大和証券オフィス投資法人 2025年5月期決算概要

大和証券オフィス投資法人
2025年5月期(第39期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.net-presentations.com/8976/20250722/regtr34/
○説明資料
https://www.daiwa-office.co.jp/file/ir_library_term-b067edb0160011b45dfb6d2913b6ffaeed8b39fc.pdf
○質疑応答
https://www.daiwa-office.co.jp/file/ir_library_other_file-9fab93935b4d6d88add171060a3e95b74c062202.pdf
〇説明者 大和リアル・エステート・アセット・マネジメント株式会社
      取締役 投資運用本部長 阿部 淳
〇説明
2025年5月期(第39期)の決算内容と直近の状況、今後の取り組みについて説明致します。どうぞ宜しくお願い致します。
1頁目をご覧下さい。先ず初めに、今期は賃料上昇が継続し、着実に内部成長の果実が取り込めるという自信を深めることができました。この実績をもとに、将来を見据えた前向きな報告をさせて頂きます。今回新たにEPUを目標に設定しました。尚、EPUとは、売却益を除く一口当たり当期純利益を指します。前回まで約束していました26年5月期のEPU6,920円という目標に達成の目処がついたことから、この数字は通過点とし、次なる目標を27年11月期のEPU7,130円としました。これは25年5月期実績対比で+712円、年率換算で+4.4%の水準です。

このEPU目標達成のドライバーは、資料下段に記載の通り、既存のポートフォリオにおける内部成長に加えて、自己投資取得といった施策です。尚、マイナス要因としては、金利上昇等によるコストの増加が予想されますが、これを上回る力強い内部成長の実現を目指します。又、DPU一口当たり分配金についても、下限という形で示しています。下限としたのは、継続的な物件入替に伴う売却益の発生によっては、これを上回ることがあるためです。本投資法人は、EPU成長を軸とする継続的な分配金成長に加えて、物件入替に伴う売却益の還元によって投資主価値の向上を目指します。

2頁をご覧ください。今申し上げた分配金成長をはじめとする、投資主価値向上に向けた本投資法人の戦略について、 配当割引モデルを使って説明します。本投資法人は、分配金成長を軸に、投資主への還元に取り組んでいます。本投資法人の投資主価値向上策としては、レントギャップの解消を図ることで内部成長の更なる加速、物件入替を通じた含み益の還元、更にマーケット状況や投資口価格の推移を見ながら、自己投資口取得についても継続して実施します。加えてリスクプレミアムの低減と期待成長率の向上を企図し、物件入替を実施し、ポートフォリオの強化を図ります。これらの各種施策を着実に遂行していくことが、投資の価値向上、ひいては投資口価格の上昇に繋がると考えます。

3頁をご覧下さい。物件入替方針について説明します。リスクプレミアムの低減と期待成長率の向上を目指し、これまでと同様のペースで入替を継続します。入替にあたっては、レントキャップや今後の修繕等を勘案し、ポートフォリオにおいて相対的に成長性が低いと見込まれる物件については、積極的な売却を実施します。その上で、成長性が高いと判断した物件を厳選し、集中投資することで、基礎体力の高い筋肉質なポートフォリオを構築していきます。売却に当たっては、非不動産会社系リートである強みを生かし、価格が高騰している分譲マンションやホテルへの建て替えを目論むデベロッパーなど、投資目線の異なるプレーヤーへの売却を行うことで、オフィスビルとしての含み益を超える売却益の獲得を狙います。

例えば、分割売却中の月島のように、オフィスであることが最有効仕様ではないと判断した場合は、多用途の開発素地として売却することで高値を狙っていきます。昨今の東京都を中心とした首都圏の再開発の流れから、今後も本投資法人の保有物件が、再開発エリアに含まれる可能性があります。その場合、マーケット状況等を鑑みて、再開発による物件価値の大幅な上昇が見込める場合は再開発事業への参加を検討、見込めないと判断した場合は売却するなど、ポートフォリオの質向上、投資主価値の最大化を図ります。又、売却に際しては、単純売却だけではなく、収益性、成長性の高い物件との交換取引の機会も模索します。

4頁をご覧ください。本投資法人は、これまでもポートフォリオの質改善による、投資主価値の向上策を実施してきました。2018年以降だけでも11物件、1232億円の売却と、15物件、1,189億円の物件取得を通じて、競争力の高い物件の入替を、3年で10%のペースで実施してきました。足元でも月島に続く物件売却活動を実施しているところです。又、自己投資口取得は、今回決定したものも含めて計7回、245億円実施しました。今後も、先に述べた入替戦略のもと、含み益を投資主に還元するとともに、マーケットに合わせた柔軟なコーポレートアクションを通じて、投資主価値向上に繋げていきます。

7頁をご覧ください。先ず内部成長ですが、25年5月期も各指標で好調な運用実績となりました。左から25年5月期末の実績稼働率は98.1%と、当初予想を0.2%上回り、高い稼働率を維持しています。中央の2つの棒グラフは、夫々入替時、更新時の賃料増減率を示しています。水色が当期実績で、入替時の賃料増減率は+11.5%、更新時の賃料増減率は+7.6%と、いずれも前期までの実績を上回る高い増額率を実現しました。又、前期に引き続き、マーケット賃料の上昇やインフレマインドの浸透により、契約更新対象となるテナントの増額応諾率が更に高まっています。

面積ベースでの増額割合については17ページに記載していますが、25年5月期は全体の21.6%のテナントが契約更新の対象であり、このうち51.4%のテナントに増額を応諾頂くことができました。増額割合が50%を超える水準になるのは5年10期ぶりです。このように25年5月期も力強い運用実績を示すことができたと考えており、その良好なリーシング環境は、現在走っている25年11月期は勿論、今後も継続すると考えています。一番右側のグラフでは、ポートフォリオ全体のレントギャップを示していますが、一部レントギャップを刈り取ったことによる縮小以上に、マーケット賃料の上昇の方が大きく、ポートフォリオ全体では、引き続き10%を超える水準を維持しています。

このレントギャップを取り込むべく、稼働率の目安を98%程度とした上で、更なる賃料増額の実現、ペースの加速を目指したリーシング戦略を継続していきます。外部成長、切り替え戦略については、Daiwa月島ビル2回目の売却が完了、又、今回、新宿マインズタワーを裏付け資産とする匿名組合出資持分の取得を発表しました。こちらも後ほど説明します。財務戦略については、4月の長期金利下落時を好機と捉えて、機動的な金利固定化を実施したほか、自己投資口取得についても、4月に10億円、今回30億円の実施を決定しました。25年5月期の1口当たり分配金は6,920円、一口当たりNAVは409,172円となりました。

8頁をご覧ください。一口当たり分配金の増減要因について説明します。先ず25年5月期について前期との実績比較です。既存物件収入のプラス寄与、Daiwa秋葉原ビルの通期寄与により、賃共収入は前期比+333円、一方で Daiwa月島ビルの売却益の一部を使った、戦略的な修繕工事の前倒しにより修繕費を積みましたことで、前期比▲75円、支払利息は前期比▲203円ですが、自己投資口取得の効果により22円上昇、結果として、売却益を除いた一口当たり当期純利益は6,418円、1口当たり分配金は6,920円となりました。尚、25年5月の半年前予想に対しては、基準金利上昇による支払利息増加の影響はありましたが、想定を上回る賃共収入の伸びに加え、自己投資取得の効果により、売却益を除いた一口当たり当期純利益は予想比+88円となりました。

9頁をご覧ください。25年11月期および26年5月期の予想について説明します。先ず25年11月予想です。既存物件収入のプラス寄与、Daiwa秋葉原ビルの寄与により、自然体で前期比+310円となる見込みです。又、期中に取得した新宿マインズタワーの、匿名組合出資持分から生じる受取配当金によって+31円、支払利息を前期比▲170円見込み、結果として、売却益を除いた一口当たり当期純利益は6,520円となる予想です。分配金はDaiwa月島ビル3回目の売却益と内部留保取り崩しを合わせて、一口当たり7,000円としていますが、今回発表した自己投資口取得の効果により、取り崩しを行わなくても7,000円を計上できると考えています。

次に26年5月予想についてです。内部成長と施策効果を合わせて、前回まで目標としていたEPU6,920円を達成見込みです。賃共収入は、前期までに付与したフリーレントが解消すること等により、前期比+177円、匿名組合出資にかかる受取配当金の通期寄与により+73円、修繕費は25年11月期までは、売却益を用いて戦略的に修繕工事を前倒していましたが、巡航水準となるために費用減少効果により+154円、支払利息が前期比▲118円となり、1口当たり当期準利益は6,850円となる予想です。内部留保の取り崩し150円を合わせ、一口当たり分配金は7,000円としています。尚、先ほど述べた通り、自己投資口取得によって+70円ほどの効果がありますのでEPU6,920円を達成、内部留保取り崩し額は80円となる見込みです。現在行っている売却活動次第では、説明しました分配金7,000円は上振れる可能性も出てくると考えています。

10頁をご覧ください。今回新宿マインズタワーの持分1/7を裏付け資産とする、匿名組合出資持分の取得を決定しました本投資法人は、既にマインズの3/7の共有持分を保有していますが、今回の取得によって本物件の過半持ち分に関与することになります。これにより、賃料の単価設定、普通借・定借の契約形態、CAPEXをはじめとする物件運用の主導権が確保できます。今回の追加取得にあたり、本投資法人は、この1/7持分を直接取得することも可能でしたが、資本コストを考慮すると、直接取得よりも今回のストラクチャーでの取得が適切であると判断し、匿名組合出資持分を取得することを選択しました。この選択によって 巡行期の想定出資配当利回りは4.84%と、インプライドキャップレートを上回る投資利回りでの取得を実現しました。

次にマインズの追加取得、運用の主導権確保にこだわった理由について説明します。11頁をご覧ください。新宿マインズタワーが立地する新宿駅周辺では、右側の地図で示しています通り、新宿グランドターミナルと呼ばれる大規模な再開発が複数進行しています。元々 新宿駅周辺は百貨店や家電量販店をはじめとする商業施設が中心で、オフィスビルは駅から少し歩いた東京都庁の周辺に集積していましたが、一連の再開発によって、渋谷駅周辺のようにオフィスエリアの中心が新宿駅周辺へシフトしていくと考えています。

この中で新宿マインズタワーは、希少な新宿駅直結の物件であり、再開発の恩恵を真っ先に受けられると言え、位置優位性を生かして更なる賃料上昇を狙います。左下のグラフの通り、マインズは、過去10年で既に20%の賃料上昇を実現してきました。しかし、足元では更に10%以上のレントギャップがあると認識しており、これを着実に刈り取ることで契約賃金単価ベースでは、3万円台半ばへの引き上げを目指します。新宿マインズタワーの力強い内部成長にご期待ください。

12頁をご覧ください。15年11月以降の更新、入替に伴う月額賃料の増額の推移です。グラフを見て頂くと一目瞭然ですが、25年5月期においては2017年前後と同水準の増額を記録しており、内部成長という分配金のコアとなるリート本来の賃貸収益の向上が顕著に見て取れます。これは数期前から繰り返しお伝えしていることですが、本投資法人が自ら土地を仕入れて開発を行うこともあるため、開発用地などマーケットの動向については常にウォッチしている中で、中規模オフィスビルは、工事費の高騰やホテル、分譲マンションなど他アセットタイプとの土地段階からの競合により、新規開発が細り、今後も供給が減少することが見込まれます。

仮に開発する場合でも、高い賃料設計を前提とした供給しか行うことができなくなるため、既存の中規模オフィスビルをメインセットとする本投資法人にとっては、これまで以上に有利な状況になってきています。オフィスビルマーケットの中期予測については15頁に記載していますが、この先全体の新規供給が多い年であっても、中規模ビルだけを取り出してみると、供給が少ない状況が続くことが見て取れます。このような状況背景に、今回自信を持って新たなEPU目標を設定させて頂きました。今後も引き続き、更なる賃料増額の実現とともに増額ペースの加速を図っていきます。

13 頁をご覧ください。冒頭に説明しましたモデルに基づいて、投資主価値向上に向けた当期の取り組みについて纏めさせて頂きます。レントギャップの刈り取りによって、入替、更新時の確かな賃料増額を実現、又、売却益を分配金として還元しながら、売却資金を用いた自己投資口取得により、一口当たりの収益を向上させます。物件入替を通じ、高成長資産へ投資することで期待成長率を高めるとともに、低成長資産の売却によるリスクプレミアムの低減を図っていきます。このように今後も様々な施策を積極的に展開し、投資主価値、投資口価格の向上を目指します。

インフレによる運用コスト増や金利動向など、引き続き注視が必要な事項も多くありますが、運用会社として様々な変化に適切に対応し、引き続き中規模オフィスの強みを生かし、本投資法人の価値向上に取り組んでいきます。本投資法人を支えて頂いている投資家の皆様および金融機関の皆様、この場をお借りして改めて御礼をお伝えするとともに、今後とも宜しくお願い申し上げます。
以上で25年5月の決算および足元の運用状況の説明を終了させて頂きます。
ご清聴有難うございました。