星野リゾート・リート投資法人 2025年4月期決算概要
星野リゾート・リート投資法人
2025年4月期(第24期)決算動画説明書
○動画
https://www.irwebmeeting.com/hoshinoresorts-reit/vod/202506/yV6gze7A/202504_24th_01_ja/index.html
○説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3287/ir_material_for_fiscal_ym/181460/00.pdf
○説明者 株式会社星野リゾート・アセットマネジメント 代表取締役社長
兼 星野リゾート・リート投資法人 執行役員 秋本 憲二
株式会社星野リゾート・アセットマネジメント
投資運用本部長 高橋 悦郎
経営企画本部長 兼 財務経理本部長 蕪木 貴裕
チーフ・サステナビリティ・オフィサー 菊池 昌枝
○説明
<代表取締役社長 秋本 憲二>
本日は、星野リゾート・リート投資法人、第24期決算説明動画をご視聴頂き誠に有難うございます。さて、昨年来本投資法人の株価パフォーマンスが厳しい状況であり、特に今年に入ってから一段と厳しい状況になっておったこと、投資主の皆様にはご心配をおかけし、大変申し訳ございません。そんな中、スポンサーである星野リゾートと連携をし、昨年末頃から投資口価格向上に向けた施策を色々と考えてまいりました。そして3月18日に第1弾の施策を発表させて頂き、4月18日に一の矢に続く二の矢となる施策を発表しました。
この、一の矢、二の矢につきましては、後ほど説明致します。これらの結果としては、施策発表前の3月17日の投資口価格200,600円に対し、本動画収録の前日である6月10日の終値は240,800円となっており、投資口価格は20%程度上昇しておりますので、一定の効果はあったと考えています。そして、投資口価格上昇に向けた、三の矢としての新たな施策につきましても、この後説明させて頂きます。さて、これら短期的な施策も重要ですが、投資主価値向上において本投資法人の重要な関心事は、ホテル経営は、数十年に及ぶ長期間、競争力を維持する必要があるということでございます。長期間ホテル経営をしておりますと、市場環境の良い時期と悪い時期を必ず経験します。
そして厳しい環境下においても、安定して集客し続けるにはどういうホテル経営であるべきか、それが安定した分配金を出し続ける上で、最も重要な本投資法人の関心事であります。星野リゾートは、これまで市場環境が良い成長の機会には果敢に挑戦し、厳しい環境下では存続を重視し取り組んできました。そしてこれからも、数十年後にも、競争力を維持するホテル運営会社としての仕組みを創造していきます。本投資法人と、スポンサー且つオペレーターである星野リゾートの、両者の目指すべき方向は完全に一致しています。今後も本投資法人と星野リゾートの強力なパートナーシップのもと、投資主価値の最大化に向け取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。それでは本題に入ってまいります。
今回はかなりボリュームのある内容となっておりますが、最後までご視聴頂けると幸いでございます。
6頁をご覧ください。2025年4月期、私共の第24期の決算 サマリーでございます。当期の分配金は4,615円と、予想から+5円で着地しました。予想から大きな変動はございません。補助金収入につきましては、一部を圧縮積立金として繰り入れ、今後の安定的な分配金 政策に活用してまいります。そのほかでは、ポートフォリオ全体のNOI利回りは5.5%、LTVは39.4%、一口当たりのNAVは302,386円となっています。
次に7頁をご覧ください。分配金の実績および予想についてです。
前回の決算発表以降、J-REIT市場が低調に推移したことに加え、星野リゾートが中長期的な競争力強化を目的として、2024年、2025年に人材への投資を優先したこともあり、本投資法人の投資口価格は、一時的に軟調な推移となりました。こうした状況を打開すべく、2025年に入ってからは短期的な投資口価格対策として、3月18日、4月18日、そして6月16日と3回に亘り、集中的な梃入れの実施を発表しています。その成果もあり、第25期の分配金予想は、昨年12月時点の想定価格から+1,000円の6,000円を見込んでいます。
更に、第26期に向けた対策についても、今回の決算発表に合わせて公表しております。第26期は、第25期に計上していた譲渡益が剥落する期ではありますが、星野リゾートが賃借人である物件の変動賃料について、算定期間を前倒し、且つ統一することで、足元の好業績を的確に取り込める設計と致しました。これにより、前期比200円の増配を見込んでおります。これらの一連の取り組みは、後ほど詳細に説明させて頂きます。
次に8頁をご覧下さい。2019年比のRevPARの変化率の推移グラフと、賃料予想の表を記載しています。詳細は資料をご覧下さい。
次に運用のハイライトを説明してまいります。
10頁をご覧下さい。先ほど触れましたが、今期は投資口価格の改善に向けて、早期に分配金を戻していくことが必要と考え、具体的に分配金6,000円を目標として掲げ、各種取り組みを進めてまいりました。内容としては、低調な物件に対する割増固定賃料の再設定や物件の入替、更にアップサイドが見込める賃料改定、これら多岐に亘る内容でございます。こちらの頁は、その一連の取り組みを纏めたサマリーとなっております。各アクションの詳細につきましては、この後高橋より説明致します。
次に11頁をご覧下さい。一連の取り組みの第3弾として、ポートフォリオの7割以上を占める星野リゾート賃借人物件について、変動賃料の算出期間を、売上連動、利益連動で統一し、且つ直近化する対応を行います。具体的には図にある通り、利益連動の物件については、算定期間を従来よりも5か月前倒します。この見直しにより、分り辛いとお声があった賃料体系の透明性が向上し、足元の業績との連動制も、より高まることが期待されます。
この取り組みにより2026年4月期には、万博効果で業績が好調な、グランドプリンスホテル大阪ベイの業績を取り込むことができ、一口当たり分配金で、凡そ+700円程度の効果があると試算しています。一方で、賃料設計において、過去のホテル業績を参照する仕組みは、分配金の安定化に寄与するとの考えは、引き続き重視しています。そのため、直近1年間の業績を参照する設計は、透明性、即時性、安定性のバランスを総合的に勘案した結果、最も適した着地点であると考えております。
次に12頁をご覧下さい。コロナ前水準に至るまでの分配金の見通しについて説明致します。先ず、25期から26期への+200円の内訳ですが、界阿蘇とOMO7旭川の譲渡益が無くなる一方で、賃料算出期間を直近化したこともあり、万博効果で好調なグランドプリンスホテル大阪ベイ、宿泊が好調なグランドハイアット福岡、ANAクラウンプラザホテル広島、これらの賃料増を見込んでいます。又、宿泊特化のリアルタイム連動物件のシーズナリティが、26期、27期の両方に影響してきます。
第27期にかけてですが、星野リゾートでは、現在行っている業務最適化プロジェクトは、2026年に本格的に効果が出始めると考えているため、賃料は26期と同程度を想定しています。又、グランドプリンスホテル大阪ベイの改装期間が、賃料算定期間から抜け、好調な運営実績がフルに寄与してまいります。これにより、27期はコロナ前水準の分配金に届くのではないかと考えております。尚、いずれの期も、金利環境を踏まえた財務運営を行い、財務コストの上昇を抑制していきたいと考えております。
それではここで、星野リゾート代表の星野より、皆様絵のメッセージが届いております。ご覧下さい。
<星野リゾート代表 星野 佳路>
こんにちは、星野リゾートの代表をしております星野佳路です。今日は、私がこの2年間取り組んできた取組みがあるので、それについてお話ししたいと思います。
先ず、今の日本の観光で、需要が問題なのか、それとも労働力が問題なのかという議論ですけれども、この5月に新しい日本の観光白書が出てきまして、2024年の日本の観光産業の数字が出てきています。今年の観光庁は、国内需要に焦点を当てて分析されているので、ご興味のある方は、是非ご覧下さい。
2023年の需要、コロナ前の需要に戻ったという年ですが、2023年の需要は、勿論インバウンドは皆様ご存じのように伸びていますが、私が予想していた以上に国内需要が伸びています。人数が伸びたというよりも、単価が上がっています。これには、色んな事情があったと思いますが、今日はそこにはあまり深く入らずに、次に行きたいと思っていますが、需要よりも労働力が問題だということですね。私達の観光産業においては、労働力は問題になっていますし、これからも問題であり続ける分野だという風に思っています。
労働力の場合、採用力と離職率というのが大事なのですが、星野リゾートは、After CORONAで一時的に労働力不足の時期がありましたけれども、今や、予定通り、ここからは脱却しています。先ず、採用力も、5千人、6千人のエントリーが毎年あり、新卒採用においては、5~6百人のスタッフを毎年採用し続けるだけの力がついてきています。それから、離職率についても、様々なことをやってきていますが、ホテル業界は全体の産業よりも高いのですが、私達は全体の産業のレベルまで落とすことができていて、更に10%程度まで落としていきたいと思っていますし、十分可能だという風に思っています。ということで、この2つが大事だということですが、実は私がやってきたことは、3つ目の対応策です。
それは、必要人員数の把握のし直しをしようということをやってきました。これは、減らすことが目的ではなく、本当に必要な人員数は何人なのか、その人達がやっている業務は、本当に顧客にとっても、会社にとっても必要なことなのか、ということをもう一度精査し直そうということで、これを「業務最適化プロジェクト」と呼び、この2年間トライをしてきました。その内容ですが、業務の何かを変えると必ず6つの要素に影響します(心理的負荷、身体的負荷、顧客満足度、収益力、短期的集客力、ブランド力)。どんな小さなことでも、この6つの要素に影響してきます。ものによっては、収益は上がるかもしれませんが、顧客満足度は落ちるかもしれません。又、スタッフの負荷を下げようと思うと、逆にブランド力が上がるかもしれない、下がるかもしれないというような、Trade-offを伴う変化があります。
良いホテル運営というのは、この6つの要素を高いレベルでバランスさせるということが大事だと思っていまして、その概念を伝え、実際に業務が最適化になるような、勿論高い次元でバランスするような、オペレーションに少しずつ変えていくことをトライしました。どうやってそれをやるかですが、これは地道な作業になりますが、概念をきちんと説明し、そして業務の変革の内容のヒントは、マネジメントスタッフよりも接客を最前線で行っているスタッフが持っています。なので、この人達からヒアリングをすることが大事になってきます。
それで、日本全国の施設、殆ど私、この2年間、2年半になりますが、回ってきて、実際に彼女、彼等と色んなヒアリングを行い、私なりにヒントを得てきています。このヒントを得たことを、私が判断して、意思決定するというよりも、議論してほしいことに繋げ、ヒントは議論のテーマになり、それを各施設からきている代表の人達に、東京に集まってもらって、どう変えることが業務の最適化になるのかということを、2年間議論してもらっています。2024年に、最初に開きましたが、この2月の会議で22項目の業務変更に、界の全ての施設からきている代表が合意しました。同じプロセスもう1年回して、2025年には20項目の業務プロセスの変革に合意できています。同じような作業を星のやでも進めてきております。これからも全ての施設で、これをやっていきたいと思っています。
細かい内容ですが、20項目と22項目では、どんなことを言っているかですが、例えば、日本のサービスでは自家用車が見えなくなるまで手を振っていることが良いサービスとされてきたわけですが、ただ、顧客は、最近は、車の中で準備のためにNAVIを設定するとか、結構時間のかかる作業をしていて、その間スタッフが待っていることに、ちょっと違和感があるし、スタッフの方もそれをお待ちして手を振ることに対して待ち時間が生じています。最後まで手を振るということが、日本の常識では良いとされていますが、6つの指標に照らし合わせた時に本当に必要なのか、ということを議論し、場合によっては実験をし、今回私達はご挨拶の瞬間をちゃんと作り、お車の中にお客様が入ったらそれ以上は待たないということに踏み切ることができました。
同じように、タトゥの考え方も、だいぶ変わってきています。タトゥシールで対応をしていたのですが限界があり、顧客にもストレスがあり、私達にもストレスがあります。基本的に入浴制限を止めることにしますが、入浴を断る権限は持ち続けるという対応をHPに掲載し、この対応で何ら問題なく進んでいると私達は思っています。
朝食というのは、夕食のような懐石料理があった翌朝なので、2回出しが良いサービスだと思ってそれを基本にしてきたのですが、スタッフから、これを1回出しにする方が顧客のストレスもなくなるし、私達の生産性も上がるという提案が出てきまして、これも全施設で検証してみて、合意できたすごく重要なステップの一つです。見て頂くように、スタッフemployee Satisfactionの身体的負荷は大きく上がるわけです。ただ、場合によっては、顧客満足度が若干下がるかもしれない。ということで、色んな、様々な業務でバランスさせて、先ほどの6つの要素を、高い次元でバランスさせるということを達成しよう。Trade-offが起こっていないということはないと思うので、少しでも何かTrade-offが起こると踏み出しにくい項目を、皆で合意していくということは、すごく大事なプロセスだと思っています。
結果、これは、ある星野リゾートの南の方にある施設の、実際に決定したことですが、本当に必要な、真の必要人員数は、2025年から2026年にかけて緩やかに変更していくということが、合意できていますし、これで進んでいます。これは、すごく上手くいったケースですが、勿論、施設によって様々ですが、異本的には、本当に必要な業務であれば、スタッフをかけてやるべきですし、私が確認したかったのは、今、スタッフがやっていること一つ一つが、本当に会社にとって、顧客にとって、そして社員にとって必要な業務なのかどうかを確認していく、多くのケースでこういう風な傾向を示す結果が出てくるんではないかと、私は思っています。ということで、労働力対策、3つ目の必要人員数をしっかりと把握するということで、今起こっている、環境産業における労働力不足は大変なことだということに対して、星野リゾートは競合優位を維持していきたいと考えております。
<代表取締役社長 秋本 憲二>
ご視聴有難うございました。ご覧頂きました通り日本の旅行市場は、インバウンド、国内旅行共に健全に成長しています。今の日本の観光産業における本質的な課題は、需要の不足ではなく労働力であると考えています。そしてこの労働力の問題は、今後も継続的な課題となる可能性が高いと見ています。星野リゾートでは、この労働力に対して、採用力、離職率、必要人数の適正把握、この3つの観点を特に重要視しています。このうち採用力と離職率に関しては、業界内でも比較的優位な水準にあると認識しています。
現在は、業務最適化プロジェクトに取り組んでおり、必要人員数の見直しに注力しているところでございます。これは、人員を減らすことだけが目的ではなく、会社、顧客、従業員にとって、本当に必要な業務は何かを精査することが目的です。業務の設計は、顧客満足度、ブランド力、収益力など6つの要素すべてに影響を及ぼすものであり、夫々の間にはTrade-offが存在します。私達は、この6つの要素を高い次元でバランスさせる、オペレーションの構築を目指しております。2026年には効果が出るように取り組んでまいります。
<投資運用本部長 高橋 悦郎>
続いて今期の運用トピックスを説明します。15頁をご覧ください。3月18日、4月18日に公表しております、アクションについて夫々紹介しています。先ず、グランドハイアット福岡の変動賃料割合の引き上げについてです。資料左下をご覧頂きたいのですが、本物件はコロナ禍対比で、RevPARが21.5%成長と力強く成長しています。これは取得時の想定を上回る好調さでして、福岡の宿泊マーケットが成長していること、その成長を最大限ホテルが取り込むための、戦略的CAPEXを投じてきたことが要因だと考えています。
このような状況の中、本物件の収益を更に向上させ多くの賃料収入を享受するために、賃借人である スポンサーと協議してまいりました。結果、賃借人の負担としていたFF&Eの投資区分を投資法人負担に変更するとともに、変動賃料の料率を引き上げるという内容で合意しました。これにより、投資法人単体の判断で機動的な投資が可能となり、そのアップサイドを今まで以上に賃料として収受できるようになりました。資料右下にございますように、新たな投資も着実に進めております。投資法人全体の収益増を牽引する物件となるよう、引き続き 多様な検討を進めてまいります。
続いて16頁、星のや沖縄における割増固定賃料の再設定です。星のや沖縄は、現在、取得時に想定していた業績に到達できておりません。これは、沖縄エリアのマーケット環境によるところが大きいのですが、マーケットに左右されない魅力の差別化の方法、業績を成長させ安定化させる道筋について議論を実施してまいりました。資料右側にその具体例を記載しておりますが、今後スポンサーと連携して、打つ手を実行していきながら、ターゲットとしているKPIを目指してまいります。
尚、打つ手の実行においては、施設の売り止めを伴うようなものも発生します。それは本来の賃貸借契約上、投資法人の変動賃料が低減することを意味します。将来の業績のためとはいえ、一つ一つの投資の意思決定に影響を与えてしまい、協議に時間を要するリスクがありました。今回、迅速に運営力評価の取り組みを進めていくため、投資実行期間を割増固定賃料で再設定することで、足元の賃料減少リスクを遮断するという手法を採用することで同意致しました。
続いて17頁は資産入替の説明です。スポンサーと共同した、ポートフォリオの利回り改善の取り組みです。左上の表の通り、スポンサーと相互売買を実施、償却後利回りで1.2%見込みであったOMO7旭川を譲渡し、実績ベースで同 6.6%のホテル、WBF グランデ旭川を取得致しました。WBFの物件概要は右側に記載しておりますが、希少な天然温泉やサウナ、数種類の岩盤浴を備えた競争優位性を持つ物件を、対鑑定比85%という割安価格で取得することができました。
尚、OMO7旭川の収益改善に向けた企画検討は進行中であり、概ねの道筋は立ってきています。しかしながらその企画の実行においては、一定程度の設備投資に加えて、除却の発生、全館休館の発生等々のリスクも存在し、スポンサー自らの所有化で進めていくということが、最も迅速、且つ効率的であり、柔軟性があるという判断に至ったことも、今回の取り組みの背景にあります。又、左下の経緯に記載しております通り、本相互売買と同時に、OMO7高知のリブランド敷金の返還を併せて実施しております。
この取り組みの詳細を説明しますので18頁をご覧ください。この18頁では、OMO7高知およびthe b 5物件の取り組みを説明します。先ずはOMO7高知です。2024年6月にリブランドオープンしておりますが、投資スキームとして投資法人が実行したリブランド投資額の相当額を、賃借人であるスポンサーが敷金として差し入れるという手法を取っておりました。今回この敷金をスポンサーに返還すると同時に、同投資額を前提とした利回りを満たすための新賃料設計への変更合意を致しました。
本物件の売上推移が計画通りであることが前頁の経緯に記載しております通り、本物件が全体取引を実現するための一つのピースとして活用可能なものである、という判断に繋がりました。但し、リブランド直後であり、足元の業績が振れるリスクは存在します。よって安定稼働が期待できるまでの5年間を割増固定賃料期間とすることで、このリスクを排除することに致しました。続いて右側、the b 5物件です。先ず、the b 4物件の賃借人を星野リゾートからイシンに変更することで、賃料設計を業績参照からリアルタイム反映に変更致しました。
主に東京物件において、過去よりも現在の方が高い業績であるため、25期と26期において、この差分の賃料上昇が発生します。併せてthe b 浅草で規定されていた、ステップレントの賃料引き上げ時期を早期化することも合意しています。直近の運営実績は資料右下をご覧ください。
続いて19頁に、売却譲渡益の実現、並びに高利回り物件への資産入替に関して記載しております。界阿蘇を外部売却すると同時に、コンフォートイン新潟亀田をグリーンズより取得しております。詳細は資料をご覧ください。
直近のアクションについての説明は、以上とさせて頂き、20頁では大阪マーケットについてお話し致します。4月13日に開幕しております大阪万博ですが、その開幕直前までネガティブな報道が続いていたこともあり、観光市場、とりわけ宿泊市場にポジティブな影響を与えうるのかと、ご不安の投資家様もいらっしゃったかと思います。資料右側にグランドプリンスホテル大阪ベイ、OMO7大阪の足元の状況を記載しておりますが、万博開催以降、先々の予測も含め好調に推移しております。又、アンドルームス大阪本町、クインテッサホテル大阪心斎橋という、ほかの大阪物件も同様に好調であり、万博は、宿泊市場にポジティブな影響を与えていると断言して差し支えないと考えています。
万博が終わった後はどうなるのかと、そういう懸念を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここに記載されているような新たな魅力創出が大阪で予定されておりますし、流入インバウンドは、益々の増加が期待されています。確かに世界的なイベントである万博は、大きな特需であり、それが剥落する翌年は、その反動によって一時的に業績減少する可能性があるとは思います。しかしながら、中長期的に考えればここが業績のピークなのではなく、まだまだ成長を続ける余地が存在すると私は考えています。
続いて21頁、ブランド別運営実績サマリーです。星野リゾート運営物件の合計で、一昨年比18%のRevPAR成長、前年比で6.9%の成長となり、好調に推移しています。1点、リゾナーレ2物件のみ前年比でマイナス成長となっています。これは競合物件の出現により、ADRに下落圧力がかかってしまったことが要因です。現在、新たな魅力を創出し、価格競争から脱するための戦略を検討しておりまして、随時実行して参る予定でございます。右側が外部物件です。一昨年比、前年比ともに好調な推移となっております。24年6月から25年3月まで、グランドプリンスホテル大阪ベイで長期的な売り止めを伴う、大規模改装を実施していたことを加味すれば、非常に高い成長であったと評価できると考えています。
続いて22頁でインバウンド比率を紹介しています。全体的にインバウンド比率が上昇してきていることをご理解頂けると思います。星の運営物件においては、ここを更に上昇させることが可能だと考えております。
次の23頁でその具体的施策について説明します。目的は認知度と自社予約比率の向上をしていくことであり、基本的には国内で成功しているブランド戦略を、海外でも展開していくということが重要だと考えております。下段の表の通り、効果が数字として出てきている物件もございますし、会社全体としてもインバウンドの売上が増加してきております。詳細は 資料をご覧ください。
それでは続いて24頁、不動産鑑定評価等サマリーでございます。ご覧の通り、不動産鑑定評価等は、好調な運営実績や足元の需要回復を反映して、全体的に上昇しております。詳しい説明については割愛させて頂きます。
<経営企画本部長 兼 財務経理本部長 蕪木 貴裕>
ここからは私 歌舞伎が財務の状況についてご説明させて頂きます。
25頁をご覧ください。先ず足元の外部環境ですが、日銀のマイナス金利の解除および政策金利の引き上げにより、市場金利が上昇傾向にあります。左上のグラフにある通り、本投資法人の借入にかかる平均金利も上昇しております。今後につきましては、米国の関税政策の動向などにより、金利が不安定に推移する可能性もありますが、金利上昇が続くものと見込んでおります。内部環境と致しましては、長期固定化により金利変動リスクを抑え、安定性を重視した内部運営を実施してまいりました。
このような環境を踏まえて、主に3つの方針で取り組みを進めてまいります。1つ目は、長期固定化を基本としながらも、金利上昇によるコスト増を抑制するため、借入期間の短期化や変動金利の活用も検討してきます。2つ目は、サステナブルファイナンスの取り組みにより、金利コストの低減にも継続して努めてまいります。3つ目は、金利上昇への耐性を高め、リファイナンスリスクも最小限にするため、引き続き借入金の返済期限の分散を進めてまいります。
26頁をご覧ください。直近の財務ハイライトを紹介します。レンダーフォーメーションについては、引き続きメガバンクおよびDBJより全体の8割超のシェアを維持しており、安定的なバンクフォーメーションを構築しております。今年の4月のリファイナンスにおいては、レンダーフォーメーションの更なる強化を目的として、新たに三井住友信託銀行を招聘しました。このように安定したバンクフォーメーションの構築に努めてきた結果として、今年5月のコミットラインの更新時には、極度額を従来の60億円から30億円と減額しました。
これにより融資関連費用の削減を実現しております。LTV水準については、総資産ベース、時価ベースのいずれにおいても40%以下でコントロールしており、財務の健全性を保ちつつ、物件取得の機動性も確保も確保しております。これらのように、金利上昇局面によるリスク管理や、財務基盤の安定化に向けた取り組みを着実に進めることで、将来的にはAA格の格付け取得を目指してまいります。
次に今後の運用戦略について説明していきます。
28頁をご覧ください。こちらは本投資法人の目指す姿です。引き続き資産規模3,000億円という中長期的な目標は持っていますが、調達に際しては、 原則P/NAV 1倍付近以上の公募増資を行う方針であることを改めて記載しました。分配金を向上させていくことで、増資できる環境というものを整えていきたいと考えております。
頁を一つ飛ばして30頁をご覧ください。星野リゾート運営比率は、現在49.4%となっております。又、本投資法人の特徴の一つとして、星野リゾートの賃借人割合が高いことが挙げられます。観光業界にとって未曾有の危機であったコロナ禍においても、賃料をしっかりと払い切ったクレジットと、本投資法人へのコミットメントがあると考えております。賃料の遅行性もあり分配金の回復は遅れていますが、累計で見ますと、他社比で遜色ない水準になっています。
次の31頁をご覧ください。いつもの本投資法人の基本戦略の頁です。今回のトピックスとしては、界草津の開発プロジェクトがDBJ共同ファンドに組み入れられたことです。国内屈指の温泉地である草津に、星野リゾートとして初進出になります。足元だけで言えば、取得環境は決して良いとは言えませんが、DBJ共同ファンドにあるパイプラインは、中長期に亘って本投資法人の成長に寄与し続けると考えております。
32頁をご覧下さい。いつもの通りパイプラインの一覧を示しております。取得可能性のあるものを簡易的に試算しますと、合計で約1,300億円のパイプラインがあります。足元の環境も踏まえ、取得については慎重に検討してまいりたいと考えております。
33頁をご覧下さい。星野リゾートの今後の開業予定を紹介しております。今回の新たなトピックとしては、星野リゾートとして6つ目のホテルブランド「LUCY」を立ち上げました。今年9月に第1号となるLUCY尾瀬鳩待を、群馬県尾瀬国立公園に開業します。LUCYのコンセプトは、心揺さぶる山ホテルです。今、インバウンド宿泊者の約7割が東京、大阪など僅か5都道府県に集中しています。その結果、一部の観光地では、オーバーツーリズムが深刻になっています。今後は豊かな環境を有する日本において、自然観光を強化していくことが、オーバーツーリズムの解消に重要であると星野リゾートでは考えています。
山ならではの感動体験が、より多くの人にとって身近なものとなるような宿泊の提供を通して、自然観光の振興に貢献していきたいと考えています。
<チーフ・サステナビリティ・オフィサー 菊池 昌枝>
それでは、サステナビリティの取り組みについて説明致します。
35頁では、新たに星野リゾートのサステナビリティ業務を統合したことで、不動産運用と施設運営の両面から、環境、社会課題に対応しつつ、持続可能な競争優位を保つ、サステナブルビジネスモデルの構築をするコンテンツを開発しております。不動産設備のみならず 運営面でのサステナビリティ活動をはじめ、短期と中長期で管理、進展させる取り組みを始めます。
36頁は本投資法人の特徴的な施設の紹介をしております。今期は、頁右下に持続可能な航空燃料、サフ(Sustainable Aviation Fuel)による脱炭素手法を取り上げて、観光、バリューチェーンに組み込み、移動と滞在の両面から排出削減を徐々に進めています。廃食用油を活用したサフの導入は、脱炭素と資源の循環の両面で意義があり、現在は本投資法人の4 物件が導入済みです。今後は、星野リゾート以外の物件にも展開し、ネットワークを活かしエコシステムの形成を進めていきます。
37頁は、2024年度の環境に対する取り組みの一覧です。環境パフォーマンスを、原単位とリサイクル率で把握した3年間の経緯ですが、エネルギー使用量が1.6%減少、それに伴いGHGの排出量も下がっています。又、グリーンリース契約が100%を達成したこと、そして、CDPは昨年気候変動部門で初参加を致しましたが、本年は水、セキュリティも加え、環境と財務情報を統合的に把握しています。他は記載の通りです。
38頁をご覧ください。気候変動対応に加え、社会的価値の創出は、企業の持続的な競争力を支える重要な要素です。信用、事業、規制のリスク回避と成長機会の両面から、中長期に亘り経営の安定と発展に貢献します。その観点で、いくつか紹介致します。先ず、紹介する取り組みは食に関するものです。宿泊施設は農畜水産物を多く消費しています。沖縄県の離島にある西表島ホテルでは、中長期に亘った循環型農業の確立を目指しています。
2024年4月に、ホテルの敷地内にてレストランから出た生ゴミの堆肥化を開始いたしましたが、今期の展開は、昨年11月に完熟堆肥が完成し、提携している農家様の畑に戻したのです。このように、着実に地域の農と食を循環させ、特産物をはじめ地域経済に貢献してまいります。次にグランドハイアット福岡では、COC認証を通じ水産物のサプライチェーン全体の透明性を確保し、ステークホルダーへの説明責任を果たしています。規模の大きいホテルだからこそ、ASC認証やMSC認証の採用を通じて環境配慮への姿勢を伝えられ、お客様との新しい共感が生まれています。食と一次産業の課題は、一朝一夕では解決できませんが、地道な取り組みの積み重ねが、日本の観光ビジネスにおける本質的な価値を育てると考えています。最後に、人事データは最新の情報に更新致しました。又、星野リゾートグループ機能の集約により、ホテルの運営と投資運用の知見を横断的に活用することで、課題解決のスピードを一層高めてまいります。業務の効率化やサービス品質の向上を通じて、中長期的な企業価値の向上に資する組織基盤の構築を進めてまいります。
<代表取締役社長 秋本 憲二>
以上でございます。ご清聴頂き有難うございました。引き続きどうぞ宜しくお願い致します。