ジャパン・ホテル・リート投資法人 2023年12月期決算概要

ジャパン・ホテル・リート投資法人
2023年12月期(第24期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/8985/20240221/sdewrfd354/
○説明資料 
https://www.jhrth.co.jp/file/term-a2f60960ffa11cde36bba76bad1dc20f5e94db66.pdf
○説明者 ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ株式会社
      取締役財務企画本部長 花村 誠 ○説明 
ジャパン・ホテル・リート投資法人の2023年12月期決算及び2024年12月期の見通しについて説明致します。資料の1頁目の目次をご覧ください。左側の枠内のセクション1から5を順に説明致します。

それでは、3頁のハイライトをご覧ください。2023年は、5月に新型コロナウイルス感染症の分類が変更されて以降、コロナ禍からの脱却と社会経済活動の正常化に向けた動きが進み、ホテルマーケットにおいても、特に、下期には顕著な回復が見られました。左のホテル運営状況をご覧ください。上段が2023年の変動賃料等導入25ホテルの運営実績です。右に前年比とコロナ前の2019年比を表示しています。RevPARは、通期で前年比+65.9%と大きく上昇しました。2019年と比較すると、上期は-5.0%でしたが、下期は+7.0%と増加に転じ、通期でも+1.4%と2019年を超える実績となりました。売上は、前年比+49.4%となりました。2019年と比較すると、宿泊部門は+1.5%と2019年を上回ったものの、料飲部門の回復状況から、売上合計は-4.9%となっています。結果、GOPは前年比+127.2%、2019年比-7.1%となりました。

下段が2024年の予想になります。2023年に取得した物件のうち、3件のホテルを加え、28 ホテルベースで算出しています。RevPARは力強い宿泊マーケットを背景に、前年と比較し上期+19.2%、下期+12.2%、通期で+15.2%を予想しています。尚、上期は2023年においてコロナ禍の影響が比較的大きかったため、予想がやや高くなっています。売上は宿泊部門で前年比+15.6%、料飲部門で+17.2%を見込み、合計では+14.6%の予想です。GOP は売上の増加に加え、適切なコストマネジメントによる前年比+19.2%と、大幅な増益を見込んでいます。中央上段は外部成長です。2023年は慎重な姿勢を取っていた物件取得を再開し、取得価格で合計333億円となる6物件を取得しました。そのうち9月に取得した3物件は、コロナ禍以降初となる公募増資を伴う取得となります。下段は財務の状況です。これまで通り、財務の健全性と安定性の確保に重点を置いた、保守的な運営を継続しています。2023年は借入期間の長期化を進め、最長6年のローンを調達しました。右上段に2019年からDPUの推移を記載しています。2020年以降、コロナ禍の影響を大きく受けていましたが、2023年のDPUは3,015円と、2019年の8割強まで回復しました。2024年は3,722円を見込み、売却益等を除く巡航ベースで過去最高を予想しています。下段は一口当たりネット・アセット・バリューの推移を示しています。2023年は78,661円で前年比+1.7%となりました。

それでは決算の説明に移ります。5頁をご覧ください。はじめに、2023年12月期実績です。左から2列目、オレンジ色の枠内をご覧ください。2023年は、ホテルマーケットの回復を反映し、不動産運用収益26,574百万円、当期純利益13,134百万円となりました。9月に実施した公募増資の結果、投資口数が3.8%を増加しましたが、結果として、一口当たり分配金は、前年比+342.1%の3,015円となりました。表中央の差異の内訳をご覧ください。不動産運用収益は前年と比較して、既存物件で110億円、2023年に取得した6物件で661百万円増加し、合計では11,661百万円の増収となりました。頁右の枠内、前年実績との主な差異要因をご覧下さい。ホテル業績の改善を背景に、各ホテルグループの賃料が増加しました。尚、HMJグループにつきましては、コロナ禍の影響により、2020年から2022年まで全額変動賃料としていた賃料体系を、2023年1月より、従前と同様の固定賃料プラス変動賃料に戻しています。そのため、前年実績との差異要因では、固定賃料8,030百万円増加、変動賃料774百万円増加と、相対的に固定賃料の増加が大きく示されています。HMJ16ホテルを総賃料で比較すると、頁右下にあるように、8,805百万円と大幅な増加となりました。

6頁にお進みください。本年度の予想について説明致します。左から2列目、オレンジ色の枠内をご覧ください。ホテルマーケットについては好調に推移する見通しであり、又、2023年取得物件が通年寄与をすることにより、不動産運用収益として、前年比+17.7%となる31,288百万円を見込んでいます。その結果、一口当たり分配金は、前年比+23.4%の3,722円となり、2019年の実績を超える予想としています。その要因について、頁右の前年実績との主な差異要因をご覧ください。固定賃料につきましては、2023年取得物件の通年寄与などにより、473百万円の増加を予想しています。変動賃料については、既存物件ではHMJ16ホテルで2,793万円、アコーグループホテルで522百万円、イシングループホテルで101百万円などの増加となります。又、2023年取得物件の通年寄与などによる808百万円の増加を合わせ、変動賃料合計では4,277百万円を予想しています。

それでは収益予想の背景となる、ホテル業績について説明致します。8頁をご覧ください。先ずは、2023年実績です。上段が変動賃料等導入25ホテル、下段がHMJ 16ホテルの宿泊部門の主要指標です。上期、下期、通期の夫々について、コロナ禍前の2019年実績および2022年と2023年の実績を示しています。グラフの下の表には、夫々の指標の2019年比の増減率を記載しています。上段、変動賃料等導入25ホテルのRevPARの増減率をご覧ください。2023年は、上期実績が-5%と、2019年をやや下回りましたが、下期は+7%、通期では+1.4%とコロナ禍前の2019年を超える着地となりました。宿泊部門の回復は、高単価販売戦略によるADRの力強い上昇に牽引されているものです。ADRは、上期で既に2019年対比+6.8%になっていましたが、下期は+15.5%となり、通期で+11.6%の大きな上昇となりました。

次にホテルの売上とGOPについて説明致します。9頁をご覧ください。こちらは左が変動 賃料等導入25ホテル、右がHMJ16ホテルの売上とGOPをグラフで示したものです。売上については、宿泊部門、料飲部門、その他に分けて表しています。8頁と同様に、2019年、2022年、2023年の実績を並べています。グラフの下の表には、2023実績の前年比増減率および2019年比増減率を記載しています。左の25ホテルの増減率をご覧ください。2023年の売上合計は、前年比+49.4%、GOPは+127.2%と大きく改善して着地しました。2019年と比較すると、宿泊部門の売り上げは+1.5%となったものの、料飲部門の回復が宿泊部門にやや遅れた結果、売上合計では2019年比-4.9%、GOPは-7.1%となりました。売上対比のGOP 比率について、GOPの棒グラフの中にオレンジ色のボックスで指示しています。こちらにあるように、2023年は34.5%と、前年の22.7%から大幅に改善しました。 又、2019年対比では、-0.8 ポイントまで改善しています。尚、特にコストマネジメント効果で大きかったHMJ16ホテルのGOT比率は、2019年を0.1ポイント上回りました。

2024年の業績予想について説明致します。10頁にお進みください。ホテルマーケットの状況ですが、国内旅行ニーズは底固く、今後も堅調な推移が期待されます。インバウンド事業については、韓国、台湾、米国、香港などは、既にコロナ禍以上の水準になり、遅れている中国についても、個人旅行を中心に回復が期待されます。2024年のホテルマーケットは、コロナ禍の影響を脱し、成長局面に入ったとの見通しのもと予想を策定しました。尚、昨今のホテルマーケットにおいては、人員不足の問題が取り上げられていますが、特に、HMJでは、コロナ禍以降運営組織の最適化を進めてきており、人材確保についても適切に対処できています。人員不足が今後の成長に向けて大きな障害になるとは考えていません。本頁は上段が変動賃料等導入28 ホテル、下段がHMJ19ホテルの業績指標です。

本年より、2023年に取得したホテルのうち、業績開示が可能な3ホテルを追加しております。昨年までとは対象ホテルが異なりますのでご留意下さい。左から宿泊部門の主要指標の売上、GOPの推移を示しています。いずれも2024年予想を2023年の実績と比較しています。頁上段の変動賃料等導入28 ホテルで説明します。先ずは、左の宿泊部門の主要指標をご覧ください。2024年は、通期で稼働率は4.9ポイント上昇し、83.3%となる見込みです。ADRは8.5%増加し、その結果RevPARは+15.2%と大幅な増加を予想しています。上期の上昇率が相対的に大きくなっているのは、比較対象となる2023年上期が、まだコロナ禍からの回復途上であったためです。売上をご覧ください。売上合計は69,025百万円と前年比+14.6%を予想しています。そのうち宿泊部門は+15.6%、料飲部門は+17.2%となっており、料飲部門についても、大きな売上増加を見込んでいます。宿泊、料飲、両部門での売上増加および適切なコストマネジメントの結果、GOPは24,850百万円と前年比+19.2%の予想です。GOP 比率は36.0%まで上昇する見込みです。

11頁にお進みください。こちらはアクティブ・アセットマネジメントの全体像です。本投資法人は、これらの取り組みによりアップサイド・ポテンシャルの実現を図り、DPUの最大化を目指します。コロナ禍におけるアクティブ・アセットマネジメントの事例を2つ用意しました。

12頁にお進みください。こちらは、オリエンタルホテル ユニバーサル・シティの事例です。本ホテルは、コロナ禍により業績が大幅に悪化する中、前賃借人が普通借家契約更新の権利を放棄したため、新たにHMJグループを賃借人、オペレーターとして起用したホテルです。HMJグループは、ディズニーマーケットにあるオリエンタルホテル東京ベイにおいても優れた運営実績を持っており、テーマパークエリアの需要をターゲットとする、本ホテルの運営に最適なオペレーターです。又、オペレーションの改善に加え、賃料スキームを固定プラス変動としたことで、一層のアップサイトの享受が可能となりました。又、早期の客室改装が、マーケット回復期の力強い成長を実現できると考え、コロナ禍ではあったものの エントランス、ロビーを含む客室改装を実施しました。加えてHMJの得意する朝食魅力化プロジェクトを早い段階で実行に移しました。これらの取り組みの結果、当初の目論見通り、より高単価な顧客層へのアプローチに成功し、頁下段にあるような、大幅なパフォーマンス向上を達成することに成功しました。本投資法人は、HMJとともにこれらのオペレーション戦略を立案し、客室改装を実施することなどで、一層のアップサイドを追求しています。

13頁は、ホテル オリエンタル エクスプレス 福岡天神の事例です。時間の都合上、詳細な説明は割愛しますが、1件目同様、コロナ禍をアップサイドに結びつけることができた事例で、大幅なパフォーマンス向上を達成しています。これらの事例をはじめとして、本投資法人では、コロナ禍においても、将来を見据えたアクティブ・アセットマネジメントを実践してきました。今後もアクティブ・アセットマネジメントによる成長を目指します。

続いて2023年に行った改装について説明致します。13頁にお進みください。頁上段は客室改装です。ここに示すように、オリエンタルホテル東京ベイ、神戸メリケンパークオリエンタルホテル、およびオリエンタルホテル沖縄リゾート&スパの3ホテルで客室改装を行いました。又、頁下段はレストラン改装です。オリエンタルホテル東京ベイ、および神戸メリケンパークオリエンタルホテルの2ホテルでレストランの改装を行いました。これらの取り組みの効果は高く、改装後の実績を見ると、2019年同期を大きく超えるパフォーマンスを上げています。これらは、いずれも戦略的なCAPEX投資となります。CAPEX投資の概要および2024年のCAPEX投資について、次の頁で説明致します。

15頁にお進みください。2023年は、前頁で説明しました改装のための戦略的投資である CAPEXⅢ1,295百万円を含む4,769百万円のCAPEX投資を行いました。それに対し、2023年の減価償却費は5,083百万円です。CAPEX投資は原則として、減価償却費の範囲内で管理していく方針ですが、現在は戦略的投資により、積極的にアップサイドを目指していくマーケット環境であると考えています。2024年は、頁下段にある3,165百万円のCAPEXⅢを含め、総額6,988百万円のCAPEXとなり、減価償却額5,345百万円を超える見込みです。
16頁にお進みください。2023年は、コロナ禍の間、慎重な姿勢を取っていた物件取得を再開し、6物件を総額333億円で取得しました。又、9月には物件取得に伴い、コロナ以降初となる公募増資を実施しました。2023年末時点で保有物件は47物件、取得価格ベースの資産規模は3,969億円となっています。今後もマーケット環境に留意しつつ、ポートフォリオの質の向上に資する物件の取得を行っていきたいと考えています。

17頁は2023年に取得した6ホテルの概要です。いずれのホテルも宿泊需要の増加が期待できる地域にある、競争力の高いホテルです。賃料体系につきましては、変動賃料や売上歩合賃料により、アップサイドの享受が可能となっています。又、京都、福岡、横浜の3ホテルにつきましては、賃借人がHMJグループとなりますので、HMJのプラットフォームを活用した、アクティブ・アセットマネジメント戦略による成長を目指してまいります。

18頁をご覧下さい。ESGへの関心が年々高まっています。本投資法人は、サステナビリティの向上を重要な経営課題の一つとして捉え、積極的に取り組んでおり、今後も力を入れていく方針です。左側にESGに関するこれまでの歩みを纏めています。頁右上GRESBリアルエステイト評価においては、2020年から4年連続で、アジア・ホテルセクターのセクターリーダーに選ばれています。又、本年1月に環境に配慮した事業に充当するための、資金調達の枠組みとして、グリーンファイナンス・フレームワークを作成しました。本フレームワークに基づく資金調達を進めていく考えです。又、本年2月には、雨庵金沢においてBELS評価を取得しました。ESGに関する取り組みは多岐に渡ります。詳細な取り組みにつきましては、本投資法人のWEB-Siteにある、ESGレポートによって確認頂ければ幸いです。

次は財務の状況について説明致します。20頁にお進みください。本投資法人は、従来から保守的な財務運営を基本方針としており、財務の健全性は高く維持されています。左上の表の通り、総資産ベースの負債比率は40.8%です。尚、鑑定評価額に基づく時価ベースの負債比率は33.3%であり、J-REIT平均と比較して非常に低い水準となります。有利子負債の平均残存期間は2.9年です。返済期限は2029年まで分散しています。フリーキャッシュは102億円、含み益は1,337億円です。右下にある通り、2023年は総額497億円を全額リファイナンスしました。又、物件購入に伴う新規借入として、118億円の調達を行いました。リファイナンスについては、コロナ禍以降、期間1年での借り換えが続いていましたが、最長6年の長期ローンへの借り換えを実現して、有利子負債コストとのバランスを取りながら、借入機関の長期化、金利の固定化に取り組んでいきたいと考えています。

21頁にお進みください。左は借入先の一覧表です。2023年は新規借入先3行を招聘するなど、レンダーフォーメーションの強化に努めています。格付けは右下の通り、JCRがA+安定的、R&I がA安定的となっています。

22頁をご覧ください。左の負ののれんについては、活用方針に変更はありません。右のチャートは、鑑定評価額と含み益の推移です。2023年12月末に保有する47物件で、鑑定評価額は合計5,257億円です。含み益は1,337億円となり、引き続き高い水準です。

マーケット環境について説明致します。24頁にお進みください。上段のグラフは延べ宿泊者数の推移ですが、コロナが始まった2020年以降、宿泊需要はほぼ日本人で占められていました。2023年は、日本人宿泊者数および外国人宿泊者数とも2019年水準まで回復し、延べ宿泊者数は594百万人を記録しました。下段は日本人の宿泊需要の月次推移です。青の折れ線グラフは、2019年同月との比較をパーセントで表しています。2022年10月以降、ほぼコロナの水準に回復し、2023年10月以降は2019年を超える水準で推移しています。今後も日本人の宿泊需要は底堅く推移するものと考えています。

25頁にお進みください。左は2014年以降のインバウンド数の推移です。2023年は、年間で2019年の約8割まで回復しました。右上が2023年月別のインバウンド数の推移です。1月は2019年同月比56%でしたが、12月には2019年同月を8%ほど超える実績となりました。右下の表をご覧ください。インバウンド数の国別の割合を示しています。コロナ禍以前にインバウンド全体の約3割を占めていた、中国の戻りがまだ鈍い中で韓国の割合が大きくなっており、米国の存在感が増しています。中国の戻りは、他国と比べ依然低い水準にありますが、個人旅行を中心に、中国からのインバウンドも着実に回復傾向にあります。2024年は2019年を超える過去最高のインバウンド数が期待されます。

26頁にお進みください。こちらはホテルの新規供給データです。右は1年前の集計値を参考として示しています。2023年の開業数は、1年前に見込んだものより減少し、2024年以降への開業予定の先送りが見て取れます。ホテルマーケットは回復基調にあるため、今後の動向には注意が必要ですが、全国の新規供給割合は、2023年が+1.1%台、2024年は+0.9%と、相対的に低い水準が見込まれています。

ホテルマーケットは、コロナ禍の影響を漸く脱し、新たな成長局面に入ったと言えるのではないでしょうか。本投資法人は、コロナ禍においても守りの戦略に凝り固まることなく、マーケット回復期における成長を狙った施策にも、積極的に取り組んでまいりましたが、本決算説明動画でも触れたように、それらの取り組みの成果が大きく現れ始めています。私どもは今後も得意とするアクティブ・アセットマネジメントを武器に、投資法人の成長を追求してまいります。
皆様には今後ともご支援ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。ご清聴有難うございました。