野村不動産マスターファンド投資法人 2023年8月期

野村不動産マスターファンド投資法人
2023年8月期(第16期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.net-presentations.com/3462/20231018/f5wimd9s/
○説明資料
https://www.nre-mf.co.jp/file/term-45064d0fcfa533c093303aa6277e5f7af24422fc.pdf
〇質疑応答要旨
https://www.nre-mf.co.jp/file/top-financial-94a3f4a44b82732dcf5d9b1e9ffb3802869de4c3.pdf
○説明者 野村不動産投資顧問株式会社 NMF運用グループ統括部長 増子 裕之
○説明 
本日は、冒頭に、今後進めていく3つの運用戦略を説明します。その後、23年8月期の決算内容、24年2月期以降の業績予想、そして最後に、SGの取り組みといった順で説明を致します。

4頁をご覧下さい。この度お示しする3つの運用戦略です。1つ目は、総合型の特徴を踏まえ、セクター アロケーションの方向性を明示し、状況に応じて変更していくことです。2つ目は、資産の入れ替えを継続推進してまいりますが、売却益が生じた場合には、4期に分けて、原則均等分配を致します。3つ目は、コロナ禍において実証してきた当社の運用力と、野村不動産グループの総合力を発揮し、内部成長を継続・追求してまいります。次の頁から詳細を説明します。

5頁をご覧下さい。先ずはセクターアロケーションです。マーケット動向やポートフォリオの状況に鑑み、当面は オフィスを中心に据えた売却を推進し、オフィスセクター比率を30%台に低下させます。又、取得方針につきましては、従来通りスポンサー開発物件を中心に、厳選投資をしてまいりますが、今後、アップサイドが期待できるホテルセクターのソーシングを強化していきます。尚、既にご案内済みですが、右下に記載の通り、野村不動産が現在本投資法人の投資口を追加取得しており、サポート姿勢を強化したことも、本投資法人の運用にプラスであると考えております。

6頁をご覧下さい。次は、売却益が生じた際に4期に均等分配することです。私達は、従来から巡航分配金を意識した資産の入替を推進しており。これからも取得を前提とした売却を継続してまいります。マーケット上昇により、今まで拡大してきた含み益を少しずつ顕在化させ、売却益が生じた場合には、4期に分けて原則均等に還元をし、分配金を上積みしていきます。売却益の均等分配については、売却の好機が持続していることが条件となりますが、確かな内部成長気運が生じるまでは、推進していきたいと考えております。
3つ目ですが、7頁をご覧下さい。漸くコロナ影響が薄まり、経済活動もどんどん正常化に向かっていますが、改めてコロナ禍の私達の運用について振り返ったのが、本頁となります。
上段のセクター別稼働率では、多少コロナの影響を受けたものの、高稼働率を確保してまいりました。下段は分配金推移です。総合型のポートフォリオ特性と高い運用力により、安定した高分配金を維持してきたことが、お分かり頂けます。

8頁をご覧下さい。そして、私達が安定運用してきた源泉について、改めて整理しました。当社においては、野村不動産とのローテーションにより、開発やリーシング等、経験豊富な人材を備え、相互理解のあるグループ会社とファンド運用を推進していること、加えて、多様なファンド運用実績から得られるノウハウの共有が、高い運用力に繋がっていると考えます。又、野村不動産全体での取り組みとしては、野村不動産からのパイプライン供給力と、グループ一体での運用を通じたブランド価値の向上が挙げられます。実際にPMOやPROUD FLATについては、長年積上げてきた豊富な供給実績が、1つのブランドとしてマーケットに浸透していますし、LANDPORTやGEMSにおいては、専門性が求められるリーシングにおいて、専属チームによる直接営業比率が80%超と、自らリーシングする体制、を確立しています。賃貸マーケット動向による部分は大きいのですが、当社の運用力と野村不動産グループの経験・知見を生かして、引き続き内部成長を追求していきます。

次は、23年8月期の決算ハイライトに移ります。10頁をご覧下さい。一口当たり分配金は 業績予想と同金額の3,402円の着地で 前期比+90円となりました。棒グラフは、23年2月期からの増減要因を示しています。賃料共益費の増加により、87円のプラス効果があり、内容としては、商業セクターにおける売上歩合の増加や、物流セクターのフリーレント解消がけん引しています。一方で、賃貸事業費用における修繕費や公租公課の増加を中心に、101円のマイナスや、その他のマイナスがありますが、資産入替を通じた21円のプラスにより 巡航分配金は維持することができています。又、今期におきましても資産の入替を継続推進し、売却益を計上しています。売却益については、右から3つ目の棒グラフになりますが、 175円は当期に分配、144円は翌期に繰り越し、567円分は内部留保に充当しています。投資主への還元も意識しながら、23年8月期までの売却においては、将来の安定運用への備えも進めてまいりました。

11頁をご覧下さい。こちらは、損益計算書とその差異要因です。営業収益は、直前期比+3,659百万円の43,645百万円、営業費用は+841百万円の24,714百万円、当期純利益は+2,798百万円の16,746百万円となりました。尚、売却益が4,706百万円ありましたが、そのうち3,356百万円は内部留保をしております。
12頁をご覧下さい。次は、物件の売買実績について説明します。23年8月期における資産の入替を纏めています。スポンサー物件を中心に、9物件239億円を取得し、下段の12物件167億円を売却しました。尚、右側では、本投資法人の総合型である優位性を生かした、外部との交換取引を紹介しています。私達の強みであるスポンサーパイプラインを活用したポートフォリオの強化と同時に、合計47億円の売却益を実現し、その一部により、分配金を上積みしています。

14頁をご覧下さい。23年8月期に続き、9月に公表した交換取引示しています。冒頭でお伝えした通り、アップサイドが期待できる京都のホテルを取得し、名古屋や福岡といった地方の賃貸住宅を3件売却しました。それに基づき、約5.4億円の売却益を計上しています。ホテルウィングインターナショナルプレミアム京都三条は、国内外からの高い観光需要が見込める京都市内の中心に位置し、商品性としても客室の半数以上が、3名利用可能であることから、高い競争力を有する物件と言えます。又、右下のグラフをご覧頂きますと、益々京都への宿泊ニーズが強まることが予想され、本物件は、売上連動賃料を設定していることから、将来的なアップサイドを期待しています。

15頁からは各セクターの運用状況について説明します。16頁をご覧下さい。先ずは、オフィスセクターです。左上のグラフに示しています通り、オフィスマーケットが不透明な中で、23年8月期の稼働率も高水準を維持し、期末で97.6%となりました。左下では、テナント入替による賃料増減です。東京圏においては、入替による賃料上限率が4.3%のマイナスとなっていますが、賃料ギャップを有する地方においては、14.4%のプラスと大幅に賃料増額が実現できており、全体では-2.6%となっております。

17頁をご覧下さい。この頁では、24年2月期のリーシング状況を示しています。24年2月期に1,802坪の解約を予定していますが、期末時点で、解約面積に対し50%を超える面積についてリースアップの目処をつけています。従来通り、順調にリースアップが進捗しています。下段をご覧ください 地方におけるリーシング状況です。降雪が多い札幌において、 地下道から直接アプローチが可能な札幌ノースプラザは、希少性が高く、2区画109坪で大幅な賃料増額となる入居申込書を受領しています。まもなく契約締結予定です。また大阪にある野村不動産四ツ橋ビルにおいては、24年2月末に、3フロア723坪と、大きめの空室区画が生じる予定ですが、こちらも従前のテナントから、大幅に賃料が増加する形で早期にリースアップが実現しています。東京圏では、まだ小康状態のマーケット状況ですが、地方においては、テナント入替を通じて賃料上昇が期待できるものと考えております。

18頁をご覧下さい。次は 物流セクターです。24年2月期は、川口領家ロジスティクスセンターで、12,000坪超という大型の解約予定区画を早期にリテナントすることが出来ました。PMである野村不動産が直接テナントニーズを把握し、速やかに対応してきたことが本契約の締結に結びついたと考えております。又、賃料水準については、マーケット上昇の追い風もあり、約22%の増額を実現するとともに、将来的なインフレ対応に鑑み、CPI連動の賃料改定条項を付与した内容としています。尚、右下に記載していますが、24年2月期に契約終了を迎える2テナントについても、再契約することができております。

19頁をご覧下さい。住宅セクターです。左上のグラフで示しました通り、23年8月期は過去最高の期中平均稼働率を維持した上で、期末稼動率も97.4%となりました。マーケットインの視点で、PMとの密な連携と迅速な意思決定が結果につながっているものと考えます。 又、左下の入替時賃料増減率をご覧頂きますと、23年8月期は+3.0%まで大幅に改善しており、引き続き東京圏の人口流入継続や外国人留学生の増加等により、需要が一段と強まっていると認識しております。23年8月期に続き、24年2月期も高稼働率と賃料増額を両立した運用を推進していく所存です。

20頁をご覧下さい。この頁の上段では、海外留学生等の契約実績推移を示しております。アフターコロナにおける海外留学生の増加という流れを捉え、新規紹介ルートなどを通じて大きく契約数を伸ばしています。将来的な政府目標を踏まえますと、今後も海外留学生等は増加してくると予想され、確実に取り込んでいくつもりです。下段をご覧下さい。ポートフォリオの中でポテンシャルの高い物件については、引き続きバリューアップ工事を実施し、賃料のアップサイドを追求した実績を記載しています。左下のファミリー・コンパクトタイプでは、8戸に対し賃料を28.5%のプラス、右下のシングルタイプでは25戸に対し賃料を5.9%プラスと、リニューアルをしない場合と比較し大きな効果を生んでいることが分かり頂けます。

21頁をご覧下さい。最後に商業セクターです。漸く商業施設景況感も回復基調が明確になってきております。23年8月期の商業セクター全体の稼働率は、前期比 0.1ポイントプラスの99.0%となりました。相対的にコロナ影響が大きかった駅前立地型施設を取り出しても、96.9%まで回復しています。加えて、右上のグラフに記載の通りUCW大阪が牽引する形で、売上歩合賃料が大きく上昇しています。下段には、テナント入替時および賃料改定時の賃料増減率も記載しています。

22頁をご覧下さい。この頁では商業の旗艦であるUCW大阪と札幌のnORBESAの運営状況を説明します。23年8月期は、国内外の観光需要や消費マインドの回復基調が明確になってきております。人件費や原価上昇に伴う価格転嫁の影響もありますが、 左上のUCW 大阪の年間売上は昨年および19年を上回るペースで増加しています。又、UCW大阪では ポテンシャルの高さを生かすため、USJ とのコラボレーションによる販促を定期的に推進することで、施設全体の売上増加を図り、売上賃料の引き上げを継続して狙っていきます。 左下では札幌に所在するnORBESAの観覧車収入とビアガーデン開催による売歩賃料推移を記載しています。札幌においても、商業施設の景況感は大きく改善しており、コロナ前と同等、乃至は、上回る水準にまで売歩賃料が上昇しています。最後は、中座くいだおれビルです。コロナ禍で訪日外国人が激減したことにより、リニューアル検討を中断しておりましたが、大阪の道頓堀界隈における人通りも急激に改善していることを踏まえ、リニューアル 検討を再開致しました。テナントリーシング状況やリニューアル工事費等、不透明な要因がありますが、大阪万博の開幕に向けてリニューアルオープンできるよう検討を進めてまいります。

24頁をご覧下さい。この頁は鑑定評価の内容です。23年8月期も、引き続き約6割の物件で評価額が上昇し、含み益は2,438億円まで拡大しています。但し、オフィスについては、物件数減少に加え、一部の物件においては、公租公課等費用の増加により、全体として若干 含み益が減少しています。又、右下に示した平均CAP-Rateの推移については、全セクターとも若干低下しています。

26頁をご覧下さい。次は財務です。23年8月期は308億円のリファイナンスを行いましたが、一部変動借入れの取り入れ、借入年限の調整を行ない、金利上昇影響を抑えています。 今まで積み上げてきた平均残存年数の長さや、高い固定比率を生かし、今後の金利上昇に柔軟に対応していきます。又、7月には20億円の投資法人債を起債することができました。10年で0.95%と、好条件で資金調達し、調達先の多様化も推進しています。

28頁は業績予想です。一口当たりの視点で差異要因を記載しています。結論から申し上げますと、24年2月期は、一部売却益の還元も加わり、分配金が3,376円、24年8月期は3,271円と予想しております。24年2月期の差異要員としては、賃料共益費の減少等により、既存物件で-41円、売買影響による収益の底上げが+26円、それに加えて、売却益の一部である154円を還元することで、前期比-26円の3,376円となります。次に24年8月期ですが、既存物件の影響で+31円、23年9月にプライムアーバン金山等の売却による売却益を4期に分割して還元するため、14円が加算され、前期比-105円の3,271円となります。尚、紺色部分の巡航分配金については、24年2月期が前期比同等の3,222円、24年8月期が前期比+35円の257円となっております。冒頭に説明しました通り、定期的に資産の入替を推進し、売却益を計上していきますので、分配金の上積みにご期待頂ければと存じます。

29頁をご覧下さい。この頁では、今説明しました内容を総額ベースで示しています。24年2月期の営業収益は、前期比-4,330百万円の39,314百万円、営業費用は-400百万円の24,313百万円、当期純利益が-3,965百万円の12,781百万円となります。尚、売却益542百万円については、課税回避の関係で24年2月期に303百万円を分配し、209百万円については、24年8月期から3期に分けて均等分配すべく、内部留保する予定です。24年8月については記載の通りです。

ここからはESGの取り組みについて説明します。
31頁をご覧下さい。本投資法人は、温室効果ガスの排出削減目標として、昨秋に2050年のカーボンネットゼロを掲げております。近年、世界的に猛暑、水害、山火事等の天災が増加していることを踏まえ、気候変動への取り組みは待ったなしと認識しています。そこで私達は、2030年に向けた温室効果ガスの排出削減目標について見直しを行い、意欲的な KPIを設定することと致しました。対象範囲を、右の表に記載の通り従来の青枠部分から赤枠部分に拡大させた上で、2030年度の排出削減目標を大幅に引き上げ、総量ベースで2019年比80%と致します。この内容については、中小企業向けSBTとして申請済みですが、省エネは勿論のこと、再生可能エネルギー電力を導入することにより実現していきます。又、今後の技術革新を睨みながら、省エネについての選択肢も将来的には検討していきます。

32頁をご覧下さい。その他 環境指標として目標を定めている水の使用量、グリーン認証の取得割合は左側に示しております通りです。
33頁をご覧下さい。この頁では継続して推進しているGEMSでの販促活動「食べて地方創生フェア」について記載しています。地域食材の発信、豊かな顧客体験、生産者サポート、 テナント支援を目的として、第4弾の長野フェアを開催致しました。リピーターのお客様に喜んで頂き、色々な食材を調理できる料理人のモチベーションが上がるなど、社会的に意義の高い取り組みを通じて、GEMSのブランド価値を上げることが本投資法人にとってもプラスになるものと考えています。右上のUCW大阪では、廃棄傘の配布や熱中症対策等、社会やテナントに寄り添う取り組みを推進しており、人材不足が叫ばれる中で従業員満足度を上げ、テナント支援を推進していきます。ガバナンスについては、Appendixの59頁をご覧下さい。

最後となりますが、本投資法人は3つの運用戦略を推進することにより、巡航分配金を維持・向上させたいと考えています。又、オフィスを中心とした売却により、売却益が生じた際には、4期に原則均等分配することで分配金を上積みしていきますので、私たちの今後の運用にご期待頂ければと存じます。
以上をもちまして、本投資法人の23年8月期の決算説明を終了します。
ご清聴有難うございました。