サンケイリアルエステート投資法人 2025年8月期決算概要
サンケイリアルエステート投資法人
2025年8月期(第13期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/2972/20251017/10fma4fs/
○説明資料
https://www.s-reit.co.jp/file/ir_library_term-44c7b83146d12ef3f88054b607dd10ff3b23744b.pdf
○説明者 サンケイリアルエステート投資法人 執行役員 兼
株式会社サンケイビル・アセットマネジメン 代表取締役社長 太田 裕一
〇説明
これより、2025年8月期(第13期)決算の概要等につきましてご報告、ご説明させて頂きます。
最初に当期の決算ハイライトにつきましてご報告致します。4頁をご覧ください。当期決算は営業収益が2,611百万円、営業利益は1,347百万円、当期純利益は1,102百万円を計上し、予想比増収・増益、 当期DPU(一口当たり分配金)は、予想比+31円の2,361円となりました。分配金控除後の一口当たりNAV(純資産価値)は、本年9月30日付プレスリリースでも公表しておりますが、日立九州ビルのテナント解約を、当該物件の期末算定価格に織り込んだこともあり、全体として前期比減少となりました。
5頁をご覧下さい。本頁は、DPU(一口当たり分配金)のサマリーとして、要因分配したグラフを示しております。上段グラフは予想との比較、下段グラフは前期との比較を示しております。当期DPUは、賃貸事業収支の予想費減少や販管費の予想費増加もありましたが、本年8月1日に譲渡した東京サンケイビルの不動産等売却益などが寄与し、予想比+31円の増加となりました。又、当期DPUの前期比減少は、第10期から第11期に新規取得した物件の公租公課が当期費用化したことにより、賃貸事業費用が前期比増加したことや、昨今の金利上昇基調から借入コストが前期比増加したことが主な要因でありますが、これらは上段グラフの当期予想DPU2,330円にお示した通り、計画上一定程度折り込んでおり、当期実績はこれを上回る結果となっております。
続きまして6頁をご覧ください。当期実績と前期決算時に発表した当期予想との、損益比較並びに当期実績と前期実績との損益比較につきましてご説明致します。最初に掲載表の設定をご説明致しますと、表の左側から順に前期実績、当期予想、真ん中の赤枠線で囲んだ列が当期実績、その右側に前期比、の順で示しております。はじめに当期実績と当期予想との比較ですが、掲載表の予想比の列をご覧になりながらお聞きください。当期は、固定賃料と変動賃料を併用しているホテル3物件のパフォーマンスは、ほぼ想定通り推移したものの、SNS等でご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、7月に日本で大災害が発生するとの噂が拡散され、ホテルオペレーターによれば、インバウンドを中心に予約キャンセルが急増し、本投資法人が保有するホテルにおいても少なからず影響を受けました。
又、後ほど詳述致しますが、東京サンケイビルの共有持分2%の全てを譲渡したことにより、賃料・共益費収入が予想比減少したほか、大森パークビルでようやくリーシングが進展し、2区画で新規入居があったものの、当期はフリーレント期間中にあったことから、賃料等の収受はなく、リーシング活動に要した外注委託費が先行して発生する形となりました。これらの要因により、運用資産のパフォーマンスを示す賃貸事業収益は予想比13百万円の減少、賃貸事業費用は予想比14百万円ほど増加した結果、賃貸事業損益は予想比28百万円の減少となり、予想比減収となりましたが、当期営業利益は、東京サンケイビルの共有持分譲渡による不動産等売却益が、44百万円ほど発生したことから、予想比3百万円の増加となり、又、借入コスト等の営業外費用が予想比減少できたこともあり、当期純利益は予想比14百万円の増加となりました。
続きまして当期実績と前期実績との比較ですが、掲載表の前期比の列をご覧になりながらお聞きください。当期はグリッズプレミアムホテル大阪なんばにおける賃貸条件に基づき、引き続き固有の事象として生じる1年分の超過変動賃料収入が、発生したことや、一部のオフィスビルにおいて前期に入居したテナントの賃料が通期で寄与したこと等により、前期と比較して賃料・共益費収入が増加し、運用資産のパフォーマンスを示す賃貸事業収益が、前期費51百万円の増加となりました。
一方、第10期から第11期に取得した物件の公租公課が費用化したことにより、賃貸事業費用が前期比86百万円の増加となり、その結果、賃貸事業損益は前期比35百万円の減少となりました。又、当期の営業利益は、東京サンケイビルの共有持分譲渡による不動産等売却益により、賃貸事業損益の減少分を一定程度吸収したものの、前期比4百万円の減少となっております。尚、予想比および前期比の主な差異要因は、頁右側に詳細を記載しておりますので別途ご覧ください。
続きまして当期の運用ハイライトにつきましてご報告致します。8頁をご覧ください。本投資法人は、本年8月1日に、東京サンケイビルの共有持分2%の全てを、スポンサーである株式会社サンケイビルに譲渡致しました。主な譲渡理由は本頁掲載の通りですが、本譲渡は、本投資法人が現在推進する成長戦略の一つである、ポートフォリオの強靭化に資するアクションであり、今後も市場性に鑑み、できるものから実行していきます。
本投資法人は総合型リートへ転換して以来、市況循環に適応し、アップサイドポテンシャルとダウンサイドプロテクションを具備したポートフォリオの構築に努めておりますが、本物件の投資利回りは、ポートフォリオ平均に比し相対的に低位であること、又、本物件は今年で築25年を迎え、資本的支出が増加基調にあり、それに伴い収益性が徐々に低下する可能性があること等に鑑み、昨年より売却機会を伺っていましたが、帳簿価格および本譲渡時に取得した鑑定評価額を上回る価格で譲渡先と合意したことから、先般譲渡を実行しました。尚、本譲渡による手元資金は、一部を借入金の返済に充当することで金利負担の緩和を一定程度図り、残額は今後のアロケーション用原資として活用を予定しております。
続きまして9頁をご覧ください。頁左上のグラフは、ポートフォリオ利回りの推移を示しております。当期のNOI利回りは、前期比0.1ポイント上昇の4.2%、償却後NOI利回りは前期並みの3.5%となりました。又、頁右上のグラフは、ポートフォリオの期末稼働率の推移を示しておりますが、稼働率は、当期末時点で、本年4月の決算発表で示した当期末時点の想定稼働率96.4%を0.6 ポイント上回り、97%まで回復しましたが、日立九州ビルのテナント解約により、今期(第14期)および来期(第15期)のポートフォリオの想定稼働率は、賃貸面積ベースで、頁右下掲載の水準を想定しております。
続きまして10頁をご覧ください。本頁は、保有 オフィスビルの主な内部成長 実績を掲げております。先ず。リーシングに苦戦していた大森パークビルの稼働率において、回復の兆しが見えてきました。当期は新規2テナントと契約し、本書の日付時点で稼働率は64%まで回復しました。満室稼働まで時間を要しますが、たゆまぬ努力を継続してまいります。又、日比谷サンケイビルでは既存2テナントとの間で、宮崎台ガーデンオフィスでは既存3テナントとの間で、いずれも賃料増額改定に成功し、両物件の資産価値向上に繋がる成果を得ました。
続きまして11頁をご覧下さい。頁左上のグラフは、オフィスビルテナントの賃貸面積ベースでの賃料改定実績の推移を示しており、頁左下の表は、件数ベースでの賃料改定実績の内訳を示しております。当期の対象テナント数は10件でしたが、その内6件につきまして増額改定を収めることができ、それらの賃料増額率は、平均で従前比11.6%増となりました。頁右上グラフは、オフィスビルポートフォリオの、平均賃料単価の推移と賃料ギャップの推移を示しておりますが、各決算期の数値は、夫々本年8月1日に譲渡した東京サンケイビルの共有持分を除いて算出し直しておりますので、前回の決算説明資料に掲載した数値と異なる旨ご留意ください。
尚、平均賃料単価が前期比低下しておりますのは、大森パークビルで空室の解消が進み、成約賃料単価については、マーケット賃料以上で成約しているものの、ポートフォリオ全体の平均賃料単価と比較して低廉だったことによるものです。賃料ギャップのマイナス値は内部成長余力を示しており、マイナス値が大きいほど内部成長余力が高まっていることになりますが、当期はマーケット賃料対比△4.2%となりました。尚、頁右下には、今期、第14期および第15期の契約更改・更新の予定を表しつつ、本年10月1日時点の進捗状況を示しておりますが、テナント解約のあった日立九州ビルは、その対象から除いて算出しております。
次にホテルの状況をご報告致します。13頁をご覧ください。本頁は固定賃料と変動賃料を併用している、ホテル3物件の運営状況を示しております。ポートフォリオの内部成長ドライバーを担う掲載ホテル3物件は、当面旺盛なインバウンド需要に支えられ、引き続き 堅調に推移するものと見込んでおります。頁右側に掲載する数値は 各決算期の平均値を纏めておりますが、好調な実績を収めた前期(第12期)および当期(第13期)に対し、今期(第14期)および来期(第15期)の業績予想上の想定は、稼働率こそ若干保守的に想定しておりますが、客室単価は更なる成長を見込んでおります。
続きまして14ページをご覧ください。左側のグラフは、契約ホテルの契約形態別賃料収入の実績と予想を掲載しており、左側から前期(第12期)実績、当期(第13期)実績、今期(第14期)予想、来期(第15期)予想の順に掲載しております。固定賃料のみを採用しているホテル3物件は、実績、予想ともに変わりませんが、固定賃料と変動賃料を併用しているホテル3物件は、従前同様、夫々の物件特性、足元の外部環境、季節要因、約定等を考慮して設定しております。
又、頁右側のグラフは、2025年8月における宿泊者の地域別データを掲載しており、保有ホテル6物件のうち、公表可能な5物件については、国内宿泊者の地域別データを示しており、薄い赤色は国内宿泊者の割合を示しており、それ以外の色が海外宿泊者の割合になります。エリアによって異なる構成になっており、ホテルインターゲート広島とホテルインターゲート金沢は、国内宿泊客の割合が高い状態です。一方、ホテルインターゲート東京京橋やホテルインターゲート京都四条新町は、海外宿泊客の割合が高く、特にグリッズプレミアムホテル大阪なんばは、その割合が突出して高い状態は、前期同様です。
続きまして財務運営の状況についてご報告致します。15頁をご覧ください。頁左上掲載の財務ハイライトは、本年9月2日時点の状況を示しております。又、頁下段のグラフは有利子負債の返済期限の状況を示しており、本年9月2日に返済期限の到来した、借入金62億円のうち7億円を返済し、残る55億円は返済期限の分散に配慮しつつ、借入コストの調整を図ったリファイナンスを実行しました。詳細は、頁右上に足元のリファイナンス状況を掲載しておりますので別途ご覧ください。
尚、今期(第14期)および来期(第15期)の、業績予想上の支払い利息額につきましては、HPに掲載している通りですが、昨今の金利動向に鑑み、今期(第14期)および来期(第15期)に夫々1回ずつ、日銀の政策金利が引き上げられることを前提に策定しております。頁左上のグラフはLTVの推移を示しております。当期も、前期同様、当方の考える巡行LTV水準45から50%の範囲内にあります。又、頁右上グラフは、長期負債比率の推移を示しております。財務運営上行高位を保つことを意識しており、本年9月2日実行のリファイナンス時点で79.4%となっております。
頁左下のグラフは固定金利比率の推移を示しておりますが、本年9月2日実行のリファイナンス 時点で68.9%と低下しましたが、当面の下限目途を60%に設定し、金利動向に鑑みながら 適切にコントロールしてまいります。又、頁右下のグラフは、平均残存期間および平均調達金利の推移を示しており、平均残存期間の伸長要素もありますが、平均調達金利は、リファイナンスの都度徐々に上昇しております。足元の金利環境は、日銀による金融政策の正常化に伴い、ベース金利は上昇基調であることに鑑み、固定金利比率の調整や借入年限の調整等により、柔軟な借入コストコントロールを行ってまいります。以上、当期(第13期)決算の概要につきましてご報告致しました。
続きまして今期(第14期)および来期(第15期)の業績予想についてご説明致します。18頁をご覧ください。本頁掲載のグラフは、今期(第14期)および来期(第15期)の業績予想を、DPU(一口当たり分配金)ベースで 要因分解したものです。今期(第14期)および来期(第15期)は、テナント解約のあった日立九州ビルの収支インパクトを勘案し、策定しております。具体的には、頁上段の主な内訳に記載の通り、今期(第14期)は、テナントからの解約違約金の収受による大幅な増収を見込みますが、来期(第15期)は、この解約違約金は剥落するものの、原状回復工事精算金等の収受と原状回復工事費の支払いの収支により、一定程度予想DPUの水準を維持することに努めました。
又、両決算期とも、借入コストの増加を見込んでおります。これらを前提に、今期(第14期)の予想DPUは、本年4月公表の予想2,250円に対し+523円の2,773円を見込み、来期(第15期)の予想DPUは、今期(第14期)の当初予想2,250円並みの2,249円を見込んでおります。尚、 業績予想の留意事項としまして、テナント解約のあった日立九州ビルは、リテナントを前提に策定しており、後ほど詳述しますが、当該物件のインパクト解消において仮に譲渡を選択した場合、譲渡資金のアロケーションによっては業績予想を修正することになりますが、今回発表した予想DPUの維持・向上に努めてまいります。尚、本頁下段には、ご参考までに、過去における当初予想と実績の推移を示しておりますので併せてご覧ください。又、19頁には、今期(第14期)および来期(第15期)の業績予想の内訳を示していますので別途ご覧ください。
それではこれより、本投資法人の成長戦略につきまして説明させて頂きます。21頁をご覧ください。本投資法人は、本年4月の決算発表時に成長戦略における現下の方針を掲げましたが、その振り返りを本頁に纏めております。先ず、アセット(資産)の部では、ポートフォリオの強靭化と将来ネットキャッシュフローの改善を目的に、各種施策に取り組んでいる最中ですが、外部成長面では、低利回り物件である東京サンケイビルの譲渡を実行しましたが、他方で、シングルテナントリスク物件としてモニタリングしていた、日立九州ビルのテナント解約が発生しました。
内部成長面では、低稼働物件である大森パークビルにおいて稼働率の改善が見られ、日比谷産経ビルや宮崎台ガーデンオフィス等で、ご報告した通り、粘り強い交渉による賃料増額改定や、固定賃料と変動賃料を併用しているホテル3物件は旺盛なインバウンド需要を確実に取り込み、収益増加に成果が見られました。次にデット(負債)の部では、借入コスト抑制を目的に各種施策に取り組んでいるところですが、借入金の一部返済に加え、新規借入における借入年数の調整や変動金利を採用することで、借入 コストの低減を図りました。そしてエクイティ(資本)の部では、資本の効率化および投資主還元を目的に、自己投資口取得による資本効率の向上を視野に入れておりますが、手元 キャッシュの余裕度と効果を吟味し、短絡的な実行にならぬよう継続検討していく方針です。
それでは22頁をご覧ください。この度の日立九州ビルの解約では、皆様にご心配をおかけいたしており甚だ恐縮ではありますが、今期(第14期)から来期(第15期)まで収益のマイナスインパクトは限定的であり、先ず、今次インパクト解消の選択肢は、採用・リテナント、又は譲渡の2つになりますが、収益のマイナスインパクトが実質的に発生する前に、 具体的には2025年末までに方針を選択し、2026年1月以降に着手を予定しております。双方の選択肢にかかるスタディは、今次インパクトが起こる前から進めておりますが、夫々の期待する効果と留意点を考慮しつつ、採用執行できるよう検討を深めてまいります。最後に、本頁掲載の各種シミュレーションはご参考までに掲載したものであり、本年4月の決算説明資料でも掲載しておりますが、各項目につき更新しましたので別途ご覧頂けますと幸いです。
以上を持ちまして、サンケイリアルエステート投資法人の、2025年8月期(第13期)の決算説明を終了させて頂きます。ご清聴頂き有難うございました。
