GLP投資法人 2025年2月期決算概要
GLP投資法人
2025年2月期(第26期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/3281/20250415/yjfnuy56/
○説明資料
https://www.glpjreit.com/file/ir_library_term-3458e060be6d2f8bab9a718808ec0511b5a4db55.pdf
○説明者 GLP投資法人 執行役員 兼
GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 川辻 佑馬
〇説明
GLP投資法人の第26期(2025年2月期)の決算概要および今後の運用方針について説明します。本日は資料2頁の目次に沿って、第1章の運用ハイライトから5章の物流不動産マーケットまで説明します。
先ず、今回の決算に受ける運用ハイライトについて 4頁をご覧ください。本年 3月にGLP 投資法人の資産運用会社であるGLPジャパン・アドバイザーズは、新スポンサーグループであるアレス・マネージメント・コーポレーションの一員となっております。昨年10月の案件発表当時から説明している通り、本件に伴う本投資法人の運用方針や資産運用会社における運用体制の変更はありません。
一方、新スポンサーグループの有するグローバルな投資家ネットワークや、物流不動産に関する知見を生かし、投資主価値の向上に繋げてまいります。GLP投資法人の経営状況ですが、一口当たり分配金は、過去最高の3,434円となりました。前回の決算時に発表した経営指標については、2025年中の早期達成を目指しています。基本政策については、これまで市況サイクルを見極めながら取り組みを実施してきましたが、現在の局面においては、先般打ち出した年間200億円規模の物件売却を中心に、ポートフォリオを強化しながら投資主還元、継続的な自己投資口取得を通じた資本効率の改善を図っていく方針です。
又、この1年間投資家や関係者の皆様と意見交換してきましたが、今のインフレ環境において、リートが成長を実現できるかが大きな関心事であると感じています。GLP 投資法人は、インフレに対応した競争力のあるポートフォリオの運営により、実績として金利コストを考慮後で年間1.3%の利益成長を実現しており、今後も内部成長を中心に、年間2%以上の成長を目指します。物流不動産マーケットについては、今後 供給が減少していく一方、堅調な需要が継続しており、マーケットのファンダメンタルは改善すると想定しています。夫々次頁以降でより詳細を説明します。
先ず、新スポンサーグループについて説明します。6頁をご覧ください。本投資法人の新スポンサーグループであるアレス・マネージメント・コーポレーションは、運用資産残高 5,270億ドルを誇る世界有数のオルタナティブ資産運用会社で、ニューヨーク証券取引所の上場会社です。1,250人以上の投資プロフェッショナルが在籍しており、全世界に50以上の拠点があります。不動産、プライベートエクイティー、クレジットなど多岐にわたる分野で強みを持っています。新スポンサーグループの長期にわたる運用実績とネットワークは、本投資法人の成長に大きく寄与するものと期待しています。
GLP投資法人の具体的なメリットについて7頁をご覧ください。新スポンサーグループは、物流不動産分野で世界第3位の規模を有しており、グローバルな情報力、データ分析力、マーケットへの知見は、本投資法人の投資判断にも資するものと考えています。加えて、幅広いテナントとのネットワークを活用し、世界各国で事業を行っているクレジットの高い物流事業者との関係も、より深められると期待しています。又、公募、私募の両市場において、広範な投資家ネットワークを有しており、これが本投資法人の投資口の流動性向上、および投資家層の拡大に貢献すると期待しています。そして、金融機関との関係については、グローバルなシステム上重要な銀行に指定されている29行、全てにリレーションがあり、より強固な投資法人のバランスシート構築および不動産市況を通じて、効率的な資金調達が可能になると考えています。
続いて2025年2月期実績および来期以降の予想値について説明致します。9頁をご覧ください。2025年2月期の分配金実績は過去最大の3,434円と、当初予想比で28.8%の大幅な 上振れとなりました。NOIは当社予想比で2.6%と大きく上振れした211.7億円となり、稼働率は99%を上回る水準を維持しています。
25年2月期、分配金実績の内訳について10頁をご覧ください。GLP郡山1、GLP奈良売却による利益に加えて、堅調な賃料改定による内部成長、自己投資口の取得、財務コストの抑制など多面的な運用成果により、過去最高となる3,434円を達成しています。
続けて11頁ですが、2025年2月期のリーシング状況としては、契約満期更改で5.2%、それに加えて、本投資法人の強みである、契約期間中のCPI連動による賃料増額によって5.3%と、着実な賃料成長を実現しました。
次に来期以降の予想概要について12頁をご覧ください。25年8月期の一口当たり分配金は、3,255 円へ上方修正しました。これは、継続的な物件売却方針を踏まえて、予想物件売却益を盛り込んだものです。26年2月期も、同様に物件売却益を組み入れ 3,100円の分配金を予想しております。有利子負債比率についての指標であるLTVについては、鑑定価格ベースの数字も併記しており、35%程度を想定しています。
予想分配金の内訳について13頁をご覧ください。
予想物件売却益を、25年8月期では472円、26年2月期では418円、合計約900円を見込んでおります。これは、本投資法人のポートフォリオ全体の含み益率である約37%をベースとした金額であり、鑑定評価を上回る金額での売却ではアップサイド も見込めます。加えて、内部成長、昨年実施済みの自己投資口取得の効果も加味して予想値を更新しています。
14頁で25年8月期のリーシング状況を纏めていますが、ポートフォリオ全体の、8%強の面積を占める 29万平㎡の改定契約で、7%超の賃料上昇を予想していて、CPI連動条項により、追加で15契約、20万㎡分の契約についても7%超の賃料上昇を見込んでいます。
このあとの第4章では、本投資法人の投資口価格の回復に向けた施策について説明します。
先ず、16頁をご覧ください。本頁では、GLP投資法人の運用方針を示しています。本投資法人は、国内トップクラスの物流不動産の開発運営力とファンドマネジメント力を生かして、投資主価値の最大化に向けた施策を実施しています。円のサイクルで示している通り、GLP投資法人の運用は、左上の競争力のある物件を取得するところからスタートします。ネットワークを活用し、スポンサーのみならず第三者開発物件の取得も含めて、上場来で100件以上の物件を取得し、取得した物件は右上にある通り、物流不動産への専門的な知見を持つチームと協力して運営することで、物件の価値向上を進め、長期保有するものは実績NOIを平均で10% 高めてきました。
そして物件によっては、右下にある通り最適なタイミングでの物件売却や再開発を行い、売却益に関しては、投資家に継続的に還元してきました。物件売却にて得られた資金は、市場環境を踏まえて、新たな物件取得だけではなく、J-REIT市場最大規模だった昨年の自己投資口取得も含めた、適切なキャピタルアロケーションを実施しております。この運用方針に乗っ取り、今後も市場環境に対応した柔軟な取り組みを継続します。今述べた運営方針によって経営目標も着実に進捗しています。
17頁目をご覧ください。25年2月の年間分配金の実績は6,592円となり、今後も継続的な物件売却や自己投資口取得により、前期に掲げた7,000円の分配金目標を、前倒して2025年内に達成することを目指しています。目標達成後も内部成長を中心に、年間で2%以上の成長を狙っています。一口当たりNAVについては、物件売却による含み益顕在化を行いながらも、物件価値向上により着実に成長を目指します。
GLP 投資法人の投資口価格について18頁をご覧下さい。本投資法人の投資価格は、昨日時点で124,200円、NAV倍率は0.8倍程度の水準ですが、我々としては、継続的な物件売却益還元やインフレ環境での内部成長力が盛り込まれることによる、投資口のアップサイド余地が十分にあると考えています。次頁以降で、改めて物件売却益計上の蓋然性と内部成長力についてご説明します。
先ず、19頁目をご覧ください。これまで10期連続に亘る売却と売却益計上を実現してきましたが、前期打ち出した通り、今後も年間200億円規模の売却を継続し、年間50億円以上の売却益を還元する方針です。継続した物件売却を実現可能としているのは、1つには、物流不動産に特化したオペレーション力により、保有物件のNOIや鑑定評価額を着実に成長させてきた実績があり、物件価値を持続的に向上させることができること。2つ目として、物流J-REIT最多の保有物件を有しているため、物件売却の対象となる物件規模についても潤沢にあることによります。売却益を活用した分配金の押上げに加えて、売却物件の簿価 部分も、自己投資口取得などに活用することで、資本効率を更に高めます。
続いて内部成長力について 20頁をご覧ください。ここ数年のインフレ下において、本投資法人のポートフォリオは、2023年8月期の期初から継続保有する物件で比較した場合、金利コストの上昇を上回るNOIの成長を継続して実現しており、実績として内部成長のみで、年間1.3%の利益成長を実現しています。右側に、今後の各期の賃料上昇率と金利コストのシミュレーションを示していますが、内部成長とデットマネージメントによって、内部成長だけでも着実に成長を実現できるポートフォリオを構築しており、この数字を高めていくことを目指しています。
この内部成長を実現できるポートフォリオの詳細を、次頁に示しています。GLP投資法人が保有する物件が立地するエリアは、マーケット賃料自体も過去2年間で3.2%上昇してきていますが、本投資法人は、そのマーケット賃料成長を更に上回る 3.6%の賃料成長を実現しています。マーケット成長を上回る賃料成長を、今後も継続できると考えていますが、それは右側のチャートで示している通り、全リース契約のうち、90%以上がCPI連動条項などを含むインフレに対応した契約となっており、これにより、インフレ条項も含めた賃料改定までの期間を示す修正WALEが2.8年と、賃料改定機会が当期に訪れるためです。有利子負債の借換えタイミングを示すWADEと比較をしても、堅調なポートフォリオを構築していることが本投資法人の強みです。
有利子負債について22頁をご覧ください。現在の金利上昇局面におけるコスト抑制策として、先ほど申し上げた我々の2.8年という修正WALEを踏まえると、柔軟なデット戦略を取ることができ、有利子負債の年限の短縮化も含めて検討することで、短期的なデットコスト抑制を検討しています。又、金利が増加している中、配当の原資として数ヶ月滞留している資金については、定期預金を活用して金利収入を得るなど、アクティブなファイナンスマネジメントを実施し、金利コスト上昇の抑制を図ってまいります。
外部成長については23頁をご覧ください。ブリッジスキームを活用することで、柔軟なタイミングでの物件取得を可能としており、現在は、ALFALINK茨城2など、最新鋭の物流施設を含む7物件の優先交渉権を保有しています。これらの物件は、全て稼働率100%であり、今後の適切なタイミングでの外部成長を支える基盤となっています。ここまでが本投資法人の今後の取り組み方針となります。
最後に、物流不動産マーケットの見通しについて説明します。25頁をご覧ください。頁上段、首都圏の供給は減少傾向で推移しており、2025年の供給は、2023年のピークと比べると50%程度で、需給バランスの改善が見込まれています。又、本年は、供給以上の需要が 予想されています。関西圏では、今年供給のピークを迎えるものの、需要面も過去最大規模と予測されており、来年以降は供給量が再び減少し、空室率は低水準で推移する見込みです。
今後の供給見通しの背景として26頁をご覧ください。左のグラフで示している通り、ここ数年大幅な建築費の高騰があり、物流不動産の開発計画にも影響を及ぼしてきました。その影響もあり、物流不動産の用地取引面積は、全国では2022年、首都圏でも2021年がピークとなり減少してきております。これを背景に、今後の供給は減少していくと考えています。
27頁では、首都圏マーケットにおける空室の実態について示しています。首都圏においては、圏央道および神奈川湾岸エリアといった一部の地域で、竣工から1年以上経過しても、空室率が50%を上回る低稼働率エリアが顕在化しています。左側のマップのグレーの部分が低低稼働率エリアですが、本投資法人の首都圏の保有物件のうち、97%は低稼働率エリア外に位置しており、競争力のあるポートフォリオを構築しています。この低稼働率エリアの空室率を除くと、首都圏の空室率の実態は、右のグラフにある通り約6%程度にとどまります。今後の供給全体は、過去3年の平均需要量と比較して限定的であり、低稼働率エリアを除いた首都圏の実質的な空室率は改善していくと想定しています。
28頁では需要サイドの状況を示しています。日本の物流不動産マーケットにおける需要は、3PL企業、EC事業者に関連した需要が主であり、この両社からの需要は安定して推移しています。特に3PLにおいては、需要全体の60%程度を継続的に占めております。これらの3PL企業は、2024年問題などを背景に、オペレーションの最適化が求められる中で、右のグラフにある通り事業規模は拡大基調です。又、営業利益率も改善していることから、コスト転嫁も進んでいると考えられ、賃料が上昇している現在のマーケット環境においても、堅調な需要が継続すると考えています。
本日の私からの説明は以上となります。最後に、足元では不透明な関税政策なども相俟って、マーケットのボラティリティが大きい状況ですが、本投資法人としては、事業環境に適応しながら、持続的に投資主へ価値提供できるよう運営を行ってまいりますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。有難うございました。