ジャパン・ホテル・リート投資法人 2022年12月期決算概要

ジャパン・ホテル・リート投資法人
2022年12月期(第23期)決算動画説明書
○動画    https://www.net-presentations.com/8985/20230222/ert5y6yh/
○資料 
https://www.jhrth.co.jp/file/term-f526125e384c80805f49f156d170d9f169bfea54.pdf
○説明者   ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ株式会社
代表取締役社長 古川 尚志
○説明 
ジャパン・ホテル・リート投資法人の2022年12月期決算および2023年12月期の見通しについて説明致します。

資料の1頁目の目次をご覧下さい。左側の枠内、Section1~5を30分程で説明致します。
3頁のハイライトをご覧下さい。先ず、左上はホテルの運営状況です。コロナ禍3年目となる2022年は、政府の行動制限が段階的に緩和されるのに伴い、ホテル市場の回復が進み、特に10月以降は、年末に向けてホテル・宿泊需要の強さが増していきました。こちらのチャートの青色の枠内が、変動賃料の導入25ホテルの2022年度の運営実績です。2022年のRevPARは、2019年対比で上期は△54.4%でしたが、下期は△25.3%に改善し、通期では△38.9%になりました。一方、GOPはエネルギーコストなど物価上昇の影響により、2019年対比△51.9%の水準に止まりました。オレンジ色の枠内は2023年の予想です。本年度は、年後半に回復が強まると見込んでおり、RevPARは通年で2019年対比△3.5%の水準を予想しています。Top-Lineが大きく回復する一方、昨年来続いているコスト上昇の影響を受け、本年度のGOPについては、2019年対比で△24.5%水準を見込んでおります。左下のDPUとNAVも推移をご覧下さい。2022年度は、ホテルの業績回復を背景に、物件売却益の計上無しに、DPUを682円とすることが出来ました。2023年度のDPUは、前年から大幅な増加となる2,005円を見込んでおります。一口当たりのNAVは、2022年12月末で77,361円となり、前年から殆ど変化はありません。右上が財務の状況です。これまで通り、財務の健全性と安定性の確保に重点を置いた、保守的な運営を継続しております。2022年は、期限が到来した借入金の全額をリファイナンスしました。9月には28億円の投資法人債を発行し、期限を迎えた投資法人債の一部に充当しました。右下になりますが、私共はESGについても積極的に取り組んでおります。GRESBより3年連続でアジア・ホテルセクターのセクターリーダーに選出されています。又、本年2月には、温室効果ガス排出量について2050年までの長期目標を策定致しました。

それでは決算の説明に移ります。5頁をご覧下さい。左から2列目、2022年12月期実績をご覧下さい。2022年度は、物件の売却無しに純利益2,671百万円を計上することが出来ました。結果として、一口当たり分配金は、前年比86.3%の増加となる682円となりました。頁右の前年実績との主な差異要因をご覧下さい。ホテル業績の改善を背景に、各ホテルグループの賃料が増加しました。先ず、変動賃料ですが、HMJ14ホテルで3,739百万円増加しました。HMJリブランド2ホテルとありますが、ホテルオリエンタルエクスプレス福岡天神とオリエンタルエクスプレス ユニバーサル・シティですが、賃借人の変更を伴うリブランドであったために、賃料スキームが変わり、変動賃料の割合が増えました。右下の内訳の通り、この2ホテルで賃料が97百万円増加しました。アコーグループホテルの変動賃料は、313百万円増加し、イシングループホテルについては、固定賃料が114百万円、変量賃料が47百万円の増加となり、合計で賃料が161百万円増加しました。その他の変動賃料が227百万円増加しましたが、大部分がヒルトン名古屋の歩合賃料の増加です。尚、固定賃料については、2021年のイビス東京真珠の売却により、商業テナント賃料が92百万円減少しました。結果として固定賃料は合計134百万円の減少、変動賃料は4,558百万円の増加となり、賃料合計で4,538百万円の増加となりました。

6頁にお進み下さい。本年度の予想について説明致します。左から2列目をご覧下さい。ホテル業績の本格的な回復を背景に、不動産運用収益として、前年比+46.4%となる21,837百万円を見込んでおります。その結果、一口当たり分配金は2,005円となり、前年から大きく回復する予想をしております。その要因について、頁右側の、前年実績との主な差異要因をご覧下さい。先ず、HMJ14ホテルについては、賃料スキームを固定賃料+変動賃料に戻したために、固定賃料が8,030百万円となる一方、変動賃料が2,941百万円減少し、合計で5,089百万円の賃料増加を見込んでおります。これに、HMJリブランド2ホテルの変動賃料増加の734百万円を加え、HMJホテル全体として、5,823百万円の増加を予想しております。又、アコーグループホテルの変動賃料については、864百万円の増加を見込んでいます。イシングループにおいては、the B 池袋における軽症者受け入れが、本年3月に終了するため、若干の減少を予想しています。

それでは、収益予想の背景となるマーケット環境について説明致します。8頁をご覧下さい。上段は変動賃料導入25ホテルのRevPARの推移です。2019年同期のRevPARを100として指数化しています。又、下段のグラフは同時期のコロナの感染状況です。2020年と2021年のRevPARは、夫々通期で34.7%、32.3%と極めて低い水準に落ち込みました。2022年は3月に蔓延防止等重点措置が解除された頃からRevPARが回復し始め、その後第7波、第8波における感染拡大の影響を受けずに、RevPARの回復が年末に向けて着実に進みました。2022年のRevPARは上期が2019年通期の45.6%、下期が同じく74.7%となり、通期ではRevPARがコロナ前の61.1%まで回復しました。昨年は10月上旬に全国旅行支援が開始されたのを機に、日本人の宿泊需要が大きく伸び始めました。海外に比べ感染対策の緩和に慎重な日本人でありますが、Post-Corona社会に向けて行動様式が着実に変わりつつあると感じます。又、インバウンドの宿泊需要も、10月上旬の入国規制制限緩和以降、国内需要にやや遅れて回復が進んでいます。本年は、1年を通じて国内外の旅行需要が国内マーケットを回復に導くと考えております。

9頁をご覧下さい。こちらは主要25ホテルの月次の運営資料ですが、2019年同月からの増減率で推移を表したものです。2020年、2021年は、宿泊需要が激減し、稼働率が大きく落ち込む中、ADRの水準は下げ続けることなくコントロールしました。2022年は3月以降、稼働率、ADRともに回復基調が続き、先程触れた10月以降の国内宿泊需要の回復に伴い、12月のADRは、2019年同月を3.9%超える水準に達しました。稼働率も、ほぼ2019年の水準に回復しております。宿泊需要の増加トレンドが予想される中、HMJグループホテルでは、ADR重視のRevenue Managementを行っており、本年はADRの上昇をドライバーとするRevPAR成長を目指しております。
10頁にお進み下さい。上段が変動賃料導入の25ホテル、下段がHMJホテル16ホテルの業績指標です。コロナ前の2019年と2021年、2022年の実績および2023年の予想を、上期、下期、通期に分けて比較しています。

変動賃料導入の25ホテルの下にRevPARの増減率の表があります。黄色ハイライトの通り、2023年度の予想RevPARは、2019年対比で上期は△9.6%、下期は+1.9%、通期で△3.5%です。本年は、RevPARが下期にコロナ前を超える水準まで上昇する結果、通期でRevPARがほぼコロナ前の水準まで回復すると予想しております。頁右側はGOPですが、主要25ホテルの本年度のGOPは、16,390百万円と予想しております。前年実績から84.7%と大きく増加するものの、エネルギーコストの上昇などが影響し、2019年対比では△24.5%となる見通しです。

11頁にお進み下さい。こちらは本投資法人の戦略的オペレーターであるHMJグループについて、コロナ禍以降の主な取り組みについて纏めたものです。一番上にあります通り、深刻なホテル業績の悪化を受け、2020年2月以降の賃料を、全額変動賃料に移行しました。この変更の前提条件として、HMJグループは大規模なリストラに合意し、徹底的なコスト削減に取り組みました。その下の、コスト面の欄に要約がありますが、HMJグループは、人件費と外注費を恒常的に削減し、運営効率、財務体質の改善を実現しております。その下の売上面をご覧下さい。HMJグループは一早くリストラを実施したために、マーケットの回復期、成長期を睨んだ攻め戦略に、早期に軸足を移すことが出来ました。コロナ禍において、これまでHMJグループでは、コスト、売上の両面から収益改善に取り組んでまいりましたが、本年以降の状況と取組みを纏めたものを、頁の右にお示しております。賃貸借契約については、本年1月よりコロナ前と同様の、固定+変動の賃料スキームに戻っております。コスト面では、人件費、外注費の削減効果を維持・継続する一方、昨年来エネルギーや原価の高騰による影響が大きくなってきており、総合的には、今後はコストの上昇が見込まれます。一方、売上面においては、ADR重視のRevenue-Managementに加え、私共が得意とする様々なActive Asset Managementを推進し、Top Lineの増加を図ります。売り上げの向上により、コスト上昇を吸収しGPOの増加を目指してまいります。
12頁をご覧下さい。こちらはHMJの売上向上策の事例です。本投資法人のポートフォリオは、比較的価格帯の高いフルサービスホテルと、リゾートホテルが多いのが特徴です。特にHMJグループホテルは、優位性の高いホテルが多いため、この頁にあるような付加価値を高めるサービスや取組みにより、ハード、ソフトの両面で差別化を図り、顧客ロイヤリティを高めることに注力し、売上の向上を目指しています。

13頁にお進み下さい。リブランドと改装の実績について説明致します。左がリブランドですが、私共は、コロナ禍以降3件のホテルでHMJグループホテルへのリブランドを行いました。下のグラフは、3件のホテルの2022年下期のADRを、2019年同月と比較したものです。ホテルマーケットの回復が進み始めた昨年10月以降、ADRはマーケット平均を超えて大きく上昇し、2019年を大幅に超える水準に達しました。オリエンタルホテル沖縄リゾート&SPAについては、ロビー、プールの改装を先行して行い、客室の改装は、昨年末に終了しましたため、ADRを押し上げていく効果は、今後出てくるものと思います。右側は、リブランドを伴わない階層事例です。神戸メリケンパークオリエンタルホテルでは、エグゼクティブラウンジを新設し、エグゼクティブルーム33室の改装を行いました。改装を行った部屋については、昨年10月から12月のADRが、改装前(2019年)の水準から、約70%増加しており、改装の成功事例となっています。下段は、昨年6月に行った、シェラトングランドホテル広島のレストランとロビーの改装事例です。昨年10月から12月の客単価は、2019年同期間より約40%増加しており、改装効果が収益の増加に繋がっております。

14頁をご覧下さい。こちらは私共のアクティブアセットマネジメントの全体像です。先程は、HMJグループホテルに関わる取組みとして、ブルーのハイライトの①売り上げの向上施策と、緑のハイライトの②コスト見直しを説明致しました。これらはホテルのGOP向上に繋がるものですが、GOP向上の下のオレンジ色のハイライトの③にありますように、投資法人においてリブランドや賃貸借契約の更改時に、賃料スキームや賃貸条件の変更を行いNOIの向上を図っております。頁右下の端になりますが、2023年度はドーミーイン熊本との賃貸借契約が3月に満了となり、4月から期間3年の新契約を締結致しました。従来は固定賃料のみの契約でしたが、新契約においては、従来の固定賃料にGOP連動の変動賃料を上乗せし、ホテル市場の回復に伴いアップサイドが享受できるスキームに変更致しました。
次に、物件取得について説明致します。15頁をご覧下さい。本年1月に、コロナ禍以降では初となる雨庵金沢を取得致しました。本投資法人においては、金沢マーケットにおける初の保有物件となります。本ホテルは、2017年12月に開業したモダンなデザインの宿泊特化型ホテルです。多くの観光スポットが徒歩圏内にある恵まれた立地にあり、又、平均客室面積が30m2超と広く、全室2名以上の宿泊が可能なホテルですので、今後増加が見込まれるインバウンド需要の取り込みに適したホテルです。賃料は、主体となる固定賃料に、宿泊売上に連動する変動賃料が上乗せされ、安定性が確保されたうえで、アップサイドが期待出来る賃料スキームです。鑑定価格2,140百万円に対し、取得価格は2,050百万円です。今後ホテルマーケットの本格的な回復と成長が予想される中、魅力的な物件取得を積極的に追及していきたいと考えております。

次にCAPEXにつきまして16頁をご覧下さい。2020年、2021年は厳しい収益状況の中、CAPEXを抑制する方向で管理しましたが、2022年は減価償却費とほぼ同額となる4,497百万円のCAPEX投資を実施致しました。2023年度はマーケット成長を上回る収益の向上を目指し、戦略的投資となるCAPEXⅢとして1,172百万円、総額では4,848百万円のCAPEX投資を予定しています。2023年度の減価償却費は5,018百万円となる見通しです。CAPEX投資は、これまで通り減価償却の範囲内で管理していく方針です。本年度のCAPEXⅢの内容ですが、頁右上の表の通り、3件のHMJホテルで、客室とレストランの改装を計画しております。

17頁にお進み下さい。ESGへの関心が年々高まっておりますが、私共は祖先してサステナビリティ/に取組んでまいりました。左側にESGに関するこれまでの取組みを纏めました。頁右上になりますが、GRESBリアルエステイト評価においては、2020年から3年連続で、アジア・ホテルセクターのセクターリーダーに選ばれております。その下の温室効果ガスの排出量削減については、本年2月に削減目標を策定しました。ESGに関わる取組みは多岐に亘りますので、詳細は本投資法人のHPを参照下さい。
19頁にお進み下さい。財務の状況を説明致します。私共は従来から保守的な財務運営を基本方針としており、コロナ禍においても本投資法人のBalance Sheetは盤石であり、財務の健全性は高く維持されております。左上の表の通り、総資産ベースの負債比率は41.1%で、J-REIT平均に比べ低い水準です。尚、鑑定評価額に基づく時価ベースの負債比率は34.0%であり、更に低い水準となります。有利子負債の平均残存期間は2.8年で、返済期限は、2029年まで分散しております。分配金控除後のフリーキャッシュは209億円です。右下にあります通り、2022年度は総額383億円をリファイナンスし、うち28億円については、期間3年の投資法人債を発行しました。本年度は1月に短期借入金55億円のリファイナンスを行いました。コロナ禍以降、期間1年での借換えが進んでいましたが、このリファイナンスにおいては、25億円について期間3年のローンへの借換えを実現しております。
20頁にお進み下さい。左は借入先の一覧表です。昨年度はみなと銀行を新たに招聘し、レンダーフォーメーションの強化に努めました。格付けは右下の通り、JCRがA+(ネガティブ)、R&IがA(ネガティブ)と変更はありません。

21頁をご覧下さい。左上のチャートは鑑定評価額と含み益の推移です。2022年12月末時点の含み益は1,250億円となり、引続き高い水準です。右上の表は、昨年末時点の保有ホテル41軒の、過去4年間の鑑定評価額の変化です。2022年12月末時点の鑑定評価額は4,831億円となり、前年末時点から殆ど変化がありません。下段の負ののれんについては、負ののれんの活用方針に変更はありません。
最後に、マーケット環境について説明致します。23頁にお進み下さい。上段のグラフは、延べ宿泊者数の推移ですが、コロナ禍以降宿泊需要は、ほぼ日本人の需要で占められています。下段は、日本人の宿泊需要の月次推移ですが、青の折れ線グラフは2019年同月との比較を%で表しています。2022年の日本人の宿泊需要は、2月を底にコンスタントに回復し、10月以降は2019年を超える水準で推移致しました。日本人の宿泊需要が強く、Post-Corona社会に向けて、社会経済活動の活性化が着実に進行していると考えております。

24頁にお進み下さい。上段は2018年以降のインバウンド数の月次推移です。青い折れ線グラフは、2019年同月との比較を%で表しております。コロナ禍以降、インバウンド数は実質ゼロの状態が続いていましたが、昨年10月の入国制限の大幅緩和を機に、増加傾向が顕著になっております。下段真ん中のパイチャートをご覧下さい。昨年10月から12月のインバウンドの国別の割合です、コロナ前と比べ韓国の割合が大きく増え、その他米国や東南アジアの割合が増えています。コロナ前にインバウンドの約3割を占めていた中国が低い水準にある中、昨年12月のインバウンド数は、コロナ前の54%の水準まで回復しています。本年は、インバウンドの宿泊需要の回復が堅調な日本人の需要に加わり、宿泊需要の全体の増加がホテル需要の回復を牽引すると予想されます。

25頁にお進み下さい。こちらはホテルの新規供給データですが、右は1年前のものです。コロナ以降、開業延期や中止となる計画が多く、全国で実際に開業した客室数は、1年前の予定より減少する結果となりました。開業予定の先送りにより、2023年以降の新規供給が増えていますが、今後も延期に加えて中止となる計画が増えていく見込みであり、新規供給は継続的に減少していくと予想しています。
ホテル市場はコロナ禍の厳しい3年を経て、漸く上昇トレンドに入りました。本年はPost-Corona社会に向かう前向きな大きな変化の1年目となります。ホテル市場が、Post-Coronaの環境に向けて大きく変化する中、私共はActive Asset Managementを積極的に推進してまいります。社員一丸となり、変化に柔軟に対応し、本投資法人の成長を追求してまいります。皆様には、今後ともご指導、ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。
ご清聴、有難うございました。