ジャパン・ホテル・リート投資法人 2022年6月期決算概要

ジャパン・ホテル・リート投資法人
2022年6月期(第23期)決算動画信説明書
動画  https://www.net-presentations.com/8985/20220824/bhuejd/
資料 
https://www.jhrth.co.jp/file/term-1310d1aa84da539ab5cd3c5ec2e0719516721f0d.pdf
説明者 ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ株式会社
     代表取締役社長 古川 尚志
説明
2022年12月期の中間決算、並びに、2022年12月期の収益予想について説明致します。
本年2月の決算発表におきましては、新型コロナウイルスの影響により通期予想が困難で
あったため、2022年度の収益予想を未定としておりました。その後も見通しの立て辛い
状況は続いておりますが、中間決算に合わせ本年度の収益予想を作成致しましたので、この
動画にて説明をさせて頂きます。
資料の1頁目の目次をご覧下さい。左側の枠内1から6を30分程で説明致します。
それでは、3頁のハイライトをご覧下さい。先ず、2022年の通期予想です。本年度の営業
収益は、13,337百万円と予想しております。これは前期比△2.2%、2019年対比では△52.8%
となります。純利益は1,158百万円と予想し、分配金は一口当たり333円となる見込み
です。左下のDPUの推移にありますように、2020年、21年は、物件の売却益がなければ
赤字となる決算でしたが、本年度は物件売却をせずに、黒字を確保できると予想しています。
本年6月末時点の一口当たりNet Asset Valueは78,056円となり、この1年間ほぼ変動は
ありません。頁右側は本投資法人の主な取組みです。先ず、賃借人/オペレーターへの対応
については、コロナ禍による不透明な運営環境のもと、HMJからの要請を受け、2022年度
の賃料を、全額変動賃料とする契約変更につき、本年2月に合意致しました。オペレーター
と協働し、引続きコスト削減に取り組むとともに、マーケット回復期に向け収益向上施策に
力を入れております。2021年に実施した3件のリブランドについては、予定していた客室
改装等のスペック投資を進めており、ホテルの資産価値を高める施策に取組んでおります。
財務については、健全性及び安定性の確保に重点をおいた保守的な運営を継続しています。年内に期限が到来する有利子負債は、全額リファイナンスする予定です。ESGについても、
積極的に取り組んでおり、GRESBより2年連続でホテルのセクターリーダーに選出されて
います。TCFD対応も進めており、本年は気候変動のシナリオ分析を実施致しました。
それでは、決算の説明に移ります。
5頁をご覧下さい。こちらは2022年度の通期予想ですが、前年実績および22019年度実績
と比較しています。頁右の前年度実績との主な差異要因をご覧下さい。固定賃料については、
イシングループホテルの固定賃料が、賃貸借契約に基づき、昨年から114百万円増加致し
ます。又、ホテルオリエンタルエクスプレス福岡天神とオリエンタルホテルユニバーサル・
シティにおいて、賃借人の変更を伴うリブランドを行いましたが、固定賃料主体の旧契約
に対し、新契約においては変動賃料の割合が増えたため、この2物件で固定賃料が168百万円減少します。昨年、イビス東京新宿を売却したことにより、商業テナントの賃料が
92百万円減少します。結果として固定賃料は、140百万円の減少となる見込みです。変動
賃料は、ホテルマーケットの回復基調を受け、HMJホテルグループで2,895百万円、
アコーグループホテルで152百万円、その他歩合賃料等変動賃料導入ホテルで93百万円
増加する見込みです。イシングループホテルについては、昨年は1年を通して行ったThe
B池袋のコロナ感染者受け入れが、今年は10月で終了することとなりました。このため
賃料が52百万円減少する見込みです。結果として変動賃料は、合計3,056百万円の増加を
予想しています。左の表の左から2列目、2022年度の予想をご覧下さい。本年度は物件
売却を見込まずに、当期純利益1,158百万円を予想しています。下段の分配金の欄にあり
ます通り、一口当たり分配金は333円と予想しております。
6頁は、2022年度の中間期実績です。本年度中間期においては営業収益が5,431百万円、
純利益は△471百万円となりました。ホテルマーケットが回復傾向にあるため、純利益は
前年度中間期の実績△1,488百万円から、1,017百万円改善しました。
運用状況の説明に移ります。8頁をご覧下さい。上段は、変動賃料導入25ホテルのRevPAR
の推移です。2019年同期のRevPARを100として指数化しています。コロナ禍1年目の
2020年は、初めての緊急事態宣言を受けて、4月、5月にRevPARが、2019年対比5%
前後まで急落しましたが、その後徐々に上昇し、Go to Travel期間中の11月には、2019年
対比56%の水準に回復しました。2021年は、年初からコロナ感染の波が続き、RevPARは
低水準で推移しましたが、第5波が落ち着いた10月からは徐々に回復し、12月にはGo to
Travelキャンペーンがない中、2019年対比60%の水準まで回復致しました。本年は、年初
より確実に回復し、7月には2019年対比62%まで回復しています。7月中旬以降は、感染
第7波により、感染者数が爆発的に増加し、現在も高い水準にありますが、RevPARへの
影響は限定的であり、足元の予約動向から、ホテル需要は底堅く推移すると予想しており
ます。政府は、行動制限を行わないと見られ、人々の行動様式も、感染防止の徹底から、
感染対策に入りつつ、観光やイベントを楽しむ方向に変わりつつあります。新型コロナ
ウイルスの感染状況の変化に注意する必要はありますが、日本人のレジャー、宿泊需要の
回復傾向は継続すると考えております。以上よりRevPARは、本年12月に、2019年対比
74%程度まで回復し、本年度下期は、2019年度対比で66%、年間では57%の水準になると
見ております。9頁にお進み下さい。こちらは、上段が変動賃料導入の25ホテル、下段がHMJ
グループホテルの業績指標です。上期、下期、通期と夫々2019年からの推移を示しており
ます。頁上段の真ん中、変動賃料導入25ホテルの下期のグラフをご覧下さい。本年度下期
については、稼働率が69.9%、ADRが14,089円、RevPARは9,846円に回復すると予想
しています。結果として、本年度通期の業績指標は、稼働率62.9%、ADR12,675円、RevPAR
7.971円の予想となります。通期RevPARは、昨年から75.1%、2019年対比では△43.5%
の予想となります。頁右側はGOPですが、変動賃料導入の25ホテルの、本年度のGOPは
7,206百万円と予想され、昨年度の2,367百万円から大きく改善する見込みです。
10頁では、本投資法人の戦略的オペレーターである、HMJグループへの対応について説明
致します。左上の表をご覧下さい。コロナ禍となり、2020年8月に1回目の賃貸借契約の
変更を行いました。厳しいマーケット環境に鑑み、HMJグループとの協議の末、人件費や
外注費の削減を含む大規模なリストラクチャを条件として、2020年の2月以降と2021年
については、全額変動賃料とする賃貸借契約の変更を行いました。その結果として、HMJ
グループでは、年間約15億円となる恒常的なコスト削減を達成し、収益体質を強化して
おります。その後、コロナ禍は当初の予想を超えて長引き、本年に入ってからは感染第6波
が嘗てない規模で広がり、ホテル市場の見通しが再び不透明な状況となりました。感染状況
次第では、HMJグループの経営基盤が大きく損なわれる可能性が存在したことから、HMJ
グループの要請を受け協議の結果、2022年の賃料についても変動賃料を適用することとし、
本年2月に賃貸借契約の条件変更を行いました。2023年以降については、従来からの固定
+変動賃料の賃料体系となります。頁左下のHMJ14ホテルの賃料シミュレーションを
ご覧下さい。2022年はマーケットの回復を受け50.1億円の賃料を見込んでいます。今後
RevPARが2019年の水準まで戻った場合には、本年度以降に予定している5億円のコスト
削減を織り込むと、賃料は163.8億円と試算され、実際に支払われた2019年の賃料より、
7.3%の増加となります。頁右側にHMJのコスト削減策を纏めました。人件費、外注費を
中心に効率化を図り、コスト削減を進めております。
11頁をご覧下さい。HMJグループの戦略的な取組みを紹介致します。マーケットの回復を
見据えた攻めの戦略です。頁左側は、集客力の強化施策です。会員組織クラブオリエンタル
の立ち上げ、自社チャネルによる集客力を強化しております。又、他社に先んじてレジャー
事業を取り込んでいくPR・マーケッティング活動を強化・拡大しております。本部に
セールス機能を集約し、営業活動を統括的、且つ、効率的に展開する体制とし、現在は、
特に日本人需要の創出、獲得に注力しております。インバウンドついては本格的な回復
時期は不透明ではありますが、海外エージェントとの連携を強化し、インバウンドレジャー
獲得のための準備を進めております。HMJグループが運営を手掛ける本投資法人のホテル
は16ホテルとなり、オリエンタルホテルズ&リゾーツのブランド価値向上の重要性が増し
ております。頁右は、HMJグループのブランド強化施策です。ホテルの特性やエリアの
魅力を生かしたプランを提供し、又、頁右下にありますように、地場の企業やコミュニティ
と協力し、観光資源の活用が地域貢献に繋がる地域競争戦略を進めております。HMJ
グループでは、地域に関連する方々と新しい価値を創造していきたいという思いから、この
地域競争戦略を、Co-Creation戦略と呼び、ブランドの存在意義の一つに位置付けています。
これらのブランド強化施策により、各ホテルのDestinationとしての価値を高めるとともに、お客ロイヤリティの向上を目指しています。HMJグループでは、他社に先んじて実行
した、徹底したコスト削減により、攻めの施策を取ることが出来るようになりました。今後
のマーケットの回復に伴う飛躍を期待しております。
12頁にお進み下さい。コロナ禍の中で行った3件のリブランド事例について説明致します。
ホテルオリエンタルエクスプレス福岡天神は、コロナ禍により前賃借人が、ホテルの運営
からの撤退を決めたため、後継テナントにHMJグループを起用し、改修工事を経て、昨年
6月にリブランドオープン致しました。立地の良さとポテンシャルの高さを生かし、
リブランドにあたっては、価格セグメントをエコノミーからミッドプライスに引上げ
ました。HMJグループにとって、福岡で運営する2件目のホテルですので、人材やバックオフィスの共通化により、効率的な運営が可能となります。中央は、オリエンタルホテル
ユニバーサル・シティです。昨年12月にグランドオープンしました。USJのゲート前に
立地するオフィシャルホテルで、HMJグループが大阪で運営する4件目のホテルとなり
ます。こちらもコロナ禍の中、前賃借人が普通賃貸借契約を辞退したため、後継テナントに
HMJを起用し、リブランドを行う機会を得たものです。全賃貸借人との契約に比べて
テナントの賃料負担率が上がりますので、同じRevPAR水準でも賃料は高くなります。
右は、オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパです。昨年10月にリブランドオープンしま
した。マリオットグループとのフランチャイズ契約終了に伴い、賃借人はHMJグループの
まま、オリエンタルホテルへのリブランドを実施致しました。プールやロビーの改装は、
本年3月に完了し、客室も順次リノベーションを行う予定です。本決算資料の表紙は、
当ホテルのリノベーション後のプールです。収益面については、オリエンタルブランドの
収益力向上に伴うトップラインの増加を目指しています。又、マリオットグループへの
フランチャイズ手数料が無くなるため、コスト面のプラス効果が見込めます。一覧表の一番
下が、リブランドによるNOI利回りへのインパクトです。マーケットが2019年の水準に
回復した場合には、3物件のいずれにおいても、NOI利回りがリブランド前の2019年実績から、大きく向上する見込みです。
13頁をご覧下さい。以前にもご覧頂いているスライドですが、Post Coronaに向けた
アクティブ・アセットマネジメントの菅家方について纏めております。コロナ禍において
コスト管理による守りの施策を継続する一方、マーケットの回復期に向けトップラインを
向上させるための取組みを積極的に進めています。ホテル独自の魅力作りや、競争力の高い
商品造成などレジャー需要を喚起し、獲得する施策をオペレーターと協働し、他社に先んじ
て実施しています。
次にCAPEXについて14頁をご覧下さい。2020年、2021年は厳しい収益状況に鑑み、
CAPEXのコントロールに注力しました。2022年は収益の改善傾向が見えてまいりました
ので、CAPEX計画は通常時の方針に戻し、総額4,716百万円を予定しております。本年度
の減価償却費は、4,733百万円の見込みですので、CAPEXは減価償却費の範囲内に
コントロールする方針です。
15頁にお進み下さい。ESGへの社会的関心が益々高まっていますが、私共は、従来から、
サステナビリティの向上に積極的に取組んでおります。本年度は、気候変動への取組みと
して、TCFDが推奨する4つの開示テーマに基づき、気候変動のシナリオごとに、リスク
と機会の識別を行い、財務インパクトを分析、検証致しました。GRESBリアルエステイト
においては、2018年から4年連続でGreen Starを取得しております。又、2020年、21年
と2年連続で、アジア・ホテルセクターのセクターリーダーに選ばれております。昨年は
本投資法人において重要なESG課題、所謂、マテリアリティの特定を行いました。本投資
法人のマテリアリティは、頁右下に纏めた7項目になります。ESGの取組みについては、
本投資法人のHPで詳細を説明しております。是非、頁右下のリンクからESG関連の頁を
ご覧下さい。
16頁はホテルで実施しているESG関連の取組みです。オペレーターと協力し、ホテルと
言うアセットクラスならではの取組みを進めております。
18頁にお進み下さい。財務の状況を説明致します。私共は、従来から保守的な財務運営を
基本方針としております。コロナ禍においても、本投資法人のバランスシートは盤石であり、
財務の健全性は深く維持されております。左上の表の通り、総資産ベースの負債比率は
42.1%、又、鑑定評価額に基づく時価ベースの負債比率は33.9%となり、J-REIT平均と
比べ、極めて低い水準となっています。有利子負債の平均残存期間は3.1年で、返済期限は
2029年まで分散しています。分配金控除後のフリーキャッシュは、211億円となります。
本年度は、下期に約176億円の借入金が、返済期日を迎えます。昨年同様、全額を
リファイナンスする予定です。又、10月に償還を迎える投資法人債60億円については、
新規投資法人債の発行によるリファイナンスを基本に考えていますが、社債マーケットの
状況次第では、一部を借入金へ振り替える等、柔軟に対応する予定です。
19頁をご覧下さい。左は借入先の一覧表です。本年度上期は、三井住友銀行、みずほ銀行、
三井住友信託銀行の、3行のシェアが上昇し、三菱UFJ銀行のシェアが減少致しました。
格付けは右下の通り、JCRがシングルAネガティブ、R&IがシングルAネガティブで、
変更はありません。
20頁をご覧下さい。左上のチャートは、鑑定評価額と含み益の推移です。本年6月末時点
の含み益は1,287億円となり、引続き高い水準です。右上の表は、現在所有しているホテル
41件の鑑定評価額の変化です。本年6月末時点の鑑定評価額は4,860億円となり、昨年
12月末から殆ど変化がありません。下段の負ののれんについては、これまで通り、負の
のれんの活用方針に変更はありません。
マーケット環境について、22頁にお進み下さい。上段のグラフは、延べ宿泊者数の推移で
すが、コロナ以降の宿泊者数は、ほぼ日本人の需要で占められております。下段は、日本人
の宿泊需要の月別の推移ですが、青の折れ線グラフは、2019年同月対比の数字を表して
います。日本人の宿泊需要は、本年6月に、2019年対比93%の水準まで回復しております。
コロナ禍は継続していますが、現在の日本人宿泊需要の回復傾向は、底堅いと考えています。
23頁にお進み下さい。コロナ禍となって以降、インバウンド数は実質0(Zero)の状態が
続いています。本年3月以降、入国制限が徐々に緩和され、インバウンド数は増加傾向に
ありますが、本年上期のインバウンド数は、2019年上期の約3%と、依然低い水準です。
インバウンドの本格的回復は、入国制限の大幅緩和が予想される、来年以降になると考えて
います。
24頁にお進み下さい。こちらはホテルの新規供給データですが、右は半年前のものです。
コロナ以降、開業延期や中止となる計画が多く見られます。開業予定の先送りにより、
2023年以降の新規供給が増えていますが、今後も、延期に加えて中止となる計画が増える
と予想されますので、新規供給は継続的に減少すると考えています。
最後に、26頁をご覧下さい。コロナ禍の2年半が過ぎ、ホテル市場の先行きに漸く明るさ
が見えてきたと感じます。海外では、年初から経済再開に向けて大きく舵を切った国が、
少なくありません。日本においては、引続き感染対策を注視していますが、感染対策に配慮
しつつ、観光やレジャーを楽しもうとする行動変容が起きています。新型コロナウイルス
感染症については、未だに分らないことも多いのですが、今後日本でも、社会経済活動が
徐々に従来の水準に戻っていくと考えられます。昨年までは、ホテル市場の先行きが、
極めて不透明でしたので、守りの戦略が中心でしたが、本年に入ってからは、守りと攻めの
両立を念頭に、本投資法人の運用を行っております。来年は、Post Coronaに向け、ホテル
市場の大きな回復が期待されます。弊社におきましては、社員一丸となり、本投資法人の
成長戦略に取組んでまいります。皆様には、今後ともご指導、ご鞭撻のほど、宜しくお願い
申し上げます。ご清聴、有難うございました。