日本ビルファンド投資法人 2023年12月期決算概要
日本ビルファンド投資法人
2023年12月期(第45期)決算動画説明書
○動画 https://www.irwebcasting.com/20240216/1/d21d329655/mov/main/index.html
○説明資料
https://www.nbf-m.com/file/ir_library_term-9e43096524ca970fc97939947187f2688ccf1197.pdf
○説明者 日本ビルファンドマネジメント株式会社
代表取締役社長 小野沢 英一郎
○説明
資料に従いまして報告させて頂きます。今回は1月に公表しました3回目の取得になります、豊洲ベイサイドクロスタワーでの開催とさせて頂きました。この物件は、上層階が三井ガーデンホテル、又、低層階のららぽーと豊洲から構成される複合開発ビルです。こちらの3階のエリアは、テナントにご利用頂ける会議室やフィットネスジムを兼ね備えておりますが、物件の紹介と合わせて、よろしければご覧頂ければと思います。それでは2023年12月期の決算の報告をさせて頂きます。
決算のハイライトですが、資料の3頁、当期の決算ハイライトをご覧ください。当期におきましては、11月に淀屋橋フレックスタワーとNBF上野ビルの交換、又、NBF千葉公園ビルの譲渡を完了致しております。又、期中の平均稼働率におきましては、前期の97.0%から97.4%へと着実に改善しております。決算の数字自体は、稼働率の向上や水道光熱費等のコストの回復もありまして、増収増益となっております。後ほど詳しく説明をさせて頂きますが、今回の決算の中でもお伝えしたいことは、前期同様、一番下の期中平均稼働率でございます。前回の説明会におきまして稼働率が97%台に回復し、更に、稼働率の維持向上に努めるというふうに説明いたしましたが、これに向けての各種努力を続けてまいりました。その成果が実りまして、当期の期中平均稼働率は97.4%と大きく改善致しました。又、業績予測の前提においても、97%台後半の稼働率が見通せる状況となっております。当期の一口当たりの分配金は、昨年8月に公表しました業績予想の通り11,500円としており、次期2024年6月期は12,500円、2024年10月期は12,000円と、12,000円台の予想と致しました。
続きまして5頁をご覧ください。2つの棒グラフは、NBFが投資価値の向上に向けて重要な指標と考えている一口当たりの分配金、および一口当たりのNAV(Net Asset Value)の直近3年間の推移を表しております。
次の 6頁以降で決算の実績を説明させていただきます。この頁では 各期の物件の移動状況を整理しております。当期も前期と同様物件の入り繰りがございますので、後ほどご確認ください。
次に7頁に当期の損益計算書を説明致します。比較損益計算書の赤枠の中が、当期2023年12月期の決算数字です。当期の営業収益は47,349百万円、前期比+318百万円、営業利益は20,767百万円、前期比+120百万円、当期純利益は19,513百万円、前期比+177百万円となりました。又、内部留保48百万円を取り崩し、分配金総額は19,561百万円、一口当たり分配金は11,500円。頁右側の増減要因の説明を致します。先ず、営業収益の318百万円の増収の内訳ですが、ベースとなる不動産賃貸収入は、230百万円の増収でした。内訳は、既存物件の205百万円の減収となった一方、昨年行いました物件の入替に伴い、賃料収入ベースでは436百万円の増収となっています。その他賃貸事業収益で255百万円の増収となっておりますが、こちらは解約金の計上と季節要因による水道光熱費収入も増加によるものです。
更に当期は、不動産等売却益を17億円計上しておりますが、前期比では-167百万円となっております。続いて営業費用192百万円の増加原因ですが、大きいものは物件取得に伴う建物管理費や修繕費等の増加。水道光熱費につきましては、前期をピークに低下傾向にありますが、一部区分所有の物件において水道光熱が建物管理費に計上される物件もございました。結果として、営業利益は前期比+126百万円となりました。既存物件におきましては、賃料収入が減少したものの、水道光熱費の削減によりカバーし、又、物件入替による外部成長も併せて前期比プラスとなっています。前期、当期とも譲渡益が発生しておりますので、少し分かりづらいところがありますが、ポートフォリオの入替により、既存物件の減益をカバーした決算となっております。
続いて 8頁で貸借対照表について簡単に説明致します。左側の比較貸借対照表の赤枠が当期末の数字になります。2023年12月末の資産合計は、前期末より3億円減少し、1兆3,856億円となりました。先ず、資産の部ですが、現預金は昨年11月の物件の譲渡により89億円の増加、固定資産は、2物件の取得および2件の譲渡、資本的支出48億円、減価償却費79億円の計上により、91億円減少しております。又、負債の部では有利子負債が20億円減少し、純資産の部では圧縮積立金が2億円減少して、その結果、物件譲渡および交換により固定資産が減少致しましたが、現預金が増加し、有利子負債が減少したB/Sになっております。
それではNBFの今後の運用方針について説明致します。11頁をご覧ください。NBFの運用方針につきましては、従前と変わらず、一口当たり分配金の安定成長主軸として運用しております。2024年は、不動産金融マーケットへの大きな環境の変化が予想される中、引き続き内部成長、外部成長を機動的かつ弾力的に行いながら、金融市場にも留意しつつNBFの質的、量的増進と拡大を通じ、一層の成長を図っていきたいと考えております。その中で、現在のマーケット認識とNBFの取りうる戦略を4つに分けて説明したいと思います。
先ず、賃貸マーケットの動向についてですが、前回の説明会でもお話しましたが、新型コロナの5類への移行後、日本企業の出社率の高さも分かるように、企業のオフィス回帰の動きが進んでおります。又、立地改善、新規雇用による増床等ハイスペックオフィスに対するテナントニーズは底堅い状況が続いております。特に昨年2023年は、東京都中心部における大量供給による影響が懸念されておりましたが、マーケット空室率そのものは改善しております。
一方で、価格帯やエリアによって、勝ち負けがはっきりしているのも事実であります。今後は賃料単価の増加が課題と考えておりますが、2025年の大量供給が待ち構えておりますので、注視は必要であると認識しております。その中でNBFの戦略として、稼働率優先のリーシングに努めた結果、当期の期中平均稼働率は97.4%と、稼働率の向上が実現でき、又、今回の業績予想でも、97%台後半の稼働率となっております。今後は賃料単価の向上を目指していきたいと考えております。
次に外部成長ですが、オフィスの売買マーケットは、引き続き堅調に推移しております。日本銀行による YCC(Yield Curve Control)の修正により、従前よりベースレートが上がっておりますが、依然として取引におけるキャップレートの上昇は見られておりません。このような環境の中、強固なスポンサーパイプラインを持つNBFとしては、のちほど説明致しますが、資産の入替を含めたポートフォリオの質の強化と規模の成長を図っていく好機であると考えております。
本業である不動産賃貸収入におきましては、賃料収入の改善が済むまでの間は、入替を含む外部成長との両輪で、継続的な成長を図っていきたいと考えております。次にファイナンスです。マーケット環境としては、YCC の修正やマイナス金利の解除は、J-REITにとってはAgainstとなりますが、 デッドファイナンスにおいては、長期の変動金利借入の活用や調達機関の調整をするなど 柔軟に対応していく方針です。最後に、内部留保、譲渡益の活用方針です。当期においても 物件の入替による譲渡益が発生しておりますので、DPUは、業績予想通り11,500円と致しました。今回の2024年6月期、12月期につきましては、多額の譲渡益が発生することから、夫々12,500円、12,000円と、12,000円台のDPUの予想と致しました。
次に12頁で、各成長戦略について説明致します。先ず、外部成長についてですが、12頁は2023年以降に公表したポートフォリオ入替効果の説明頁になっています。2023年以降の公表ベースでは、取得4物件で1,000億円とんで7億円、譲渡5物件が772億円と、総額1,779億円の入替を実施する見込みです。結果としてAUMは320億円増加し、譲渡益も114億円計上できる予定です。収益性の面においてもNOIベースでも14億円増加し、NOI利回りも改善しております。又、築年数についても、譲渡5物件の平均は20.2年ですが、取得4物件の平均は6.6年と大幅に若返り、ポートフォリオの質を改善することができております。
次に13頁をご覧ください。こちらの頁は、入替の中でも主な物件を掲載しています。右側をご覧ください。こちらは、昨年の11月に取得した淀屋橋フレックスタワーとNBF上野ビルの交換取引でございます。取引の経緯と致しましては、各都市のプライムエリアに位置する、競争力の高い、分散したポートフォリオの構築を目指すNBFと、都心物件を選考する相手先との利害が合致し、取引に至った次第です。又、NBF としては、当期においてNBF 芝公園ビルの売却も見込めることから、本件につきましては交換取引とし、淀屋橋フレックスタワー他を、NBF上野ビルの譲渡益を活用し、圧縮記帳することにより、4.9%の利回りでの取得となっております。
左側は豊洲ベイサイドクロスタワーです。今回で3回目の取得ですが、今回は、オフィス部分と低層の商業部門である「ららぽーと」も取得しており、ビル全体の持ち分は47.9%となります。下段は譲渡物件です。グラントウキョウサウスタワーは2021年に取得したビルですが、取得後にテナントの入替や、新型コロナウイルスの影響もあり、稼働率、NOI利回りとも、本来の実力が発揮できておりませんでした。 今の状況ですと、このまま保有を続けるよりも、売却益も計上できることから、先ほど説明しましたポートフォリオの入替を行うことが、投資主価値に資すると判断し、売却に至った訳です。その他、当期のNBF芝公園ビルにおきましては、リーシングを続けておりましたが、今後のポテンシャル等も勘案し、先ほども説明致しましたが、譲渡益も発生することから、今回売却に至りました。又、2024年12月期に譲渡予定のつくば三井ビルディングは、現状の利回りは高いのですが、今後の設備投資等キャッシュフローを勘案し、こちらも譲渡益を計上することができることから、売却を決定致しました。売買マーケットは依然として堅調に推移しており、ポートフォリオの質の向上のために入替については継続していく方針です。
続きまして15頁で内部成長の説明を致します。15頁の期中平均稼働率と入・退去率のグラフをご覧下さい。上の赤い折れ線がポートフォリオの平均稼働率、下の棒グラフは各期6ヶ月間に入居、あるいは、退去したテナントの、ポートフォリオ全体に対する面積割合を示しています。先ず、棒グラフご覧下さい。入居・退去の状況について説明致します。当期の退去率は3.4%となる一方、入居率は3.4%となり、前期に入居されたテナントの通期稼働の効果もありまして、期中平均稼働率は97.4%と、前期比+0.4 ポイント改善しております。
当期につきましては、運用方針の頁でも説明致しましたが、コロナが5類に移行後、出社率の増加によるテナントのオフィス会議、立地改善や新規採用による増床等、ポジティブな動きが継続しております。2023年は大量供給の影響が懸念されておりましたが、結果としては、好調な企業業績の効果もあり、マーケットの空室率は改善し、NBFの稼働率も巡航稼働率の97%台となっております。2024年におきましては、2025年に大量供給が予想されているオフィスのリーシングがスタートしていくことから、予断を許しませんが、次期、2期先ともNBFのポートフォリオでは、97%台後半の稼働が維持できるものと考えております。
続きまして16頁で既存物件の賃貸収入を推移について説明致します。黄色い折れ線グラフは既存物件の賃貸収入の前期比変動率を表しており、棒グラフはそれを2つの要素に分解したものです。緑色の棒グラフは、テナントの入替による影響等を表しております。当期は退去テナントの影響により微減となっておりますが、2期先は、新規入居テナントからの収入が大きく、プラスに転じる見込みであります。青色の棒グラフは、継続入居テナントの賃料改定による収益変動を表しております。 賃料改定につきましては、2023年の大量供給の懸念があった時期に、大型テナントの慰留に努めたこともあり、収益ベースではマイナス予想ではありますが、増額改定に応じて頂いているテナントの件数においては増加傾向にあり、マイナス幅は減少傾向にあります。今後においては、NBFのポートフォリオは、有効稼働率97%台後半を見通せる状況となってまいりました。従いまして、マーケットの改善とともに、既存物件の賃料収入もプラスに転じてくると見ております。
17頁にお進みください。当期末の財務の状況です。左上のファイナンスデータの表にあります通り、期末のLTVは42.8%、長期固定金利比率は90.5%、平均調達金利は0.4%、平均残存年数は5.23年と、引き続き堅実に運用しており、その下にあります通り、借入余力は約830億円となっております。当期の有利子負債残高5,925億円のうち、グリーンファイナンスの残高は630億円になっております。前期にNBFのデットファイナンス方針を説明致しましたが、下段の返済期限の分散のグラフにもあります通り、一度に返済期限が集中しないよう返済期限を分散させ、一方で長期変動金利借入を活用し、又、調達機関を調節して支払金利の抑制を図っていく方針です。
続いて18頁で継続鑑定評価について説明致します。当期の継続鑑定評価は、左上の表にございますが、その総額が1兆7,036億円となり、含み益は18億円増加の3,451億円となりました。物件ごとの状況については左下の表にございますが、CAP-Rateは41物件で低下、28物件で現状維持となり、鑑定会社の見方によりますがCAP-Rateは低下しております。鑑定評価額自体は、13物件で減少しておりますが、これは固定資産税や水道光熱等のコストを見積もったことによります。
続いて21頁で業績予想を説明致します。濃い赤枠が2024年6月期、右側オレンジ枠が2024年12月期の業績です。赤枠の2024年6月期の欄をご確認ください。営業収益は501億円、営業利益は237億円、当期純利益は223億円となっております。2024年6月期は、不動産賃貸収入では減少を見込んでおりますが、不動産等売却益が33億円増加することにより、増収・増益の予想です。又、コスト面では固都税および建物管理費等の増加を見込んでおりますが、修繕費等削減する見込みです。次に2期先2024年12月期の欄をご確認ください。営業収益は504億円、営業利益は235億円、当期純利益は220億円を見込んでおります。2期先はつくば三井ビルディングの売却益を見込んでおり、又、不動産賃貸収入がプラスであることから、前期比で増収ですが、前期の売却益の剥落に伴い減益という形になります。当期実績から2期先予想まで、稼働率の上昇、賃料の発生、売却益やコストの増減等の入り繰りもありますが、一口当たりの分配金については、譲渡益の還元と合わせて、2024年6月期は12,500円、2024年12月には12,000円とさせて頂きました。
分配金の増減内訳につきましては、22頁に図解してありますのでご確認ください。
次に23頁内部留保についてです。左側が内部留保の残高を表しておりますが、2024年12月期のつくば三井ビルディングの譲渡益の計上により、164億円になる見込みです。災害や大型テナントの退去等万が一のための固定留保額は、総資産の0.5%程度の70億円を想定しておりますので、この固定留保額を上回る積立分については、不動産賃貸収入やコストの状況、又、今後の譲渡益の計上見込み等を勘案し、DPUの安定成長に繋げていきたいと考えております。
右側のグラフはDPUの内訳を表しておりますが、NBFとしては、本質的には、オレンジ部分に当たる相当の、不動産賃貸収益ベースの分配金の増加を目指して運用を行っていますが、内部留保および譲渡益も活用し、DPUの安定成長を実現していきたいと考えております。繰り返しになりますが、今回の業績予想では、多額の譲渡益が発生するから、2024年6月期は12,500円、2024年12月期は12,000円と致しました。
続きましてNBFのESGに対する取り組みについて説明致します。少し飛びますが、40頁をご覧下さい。40頁以降にNBFのESGに対する取組みを掲載しています。特に42、43頁に主要KPIの進捗を掲載しております。
43頁に掲載しておりますが、グリーンビルディングの認証については97.2%の取得率となっております。
又、44頁ですが、 当期においてはTCFDの定量評価を実施しております。詳しくはウェブサイトにも掲載しておりますので、ご確認頂ければと思います。
最後になりますが、ポストコロナの動きの中、日本企業の出社率の高さからもお分かりの通り、クオリティの高いオフィスのニーズは底堅い状況です。NBFの戦略として、先ず稼働率を高めることを優先し、97%台後半の稼働率を予想できる状況まで改善しております。又、オフィスマーケットは、テナントの需要も高まり、回復に向かっていることから、今後は、賃料単価の向上に努め、不動産賃貸収入ベースの利益の改善を図っていきたいと考えております。これまでもご報告しました通り、NBFの持つポートフォリオの強靭さは、一時的な混乱も長期的なマーケットの変化に対しても、十分に対応していけるものと確信しております。NBFとしては、あらゆる引出しを活用し、投資主の皆様の期待に応えていきたいと考えております。私からの説明は以上です。有難うございました。