ラサールロジポート投資法人 2022年2月期決算概要

ラサールロジポート投資法人
2022年2月期(第12期)決算説明 動画配信説明書
動画 https://www.irwebcasting.com/20220418/1/988c59d2e5/mov/main/index.html
資料 
https://lasalle-logiport.com/file/term-d121888839f9827f1cb5618d523a7f25b0124c3f.pdf
説明者 ラサールロジポート投資法人 執行役員、
    ラサールREITアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 藤原 寿光 
説明
当期のハイライトを5つに纏めていますので、決算説明資料の3頁をご覧下さい。
先ず初めに、高稼働率の維持により、分配金は予想を上回る着地となりました。又、
パイプラインは2,000億円を超える規模となり、外部成長のテンシャルを強化することが
出来ました。その中には、本投資法人独自のソーシング活動によって、新たに優先交渉権を
確保した5物件も含まれています。賃料増額改定による内部成長も継続しています。安定
的な財務内容が評価され、信用格付けがダブルAフラットに格上げされました。これらの
点を中心に、以下で説明致します。
次に4頁をご覧下さい。第12期の決算と、第13期、第14期の業績予想を説明致します。
先ず、一口当たり分配金DPUは、業績予想47円、1.5%上回る3,137円となりました。
これには、主に稼働率の上振れとリーシング費用の期ずれが作用しています。期ずれという
のは、予算上2月期に織り込んでいた賃貸借契約が、期末を跨いで3月にずれ込んだこと
によって、それに関わるリーシング費用のタイミングも、翌期にずれ込んだものです。
13期については、第12期比較で79円減の3,058円を予想しています。減少の要因として
は、先ほど触れたリーシング費用の期ずれに加え、昨年取得したロジポート大阪ベイの固都
税の費用化が始まることで、運営費用が増加することが挙げられます。他方、賃料の増額
改定や稼働率上昇、昨年竣工したロジポート尼崎の危険物倉庫の賃料が、通期で寄与する
ことなど、内部成長の成果は着実にあがっています。第14期については、賃料増額改定の
成果を織り込む一方で、リーシング費用が一時的に増加するので、それを補うために一時的
利益超過分配を行うことを想定しています。これにより、第13期比予想で、ほぼ横ばいと
なる3,064円を予想しています。尚、リーシング費用についてですが、2024年2月期に
満了を迎える賃貸借契約が平準期よりもかなり多いので、それに応じてリーシング費用の
増加を想定しています。
次に5頁をご覧下さい。運用戦略です。ポートフォリオ戦略、アセット戦略、バリュー
アッド戦略の組み合わせによって年平均4%の巡航DPU成長を狙っていく方針に変化は
ありません。年平均4%の内訳については、バリューアッド戦略を通じて、利回り面で魅力
のある物件を確保しつつ、資本コストを意識した外部成長で3%程度、賃料成長と戦略的
投資による収益力効果を軸としたアセット戦力で1%というイメージです。
6頁をご覧下さい。パイプラインは、スポンサーの開発案件が9物件と本投資法人が独自に
取り組んでいる8物件で、合計17物件に拡大しました。金額にすると2,000億円を超える
規模になります。スポンサー開発物件のうち、公表済みのものが5物件あります。簡単に
紹介しますと、AZ-COM Logistics Kyotoは、関西丸和ロジスティクス様向けの専用施設と
して、2020年9月に竣工済み。ロジポート加須は、昨年7月に竣工したマルチテナント型
の施設で、現在93%の稼働率となっています。ロジポート神戸西は、昨年1月に竣工した
マルチテナント型施設で、既に100%稼働を達成済みです。松戸物流センターは、今年1月
に竣工した、楽天西友ネットスーパー様向けの専用施設です。ロジポート名古屋は、今年
1月にスポンサーが公表したマルチテナント型施設で、来年7月に竣工予定です。このロジ
ポート名古屋は、延床面積10万7千坪という中部圏最大の規模もさることながら、名古屋
駅から僅か4.8KMに位置するという抜群の立地で、大規模、且つ、都市型の高機能物流
施設となります。それ以外にも、守秘義務上まだ公表は出来ないものの、開発素地を4件
取得済みで、順次開発に着手する予定と聞いていますので、今後もパイプラインの増強が
期待できます。本投資法人が独自に進めておりますバリューアッド案件では、前回までに
公表済みの大阪住之江、千葉松戸の両再開発案件、川崎東扇島の冷凍冷蔵倉庫底地に加えて、
今回新たに5物件の優先交渉権を獲得しました。このうち愛知県愛西市の案件は、現在
ブリッジファンドで運用中ですが、既に竣工済みで稼働率も100%を達成しています。残り
の4物件については、今後1年間に順次竣工の予定です。現在、リーシング中ですが、
テナント候補からの引き合いも強く、遠からずテナントが内定するものと期待しています。
いずれも中規模の物件ですので、シングルテナントとしての使い方を想定しています。
その点で速やかにリースアップが可能で、取得までのリースアップが短縮出来るという
メリットがあります。前回の決算説明会では、物流不動産の開発プレイヤーのすそ野が
広がる中、ソーシング手法の多様化で、投資機会を捉えていくと申し上げましたが、この
通りその成果が順調に積み上がっています。この点をもう少し補足しますと、次の7頁を
ご覧下さい。スポンサー側では、大型、超大型物流施設の開発に注力していますので、
ラサールグループとして中規模物流施設を初め、これまで取りこぼしをしていた投資機会
が可成りあります。そうした投資機会を、我々のソーシング活動によって捉えて行くことで、
パイプラインの更なる拡充を図りたいと考えています。今回、新たに追加したバリュー
アッド5案件は、外部事業者との相対取引、中規模物流施設への投資対象拡大、中部圏での
投資機会の獲得という点で、この考え方に沿った取り組みとなっています。又、いずれの
物件も、ブリッジファンドが一旦取得することになりますが、ブリッジ期間中にリース
アップを図る、或いは、簿価低減を進めるといったスキーム上の工夫もしております。
次に8頁をご覧下さい。内部成長です。頁左側の期中平均稼働率については、第12期の
実績は98.9%となり、引続き高稼働を維持しています。今後2期の見通しについては、
第13期に満了を迎える契約は、全て再契約で内定済み、第14期についても順調に再契約
が進展していますので、敢えて保守的に見積もるまでもない状況です。テナントからの
引合いは依然として強いので、当面、この高稼働の状況に変化はないかなと見ています。
頁右側の賃料増減率については、第11期のマイナス進展は、例外事象によるもので、賃料
増額トレンドに変化はないと前回説明しましたが、実際第12期はプラス5.5%の増額率を
確保することが出来ました。賃料ギャップは物件毎にまちまちではありますが、大体、5%
から10%はあると思っています。ポートフォリオ全体で見て、賃貸借契約の平均残存年数
は3年程度ですが、現行の契約が順次満了を迎え、再契約やテナント入替えをする
タイミングを捉えて、賃料ギャップの解消を進めていけると思います。今後2期の賃料
改定についても、現在までに内定済みの契約について、第13期はプラス10.4%、第14期
は6.8%の増額率を確保しています。
9頁をご覧下さい。この頁では、CAPEXを通じた物件価値向上の取り組みについて、
いくつか事例を紹介しています。このうち、左上のLED化工事について触れておきますと、
既存物件で蛍光灯が残っている倉庫区画については、各テナントとの再契約のタイミング
で、順次LED化を進めています。LED化によって電力消費が大幅に削減出来ますので、
温室効果ガスの削減という環境面での意義もありますが、同時に電気代削減のメリットを
一部賃料に上乗せすることで、投資の回収も図っています。又、右下の未消化容積率の活用
については、前回、ロジポート尼崎における危険物倉庫の竣工を報告しましたが、それに
続く第2弾として、ロジポート北柏で冷凍・冷蔵倉庫の改築を検討しています。丁度、
テナント候補に、賃貸借条件も含めた提案を行っている最中ですので、次回の決算説明会で
進捗を報告出来ればと思います。
10頁は財務戦略です。第12期のリファイナンスは、グリーンボンド20億円と、借入金
48.5億円の調達で完了しています。2月には金利上昇のあおりで、投資法人債の起債環境に
混乱もありましたが、幸い何の波乱もなく乗り切ることが出来ました。金融機関とは継続的
にコミュニケーションを続けていますが、新年度に入って貸出規制に特段の変化はないと
確認しています。次のリファイナンスは、来年の2月までありませんが、マチュリティ
ラダーも平準化を図りつつ、引続き7~8年の長期ゾーンで調達していく方向で考えて
います。
11頁をご覧下さい。最後にESGの取り組みです。外部認証については、保有物件の環境
性能についての透明性を投資家の皆様や、テナントの各社に示すという点で重視して
います。今回、ロジポート大阪ベイでCASBEEのSランクを獲得しましたが、これで、
保有物件の全てで環境認証を取得したことになります。又、7物件で新たに、WELL
Health & Safety認証を取得しました。これは建物の健康、安全性を評価する認証ですが、
コロナ以降職場における感染リスクへの懸念が高まる中、建物として健康面で安心・安全な
環境を提供出来ているかを示す認証として注目を集めているものです。又、ガバナンス面
では、世界各国のラサールの役員・従業員を対象とした、出資プログラムの設立を計画して
います。投資口機会をグローバルに拡充することで、投資家との利害の一致を強化して
いこうという試みです。 
決算説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。続いて、質疑応答です。
Q:パイプラインの確認ですが、前回の説明会資料では1,500億円、今回は2,000億円と
かなり大きく積み上げたとの印象だが、積み上げの過程での競合他社、プレイヤー数の
変化などがあれば教えて頂きたい。つまり、この半年間でのソーシング環境の変化に
ついてお聞きしたい。それとともに、ロジポート名古屋はかなり大きな物件と思っている
が、今後中京圏、特に名古屋圏での供給が増えて来て、外部のリサーチからすると空室率
の上昇を見立てるところもあるが、相場環境とロジポート名古屋についてコメントを
願いたい。
A:プレイヤーの変化は特段感じてはおりません。相変わらず、不動産現物市場において
物流倉庫は、かなり人気のあるアセットという状況に変わりはなく、機会があれば投資
したいという方が、国内外を問わず多数おられます。その中で、パイプラインを積み
上げることが出来た背景としては、決算資料の7頁にも記載していますが、相対で進め
るとか、相対をバルク取引で行っていくというとか、これまでラサールグループが取り
込んでいなかったある程度中規模に狙いを定めるとか、少しサイズの小さいものも含め
てバルクで検討するとか、バリューアップの要素を加えながら購入するとか、これから
供給が増えてくる中部圏で活動に様々な工夫を加えることで、順調にパイプラインを
積み上げることが出来ましたし、足元、ディールフローも引続き豊富にありますので、
ある程度良いペースで、今後もパイプラインの積み上げが出来るのではないかと思って
います。
中京圏は、今後供給がかなり増えるということで、空室率の上昇は避けられないのでは
ないかと見られておりますが、ロジポート名古屋については、立地面でも、規模でも
名古屋エリアではNo.1の物件であることは間違いがなく、かなりの競争力があると
考えています。着工したのは今年の2月ですが、着工前の段階でキーテナントは内定
しているほか、足元、数件が内定していると聞いており、出だしはかなり好調と聞いて
おります。供給が増えてくるという中でも、プレリーシングは順調に進んでおり、物件の
クオリティとリーシングチームの営業力の成果と考えています。

Q:38頁の東扇島で、6つのグラフが並んでいるところの真ん中の下ですが、定借化という
ことで、22年2月期に10.5%が実現しているということになりますが、この背景に
ついて、出来る範囲で教えて頂きたい。あとは、普通借家ですので自動更新になりますが、
今後の定借化のポテンシャルについてご意見を伺いたい。
A:東扇島C等の半分を占める大口テナントから解約予告があり、普通借が終わり、解約
予告期間中にリーシング活動を行い、定借で埋め戻しまして、グラフに示すような普通借
が定借に切り替わったという結果になりました。基本的には、普通借はテナント様の権利
がやや強いところがあり、今後も同じような背景で定借化に切り替えていきたいと考え
ています。

Q:バリューアッド案件が増加したとのことですが、全体のイメージでも良いので、
利回り値の安定稼働案件が、どれくらいの上乗せを期待して良いのか。
A:バリューアッド案件で、利回りが安定稼働に対して、どれくらい稼げるのかということ
ですが、定量的にデータで言えるほどの事例が、あまりないのが正直なところで、大体
イメージとしては、市場実勢に対して30ベーシス程度は上乗せされるイメージと考えて
います。

Q:今後はパイプラインをどのような形で取得していくのか。
前回の話では、竣工済みの安定稼働物件の取得機会があるので、これが次の取得対象に
なりますということで、バリューアッドは23年以降ではないかということでしたが、
今回、新たにいくつか加わったことで、これが変わってくるのかどうか
A:パイプラインはスポンサー側で竣工済みのものも含めて、600億円、700億円揃って
おり、直ぐにでも取得できる状況にあるというところ。バリューアッド案件については
今回、5物件新たに追加したところであり、愛西市の物件は安定稼働して、今でも
購入できるような状況で、残りの4物件も先ほど説明しましたように中規模であり、
テナント1社で対応出来る規模であり、比較的早い段階でリースアップ出来るのでは
と期待しています。そうした中、今後どうやって組み合わせていくかは、マーケット、
資本市場の関係とかを見ながら考えていきたいと思いますが、定期的にPO、公募増資を
し、POすれば400億円ぐらいの物件を買いたいと思っており、今あるものを全部買切る
というよりは、平準的に買っていくような形で、取得できるものから順次取得していくと
いう感じになるのではないかと思っている、歯切れが悪いのですが。

Q:物流施設は、今後もリースアップ案件が増えてくる可能性もあると思いますが、立地と
か、スペックとか何か妥協している部分があるのか、案件を押し込めている背景は、どう
いったところがあるのか、もう少し細かなところ、何かポイントがあればご説明をお願い
したい。
A:リースアップ案件の背景ですが、複数の事情があり、今回、中部の特情、特に事情と
しては、比較的最近参入された外部事業者から、相対で纏めて買っていること、テナント
がまだ決まっていない段階で買っているということ、あとは中部エリアの物件を含んで
いること、そんなところが特徴ですが、最近参入された方というのは、リースアップを
出来るかどうかについて、あまり自信がない方もおられ、早めに手仕舞をして実績を
作りたいという中で、決まる前に売却しても良いという意向もあり、我々はリーシングに
ついては自信があるので、そこを戦略的に掘り下げ、そうした結果、競合相手は必然的に
減っていき、相対に近い形で案件を次々と確保できた、というのが背景にあります。同様
の事例というのはまだまだあり、引続き、このペースで案件を仕込めていければ、と考え
ています。

Q:確認ですが、立地面、スペックの面で劣るものを買っているということではないと
いう理解で良いか。
A:立地面では劣るものではありません。クオリティという面でも、中規模にはなりますが、
本質的なスペックを基本的には満たしている物件で、今現在、テナントのニーズも把握
出来ており、なんらか妥協しているとか、劣っているものを購入しているということで
はありません。

Q:21頁に、ポートフォリオの平均賃貸借残存期間が2.9年と、比較的物流リートの中でも
短いと思われるが、昨今、リートで同じような質問があがっているが、インフレヘッジと
いう意味で、物価が上がっていく中で、御社のポートフォリオ賃料の戦略という意味では
どういったことを想定しているのかお伺いしたい。例えば、更に短く切って増賃機会を
増やしていく戦略なのか、インフレヘッジという意味では、CPI連動というようなことを
再契約の際にテナントに導入を促していくという戦略なのか、マーケットレント、まだ
ポジティブレントがあるので、特段インフレヘッジしなくてもマーケットレントを取り
に行けば、いくらでも勝てるというようなところなのか、対インフレヘッジの戦略に関し
てご意見を伺いたい。
A:平均賃貸借残存期間の2.9年というのは、定借契約と東扇島の基本1~2年の普通借が
混じった数字ですので、短めに出ていますが、定借に限って言うと残存期間が3.4年と
若干長くなります。インフレヘッジですが、CPI連動という賃料体系が、日本では一般的
ではないので、自動的にCPIに連動してCash-Flowが増えていく状況では、私どもも
含めてないというのが環境と思っており、今の契約が満了になったタイミングで、再契約
なのか、テナント入替えなのか、都度つどテナント様と交渉して、賃料をきっちりと
上げていくというのが、基本姿勢と思います。その意味では、インフレ分を含めて賃料に
転嫁できるかどうかは、結局のところ床の需給バランスがどれだけタイトか、ファンダ
メンタルがどれだけ堅調かによると思いますので、そうした意味で物流センターは
需給もタイトな中で、賃料値上げが交渉しやすいタイミングと思っています。そうした
意味では、賃料ギャップは、物件によってまちまちですが、5%から10%ありますので、
これを再契約のタイミングで順次値上げを交渉していくということで、特に方針の変更
はありませんし、インフレ懸念があるがゆえに、敢えて賃貸借期間の短縮を図るよりは、
通常通り3~5年で再契約していくのが基本線だと思います。再契約は、当初の賃貸借
期間よりも大体短くなる傾向にありますが、スポンサーが開発して、最初に賃貸借契約を
結ぶ時は、大体7~10年の長期の契約が多いので、長期の契約については5年の段階で
賃料見直し条項を入れるだとかの工夫は、今後やっていく余地はあるのではないかと
本社側と相談しています。

Q:9頁に説明頂いた北柏についてですが、冷凍・冷蔵倉庫を増築した場合、契約期間を
長めにするとか、既存のものより利回りを高め出来るとかの見通しはどのような状況
なのか。又、冷凍・冷蔵の市場の需給はどう見たら良いのか。冷凍・冷蔵のプレイヤーは
少ないと思われ、差別化できるということで積極的に取り組んでいる会社も出てきて
いると聞いており、需給の状況についてのご意見をお聞かせ下さい。
A:北柏はマルチテナント型物流施設ですが、1階に、竣工時から大手食肉メーカーさんの
 冷凍・冷蔵倉庫が入っています。そのテナント様から荷物が増えておりスペースが必要というニーズがありまして、それをベースにして検討しているところです。収益面について
 は、通常のドライの倉庫に比べると、建設費も高くなるのですが、賃料も多めに頂けると
いうことで、投資採算性という意味でも、通常の倉庫よりも高い追加投資になるのでは
ないかと期待しています。ただ、賃料条件も含めて現在提案中で、又、足元建設コストも
上昇中であり、順調に商談が纏まれば、次回の決算報告会で説明したいと思っています。冷凍・冷蔵のマーケット環境ですが、そもそも冷凍・冷蔵商品、所謂、中食とかも含めて、
 マーケット需要が拡大する中で、供給は、老朽化などで供給が足りていないという状況
でもあるので、マクロで見るとかなり成長余地のあるマーケットであることは間違い
ないと思われます。一方で、スペースの使い方が、汎用化されているというよりは、
テナント様毎にまちまちなので、そのあたりが実は、難しいところで、今回の増築も、
基本的にはテナント様のニーズありきで、専用施設としてやることが基本ケースで、
この辺りも難しい所と理解しています。業界の中ではテナント様を確保せずに、オーナー
側の仕様で冷凍・冷蔵倉庫を開発するというケースが、最近出て来ていますが、かなり
先駆的な取り組みであり、上手くいくのか注視し、興味を持ってみているところです。

Q:今までの話では、好調を維持していると思われ、こうした好調さが今後、相当続くと
 考えられますが、御社としてどれくらいまで続くのか、賃料水準がどのくらいまで、
3年位か、4年位か或はそれ以上か、どのくらいまで上げ続けられるものか、見通しが
あれば教えて頂きたい。
A:床の需給バランスというかファンダメンタルズの部分ですが、とこまで続くかは正直、
 難しいところですが、今後1~2年新規供給が増えるとは言われているものの、各社の
開発状況、テナントの内定状況を見ましても、引続き内定も順調に決まっていると聞いて
おりますし、当分需給バランスはタイトのまま推移するのではないかと考えております。
 物流マーケットの場合は、これまで基本定には、2次空室というのは発生したことがなく、
空室率の変動は、専ら新規供給がどれくらい順調に埋まるかで、左右されてきたところ
がありますので、今後の需給バランスを予測するうえでは、今作っている建物がどの位の
内定状況かを見ていくのが、一番確かだと思います。そこを見る限りは、当面、1年とか
2年の先までは、堅調な状況が少なくとも続くのではないかと思います。先ほども若干
触れましたが、建設コスト上昇の話がここに来て大きな問題になっていまして、直近、
建設コストが、15%から20%位突然上がっており、開発プライヤーの間では混乱が
広がって来ていると聞いています。中には、着工を先送りするところも出てきており、
この辺りが、今年はともかく2023年の新規供給に、ある程度の影響は避けられないの
ではないかと見ています。一部は先送りすることで、来年の供給が減るということに
なりますし、或いは、着工に踏み切ったとしても、当然建設コストが上がっているので、
それを賃料に転嫁し、募集賃料を上げていくという動きにならざるを得ないでしょうし、
そのようなところに対して、テナント需要がどの程度ついて行くかと。一方で、我々の
既存施設のポートフォリオからすると、新規供給物件のレントギャップは、足元で
広がりつつあり、そうした状況を踏まえると、更に広がる可能性も十分あると思っており、
内部成長に置き換えてみれば、ここ1~2年は、まだ引続き十分にあるのではないかと
期待しています。

Q:テナントの構成を見ると3PLが一番多いが、引合いも3PLが多いのか、或いは日用品
を扱うところも多くなってきているのか、テナントの状況、引合いの状況について、以前
と変わってきているのか変化があれば教えて頂きたい。
A:テナント需要ですが、我々既存物件を運用している方からすると、基本的には再契約が
前提となるので、新規需要という意味ではスポンサー側の開発案件で、どのようなものが
傾向になっているのかを、知っている限りで説明しますと、テナントの顔ぶれが特に
変わったということではなくて、その前のリーシングの商談リストを見ても、既存の倉庫
がオーバーフローしているので拡張移転先を探しているとか、物量が増大しているので
新しい物流センターを新規開設したいというようなニーズが多く、ボトムアップで見て
も強いことを改めて感じています。そうした商談リストに出てくる名前というのは、
E-Commerceの各社とか、ドラッグストア、ディスカウントストア、ホームセンター
とかこれまでと同じ銘柄ですので、E-Commerce、小売り大手、その背後にある日用雑貨
とか、アパレルなどの消費財の荷動きが堅調で、増加傾向が続いているというように理解
しています。