ジャパンエクセレント投資法人 2025年6月期

ジャパンエクセレント投資法人
2025年6月期(第38期)決算動画説明書
○動画  
https://c-hotline.net/Viewer/Default/5490417942c71ac61bf33018ff8145c24658
○説明資料
https://www.excellent-reit.co.jp/file/ir_library_term-3fb289f99c8c143fd37c4982a9d02eaf860bfbcc.pdf
〇質疑応答
https://www.excellent-reit.co.jp/file/ir_library_term-a952ff565a2df2f211aa718fa01ba3c8c1780c38.pdf
○説明者 ジャパンエクセレントアセットマネジメント株式会社
代表取締役 稲垣 修
〇説明
ジャパンエクセレント投資法人の38期決算報告と、今後の成長に向けた運営方針についてご説明申し上げます。宜しくお願い致します。先ず、外部環境認識について申し上げます。懸念されておりました日米の関税交渉が合意に至ったとはいえ、日本企業を取り巻く外部環境は不透明な状況が続いています。又、今後の政策金利引き上げは、市場コンセンサスとなっており、長期金利も既に上昇・高止まり環境は、楽観できない状況にあると言えます。

一方で、オフィス賃貸マーケットにつきましては、企業の業容拡大やオフィス環境改善ニーズの高まりなどによる需要増に対して、開発プロジェクトの見直し、先送りもあり、需給は引き締まっていることから、空室率は引き続き低位推移し、賃料は緩やかな上昇基調を維持するものと想定しております。不動産売買マーケットにつきましては、長期金利は上昇しているものの、国内外投資家の取得意欲は旺盛であり、キャップレートは低位推移、不動産価格は高値圏を維持するものと見ております。

このような環境の中、東証リート指数は今年入ってから上昇してきており、2021年から続いてきた下落トレンドからの転換可能性を感じるところであります。本投資法人の投資口価格につきましても、いまだNAV割れの状況ではありますが足元では上昇してきており、この流れを一過性のものにしないためにも、投資口価格、資本コストを意識したマネジメントの徹底を実践してまいりたいと思います。

では最初に、今後の成長に向けた運営方針についてご説明致します。説明資料3頁をご覧ください。33期より足元38期にかけて、川崎西口ビル、川崎東口ビルを中心とした課題 物件、老朽化の著しい築古物件について集中して譲渡してきております。この資金を活用し、大崎ブライトタワー、グランフロント大阪、アークヒルズフロントタワーを取得するとともに、合計60億円相当の自己投資口の取得・消却を実施してまいりました。

この間、ポートフォリオにつきましては、若返りとリスクプレミアムの低下を進めることができたものと考えております。EPUにつきましても、稼働率の改善を主因として、33期2,222円より足元 38期で、こちらに記載しております修正EPU2,606円まで引き上げてまいりました。この修正EPU2,606円というのは、38期のEPU実績値から譲渡する浜松町ビルの事業損益相当分、および匿名組合出資配当分を差し引いた現在の実力値とご理解ください。今後の運用方針についてポイントを3点申し上げます。

先ず、1点目は、川崎西口ビル、川崎東口ビルのような課題物件の譲渡は完了しましたが、堅調な不動産売買マーケットを背景に、今後は検討対象を低利回り物件に広げ、譲渡を継続してまいります。2点目は、新たに年平均 2%のEPU成長目標を設定致しました。こちらのグラフですが、38期までが実績、39期、40期が今後の予想になりますが、40期を起点としてEPU年平均 2%成長させてまいります。金利上昇に伴う今後の金利コスト増は、EPU換算で年平均70円のマイナスインパクトを想定しております。これをテナント入替、増額改定で、年平均+110円、更に加えて物件の入替、自己投資口取得・消却により打ち返して、年平均2%のEPU成長を実現してまいります。

3点目ですが、当面のDPUについて下限3,000円を設定させて頂きます。低利回り物件を中心に譲渡・入替を進めてまいりますので、これにより発生する売却益、加えて内部留保の取り崩しを活用し、DPU3,000円以上を実施してまいります。

続きましてEPU年平均 2%成長実現、DPU3,000円以上に向けた取組・施策についてご説明致します。4頁をご覧ください。投資口価格および資本コストを意識したマネジメントを徹底し、内部成長、外部成長、財務資本戦略を着実に進めてまいります。先ず、内部成長ですが、継続的な賃料収入増と管理コスト等の削減を進めます。

賃料収入増については、テナント入れ替え時に10%以上の賃料引き上げ、契約更改時には、更改対象面積ベースで40%以上に対して7%以上の賃料引き上げを実施してまいります。又、コスト削減につきましては、例えば、人員の配置換え、点検作業の効率化など細かい作業の削減の積み重ねを進めてまいります。続きまして外部成長です。

資本効率を意識し、低利回り物件を中心に、今後ポートフォリオの約1割の物件譲渡を進めてまいります。期間としては概ね3年を考えております。譲渡資金の活用ですが、より利回りの高い、成長性の高い物件の取得に加えて、自己投資口取得・消却についても、投資口価格を見ながら引き続き実施してまいります。

財務資本戦略ですが、長期金利が上昇、高止まりする中、長期の固定金利借入の借り換えによる金融コストの上昇抑制に取り組みます。足元の有利子負債の平均残存年数、こちらは4.3年と、本投資法人の長期資金は比較的安定していることから、むやみに長めの固定金利を取りに行くのではなく、中期の固定金利をバランスよく組み入れることで、金融コスト上昇の抑制を進めてまいります。

ここで改めて、DPU3,000円以上を設定した理由についてご説明させてください。今般の大きなテーマは、現在のEPU実力値2,600円を持続的に成長させることです。金利上昇、コスト上昇に打ち勝ち、持続的にEPUを成長させるためには、賃料の引き上げのみでは十分ではなく、低利回り物件の譲渡、入替、自己投資口の取得が有効であり、これを必ず成し遂げなければならないと考えております。

一方で、低利回り物件、若しくは今後CAPEXが嵩み、低利回り化が想定される物件については、譲渡益が想定ほど発生しないとか、場合によっては、物件によっては譲渡損が発生するようなものも考えられます。そのような局面では、DPU3,000円を維持するために内部留保取り崩しを行います。つまりポートフォリオの1割を目途とした低利回り物件の譲渡をしっかりやらなければ、内部留保を取り崩し続けることになるわけで、今回の実力EPU2,600円とDPU3,000円の距離、この400円は、このマネジメントとしての強い意志をお示ししたものとご理解ください。
続きまして決算実績についてご説明致します。7頁をご覧ください。37期実績との比較では、賃貸事業収入が332百万円減少しておりますが、こちらは37期に譲渡した川崎東口ビル、大阪興銀ビル底地が主な要因です。前回予想との比較では、営業利益を+120百万円上方修正しておりますが、こちらは順調な賃料引き上げと維持管理費等コストの抑制の効果によるものです。DPUにつきましては、自己投資口取得・消却の効果もあり、前回予想に対して+106円の3,106円とさせて頂いております。
38期に資本効率化策として実施しました自己投資口の取得・消却についてご説明致します。8頁をご覧ください。37期末に実施しました川崎東口ビル等、譲渡資金を活用し、40億円の自己投資口取得・消却を実施しました。総投資口に対して2.36%の取得・消却を行い、EPUへは+67円、一口当たりNAVへは+994円の押し上げ効果となりました。尚、投資口取得・消却は、今回の40億円を含めこれまで合計 80億円実施してきておりますが、これは時価総額では約5%に相当します。
続きまして39期、40期の業績予想についてご説明致します。11頁をご覧ください。先ず、39期予想です。賃貸事業収入は、アークヒルズフロントタワーの通期寄与等により、前期比+352百万円を見込んでおります。売却益の減少、匿名組合分配金の剥落により当期純利益は減益となりますが、分配金については一口当たり3,000円を予想しております。次に40期予想です。浜松町の譲渡・引渡しが完了することから賃貸事業収入は減少しますが、売却益の増加、賃貸事業費用の減少により当期純利益はほぼ横這いを推移、分配金については3,000円を予想しております。

続きまして39期、40期のDPU、EPUの見通し、増減要因をご説明致します。12頁をご覧ください。先ほども申し上げましたが、譲渡する浜松町ビルの事業損益相当分および匿名組合出資配当分を除いたEPU実力値を、修正EPUとして濃いブルーでお示ししております。こちらを基点として、39期、40期のEPUの見通しをご説明致します。39期につきましては、アークヒルズフロントタワーの通期寄与112円に加えて、内部成長の、この内訳の一番上の行になりますが、既存ビルの賃貸事業収入を+99円増加させ、維持管理費や支払利息の増加を打ち返して、この修正EPUを前期比+2.2%引き上げます。

40期につきましては、テナント入替による一時的な稼働率低下を想定し、既存ビルの賃貸事業収入は+36円と小幅な増加に留まり、EPUは-34円低下することを想定しております。人件費高騰により、維持管理費等のコストが増加・先行しておりますが、こちらは足元で落ち着き始めていることから、賃貸事業収入の増加を粘り強く維持することで、EPUの持続的成長を実現してまいります。

運用状況についてご説明します。15頁をご覧ください。先ず、稼働率です。左側の折れ線グラフでお示ししています通り、38期末の稼働率は98.9%と高い水準で推移しています。同じく左側の棒グラフ、薄いブルーで下に伸びている部分が退去見込みの床面積ですが、足元で大口テナントの退去予定はなく、今後の退去として39期1,167坪、40期1,525坪を見込んでおります。次にテナント入替時の賃料の動向についてご説明します。

右側のグラフと表をご覧ください。37期まで賃料増減率はマイナスでしたが、38期に+12.7%を達成することができました。期によりバラツキはありますが、38期から40期の3期平均では+10.6%であり、又41期以降につきましても、賃料増限率+10%以上の達成は可能であると考えております。
続きまして賃料改定時の増減について説明致します。16頁をご覧ください。

37期より本格的に賃料引き上げにモードチェンジし、テナント約600社、1社1社増額可能性の潰し込みを行い、粘り強い交渉を進めております。その効果が出てきました。インフレの定着もあり、増額交渉テーブルについてくれるテナントは着実に増えてきております。左側の棒グラフをご覧ください。棒グラフの高さが各期の賃料改定面積合計になります。その中で濃いブルーが増額交渉に成功、若しくは成功を見込んでいる面積となります。38期において、この増額交渉に成功した面積は5,993坪、この5,993坪は意欲的に策定した当初計画に対して84%の達成でした。

増額改定割合は32.5%と増加しております。増額割合については、今後も40%以上を目指してまいります。参考までに39期の増額改定交渉の進捗、今進んでいる39期ですが、6,651坪の計画に対して足元で5,900坪、進捗率としては88%と順調です。増額交渉に成功した先の賃料アップ率を示したものが、右の表の増額改定率になります。38期は増額改定率6.8%の実績でした。39期つきましては、2,000坪弱の大口テナントがあり、増額交渉には成功したものの平均を下回る改定率となったため、39期全体では4.9%と低位な改定率に留まる見込みです。参考までにこの大口テナントを除けば、改定率は6.5%となります。増額改定率については、今後も7%以上を目指してまいります。

17頁に賃料ギャップの状況を纏めております。マーケット賃料の上昇により、賃料ギャップは1年前の+3%から-0.2%とマイナスギャップに反転し、賃料引き上げには追い風となっています。普通借の先に対しては、契約更改時に縛られず交渉している先もありますし、又、賃料ギャッププラス先であったとしても、交渉可能な先には増額改定に向けた交渉を行っております。

続きまして工事実績についてご説明いたします。18頁をご覧ください。資材価格インフレと人手不足の影響で工事費も高騰しており、修繕工事のオペレーションの重要性が高まっています。オフィス系設備工事の専門性の高さを生かし、短・中・長期、夫々の視点で各物件の運用状況、競争力、並びに今後の保有方針を総合的に勘案し、計画的に修繕工事を実施してまいります。

財務戦略について説明致します。22頁ページをご覧ください 38期については、70億円の長期借入を実行しておりますが、シンジケートローンのバイラテ化と、個別行との直接交渉により金融コスト上昇を抑制できたものと考えております。又、足元、本投資法人の有利子負債平均残存期間は、4.3年と長期資金は安定していることから、この有効性を生かしむやみに長めの金利を取りに行くのではなく、中期年限の金利をバランスよく組み入れることで支払利息の増加、抑制を行ってまいります。

尚、固定金利率は、38期末時点ではこちらの表、4.3ポイントマイナスとなっておりますが、こちらは譲渡物件の決済までつなぎ資金として、一時的に調達した短期借入の影響があり、これを除けば38期末の固定金利率78.1%、ほぼ横這いという状況になっております。

ESGへの取り組みについてご説明致します。25頁をご覧ください。グリーンビル認証の取得については継続的に取り組んでおり、2025年6月末時点において環境認証取得物件数は2物件増加し29 物件、賃貸可能面積の87.7%となっております。このような本投資法人のサステナビリティへの取り組みは、2024年のGRESBリアルエステイト評価において、10年連続でグリーンスターを取得し、GRESB Ratingでは4-Starsという評価を受けています 。

ご説明は以上となります。今年に入ってから投資口価格は上昇していますが、今だNAV割れの状態であります。この上昇の流れを持続させるためには、継続的な賃料引上げ、資本コストを意識したポートフォリオの入替と自己投資口の取得・消却、マーケットの状況に即応した資金調達と内部成長、外部成長、資本財務戦略を総動員で、今回設定致しました年平均EPUの2%成長を実現してまいります。又、ポートフォリオの収益性、成長性を改善させることでEPU、DPUの持続的な成長を実現できるよう運営してまいります。加えて投資家 アナリストの皆様との対話を、これまで以上に道に進めてまいりたいと思います。
どうぞ引き続き宜しくお願い申し上げます。