投資法人みらい 2025年4月期決算概要

投資法人みらい
2025年4月期(第18期)決算動画説明書&質疑
○動画   https://www.net-presentations.com/3476/20250620/bziie8j4/
○説明資料 https://3476.jp/file/term-13037f9f34c5d19916b811891c711c8c3bf79c6d.pdf
〇質疑応答 https://3476.jp/file/term-ede2081acee8698ee58156e04d87a595c1b6fc78.pdf
○説明者 投資法人みらい 執行役員 兼
     三井物産・イデラパートナーズ株式会社 代表取締役社長 菅沼 通夫
〇説明
これより投資法人みらいの第18期決算説明を始めさせて頂きます。本日は第18期決算説明会資料のうち、冒頭のエグゼクティブサマリーを説明した後、Section1. 運用ハイライトの内容に沿って説明させて頂きます。第18期においては、金利上昇とインフレ継続が重なり、J-REIT市場は引き続き不安定なマーケット動向となりました。こうした市況の中でも、みらいは、物件入替を通じてポートフォリオの質を高め、全体として収益力の向上を実現致しました。

最終的には、2月の物件入替に伴う業績上方修正の後においても、変動賃料ホテルの収益改善が継続したことから、当初業績予想を大きく上回る分配金を、投資主の皆様にお渡しできる結果となりました。尚、物件入替の対象として売却致しました、奈良の商業施設ミ・ナーラは、ポートフォリオ全体の利回りを大きく下回る状況が長期間続き、売却に際しては、大きな売却損を計上することとなりましたこと、お詫び申し上げます。売却損の計上とはなりましたが、同物件運用において得られた知識・経験は、今後の物件取得と運用に生かしてまいりたいと思います。

それでは説明に入らせて頂きます。先ず1頁目、エグゼクティブサマリーをご覧ください 。第18期の一口当たり分配金は、当初業績予想を147円上余る1,357円となりました。又、一口当たりNAVは53,560円となり、前期比で1,150円増加しております。外部成長の観点では、J-REIT市況の不安定な状況が継続していたことから、公募増資による無理な資産規模拡大は見送り、ミ・ナーラ売却を含む資産入替を通じて、収益性の向上と含み益の実現による分配金の向上に注力致しました。

ミ・ナーラ売却に伴う譲渡損は、渋谷ワールドイーストビルの譲渡益で打ち消し、将来的な内部成長が期待できる中規模オフィス2物件と、高い収益性を持つ商業施設底地を取得することで、ポートフォリオの収益強化を図りました。ポートフォリオマネジメントにおいては、特にホテルアセットにおける全体収益引き上げが大きく、変動賃料物件の大半が、取得以来の最高賃料を更新する結果となりました。財務面では、基準金利の上昇により、平均調達金利は0.82%へと上昇しましたが、引き続きレンダー様からは熱い支援を頂いており、今後もリスクとコストのバランスを考慮した堅実な財務運営を継続してまいります。このような安定した税務運営が評価され、JCRによる格付けが、AA-に引き上げられました。

これ以降は、資料のSection1. 運用ハイライトに沿って説明させて頂きます。先ずは中期経営計画2025の達成状況です。4頁をご覧ください。
2022年6月に、みらい中期経営計画2025を策定して以来、堅守・共攻を掲げ、3つの定量目標の達成に取り組んでまいりました。本頁は、その結果を総括しております。一口当たり分配金は、中経期間中に一度の公募増資を実施したほか、物件入替による譲渡益計上、並びに内部成長の成果が相俟って、第18期は1,357円となり、目標の1,300円を上回る結果となりました。一口当たりNAVについても、物件入替および内部成長の成果としての鑑定評価額アップにより、53,560円となり、目標の53,000円を超える結果となりました。一方で資産規模については、2023年11月の公募増資に資産規模拡大を実現しましたが、それ以降は無理な外部成長は行わない方針を取りましたことで、期末時点での資産規模は、1,779億円と唯一未達となりました。このように、2つの重要な定量目標を達成できたことを一つの区切りとし、2025年末を待たずに新たな中期経営計画を策定、発表させて頂きます。

5頁をご覧ください。新しい中期経営計画の定量目標は、次の頁で説明致しますが、最も重要な目標と位置付けますのが、年率2%以上の分配金成長です。ここではこの目標達成の蓋然性を説明致します。コロナ禍後のみらいの巡航分配金推移は、第16期の公募増資による外部成長効果、そしてホテルを中心とする内部成長効果により、過去2年間で+9.2%、年率では+4.6%の成長を実現しております。足元のマーケットを鑑みますと、当面は公募増資による外部成長が期待しにくい状況ですが、ホテルとオフィスの内部成長は、引き続き 期待できるマーケットですので、年率2%以上の成長は十分に達成可能な水準と考えております。

ここからは、今回新たに設定します中期経営計画を説明致します。6頁をご覧ください。新しい中経のコンセプトは、市場環境を注視しながら次の成長に備えて賢く守るという点は、前中経から踏襲し、一方の攻めの部分については、長期安定的な成長に挑戦することを明確化するために成長をテーマにおきました。定量目標としては、先ず分配金目標として、先ほど説明しました通り、年率2%以上の成長を置き、第18期の巡航分配金1,254円を起点に、3年後の第24期までに1,350円を目指します。資産規模については、2,500億円を中期的な目標とします。資本市場が回復するまでの間は、資産入替を通じたポートフォリオの質的向上に注力しますが、市場環境が改善したタイミングでは、公募増資による資産規模拡大も検討してまいります。尚、この目標は、他の2つの目標と異なり、達成期限を設けることなく中長期で達成を目指していきます。又、金利動向が注目される中で、信用格付の維持向上についても目標とします。今年3月には JCRよりAA-への格上げを受けておりますが、今後もこの格付けを維持しつつ、R&Iからの格付けでは A+を目指してまいります。

7頁をご覧ください。この頁ではみらいの資産サイド、負債サイド、そしてエクイティサイド夫々について、新中期経営計画達成に向けた当面の取り組みを説明致します。先ず資産サイドにおいては、引き続き賃料アップサイドの最大化に注力してまいります。ホテルを中心とする変動賃料契約と、オフィスを中心とする残存2年以内の賃料契約の割合が、実績賃料ベース55.5%と過半を占めており、これらの契約から見込まれる賃料上昇分を、確実に取り込んでいく方針です。又、資産入替を通じた収益性の改善にも注力してまいります。費用面においては、みらいの強みであるアセットマネジメント力を最大限に発揮し、インフレ環境下でもコスト競争力の強化を推進してまいります。

次に負債サイドでは、借入の平均残存期間は3.3年と、資産サイドの平均残存賃貸借期間6.0年を下回っていますが、金利変動の影響を受けやすい変動金利と、残存期間が2年以内の借入の合計額の割合が負債全体の43%、一方で資産サイドの変動契約と残存2年以内契約の割合が55.5%ですので、賃料のアップサイドを実現することで、金利上昇には対応が可能なバランスであることがご理解頂けるかと存じます。最後にエクイティサイドでは、繰り返しになりますが、資本市場の回復までは公募増資による資金調達は控え、引き続き運用物件の収益改善を通じた含み益拡大と、NAVの向上に努めるとともに、物件入替による 含み益の確保を進めていく所存です。

8頁をご覧ください。こちらの頁では、年率2%以上の分配金成長の実現可能性を示すため、寄与する各要素のポテンシャルを具体的に示しております。外部成長では、収益性の高い約170億円のパイプラインを活用した物件入替と、レバレッジ活用による物件取得を通じての押し上げ効果が期待できます。内部成長では、コロナ禍前の賃料に回復していない変動賃料ホテルの回復や、大規模オフィスのレントギャップ解消による押し上げ効果が期待できます。一方財務面では、基準金利の上昇による借入コスト増加は避けられませんが、外部成長効果と内部成長効果、更には資本政策としての自己投資口取得や、内部留保活用もメニューにありますので、年率2%以上の成長は十分に達成可能と考えております。

9頁をご覧ください。この頁では、先ほど説明致しました金利上昇によるダウンサイド リスクを、賃料上昇による収益アップでカバーできるポートフォリオであることを、詳細に説明しております。

ここからは外部成長戦略について説明致します。
10頁をご覧下さい。外部成長戦略としては、引き続き金利上昇やインフレによるコスト増を凌駕する、リターンを上げられるポートフォリオ構築を追求していきます。特に注目しておりますのが、当面の底堅い需要により、空室率低下と賃料上昇が期待されるオフィスセクターで、新規供給動向やレントギャップを検討ポイントとしつつ、特に幅広い点と需要が期待できる中規模オフィスを取得していきます。

又、インバウンド需要の拡大や、経常的な出張需要が期待できる宿泊特化型ホテルにも引き続き注目しており、変動賃料や契約更改条項のある物件、更さらには多用途からのコンバージョンも検討してまいります。尚、ホテル物件検討に際しては、イデラキャピタルの子会社であるホテルオペレーター、コートホテルとの協業も継続してまいります。このような戦略を実行することで、アップサイド余地のある契約の割合を50%台中盤で維持しながら、金利上昇およびインフレに対応可能なポートフォリオを構築していきます。

11頁をご覧ください。第18期には、収益性が長期間低迷していたミ・ナーラを、渋谷ワールドイーストビルとともに売却、一方で将来的なアップサイドが期待できるオフィス2物件と、商業施設の底地を取得しました。結果として、入替後の収益性を大きく改善させるとともに、譲渡益を投資家の皆様に還元できる堅守・共攻の中経テーマに即した取引となりました。
12頁をご覧ください。現在4物件、合計約170億円のパイプラインを有しております。内訳としては、東京、南関東、九州の宿泊特化型ホテル3物件および東京のインダストリアル 物件で構成されています。キャッシュフロー特性としては、真ん中のパイチャートの通り、全体の57.1%が変動賃料物件であり、残る固定賃料物件においても、約35%相当の物件は一定期間経過後の増額条項を有する物件であり、インフレ、金利上昇の環境下においても 収益性改善が期待できる物件群であります。

13頁をご覧下さい。こちらでは、みらいの主なアセットであるオフィス、商業施設、ホテル、夫々の市場見通しを示しております。先ずオフィスですが、東京都心部では新規供給があるものの、企業による立地改善や拡張ニーズが下支えとなり、空室の消化が進んでいます。更にこの需要は周辺エリアにも波及し、空室率が改善しております。その他の地方都市圏でも、堅調な需要を背景に、空室率の低下や賃料の増額が見られております。続いて商業施設です。大都市圏プライムエリアでは、引き続き空室率改善と賃料増加が続いており、生活密着型施設を含めて、インフレの影響もあり、売上高は堅調に推移しております。ホテルでは、引き続き旺盛なインバウンド需要のほか、特に関西圏では、大阪関西万博関連の需要増加により、稼働率、宿泊単価が高水準となっております。更に建築コスト上昇により、ホテルの新規供給が限定的である状況が続いており、オペレーターチェンジ案件には、複数のオペレーターから興味を寄せられる状況が続いております。

14頁をご覧ください。ここからは、ポートフォリオのセクター毎の運営状況について説明致します。先ず大規模オフィス4物件ですが、左上の表の通り、いずれの物件ともに引き続き高い稼働率を維持しており、NOI も改善傾向にあります。大口テナントの一部退去が予定されております新宿イーストサイドスクエアでは、退去区画全ての入居が確定しており、テナント入替による賃料アップも見込まれております。尚、昨今、報道等では、湾岸エリアのオフィス稼働率が話題に上がりますが、都心部の空き床が枯渇しつつある状況下、湾岸エリアを含めた都内周辺部への需要染み出しが見られており、それを裏付けるように、頁右側の中段と下段のグラフの通り、湾岸エリアの空室率改善と募集賃料改善が進みつつあります。

15頁をご覧ください。続いて中規模オフィスの状況です。総じて高稼働を維持しながら、既存契約の更改やテナント入替のタイミングで賃料増額を実現しており、第18期中の契約更改では平均して9.6%の賃料は増額となり、頁右下のグラフの通り、NOIも堅調に推移しております。

16頁をご覧ください。続きまして商業施設です。第18期にミ・ナーラと渋谷ワールドイーストビルを譲渡したことにより、頁右下のグラフの通り、商業施設セクターの稼働率が改善しております。個別物件のトピックスとしては、売上連動賃料が設定されております、青山の結婚式場THINGS青山とイオン葛西店では、いずれも設定基準を上回る売上計上に伴い、変動賃料が発生しております。又、MIキューブ心斎橋では、エリア繁華性向上もあり、増額更改が実現しております。

17頁をご覧ください。ホテルは、引き続き高いパフォーマンスを見せております。頁左側の表にて、みらいのホテル物件を賃料形態およびキャッシュフロー 特性別に分類しています。昨年3月に大阪、京都2物件のオペレーター変更に際して、変動賃料契約を導入したことに続いて、今期はダイワロイネット秋田のオペレーター変更に際して、アップサイド条項のある契約を導入、2027 年末までに契約期限が到来します固定賃料3物件についても、変動賃料導入を目指してまいります。これら取り組みに加え、拡大するインバウンド需要による稼働押上げもあり、頁右側のグラフの通り、継続保有物件の賃料、NOIともに拡大基調にあります。

次の18頁では、変動賃料ホテルのパフォーマンスを示しております。左側中下段のグラフの通り、大阪と京都の変動賃料導入後の収益改善効果が著しいこと、更には右上のグラフの通り、変動賃料の総額が着実に伸びていることがご確認頂けます。尚、稼働回復が遅れておりましたスマイルホテル那覇については、この4月のRevPARが2019年水準まで回復、今年の夏ダイヤでは、那覇空港国際線の便数がコロナ禍前を上回ること、更には7月の沖縄最大級のテーマパークジャングリアのオープンや、2026年の首里城の再建が予定されており、経常的にコロナ水準を上回ることが期待されております。

次の19頁では、変動ホテル5物件について、第18期のRevPAR実績とコロナ禍前実績、或いは当初業績予想との比較を示ししております。コロナ禍前と比較可能な3物件合計の、
第18期RevPAR実績は+12.9%で推移しており、特にスマイルホテル博多駅前の好調さが際立っております。昨年3月に変動賃料に移行した大阪、京都については、第18期 当初予想を上回る結果となり 特にスマイルホテル大阪の好調さが確認頂けます。

20頁をご覧ください。左側の財務ハイライトの通り、金融機関の皆様のご支援により、平均調達期間は6.9年、平均調達金利0.82%と、引き続き有利な資金調達が実現できています。LTVについては、総資産ベースで48.8%、鑑定ベースで44.5%であり、今後も総資産LTVの上限を50%として運営していく方針です。尚、借入全体に占める固定金利の比率は85.9%ですが、金利動向を注視しつつ、変動金利の割合は柔軟に考えていきたいと思います。第18期中には、JCRの格付がAA-へと1段階格上げされました。これは、みらいの安定運営が高く評価された結果であり、引き続き健全な財務体制の維持向上に努めてまいります。

24頁をご覧ください。最後に第19期、第20期の分配金予想を説明させて頂きます。第19期は、物件入替による増収効果があるものの、譲渡益の剥落やホテルの季節性の影響による賃料減少、そしてダイワロイネットホテル秋田のオペレーター変更に伴う、一過性の修繕費を増加等があり、前回予想と同額の1,215円を予想しております。第20期は、品川パークタワーや川崎テックセンターの、テナント退去による賃料減少が見込まれておりますが、一過性の修繕費減少や、ホテルの季節性の影響による賃料アップが見込まれておることから、2,260円への増配を見込んでおります。

尚、第19期、20期ともに、新中経にて配当成長目標を設定しておりますので、先に説明致しました通りの各種施策を講じることで、更なる配当金アップを目指してまいります。
以上が第18期決算説明となります。第18期には、ミ・ナーラの売却を含む物件入替により、売却益の実現とポートフォリオの収益性改善を進めました。セクター別では、オフィスセクターでは高い稼働率を維持しながら、特に中規模オフィスで着実に賃料引き上げを実現、商業セクターでは、売上連動の変動賃料の収受、そしてホテルセクターでは、引き続き 旺盛なインバウンド需要による、変動賃料型物件での収益拡大が実現しています。

今後とも、内部成長機会のあるパイプラインを活用した、ポートフォリオの収益性改善とインフレ対応の強化、そして既存物件の内部成長の継続を両軸として、投資主の皆様の利益となるよう、運用会社従業員一同注力してまいります。投資家の皆様、そして関係者の皆様におかれましては引き続きのご支援を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
本日はご清聴頂きまして誠に有難うございました。