ヒューリックリート投資法人 2025年2月期決算概要
ヒューリックリート投資法人
2025年2月期(第22期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.net-presentations.com/3295/20250417/srhehre342/
○説明資料
https://www.hulic-reit.co.jp/file/top-007ee87599a8e556bbc2dfaefb42c91deca5d110.pdf
〇質疑応答
https://www.hulic-reit.co.jp/file/news-4f20a3991537c88b77ae88057d9bb483c9cf486e.pdf
○説明者 ヒューリックリート投資法人 執行役員 兼
ヒューリックリートマネジメント株式会社 代表取締役社長 一寸木 和朗
〇説明
ヒューリックリート投資法人の第22期(2025年2月期)決算について報告申し上げます。資料4頁のエグゼクティブサマリーに、今回の決算発表のポイントを纏めています。1点目は、昨年12月に実施した成長性向上、インフレ耐性強化のための大規模な資産入替です。固定賃料で収益性低下が懸念される、ネットワークセンター等9物件の譲渡と、今後も成長が期待されるホテルの取得による入替です。2点目は、上記入替に伴う譲渡益等による投資主還元の強化です。
今回の譲渡予定も含む 9 物件の譲渡益により、DPU上乗せ額は総額2,340円を想定しています。調整後EPUの成長とともに、4期2年に亘り譲渡益を分配し、DPU4,000円以上の投資主還元を確保する方針です。3点目は内部成長の実現です。22期の取り組み成果として、賃料改定において約3,900 ㎡で平均9.6%の増額更改となり、テナント入替においても、約1,300 ㎡で平均15.6%の増額入替の成約実績となりました。これらの成果も踏まえ、現在取り組み中の、投資主還元強化2ヵ年計画の達成とともに、更に2ヵ年計画以降も還元 強化を継続するため、3つの基本施策を策定しました。具体的には、第1にポートフォリオの年平均3%の資産入替の継続、第2にNOIの年3%成長、第3に時価ベースLTVの余力活用となりますが 詳細は後ほど説明します。
5頁は投資主価値向上に向けた基本戦略です。本投資法人の運用にあたり、投資主価値向上は、投資口価格の上昇とDPUの向上から成り立つと位置付けています。これを実現するため、運用の改善と資本効率の向上を、成長戦略の両輪として推進していくこととしています。即ち、成長性向上に資する資産入替や内部成長による運用の改善を通じて、調整後EPUの向上を図りつつ、ポートフォリオの含み益実現による譲渡益の還元など、資本効率の向上 も含めてDPUの向上を実現しながら、投資口価格の上昇に繋げていくプロセスです。
6頁の投資主還元強化2ヵ年計画は、この基本戦略を具体的に実現するための当面の目標です。資本効率の向上の観点から、ポートフォリオの5%を超える規模の物件譲渡益により、4期2年に亘りDPU4,000円以上の還元強化を目指すものです。このDPU水準は、22期旧予想対比で+500円、14%超の増額率に相当する大幅な引き上げになります。又、調整後EPUベースでは、運用の改善として成長性向上に資するホテルへの入替により、内部成長も合わせ 26期3,550円を目指すものです。これは22期旧予想対比で、年率3%成長に相当し、DPU4,000円以上の実現を支えるものです。足元の進捗状況としては、24期新予想の調整後EPUは3461円、22期旧予想対比年間3.3%の増加に相当し、順調に推移する見通しです。又、今回公表した2期先の24期DPU予想も、4,000円水準を確保しています。こうした投資主還元レベルの維持・向上を、2ヵ年計画以降も継続的に目指すこととし、今回3つの基本施策に具体化しました。
7頁は3つの基本施策の概要です。第1に資産入替の継続的推進として、ポートフォリオの年平均3%の資産入替を目指します。これにより、ポートフォリオ全体の含み益合計の、3%相当の譲渡益実現により、期当たりのDPU換算で平均600円程度の投資主還元が見込まれます。この入替継続を前提とすれば、2ヵ年計画経過後の調整後EPUを3,550円水準と想定した場合、それ以降のDPU 4,000円以上の確保が見通せることとなります。コロナ禍以降の譲渡実績は、年平均でポートフォリオの3.5%に相当し、今後とも収益性の低下が懸念される物件等を中心に、実績並みの譲渡を継続していく想定です。第2にNOIの年平均3%成長です。成長性の期待できるアセットへの資産入替や、賃料・稼働両面からの内部成長を推進していきます。
そして第3に、NOI成長を支える財務レバレッジの余力活用です。現在、時価ベースLTVは40%弱ですが、45%までの取得余力は約567億円となっています。これらを前提とした場合の調整後EPUイメージですが、NOIの3%成長相当で、年間+160円程度、当面の金利上昇要因により年間-60円程度を想定すると、ネットで年間100円程度の成長が見込まれます。従って、NOIの3%成長により金利上昇影響等を吸収し、調整後EPUの成長も合わせて、継続的な投資主還元強化を目指していく方針です。
8頁はこうした成長施策を推進する上での、資本効率向上への取り組みです。都心好立地中心のポートフォリオの優位性を活かし、保有不動産の含み益を投資主還元強化に活用するとか、時価ベースLTVの余力として、物件取得や自己投資口取得などの施策を複合的に実施していくことが想定されます。その際、時々のマーケット環境等を踏まえ、中長期的な投資主価値向上に資する施策を実行していきます。又、物件取得においては、ポートフォリオの成長性向上とインフレ耐性強化を重視し、資本コストとしてインプライドキャッププレートを意識した取得判断を行います。自己投資口取得ついては、投資口価格水準やマーケット環境、投資主還元の実現状況等も踏まえて継続的に検討します。
こうした取り組みを投資主還元強化計画として実行し、DPUの向上と投資主価格の上昇の、好循環による成長を追求していく方針です。
9頁は前期の取り組みと投資口価格の推移です。昨年12月に資産入替と譲渡益の還元方針を公表後、本投資法人投資口価格は、東証リート指数を大きくOutperformしており、公表日終値を100として指数化すると、2月決算期末において10ポイント以上東証リート指数を上回りました。
11頁は分配金と調整後EPUの推移です。22期の資産の入替により、秋葉原の商業施設の譲渡で約12.9億円の譲渡益を計上するとともに、舞浜のホテル取得や内部成長等も期間収益に寄与する形となりました。その結果調整後EPUは、投資主還元強化計画の年率3%成長ペースを上回るとともに、DPUは、2期先の24期予想まで4,000円としました。又、圧縮積立の活用により、内部留保は24期末時点で一口当たり537円を見込んでいます。
12頁以降でEPUの増減要因について説明します。22 期のEPU実績については、昨年12月の舞浜と秋葉原の資産入替により、旧予想対比+725円、更に会議室収益や賃料増額等の内部成長、金利要因、諸費用の減少等により、予想比42円上振れました。上振れ分は、圧縮積立を増額することによりDPUは4,000円とし、期末の内部留保額は一口当たり481円となりました。22期以降4期に亘り計上する譲渡益は、期毎にばらつきがあるため、圧縮積立と取り崩しにより平準化を図ることとしています。
13 頁の23期の新予想については、千葉ネットワークセンターの譲渡益要因の増加、前期 取得した舞浜のホテルの通期寄与等の資産入替要因で+137円、オフィス賃料やホテル変動賃料の増加がダウンタイム影響をカバーし、内部成長要因で+63円、借入金利上昇等のコストアップ要因で-172円を想定しています。これに伴うEPUの上振れ分は、22期同様圧縮積立を増額し、DPU4,000円としています。24期予想については、譲渡益の減少を主因に入替要因で-297円、内部成長要因では、オフィス埋め戻しによるダウンタイム解消とホテル変動賃料の計上タイミングによるマイナス要因が見合う形となり、賃料増額等で+16円、コスト減少要因で+46円を見込んでいます。この結果、現時点では、90円の圧縮積立の取り崩しによりDPU4,000円とする想定です。
続きまして15頁以降は運用実績です。資産規模は、前期の資産入替において取得が先行したことより、22 期末では67 物件4,165億円となりましたが、ネットワークセンター全物件の譲渡完了後は3,974億円、簿価LTVで46%程度、時価LTVで39%程度を見込んでいます。
16頁は今回決算発表時点のポートフォリオ構成ですが、ネットワークセンター全物件の譲渡完了後の想定で、ホテルへの投資率は15.4%となり、運用ガイドライン上の概ね20%プラス・マイナス10ポイントのレンジ内となりました。
17頁は資産入替の実績です。コロナ禍以降、毎期資産入替を継続し、各期の取得額は、前期資産規模に対し年平均 7.3%相当、同じく譲渡額は3.5%相当の入替を実行してきました。これにより収益性やクオリティを高めながら、21期までの累計で譲渡益約50億円、DPU換算で約3,500円の含み益を実現し、投資主還元を高めています。
18頁は22期以降の入替として、舞浜のホテル取得と秋葉原の商業施設、ネットワークセンター8物件の譲渡です。24期、25期に譲渡を予定している7物件についても、スポンサーと譲渡の覚書を締結済みであり、各期の譲渡益等で、一口当たり449円、530円を想定しています。22期以降の譲渡によるDPU上乗せ額の合計は、約2,340円を見込んでいます。
19頁は22期取得資産の、グランドニッコー東京ベイ舞浜ホテルの概要です。本物件は東京ディズニーリゾートオフィシャルホテルとしての希少性から、来園ゲストの取り込みに優位性を有しています。海外ゲスト比率も急回復し、コロナ禍前の水準を昨年3月時点で越え、ADR上昇に寄与しているものと考えられます。賃貸借契約の形態は固定賃料とGOP 連動の変動賃料で構成されますが、NOI利回りにおける鑑定NOIは、過年度の収支実績と見込みを前提にしています。2024年通期実績はこれを上回っており、アップサイドが期待されます。
20頁はポートフォリオ戦略です。引き続きポートフォリオの入れ替えを継続し、今後年平均でポートフォリオの3%の譲渡・取得を目指します。取得物件は、成長性の期待できるホテルやオフィス等のアセットを中心とし、譲渡物件は固定賃料契約や資本的支出の増加が見込まれるなど、収益性の低下が懸念される物件を想定しています。資産入替を通じ、含み益の顕在化による還元強化や、圧縮積立によるDPUの安定化を図るとともに、ポートフォリオの質の向上やリスク低減を目指した交換の活用も検討していきます。
21頁以降で内部成長の実績について説明します。先ず、上段のオフィスの入退去状況ですが、22期は予想通りの入居実績となり、23期は神谷町ビル等で追加の退去発生が見込まれますが、23期、24期の早期リテナントを予定しています。下段の稼働率で見ますと、23期に一定のダウンタイムが発生しますが、24期には、22期とほぼ同水準の契約稼働率98.3%を見込んでいます。
22頁はオフィスの賃料動向です。資料左上のテナント入替における賃料増額率については、22期は15.6%に拡大し、23基も現時点で8.3%、増額面積も拡大しています。又、下段の賃料改定についても増額基調が継続しており、22期の増額率は、個別要因もあり9.6%に大きく増加し、23基も現時点で3.7%となっています。契約賃料がマーケットレンジ内、レンジ以上のテナントにおいても増額実績を上げています。
23頁は賃料ギャップと対応方針です。ポートフォリオ全体の賃料ギャップとしては、テナント賃料がマーケット賃料を上回っているものの、マーケット賃料の上昇とともにそのギャップは2.4%に縮小してきています。賃料上昇局面に入り、インフレ基調も定着していることから、賃料ギャップによらず積極的な賃料引き上げ交渉を展開しています。好立地の中規模ビルの優位性を背景に、マーケットレンジよりも低い区画およびレンジ内の区画について5から10%の賃料上昇を目指しています。
24頁は賃料増額の実績事例です。上段のテナント入替では、中野ビルの減床発生に際し、減床テナント自身の増賃と減床区画埋め戻しでの増賃により、トータル5%超の賃料増額とした事例や、虎ノ門ビルの退去発生に際し、館内増床移転による5%超の増賃による埋め戻しと、その後継テナントも、次なる館内増床で増賃が期待される事例など紹介しています。又、下段の賃料改定事例もより広範なエリアで 賃上げが実現しています。
続いて25頁はホテルの運営状況です。保有ホテルのパフォーマンスは、2023年以降コロナ禍前の実績の100のラインを着実に上回り、オレンジ線のRevPARは、22期平均で157まで上昇しています。21期、22期の変動賃料実績は 68百万円でしたが、23期、24期予想は602百万円を想定しています。これは既存保有ホテルのパフォーマンス改善に加え、舞浜のホテルの取得効果が上乗せとなったことによります。予想2期合計の変動賃料比率は、19.3%にまで上昇する見込みです。インバウンド客数は依然増加を続けており、今後も変動賃料増加が期待されますが、経済情勢の変化には留意してまいります。
続きまして26頁は財務の状況です。22期は足元の金融政策動向等を見極めながら、一部変動金利での借り換えにより調達金利の上昇を抑制しており、固定金利比率は88.8%となりました。1月の追加利上げ以降、長期金利は上昇気象をたどっていましたが、米国の関税政策発表後大幅に低下しながらも変動しており、日銀の利上げスタンスや金融資本市場の動向を注視していく必要があります。現時点では、そうした内外経済や金融情勢を見極めつつ、調達コストの抑制と金利上昇リスクを十分に考慮しながら運営してまいります。
27頁の鑑定評価については、ポートフォリオの含み益は、ホテル、オフィスを中心に賃料上昇等を反映し、前期末比30億円増加の777億円となりました。資料右上のキャップレートの変動は、ホテルの一部エリアで0.1%低下、有料老人ホームの一部物件の築年経過で0.1%上昇した以外、62 物件で横這いとなりました。内外投資家の不動産投資動向は引き続き堅調で、売買マーケットでの高値圏の取引が継続していますが、今後の経済動向等に留意しながら、継続的な資産入替による含み益の投資主還元を目指していきます。
29頁はESG対応ですが、GRESBのリアルエステイト評価で4-Starsを継続取得し、GHG排出量目標についてSBIiによる認定を取得しました。又、2023年からCDP気候変動プログラムに参加し、2024年は、Bスコアを取得するなど継続的な取り組みを行っています。
最後に、本日資料の6頁から7頁で説明しました通り、ポートフォリオの年平均3%規模の資産入替の継続など、3つの基本施策を推進し、投資主還元強化としてDPU4,000円以上の継続的な実現を目指すことにより、中長期的な投資主価値向上に取り組んでまいります。私からの説明は以上です。