以下のマルチテナント一般型リースは、契約期間満了後の新規契約において、CPIの変動やマーケット賃料の上昇を踏まえた賃料設定が可能です。一方、マルチテナント長期型およびBTS型リースにおいても、数年前から契約期間中の賃料改定条項を導入してきました。段階賃料を含めたこれらの比率は、合計でポートフォリオ全体86%に達します。マルチテナント長期型およびBTS型リースのうち、賃料改定条項なしとなっている14%に関しては、賃貸借契約終了の都度、改定条項を織り込むことにしていますので、将来的にはインフレ対応比率100%のポートフォリオが出来上がると考えています。そして本投資法人の経費率、営業収益に対する不動産賃貸事業費用の比率は僅か22%、又、賃貸事業費用のうち、物価上昇の影響を受けづらい費用は73%となっています。こうした費用構造により、本投資法人は、物価上昇局面においても、安定的な内部成長を達成できるものと考えております。

11頁をご覧下さい。こちらは優先交渉権取得済み物件と、スポンサーの開発中、計画中物件の状況です。本投資法人の優先交渉権取得済み物件は、現時点で2物件、加えて、スポンサープロロジスでは、新規の開発用地確保を安定的かつ確実に進めており、プロロジスが公表しているものだけで、開発中もしくは計画を具体化させている物件が6物件あり、優先交渉権取得済み物件と合計で8 物件、約1,500億円規模と、クオリティの高い十分な規模の外部成長機会を確保しています。市場環境や資金調達手法等を慎重に見極めつつ、適切なタイミングと規模で、本投資法人の継続的な外部成長に繋げていきたいと考えております。

12頁をご覧下さい。次にデットコスト上昇に対し、柔軟かつ戦略的に対応できる強固な財務基盤についてです。本投資法人の期末時点での簿価LTVは37.8%、鑑定評価ベースLTVで27.4%と、極めて保守的なレベルを維持しており、将来の外部環境変化に左右されず、成長を継続し得る体力と、金利上昇局面における影響に対し、柔軟に対応できる財務基盤をしっかり確保しており、現在の平均負債コストは0.72%という低水準です。

13頁をご覧下さい。本投資法人の財務の状況は、J – REIT業界平均と比較して大きく優位にあります。有利子負債における高い固定金利比率と長い調達年数を生かして、効果的にデットコストをコントロールすることができます。実際当期においては、新たなグリーンファイナンスのスキームによる、通常よりも低コストの変動金利の借り入れを活用して、デットコストの低減を達成しました。又、本投資法人は、年間70億円を超える余剰キャッシュフローを算出できるポートフォリオの収益力を有しています。この余剰キャッシュフローの有効活用の一環として、従来の新規物件取得だけではなく、ペイアウトレシオの柔軟化についても新たに決定、実行しました。今後も長期的な投資主価値の最大化に最も資する施策を、適切なタイミングで進めてまいります。

続いて投資家の皆様もご注目されている物流不動産マーケットの動向についてお話させて頂きます。15頁をご覧下さい。先進的物流施設の需要ドライバーについて、改めて説明致します。第1に、日本の物流産業における施設集約、統合ニーズです。所謂、サプライチェーンの効率化はまだ道半ばであり、今後も長期的に継続することが予想されます。トラックドライバー不足となる2024年問題も、このニーズを後押しするものと考えられます。第2に、ECに関わる需要です。日本のEC産業は、他の諸外国のEC化率と比較してもまだ拡大余地が十分にあり、今後も長期的な成長が見込まれます。EC専業企業だけでなく、店舗を有する小売企業の販売チャネルのECシフト化も顕著です。

第3に、日本の少子高齢化に端を発する構造的な労働力不足から生じる需要です。労働力不足は長らく物流業界を悩ませており、物流施設の集約化による作業員数の削減効果、又、近年の日本の物流業界において加速している自動化、ロボット化技術の導入効果を、最も効率的に発揮するためには、大きな平面のフロアを有する高いクオリティの大規模な先進的物流施設が必要となります。第4に、製造業からの新たな需要です。世界の半導体工場の建設ラッシュは皆様もご存知のことと思いますが、それらの製造拠点が、地政学的な要請や円安、海外における人件費上昇等の理由により、日本国内に回帰しています。又、Just in TimeからJust in Caseと言われるように、サプライチェーンの持続性が重視されるようになってきており、製造業各社が在庫を増やす傾向にあり、そのニーズは新たな需要ドライバーに育ちつつあります。
16頁をご覧下さい。一方で、ここ数年増加してきた先進的物流施設の新規供給は、資材および人件費の高騰等による建築費の著しい上昇等を主な要因として、昨年2023年をピークに、今年2024年以降減少傾向にあります。更に先進的物流施設の建築着工量については、各開発事業者のリリースを積み上げてみますと、昨年後半から減少傾向が見られ、2026年以降の供給量も減少することが想定されます。このように 先進的物流施設の需要は引き続き堅調で、一方において、供給は減少する見込みであるため、今後需給バランスは改善に向かうものと認識しています。

17頁では、首都圏および近畿圏における大型マルチテナント型物流施設の空室率と需給動向をお示ししました。物流不動産マーケットにおいては、需要は引き続き強く、必要量は過去最も高い水準を維持・継続しています。但し、足元の空室率は、特に首都圏において2022年、2023年と過去最大の供給量を記録し高い状態にありますが、供給が2023年にピークを迎え、2024年以降供給量が減少していく予想であり、市場環境は今後改善していくものと思われます。2024年第1四半期末時点での空室率は、首都圏で9.7%、近畿圏で5.3%となっていますが、築1年以上の既存物件の空室率は、首都圏で4.4%、近畿圏で1.2%と健全なレベルにあると言えます。首都圏においては、築1年以上の既存物件の空室率は少しずつ上昇していますが、空室の物件を見ますと、築1年を経過した一部の大規模な開発物件に集中しているといえ、本投資法人を含め安定稼働に入った物流特化型J-REITのポートフォリオ稼働率は、引き続き堅調に推移しております。空室は既存物件も含め、無理に開発した競争力の低い物件に集中しているといえ、立地やクオリティ面で差が生じる環境となってきています。今後のマーケット環境の改善によって起こるであろう、マーケット空室率の低下や、マーケット賃料の上昇を捉え、更なる内部成長に繋げられるような運営を行ってまいります。

本日の私からの説明は以上となります。変調する金融市場や実体経済、そして、ここ数年大きな新規供給があった物流不動産市場と様々な事象により、世界および日本でマクロ環境変化が続いていますが、我々は上場来の、規律ある運用哲学と確固たる運用方針を堅持しつつ、環境変化に応じた柔軟かつ戦略的な対応を行ってまいります。我々は強靭な財務基盤と、安定的かつ強固なポートフォリオ、そして強力なプロロジスによるスポンサーサポートも活用し、内部成長により力点を置きつつ、投資主価値の最大化、投資口の経済的価値の向上を実現してまいります。皆様方には、引き続きご指導、ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
ご清聴、有難うございました。