日本リート投資法人 2025年6月期決算概要
日本リート投資法人
2025年6月期(第26期)決算動画説明書
○動画 https://www.video-streaming.net/ir/3296/2025_06_26/
○説明資料
https://www.nippon-reit.com/file/top-93aa71cc40b74caa8307effd5d9727cd0a7baac5.pdf
○説明者 日本リート投資法人 執行役員 兼
SBIリートアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 岩佐 泰志
〇説明
日本リート投資法人の2025年6月期(第26期)の決算動画をご視聴頂き誠に有難うございます。又。皆様には平素より当リートに対するご理解と多大なるご支援を頂戴しておりますことに対し、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。それではこれより、日本リート投資法人の2025年6月期の決算についてご説明させて頂きます。
今回は先ず、前期の決算発表の際に打ち出しました成長戦略につきまして、本日までの実績や進捗状況をご報告させて頂きます。
3頁をご覧下さい。この頁で概略をお伝えしたうえで、後ろの続く頁でテーマごとに詳細に説明させて頂きます。先ず資産の入替ですが、前回の決算発表以降に開示したベースでのご報告です。12物件の譲渡価格の合計が286億円、9物件の取得価格の合計が244億円になります。
内部成長につきましては、オフィスのテナント入替と契約更新の合計で、26期の助走期間を経て、今期27期の進捗状況では、4.8%の賃料増額が見込まれています。戦略的バリューアップ投資は、27期実施予定のものも含めると、年間でNOIを84百万円押し上げる効果が見込まれています。投資主還元としては、継続的に売却を創出していく計画になっております。
4頁をご覧下さい。資産の入替です。26期から28期にかけての譲渡価格は286億円ですが、その簿価は249億円ですので、簿価ベースではほぼ同額の入替を予定しているという状況です。前回の決算発表時に、売却候補が簿価ベースで500億円あるとご説明しましたので、3期かけてほぼ半分の売却を進捗させております。築年数が大幅に若返る入替であることがお分かり頂けるかと思います。
利回りに関しては、譲渡物件は実績NOIを譲渡価格で割ったベースで平均3.8%、取得物件は鑑定NOIを取得価格で割ったもので、平均4.5%です。ポートフォリオ強靭化に資する入替ができたと考えております。取得資産のラインアップをしては、日本リートとして初のホテルアセットが2物件、今年3月の取得に続いてR&D施設取得が夫々予定されています。
5頁をご覧下さい。運用ガイドラインを一部変更します。その狙いは、総合型リートであることの利点をフルに生かして、その時々の市場環境、経済環境に応じた最適なポートフォリオを構築し易くすることにあります。オフィスがメインであることは変わりませんが、これまで商業その他であったカテゴリーをその他としたうえで、住宅と同じ50%以下に上限を変更して柔軟性を持たせました。
それと、これまでオフィスに関しては、都心6区の比率を重要視しておりましたが、大宮センタービルや最近取得した浦和ガーデンビルの運用が非常に堅調で、内部成長を牽引していることなどに鑑み、正に市場環境に応じたエリアアロケーションを可能にする目的で、東京経済圏という括りに変更したうえで、それを60%以上と定めました。
将来に向けて打ち手を増やしていくための今回の変更ですので、右下のパイチャートにありますように、アセットタイプの比率が、すぐにそれほど大きく変化するものではありません。又、ホテルにつきましても、宿泊特化型を中心に、10%から15%の比率を目指していくイメージです。尚、ホテルの投資および運用に関しては、知見豊かなスポンサーにサポートして貰うことが決まっています。
6頁にございますように、サブスポンサーでありアジリティー・ホールディングスのグループ会社で、ホテルの投資運用の経験が豊かなAAA(トリプルA)インベストメントにサポートしてもらいます。又、ホテルのアセットマネジメントの実績が豊かなSBI東西リアリティからは、既にホテルのエクイティ投資の機会を提供して貰っているなど、今後も引き続きサポートが期待できます。
7頁と8頁は取得予定物件のご紹介です。
7頁ですが、秋葉原のホテルは、羽田、成田の両空港と、人気観光スポットへのアクセスが良く、インバウンド人気の高いエリアの物件ということで、変動賃料によるアップサイドが期待できます。函館のホテルは、五稜郭に近い、観光客に人気のエリアに立地しており、コスパ―リッチの観光客に支持されています。当面は、インフレ耐性のある変動賃料の物件が多くなると思いますが、長期的には固定賃料の物件とバランスよく投資していく方針です。
8頁にお進みください。札幌のオフィスは、北海道大学に近いこともあり、教育・研究機関との親和性が高い環境にあります。又、札幌エリアは、オフィスの需給環境がタイトであり、築浅である本物件のテナント需要は安定的に推移することが見込まれます。四日市のオフィスは、半導体・自動車関連企業に加え、生命保険会社、証券会社、建設会社の営業拠点として、高い需要が見込まれます。
大田区のR&D施設は、最寄り駅からの近接性で人材確保の面で優れ、羽田空港と新幹線へのアクセスが良好なことで、全国展開する製造業や輸出入を視野に入れた企業の研究・開発拠点としても、高い需要が見込まれます。そして何より、製造が可能な施設ということで、床荷重などは非常に高スペックな仕様となっています。
9頁をご覧下さい。運用ガイドラインの変更でも少し触れましたが、オフィスの重点投資エリアを変更します。人口減少と人手不足がもたらす需要サイドへの影響が、人口の都市部集中を招き、そして供給サイドへの影響が建築費を高騰させています。職住接近の築浅オフィスの需要が高まっているにも拘わらず、建築費が高くなりすぎてオフィスの開発が思うようにできない状況になっています。
土地代の安いエリアの方が、建築費高騰の影響がより厳しく、オフィスの需要が逼迫する状況が今後益々見込まれます。この状況を見越して、日本リートでは、底堅い需要が見込める東京経済圏のサテライト都市や、地方主要都市でのオフィス投資に商機を見出しました。従前から保有している大宮センタービルは、賃料の増額改定も順調ですが、新規成約では30%を超える賃料アップ実績もあります。新たに取得した浦和ガーデンビルは、取得を決定してから1年近く経ちましたが、その間にも新規賃料が10%も上昇しています。今回取得を決めたNW SQUAREは、札幌エリアのオフィスの需給逼迫の状況を受けて、レントギャップが▲12%にも拡大しており、今後の内部成長が期待されます。
10頁をご覧下さい。オフィスの内部成長、賃料増額の取り組みです。26期は契約更新時の賃料増額は健闘したものの、テナントの退去そのものが少なかったこともあり、入替時の増額が伸びず、トータルの増額率は2.68%に留まりました。他にもあまり数字が伸びなかった理由・背景としては、大規模な資産の入替を実施していることも影響しています。
売却が予定されている物件の場合、賃料増額交渉を敢えて控えることもあるからです。そういう観点から、譲渡予定物件を除いたユニバースで集計すると、ご覧のように2.93%という増額率になります。又、現在走っている27期は、本日時点で4.8%が見込まれており、目標の5%に着実に近づいてきています。下段に主な増額事例を乗せてございます。マーケット賃料の上昇を受けて、強気に、戦略的に交渉することで、大幅増額の事例が増えてきています。又、PMに対する賃料の増額改定にかかる、インセンティブ報酬の設定も効果を発揮しています。
11頁をご覧下さい。エンジニアリング・マネジメントです。4名からなる専門部隊が、計画的設備投資と戦略的バリューアップ投資計画を作成し、実施しています。前回の決算発表でご説明した通り、築浅物件に入れ替えていくことで、創出されたFree-Cashをバリューアップ投資に振り向けていくことで、NOIを向上させていく循環モデルを実行中です。
右下のグラフでは、減価償却費と資本的支出の関係を示していますが、減価償却費の内枠で全ての資本的支出を賄うことが理想ではありますが、日本リートが注力している戦略的バリューアップ投資は、物件を取得するよりも高いリターンが得られるものが殆どであり、投資という観点で考えれば、減価償却費で賄わなければないものではないと考えています。勿論、計画的設備投資、これは物件の機能を維持していくためのものですので、減価償却費の内枠でコントロールしていくのが健全であると考えています。
12頁をご覧下さい。戦略的バリューアップ投資の実績です。ご覧のような各種投資や工事によって、収益増、又はコスト削減を実現し、26期では年間22百万円のNOI押上効果が見込める施策を実施済みで、27期以降もNOIを61百万円押し上げる施策が予定されています。これまでは、オフィス中心に施策を講じてきましたが、今後は住宅への投資も積極的に行うことで、内部成長に大きく貢献していく予定です。
13頁をご覧下さい。資産入替に伴う売却益の創出についてご説明します。26期の実績、27期に予定、28期については、既に決議済みのものでご覧のような譲渡益になり、夫々括弧書きの内部留保を予定しています。下段では、今後の資産入替の方針をご説明しています。これまで通り、ティアリングに基づき築古、低成長の物件を中心に売却候補を選定しています。
取得パイプラインについては、引き続きインフレ耐性があり、内部成長が見込める築浅物件を中心のラインアップされております。今後もスポンサーサポートを活用しながら、パイプラインの積み上げを図ってまいります。
14頁をご覧下さい。キャピタルアロケーションの考え方についてご説明します。物件売却で得られる譲渡資金のうち、譲渡益については、当期に分配金として投資主の皆様に還元するものと、買替特例の利用による内部留保に分けられます。そして、この内部留保は、将来の分配金に充てられるほか、当面の現金の使い道としては右側に記載のように、自己投資口の取得、戦略的バリューアップ投資、物件取得等、その時々で最も投資主価値の向上に資するものに充てていく方針です。
16頁をご覧下さい。第26期の決算ハイライトです。業績は記載の通りで、一口当たり分配金は、2月の決算発表時に公表した予想対比、57円アップの2,345円での着地となりました。先ず内部成長の実績ですが、全体の稼働率は97.8%と、前期から引き続き高稼働を維持できました。続いて26期における月額賃料増減額の実績ですが、オフィスと住宅の契約更新とテナント入替を合わせて、ネットで月額803万円、年換算しますと9,636万円の増額となりました。
増額の内訳としましては、オフィスについては6期連続のプラスで、ネットで月額658万円、住宅が月額144万円のプラスとなります。エンジニアリング・マネジメントによるNOI向上見込みは、先ほどご説明しましたように、26期に実施済みの施策に関しては、年換算で22百万円の効果になります。26期末の一口当たりNAVは、前期から2,843円増えて111,510円となり、資産の入替も経て、含み益が更に増える結果となっております。外部成長については、当期中の資産入替としては、3物件の売却と6物件の取得でしたので、期末の資産規模は109物件2,585億円、前期対比で78億円の増加となりました。
又、27期以降に11物件の売却と6物件の取得が予定されています。財務に関するご報告としては、JCRの格付けがAA-に格上げになってから、初めての投資法人債を発行しました。グリーンボンドの5年債で13億円の調達です。同じ年限のローンに比べて低コストでの調達ができました。ESGに関しては、26期末では環境認証取得床のポートフォリオ全体に占める割合が、0.7%減っておりますが、これは資産の入替によるものであり、引き続き50%を超える水準を維持してまいります。
そして下段の27期、28期の業績予想ですが、27期の一口当たり予想分配金は2,421円で、これは2月の決算発表時に公表した予想対比では、+97円の上方修正となります。27期は物件売却が順調に進んだことで、分配金が上振れる予想になっております。28期については、前回の決算発表時に当面のDPUの下限目標としてお示しした2,250円を予想分配金として設定しております。
17頁をご覧下さい。26期の決算の実績について要点を申し上げます。当期純利益は6,077百万円となりました。前期25期との比較、即ち、c-aにおいては1,189百万円の増加です。右側上段に主な変動要因を記載しています。26期は売買要因が大きく、25期との比較が難しくなっています。売買にかかる一過性の要因以外のところで重要なのは、既存物件が順調に内部成長している点、これが+86百万円。
支払利息に関しては、金利上昇の影響を受けて14百万円の増になります。又、今年2月に公表した予想対比、即ち、c-bにおいては131百万円の増加となりました。右側下段でご説明しますが、予算で見ていなかった資産の入替が取得超過で行われたことから、賃料収入が増加し売却益が発生したことが主な上振れ要因です。
18頁をご覧下さい。27期、28期の業績予想についてご説明申し上げます。27期の当期純利益は、6,496百万円を予想します。26期との比較ですが、即ち、b-aでは当期純利益が419百万円の増加となります。右側上段で主な変動要因をご説明します。27期については、26期の比較では、FORECAST新宿SOUTHの残りの50%持分の売却のほか、複数の物件売却が加わって556百万円の売却益の増加となります。
賃貸事業収入に関しては、27期は売却が先行する形の入替となりますので、既存物件の内部成長を消し去って、マイナスに転じているように見えますが、営業費用の中段にあります支払地代の減少の107百万円が、FORECAST新宿SOUTHの売却によるものですので、これをネットするとプラスを維持していると言えます。営業費用としては、築浅物件に入れ替わっていることによる減価償却費の増加67百万円は、しっかり効いてきます。又、営業外では、27期はリファイナンス後の営業日数が多い奇数期ということもあり、支払利息の増加が大きくインパクトしています。
続いて28期の当期純利益は、4,869百万円を予想します。27期と比較、即ちc-bでは、当期純利益が1.627百万円の減少となります。28期は、現時点では1物件の売却しか決議していないということもあり、売却益が大きく減少していますが、賃貸事業収入に関しては、27期の売却が先行していた状態が解消されることもあり、又、既存物件の内部成長も寄与することで121百万円の増加となります。
租税公課の47百万円の増加は、26期から27期にかけて取得した物件の固都税が、年が明けた28期に費用化される影響です。27期に引き続き、28期もポートフォリオの築浅化に伴う減価償却費の増加は、54百万円と優位なインパクトになっています。最後に支払利息ですが、金利上昇のインパクトが低めになる偶数期ではありますが、28期のリファイナンスでは、27期よりも金利上昇を織り込んでいますので、42百万円の増加を見ています。
19頁をご覧下さい。前回の決算発表時にお示しした、売却益を含まないEPUの成長目標2,250円に向けての進捗状況のご報告です。先ず、前回3年から5年後の目標としていましたが、今回これを5年以内に修正しました。その理由は、資産の入替によるポートフォリオの築浅化、そしてそれにより創出されたFree-Cashを使った、戦略的バリューアップ投資によりNOIを向上させていく循環モデルは、実際にNOIに寄与してくるタイムラグが当初想定よりも大きいことが確認できたためです。
ご覧頂きますように、27期は物件売却が先行するという一過性の要因で、EPUが一時的に下がります。そして28期は、先ほど説明しましたタイムラグの影響と考えます。一過性要因の影響が大きい27期を飛ばして、26期と28期を不動産投資の本質論で比較しますと、NOIは3.4%増加しています。不動産投資の真の実力、つましCashの創出能力で測った場合はしっかり成長できていますので、繰り返しになりますが、そのCashの一部を戦略的バリューアップ投資に回し、その果実を今後しっかり回収していくことで、5年以内、つまり2029年12月期には2,250円に到達できると考えています。尚、前回も申し上げましたが、その目標に到達するまでの期間に関しては、引き続き資産の入替に伴う物件の売却益を分配金として還元することで、2,250円を下限とするDPUを継続していきます。
20頁以降は、26期の運用状況のご報告になりますが、要点を絞ってご説明します。
22頁をご覧下さい。左下のグラフはオフィスの退去率の推移です。先ほども申し上げましたが、26期は退去率が2.5%と低かったため、テナントの入れ替えが少なく、賃料の増額を抑える方向に影響してしまいましたが、27期は3.9%の退去が見込まれており、賃料増額が順調に進んでいる要因になっています。尚、28期は予算作成上のストレスロジックによって3.6%に設定されています。
24頁をご覧下さい。右側上段のグラフはレントギャップですが、26期末における日本リートのオフィスの平均賃料坪単価は、赤い棒グラフの17,182円であるのに対して、実際の成約賃料などを基に集計したマーケット賃料は、濃いグレイの棒グラフの坪当たり18,306円ですので、レントギャップは▲6.24%となります。レントギャップは、好調なマーケット環境を反映して前期からも拡大傾向にあり、このギャップを解消させていくことで、これまで以上の賃料増額を勝ち取っていけるものと考えております。
26頁をご覧下さい。住宅の賃料増額の実績です。左側の最下段に、テナント入替と契約更新時の賃料増減額の合計を記載してありますが、入替も賃料改定もともに好調で、トータル1,449千円の増額になっております。引き続き住宅においても内部成長を実現していきたいと考えております。
27頁をご覧下さい。左側上段は有利子負債の状況です。26期末時点での有利子負債残高は134,230百万円で、長期比率は100%、固定金利比率は89.1%でした。左側下段はLTVの推移ですが、26期末の総資産ベースLTVは48.4%でした。これは25期末時点よりも1,610百万円有利子負債が増えたことによるものですが、当期純利益の増加と買替特例による内部留保により、純資産も1,670百万円増加したため0.1%の上昇に留まりました。逆に26期末の時価ベースのLTVは、25期末対比0.2%下がって38.6%ですが、これは不動産の含み益が3,090百万円増加したことによるものです。
28頁をご覧ください。左側上段は26期に実施したデット・ファイナンスの概要です。長期固定化を図っていくという基本方針ではありますが、現状の金利環境下では、収益とコストのバランスを見ながら変動金利の比重を高め、更に加重平均の借入期間を短期化することで、トータルでの金利負担の増加を抑えています。又、金利上昇の過程にあることに鑑み、償還を迎えた投資法人債10億円については、5年債を起債して増額リファイナンスを行いました。右側上段にありますように、All-in Costは、26期末現在で1,16%です。
私からのご説明は以上となります。今後につきましては、SBIグループのサポートをより一層得まして、引き続き規律ある運用を継続していきことで、投資主価値の維持向上を実現してまいる所存です。今後とも、日本リート投資法人に対するご支援を賜りたく、何卒宜しくお願い申し上げます。ご清聴、有難うございました。