阪急阪神リート投資法人 2025年5月期決算概要

阪急阪神リート投資法人
2025年5月期(第40期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/8977/20250716/wfe23e/
○説明資料
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80165/6348ebd2/b3a3/4099/ad1c/e3f861737a24/140120250717516112.pdf
○説明者 阪急阪神リート投資法人 執行役員 兼
     阪急阪神リート投信株式会社 代表取締役社長 岡﨑 豊茂
〇説明
本日は阪急阪神リート投資法人、25年5月期決算説明動画をご視聴頂き有難うございます。
早速ですが説明に入ります。4頁をご覧下さい。今期は資産入替の効果がしっかりと数字に表れた期となりました。特に含み損のある物件を譲渡し、収益性の高い商業施設を新たに取得したことで、ポートフォリオの質が大きく改善されました。その結果、入替公表時点の分配金は、一口当たり3,280円と上方修正していましたが、入替にかかる費用が圧縮できたため、分配金は一口当たり3,319円と予想を39円上回る着地となりました。一口当たりNAVも前期比2.4%増加しており、投資主価値の向上にも繫がっています。稼働率はオフィスが97.9%、商業施設が99.9%と、引き続き高水準を維持しています。ポートフォリオの利回りは、NOIベースで4.6%、償却後で3.5%と安定しており、LTVも40%台前半と財務の健全性も 保たれています。このように資産入替を通じて、分配金の成長と投資主価値の向上を同時に実現できたことは、非常に意義のある成果だと考えています。

5頁をご覧下さい。これまでの取り組みでは、コロナ化や投資口価格の低迷といった厳しい状況の中でも、分配金 3,100円を達成することができました。これは内部成長と外部成長の両面で地道に積み上げてきた成果です。ただ今後は外部環境の変化にも柔軟に対応していく必要があります。働き方や暮らし方の価値観が変わり、消費の傾向も変化しています。又、インフレや金利の上昇といった要因も見逃せません。こうした中で、2025年1月にはスポンサーとの連携強化、商業施設への重点投資、関西エリアへの重点投資という3つの方針を打ち出しました。これらを軸に、分配金3,300円程度への持続的な成長を目指していきます。

6頁をご覧下さい。2025年1月に公表したアクションプランを少し振り返ります。2020年以降、スポンサーからの取得を含めて8 物件を取得し、3物件を譲渡しました。物流施設の底地など新しいタイプの資産にも取り組み、資産規模は1,800億円に到達しました。内部成長では、商業施設のリニューアルや賃料改定を進め、トップラインの拡大を図っています。外部成長ではスポンサーとの連携を生かし、関西圏を中心に物件取得のパイプラインの確保に取り組んでいます。財務面では高い信用力を活かした長期固定の資金調達や、金融機関との良好な関係を背景とした借入コストの抑制にも取り組んでいます。資産入替の結果、余剰資金が生じた場合には投資主の皆様への還元も検討しています。

7頁をご覧下さい。このアクションプランに基づき、2025年3月に、運用会社独自のネットワークを生かしたソーシングによる大規模な資産入替を実施しました。東京のオフィスビル汐留イーストサイドビルを売却し、関西圏の地域密着型商業施設イオンモール猪名川とフレンドマート茨木平田店の敷地を取得しました。この入替によって、ポートフォリオの収益性が改善され、NAVの向上にも繋がりました。更に約20億円の手元資金を確保できたことで、今後の物件取得や自己投資口の取得など、成長に向けた選択肢が広がっています。このようにアクションプランを着実に実行し、分配金を成長させていきます。ただ、足元の投資口価格が不安定なため、分配金を成長させるためには資産入替の実行が大きな鍵となります。

8頁をご覧下さい。ここでは、これまでに本投資法人が行った資産入替を振り返ってみたいと思います。2020年以降、3度の資産入替を実施し、ポートフォリオの約20%を入れ替えました。資産入替における譲渡物件の償却後NOI利回りは2.5%であるのに対し、取得物件の償却後NOI利回りは3.7%と、収益性の向上がしっかりと確認されています。今後も、商業重点、関西重点、スポンサー連携の方針のもと、収益性の高い物件への入替を進めていきます。これは将来のリスクを減らしながら、分配金の安定成長を支える重要な取り組みです。

9頁をご覧下さい。2025年3月にスポンサーである阪急阪神不動産株式会社による、本投資法人投資口の追加取得を公表致しました。こちらはスポンサーグループによるサポート姿勢をより一層明確化するものであり、今後も本投資法人の持続的な成長に資するスポンサーサポートが期待されます。

10頁をご覧下さい。資産入替によって得られた手元資金を活用し、物件取得などを進めることで分配金3,300円への前倒し到達が見えてきました。2024年5月期以降、EPU、即ち 巡航分配金で約5%超の成長を実現しており、物価上昇を上回るペースで成長しています。今後もコスト上昇を上回る成長の実現を目指して、様々な施策を検討していきます。

11頁をご覧下さい。内部成長ではHEPファイブの観覧車リニューアルによる収益増加が期待されます。外部成長では、物件取得や借入コストのコントロールが分配金にプラスの影響を与える見込みで、資産入替による利回り改善や、手元資金の活用による自己投資口取得なども、分配金の安定性向上に寄与すると考えています。こうした1つ1つの取り組みが、分配金の持続的な成長に繋がっていくと考えています。
13頁をご覧下さい。次に2025年5月期の分配金について説明します。3月公表時の予想よりも39円多い一口当たり3,319円で着地致しました。これはHEPファイブやグランフロント大阪といった都市型商業施設の好調な運営に加え、資産入替によるコストの抑制が大きく寄与した結果です。又、将来を見据えて、修繕工事も可能な範囲で前倒し実施致しました。

14頁をご覧下さい。今後の分配金については、2025年11月期に3,300円、2026年5月期には3,200円を見込んでいます。大阪の都市型商業施設は、万博効果や好調なインバウンド需要もあり引き続き好調ですが、2026年5月期にはHEPファイブの観覧車リニューアルによる一時的な売上減少影響や、支払利息の増加なども見込まれています。尚、観覧車リニューアルに伴う売上の減少には内部留保を活用致します。
16頁をご覧下さい。本投資法人のポートフォリオは、関西圏、特に阪急阪神沿線に集中しており、商業用途区画への投資が中心です。安定した固定賃料が全体の95%以上を占めて おり変動賃料も テナントの売上好調を背景に増加傾向にあります。

18頁をご覧下さい。ここからは個別物件の取り組みについて説明致します。HEPファイブでは、2023年9月に実施した飲食フロアのリニューアルですとか、2024年10月に観覧車の搭乗料金を見直したことが功奏し、売り上げ賃料収入ともにコロナ前を超える水準まで回復しています。特に観覧車については、インバウンドのお客様が8割から9割を占めており、観覧車チケットによる店舗割引など施設全体への波及効果も狙います。テナントとの契約更改では、固定賃料を厚くする傾向がありますが、変動賃料や歩合賃料も取り入れることにより、今後の増収にも繋がっていくと見ています。

19頁をご覧下さい。北野阪急ビルでは、2024年11月に地下1階の飲食フロアをリニューアルし、大阪で人気の飲食店などが新たに出店しました。1階の大型店舗も業態転換を行い賃料収入は順調に増加しています。又、テナント数も増えており、今後も更なる収益拡大を目指してまいります。

20頁をご覧下さい。ホテル部門では、固定賃料の一部を売上連動型にするという契約形態の変更を行ったことで、賃料収入はコロナ前を上回り過去最高を記録しました。2025年10月には万博も終了しますが、ホテル需要は引き続き堅調に推移すると見ています。

21頁をご覧下さい。保有している8 物件のオフィス部分の平均稼働率は、97.9%と高い水準で推移しています。オフィス部門では、一部物件で退去が発生しましたが、リーシングが順調に進んでいます。特に梅田エリアでは、オフィスマーケットが好調で、成約賃料も上昇しています。2024年の大量供給により空室率は一時的に上昇しましたが、テナントのオフィス立地改善ニーズを追い風に予想を上回るペースで回復し、堅調に推移する見通しです。

22頁をご覧下さい。2025年5月期には、オフィスビルの駐車場消火設備の更新など、複数の工事を実施しました。今後も建物価値の維持・向上のため、非常用発電機などの更新工事を計画しています。尚、2026年5月期にかけて資本的支出が大幅に増加していますが、これはHEPファイブの観覧車リニューアル工事や、阪急西宮ガーデンズの外壁補修工事等が集中しているためです。

23頁をご覧下さい。今回の資産入替により含み損が大幅に解消され、既存物件の鑑定評価額も順調に増加しています。結果として、含み益は、前期から29億円増加の437億円となり、そのうち資産入替による効果が+10億円を占めています。

27頁をご覧下さい。こちらでは、スポンサーの阪急阪神ホールディングスグループが2025年3月に発表した、長期経営構想の一部を紹介致します。この構想は、沿線を中心とした既存のフィールドの深掘りと、新たな挑戦の継続という2つの柱で構成されています。先ず、グループが強みを持つ沿線エリアでは、既存顧客の深掘りに加え、グローバルな活力を呼び込むことで圧倒的ナンバーワンの沿線を目指しています。又、沿線で培ったノウハウやリソースを活用し、個の力とチーム力の向上を実現しながら成長市場への展開を進めています。

首都圏や海外への水平展開、ビジネスソリューションへの注力、コンテンツの魅力の最大化と新コンテンツの開拓など、既存の枠を超えた取り組みも加速しています。財務戦略としては、持続的成長と資本効率の向上を掲げており、2030年度にはROE 8%以上、事業利益 1,600億円規模、D/Eレシオ1.3倍程度を目標としています。

28頁をご覧下さい。続いてスポンサーグループのキャッシュアロケーションについて説明致します。阪急阪神ホールディングスグループでは、2025年度から2030年度にかけて資金配分の方針を明確にしています。先ず、事業活動によって創出されるキャッシュは、事業利益と減価償却費を合わせて約1兆3500億円と見込まれています。このうち約7,500億円を成長投資に、約5,700億円を収益基盤の維持更新投資に充てる計画です。

短期的には、2030年度までに利益貢献が見込める案件への投資を優先し、成長を促進します。一方、長期的には従来の延長線上にはない、新たな成長を目指すプロジェクトも積極的に取り組む方針です。資金調達手段としては、資産売却や借入も活用し、D/Eレシオは1.3倍程度を維持することで、財務の健全性を保ちつつ柔軟な投資を可能にしています。尚、資産売却の金額は2,400億円が想定されており、本投資法人も一定の役割が果たせるのではないかと考えています。

29頁をご覧下さい。この頁では、大阪梅田エリアでスポンサーグループが取り組んでいる開発の状況について記載しています。梅田エリアでは、スポンサーグループが長きに亘わたり開発・投資を行っており、グラングリーン大阪の開業により、梅田地区の賃貸可能面積は100万 m2を超えました。この10年間で約30%以上の増加となっており、梅田地区において圧倒的なシェアを確立しています。

30頁をご覧下さい。 最近の大型プロジェクトの事例として、グラングリーン大阪を紹介させて頂きます。「みどりとイノベーションの融合」をテーマにしたグラングリーン大阪は関西、そしてアジアをリードするまちづくりを目指した取り組みです。2024年9月には先行まちびらきが行われ、うめきた公園の一部と北館がオープンしました。既に1,000万人以上が訪れており、注目度の高さが伺えます。2025年3月には南館がグランドオープンし、今後も各施設との連携を通じて魅力ある価値体験を提供していく予定です。最終的には、2027年度に全体まちびらきを迎える計画となっています。

31頁をご覧下さい。スポンサーグループは、関西の主要エリアで継続的な開発を行ってきました。グランフロント大阪をはじめ、神戸三宮阪急ビル、ジオタワー大阪十三など、地域の特性を生かした物件が多数あります。こうした開発実績を踏まえ、本投資法人は、スポンサーが開発した物件を取得・運用することで安定した収益基盤を築いています。又、スポンサーグループは、オフィス、商業、ホテル、物流、レジデンスといった様々なアセットタイプを開発しており、本投資法人のポートフォリオの多様化の可能性も広がりつつあると考えています。

32頁をご覧下さい。首都圏では、スポンサーグループが複数のブランドを展開しております。スイテは、新築の中規模オフィスブランドで、機動性と快適性を両立した設計が評価されています。又、エンスイテは、環境に配慮したリノベーションを通じて、既存のオフィス空間を向上させることを目的とした取り組みです。これらのブランドは、首都圏における多様なニーズに応える形で展開されており、阪急阪神リートとしても注目している分野です。

33頁をご覧下さい。スポンサーグループとの連携による物件取得は、本投資法人の成長戦略の中核です。スポンサーが開発した物件を、本投資法人が取得・運用することで安定した収益を確保しています。一方、スポンサーは、その売却資金をもとに次の開発へと再投資を行います。このようにスポンサーが開発した物件をリートが取得・運用し、スポンサーが当該資金を再投資するという関係が構築されており、グループ全体として持続的な成長を実現しています。2025年5月末時点で、スポンサー経由で取得した物件は26件、約1,276億円、外部からの直接取得物件は11件、約510億円となっており、今後もこの連携を強化していく方針です。

36頁をご覧下さい。本投資法人の財務基本方針について説明致します。本投資法人は、健全な財務体質の維持を最優先に、金融機関との良好な関係を築きながら資金調達コストの低減に取り組んでいます。具体的には、敷金や保証金の有効活用、返済期限の分散によるリファイナンスリスクの低減、そして長期固定金利中心の借入による金利上昇リスクの抑制です。2025年5月末時点での有利子負債残高は868億円、借入先は26社に分散しており、安定した資金調達基盤を確保しています。

37頁をご覧下さい。続いて財務戦略の具体的な取り組みについてです。現在長期金利は上昇傾向にあり、短期金利も利上げの予想が出ていますが、政策の不透明感もある状況です。こうした外部環境を踏まえ、本投資法人は固定金利比率80%程度に維持し、財務の安定性を確保しています。一方で調達年限の短期化や変動金利の活用を通じて、借入コストの上昇を抑える工夫もしています。平均残存年限は4年程度を維持しつつ、資金調達先の多様化も検討しています。2025年5月期には50億円の借換えを実施し、コスト面でも効率的な調達ができました。今後もインフレによる賃料転嫁までの一時的な対応として、短期変動金利の活用を進めつつ、適切なタイミングで長期化を図ってまいります。

40頁をご覧下さい。ここからはサステナビリティへの取り組みについて紹介致します。本投資法人は、2018年にサステナビリティ方針を制定し、TCFD提言への対応を進めています。ESG課題への継続的な取り組みを通じて、投資の資格の向上を目指しています。環境面では、2030年度までにGHG排出量を60%削減、2050年度にはネットゼロを目指すなど明確なKPIを設定しています。社会面では、従業員の活躍やテナント満足度の向上、地域社会との連携を重視していきます。又、ガバナンス面では、コンプライアンスの徹底と情報開示と推進に取り組んでいます。これらの活動を通じてSDGsの達成にも貢献してまいります。

41頁をご覧下さい。環境面での取り組みについて、もう少し詳しく説明致します。2025年5月末時点で、GRESB評価では3スターやGreen Starなど高評価を継続的に獲得しています。又、温室効果ガス排出量の削減目標に加え、エネルギー消費量削減や水消費量削減にも取り組むことで、2050年度カーボンニュートラルを目標としています。環境認証の取得率は、延床面積ベースで58.2%となっています。又、CASBEE不動産評価認証やDBJ Green Building認証も複数物件で取得しており、環境パフォーマンスの向上に努めています。

42頁をご覧下さい。最後に社会面での取り組みです。本投資法人の資産運用会社では、健康経営や働き方改革を推進し、従業員が安心して働ける環境づくりに力を入れています。例えばウォーキングイベントや健康講座の開催、柔軟な勤務制度の導入など多様な取り組みを実施しています。このような取り組みが評価され、健康経営優良法人2025の中小法人部門上位500社に与えられる、フライト500に3年連続で認定されています。又、2025年7月より、本投資法人の投資主と資産運用会社の従業員との利害の一致による、中長期的な投資主価値の向上や従業員の福利厚生の増進を目的に持ち、投資口制度を導入致します。
説明は以上となります。45頁以降には決算の概要を記載しております。こちらは後ほどご覧ください。
私からの説明は以上です。ご視聴有難うございました。