いちごオフィスリート投資法人 2023年10月期決算概要
いちごオフィスリート投資法人
2023年10月期(第期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.youtube.com/watch?v=dbco2QQYyHc
○説明資料
https://www.ichigo-office.co.jp/ir/news/p_news_file/file/IchigoOffice_20231215_Corporate_Presentation_JPN.pdf
○説明者 いちご投資顧問株式会社
代表取締役執行役員 岩井 裕志
常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次
○説明
<代表取締役執行役員 岩井 裕志>
第36期(2023年10月期)の決算について説明させていただきます。
7頁をご覧願います。先ず当期の決算ハイライトです。当期につきましては、外部成長として資産入替を実施しております。商業施設1物件を16億円で売却いたしまして、都内のオフィスビルを18億円で取得しています。この資産入替によって、一口当たりNAVの向上、NOIの増加を実現することができております。譲渡した商業施設ですけども、安定性が高いのですが、アップサイドが限定的であるというところで、アップサイドがある都内オフィスとの入替を実施しました。譲渡した商業施設につきましても、譲渡益105百万円を獲得しまして、全額分配させていただきます。内部成長につきましては、NOIが期初予想から+10百万円、+0.2%となっております。財務につきましては、借り換えですね、リファイナンスがございまして、76億円でございます。借入期間の長期化、金利スワップの固定化を継続し、安定性を確保しています。
一口当たり分配金が2,115円ということで、前期比から-49.9%でございます。こちらの差異要因としましては、右に説明がありますけれども、前期にいちご池之端ビルを譲渡致しまして、この譲渡益の剥落が主な差異要因となっております。期初予想比では+100円、+5%でございます。今期の特殊要因といたしましては、臨時投資主総会を開催いたしましたので、その費用が一口当たり23円ぐらいのインパクトがございました。巡航EPUが1,976円、前期比+4.1%。一口当たりNAVが97,624円、前期比+964円、+1%でございます。ポートフォリオの含み益が489億円でございまして、前期末と比べますと、15億円ほど含み益が増えているという状況でございます。一口当たりFFOが2,617円ということで、前期比+34.4%となっております。ですので、分配金は前期からマイナスになっておりますが、売却のインパクトを考慮しないFFO、巡航EPUについては、前期比成長が実現できております。
8頁をご覧ください。決算の内訳についてご説明させていただきます。営業収益ですが、7,914百万円でございました。こちらは、期初予想と比べますと、-343百万円となっております。この差異要因については右側に記載がありますが、賃貸事業収入、賃料については、期初予想に比べるとプラスでございましたが、水道光熱費収入の減少ということで、主には現金収入ですが、ここが予想よりもマイナスになっているということでございます。この理由は、電気の使用料、使用料というよりは単価ですね、期初予想よりも単価が低く抑えられたということが要因でございまして、同前提で想定している現金の支出について、予算比大きくマイナスというところでございます。
ですので、営業収益はマイナスでございますが、NOIにつきましては+10百万円となっております。営業利益については3,9147百万円ということで、期初予想から+187百万円でございます。先ほどのNOIの増加と売却益の獲得、又は、営業費用のうちの販管費の減少で、営業費の+5%でございます。当期純利益につきましても、期初予想から+5%の3,095百万円でございまして、一口当たり分配金が2,115円で、期初予想から+100円となっております。本表の下に期末稼働率、期中平均稼働率が記載されておりますが、期末稼働率は96.8%でございました。期中平均稼働率は96.4%ということで、どちらも期初予想と比べますと、若干マイナスではありましたが、後ほど説明させていただきますが、当期については過去の平均実績以上の成約面積がありました。ですので、リーシングが比較的順調といえる期であったのではないかと思っております。当然、稼働はマイナスでも、賃料収入、NOIは想定比プラスで終わっておりますので、このへんはしっかりとリカバリーできていると考えております。
9頁をご覧ください。続きまして、財務指標の推移です。一口当たりNAVも成長も持続しまして、借入期間の長期化と金利の固定化を継続しております。資産価値、含み益の部分が向上したことによって、NAVが上昇しておりまして、それによって時価LTVも、若干ではありますが下げることができております。平均借入金利につきましては、当期の借換えのタイミングが、丁度金利の上昇局面であったということと、あとは期間の長期化を進めたこと、固定化比率を上昇させたことでやや上昇しましたが、安定性の高い水準で確保できていることを継続させていただいております。
10頁をご覧ください。いちごオフィスの一口当たりNAVの推移でございます。継続的な積極運営を通じて、保有資産の価値向上を実現しております。いちごオフィスが、オフィス特化型リートに転換した、2015年10月期以降の成長率が39.2%ということで、ここをしっかり伸ばしていくことを継続していきたいと思っております。
11頁をご覧ください。いちごオフィスの目標指数としておりますトータルリターンの状況でございます。直近1年では+8.7%でございました。東証REIT指数が-4.2%でしたので、超過年平均トータルリターンが12.9%ということで、大きく上回ることができております。いちごオフィスは、引き続き年8%以上を意識して運用をしていきたいと思っております。
12頁をご覧ください。当期の取り組みとして挙げられる、戦略的な資産入替について説明させていただきます。右側にトワイシア横濱磯子でございまして、こちらの物件を譲渡致しました。商業施設ということで、区分所有の建物でございます。本商業施設は、郊外立地で、安定性が非常に高かったのですが、新築当時から入居されていた長期契約のテナントが退去したということと、コロナウイルスの影響によって、商業区画のリーシングが非常に苦戦していた物件であります。コロナが明けてということで、稼働を向上させたのちに、適切なタイミングで売却することで、郊外立地、区分建物と流動性と若干競争力に劣る建物であっても、しっかりと譲渡益を出して売却することができております。一方で、左側の取得した錦糸町サウスビルですが、こちらは賃料の上昇余地がある物件として、取得させていただいております。取得によりNAVの向上、NOIの増加に貢献しておりますが、更なる上昇余地があると考えておりますので、しっかりと価値を上げていきたいと思っております。
13頁をご覧ください。当期の取り組みとして、いちご栄ビル「NIKE NAGOYA SAKAE」が10月にオープンいたしました。本ビル、本区画の解約は、いちごオフィスの収益、KPIに大きなインパクトがあったので、本区画の新規成約というのは、重要なトピックとして捉えており、ここにあげさせていただいております。本物件は、名古屋市有数の市街地「栄」エリア内のハイストリート「大津通」に面した希少性の高い物件であると考えております。今回、グローバルスポーツブランド「NIKE」が、旗艦店としてオープンいたしました。これにより、ビルの認知度、ビルグレードの向上に、大きく貢献できたと考えております。本区画につきましては、賃料は前テナントよりも下がったのですが、本立地に位置するビルにおいて、グローバルブランドの入居は、非常にビルグレード、認知度にかなりプラスになるのではないかと考えております。賃料は下がったとはいえ、前テナントが非常にマーケットの高い本立地に出店したいという強い要望があり、マーケット以上の賃料を出していただいていたということで、今回は、決して安売りしたということではなく、適正な賃料で入居いただいていると考えています。本取り組みのポイントとして、記載させていただいていますが、ダウンタイム無しでの新テナントの誘致を実現させていただきました。更に、1階、2階の2フロア、計777m2の大型店舗でも、強い需要を獲得できる競争力の高い立地ということを確認することができました。
14頁をご覧ください。いちごオフィスの稼働率、平均賃料単価の推移です。コメントにありますが、左側の表ですが、こちらについては移転需要が強く、直近 9期の平均成約面積を超える成約を実現しております。それによって、稼働率、フリーレント期間が回復傾向にあるというところが確認できるかと思います。こちらも、移転需要が強いというところは、Appendix41頁にいちごオフィスの入退去理由の記載がありますが、入居理由の9割以上が拡張移転、新規開設といったポジティブな理由でありました。
退去につきましても、半分以上がポジティブな理由での移転ですので、いちごオフィスがターゲットとするテナントというのは、積極的な、ポジティブな理由で移転されている方が多いと考えておりまして、マーケット需要は強いと考えております。成約分析で、直近9期で平均より上と記載しております。こちらは、Appendix42頁にあります。直近9期としておりますが、9期より以前は、いちごオフィスでは、殆ど空室がなかったので、当然もっと長いスパンで見ても、平均以上の成約面積と出るかと思います。いずれにしても、非常に力強い需要で、成約面積も埋め戻しが進められた期であったのではないかと思います。14頁に戻りまして右側の表ですが、都心6区につきましては、18,100円ということで、前期と比べまして同じ数字でございました。全物件にしますと15,000円ということで、前期の15,100円からマイナスになっております。こちらは、コメントにありますが、いちご栄ビルの大型店舗の退去の影響がありまして、平均賃料が下がってしまったというところです。
続きまして15頁、いちごオフィスの月額賃料の変動というところです。前期末と問う期末の成約ベースの月額賃料の変動でございます。1,139百万円から1,940百万円ということで、微増でございますが増加しております。先ほど賃料単価15,100円から15,000円に下がったというところですので、今回、大型店舗の解約を稼働率で穴埋めできているというところです。前期の稼働率が96%でございましたが、当期松は96.7%ということで、稼働率の上昇によってリカバリーできているというところでございました。
続きまして16頁、新規成約における賃料の変動状況でございます。新規成約の約2/3が、賃料増額で成約できております。増額改定の平均増額率が14.5%でございました。一方で、減額につきましては10件ございまして、平均減額率38.2%と大きくなっておりますが、こちらは、※印でコメントがあります通り、いちご栄ビルのインパクトが非常に大きいので、いちご栄ビルの解約を除くと-10.9%という水準でございます。こちらは、館内増床のテナントを入れて、若干の賃料の調整というところでございますので、下落傾向にあるという印象は、今のところ我々は感じておりません。右側の表は、テナント入替による月額賃料変動の推移でございます。こちらはですね、入替による増減はネットとしてプラスの状況が続いていましたが、当期につきましては、名古屋の栄の影響でマイナスとなってしまっております。ただ、来期は現時点で確定しているベースでございますので、またプラスの転じる予定でございますので、入替によって賃料が増額するというのは、今後も継続できるのではないかと考えております。
17頁をご覧ください。既存テナントの賃料の変動状況でございます。
左側のグラフを見ていただきますと、ほぼ据え置きで更新しております。増額改定が4件ございまして、平均増額率が+6.2%でございました。減額改定が2件ありまして、こちらは解約を阻止するために、適正な賃料に変えたというものでございます。右側のグラフを見ていただきますと、コメントにもありますように、当期は、増額改定は殆どなくて、据え置き中心でしたが、当期において来期の増額改定の合意をすでに獲得しておりますので、来期は、このグラフにある中では、最高額というような増額改定になっておりますので、来期以降は賃料が増額してくるというところでございます。
18頁をご覧ください。いちごオフィスの心築ということで、今期も共用部のリニューアルを実施して、テナント満足度の向上を推進しております。各工事は、10百万円以下ぐらいの工事ですけども、しっかりとブルの競争力を上げるようなことをやっております。
では、今後のいちごオフィスの成長に向けてというところでございます。最初は、いちごオフィスの新しい取り組みというところで、こちらについては、本部長の加茂から説明させていただきます。
<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
20頁をご覧ください。今回、新しい取り組みである価値創造CAPEX資金の調達について、説明させていただきます。前回の決算説明会におきまして、いちごオフィスリートの新たな中・長期目標ということで、トータルリターンで8%を目標として掲げさせていただいております。又、この目標達成のために、運用会社として、色んなご意見あると思うんですけども、理論株価であるNAVの向上を図っていくというところも、併せて説明させていただきました。いちごオフィスは、我々でいう新築、 バリューアップ余地が大きな物件を保有しておりますが、築年数の観点から、減価償却の殆どを建物の機能維持のためのCAPEX、所謂、LCCコストといいますが、こちらに費やす必要があり、価値創造、バリューアップのための大規模なCAPEX工事を集中して行うことに一定の制約がありまして、過去にもこの頁に示しておりますように取り組みをやってきましたが、集中投資でなく、限られた資金で、各期に亘って分散して行ってきたというところがあり、この状況を打破していきたいと思ったところでございます。
そのために、今回、スポンサーであるいちご株式会社を引き受け先として、我々の方で投資法人債を発行させていただいて、3.5億円の価値創造CAPEXの資金調達を11月に行いました。本件のポイントは、スポンサーから資金をいただきまして、長期で、しかも固定で1%という、非常にコストの低い資金を調達したということで、この資金を使って高い投資効果を達成する成長 投資を行っていきたいというふうに思っております。本頁で、過去の2つの事例を記載させていただいていますが、正にこういった投資を集中的に行って、NAVの成長、DPUの成長もそうですけども、これらを加速させていきたいと思っているところです。
次の21頁が、今回の価値創造CAPEX投資案件の一つが、いちご笹塚ビルについての現時点でのご紹介となっております。今回調達した3.5億円のうち、一部を使いましていちご笹塚ビルのバリュ-アップに取り組んでおります。本物件ですが、大型テナントが退去しまして、賃料がマーケットに比べて、我々としては割安と思っていたものですから、ここに大規模なCAPEX投資を行い、より高い賃料でのリストアップを行っていきたいと思っています。現状、まだ工事中のところもありますけれども、既にファサードとかエレベーターホールの改修は進んでおり、こういった効果もあって左下に記載していますが、既に一部においてテナントを入替で、賃料が+85%、それから既存テナントの賃料改定で、賃料が56%増ということで、既に高い投資効果が出ております。こちらはまだ一部だけの効果ですが、これから上階、上層階のメインテナントの区画についても工事を行い、より高いリターンを出していきたいと思っているところです。今後、これらの取り組みについて、決算説明会等で適宜報告させていただければと思っているところでございます。
<代表取締役執行役員 岩井 裕志>
続きまして22頁です。強力なスポンサーサポートの活用です。いちごオフィストータルリターン8%以上というところで、サポートもしっかりと活用していきたいと思っております。ここに挙げさせていただいているのは、既にサポートいただいていた内容でございますが、当然ここで落ちたことを再度検いただくということもございますし、それ以外でも有効なものがあれば、適宜スポンサーに提案していきたいと思っております。ここに記載している事項につきまして、先ず1点が、スポンサーサポートによる投資口の取得というところでございます。セカンダリーでの取得を実施していただいております。先ほど説明のありました価値創造CAPEXのための資金として、投資法人債に引き受けをしていただきました。次がブリッジ機能です。優良物件の提供、いちごオフィスの価値創造への取り組みの取り組みをサポートしていただいております。これを引き続き強化していただきたいと思っております。最後にRE100、環境のところです。グループ全体で、環境について非常に力強く進めておりますので、そこと一体でやることによって、木目細かい対応もしっかりとやっていきたいと思っています。いちごオフィスは、下に記載しておりますが、全保有物件で再生可能エネルギーの切り替えが完了しております。ただ、新規に取得した物件と区分所有建物についてはこれからになりますので、こういったところも含めて、この高いRE100の状況を継続していきたいなと思っております。
次の23頁がパイプラインでございます。合計20物件、合計約747億円のスポンサーを中心としたパイプラインがございますので、これを有効に使っていちごオフィスの成長に繋げていきたいと思っております。こちらの1番と2番につきましては、ブリッジファンド、いちごオフィスも一部出資しておりますが、ブリッジファンドでございまして、3番以降が、今スポンサーが保有しているオフィスでございます。スポンサーはこれ以外にも、オフィスリートで購入できる物件につきまして、取得の検討を進めるというところでございますので、そういったところもしっかりとサポートしていただきたいと思っております。
24頁をご覧ください。2024年4月期の予想でございます。譲渡益の剥落や大型区画の解約によって、一時的に収益は減少とさせていただいております。一口当たり分配金につきましては、2,006 円ということで前期実績と比べますと、-109円という水準で想定をさせていただいております。この差異要因ですが、先ずNOIを見ていただきたいのですが、NOIは前期比-179百万円の水準で予想を立てさせていただいております。前期に行いました資産入替、名古屋栄の大型店舗区画のリースアップによって、NOIはプラスにインパクトしているのですが、先ほど加茂から説明があったように、笹塚で大型解約がございまして、結果的にはNOIがマイナスになっているというところでございます。差異要因については、コメントにもありますように、販管費とか営業外費用のマイナス効果はありますが、今回の稼働回復のためのリーシングの仲介手数料を、しっかりと計上しているというところと、前期の売却益の剥落も加わりまして、DPUはマイナスと想定させていただいております。実はこの分配金につきましては、前開示予算から比べましてもマイナスにさせていただいております。前回の開示が2,059円でございますので、そこよりも低い水準でおかしていただいております。その理由としては、解約が若干想定よりも増えていたというところと、先ほど説明のありました価値創造CAPEXを実施するために、計画的にダウンタイムを若干長くとっておりますので、その影響で当期につきましては、DPUを少し抑えさせていただいているという状況でございます。
続きまして2024年10月期の予想でございます。25頁をご覧ください。安定した運用を継続し、収益および分配金は、成長トレンドに変わっていくということを想定しております。一口当たり分配金につきましては、2,066円ということで前期の予想から+60円としております。主な要因は稼働率です。表の下にありますが、稼働率が96.7%から97%へ増加させるという計画でございます。ただ、稼働は上げますが、収益の通期インパクトですとか、先ほど説明がありました価値創造CAPEXの効果というものは、2025年4月期にインパクトが出てくると予想しておりますので、分配金2,066円以降、しっかりと伸ばしていくということを考えていきたいなと思っております。
説明は以上になります。
<質疑応答>
Q:先ほどの価値創造CAPEXに関してなんですが、 実績を拝見させていただくと、高いリターンが得られているということではありますが、一方で、足元ではCAP-Rateも非常に低いということで、低いCAP-Rateで物件を買うもではなくて、これからはCAPEXにどんどん力を入れていくというような考えはあるのか考え方をお伺いできればと思います。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
CAPEXなのか物件の取得なのかというところですけれども、我々としてはバランスだと思っておりおまして、今の売買マーケットはオフィスについても、非常に、こう若干ネガティブに見られている方で、売却価格を下げてでも売却したいという方も出てきておりますので、良い物件があれば自己資金を使って買っていきたいと、一方、おっしゃる通り、いちごオフィスの物件は、昔から結構持っていて、簿価も比較的安く、手の掛け甲斐のあるということで、CAPEXについてもしっかり力を入れていきたいと思っておりますが、まあ、なかなか、今CAPEX1本でいくというそこまでの考えはありませんが、おっしゃる通り、なかなかImplied CAP-Rateを超える水準で物件が買えないとか、そういった状況では、いたずらに外部成長を追うわけではなく、トータルリターンをKPIにしておりますので、そのためにはどちらが良いかを見定めながら、運用をやっていきたいと思っているところです。
Q:デットコストについてですが、金利が上がっている中で、コストが上昇しているという状況ですが、今後についても長期固定で、安定性重視ということで、ある程度のデットコストの上昇というのは許容していくのか、若しくは、変動金利、短期借入を交えながら、極力コストは上げずに行きたいのか、どちらを優先させていくのかお伺いしたいと思います。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
デットコストについてですが、基本的に長期で固定という方針は堅持したいと思っています。借り入れが1,000億円強ありますが、各期の返済のラダーは、ある程度平準化されておりますので、暫くの間リファイナンスをしていっても、一気にポートフォリオの金利上昇の影響は受けないかなと思っています。加えて、先ほど岩井からも説明がありました通り、稼働率が、我々の足元で言いますと、回復してきているところがありまして、これから賃料上昇という局面に移っていけるのではないかと思っておりますので、当然、先ず先に、金利が上がってきている状況ではありますが、NOIの向上も見込めるのではなかろうかと。そういった意味で、いまいまこの方針、長期で固定という方針は変えずに運用したいと。とは言っても、金利の状況は注視して、変動短期、あまりにもギャップが出てきた時にどうするかということであれば、そこは一部そういった資金を使う等、そこは柔軟に対応をしていきたいと思っているところでございます。
Q:自社株買いについてですが、今回、自社株買いについて発表されていませんが、やらないという理由について説明いただければと思います。
A:<代表取締役執行役員 岩井 裕志>
自社株買いについてですが、有効な手立てとして、我々も積極的に検討していきたいと思っております。今のところは、
物件の取得に使うとかCAPEXに使うとかして、高いリターンが得られているというところでありますが、同時に、自社株買いについても検討していきたいと思っております。手元資金との兼ね合いというところでありますけれども、ここについては、今後も検討の選択肢の一つと考えております。
Q:金利についてですが、22年10月期から23年10月期までの1年で、0.81%から0.9%に9basis上昇していて、1期あたり4~5-basisあたりの上昇ベースで見ておけば良いのかなと考えたのですが、今、業績予想で見ている金利の前提と、当面の金利の上昇がどれくらいという具体的な水準、この辺りを目途にとめたいとか、そうものがあれば説明いただければと思います。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
金利については、予測のところで行きますと、現状プラス大体、将来予測で大体30~60ぐらいの上昇の見込みをしております。現状どうなっていくかは不透明ではあますが、そこは一定程度保守的に見ながら、将来予測を立てているという状況です。
Q:補足で伺いたいのですが、30~60-basisの金利上昇というのは、これはリファイナンス分についてということで良いのか。又、全体平均では3-basisという感じでしょうか。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
そうです。又、全体平均では4~5-basisぐらいかなと思います。
Q:稼働率についてですが、2024年10月期で、期末稼働率より平均稼働率の方が高くなっていて、24年10月期の予想平均稼働率が97.4%ですが、これは前期末の稼働率96.7%とか、24年10月期期末稼働率の97%よりも高い水準になっていて、この理由をご説明いただければと思います。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
期中平均と期末稼働率の差ですが、これは正に我々の予測でありますが、後半にかけて一部の解約を見込んでいるというところです。これも少し保守的に見ているところではありますが、その影響で、期中平均と期末稼働に若干差異が出てきている、期中平均の方が高くなっているという状況です。
Q:業績予想で挙げられている内部成長の確度ですが、想定道理に具現化すればよいだけの話だと思うのですが、具現化しなかった時のリスクをどのように考えているのかなと思っておりまして、P/Lの話ではなくCash-Flowの話ですと、御社の場合、FFOのペイアウトも結構高くて、且つ、CAPEXもやっていますということになると、コスト先行型なのかなと思っていて、すごく効率的な運用なのは良いのですが、手元Cashもなんとなく減ってきている感はありますが、P/Lの観点というよりは、Cash-Flowの周りみたいな、Cash-Managementの継続性みたいなところでいうと、今の見込みが、仮に実現しなかった時のリスクはどういったところにあるのか教えていただきたい。先ほど言われたように金利が高くなっていて、長期固定化は良いのですが、アップフロントも払われているし、金利コストもそれなりにあると思うので、ボディブローが結構きついと思うのですが、そのあたりのくだりを教えていただければと思います。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
25億円くらいのFree-Cashがありますというところですので、手元の流動性はしっかりあるかなと思っております。内部成長のところですが、CAPEXファイナンスの物件等も基本的に、今回CAPEXファイナンスをかける案件も、現状空室のある案件で、新規にリーシングが見込める案件であることを結構重点的に見ておりまして、そこは過去の我々のトラックレコードを見ていただきますと、今回の新規の入替等も含めてかなりの部分での増額改定ができているというところですので、我々の運用をしっかり見守っていただきたいと思っています。まだ決まった話ではありませんが、今回CAPEXファイナンスが7件、350百万円を7物件で、2,000坪強のところにコストをかける想定ですが、その中の一部で既に引き合い等も出てきておりますので、我々としては自信を持っているとご理解いただければと考えております。
Q:価値創造CAPEXの効果ということで、引き合いが入ってきているとの話があったのですが、これによるテナントの属性の変化みたいなものが期待できるということで良いのでしょうか。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
今回7物件ほどピックアップしておりますが、そもそも物件の前提において、レイアウトオフィス、セットアップオフィス等のCAPEX効果がありそうなエリアの物件で、そういったものが刺さりそうなテナントが多いエリアということを選定しております。そういった意味では、今までからそういった業種の多かったエリアになるんですけれども、当然、より今後の成長が見込めるスタートアップ企業の入居を狙っておりますので、ものすごく大きく属性が変わるというところまでは言えるかどうかはわかりませんが、より今後の成長が見込めるテナントに、当社の物件に入っていただいて、若し可能であれば、次回以降より成長された時に、当社の他の物件に入っていただく等の、良い循環を作り出していくというところが見込めるのではないかと思っているところでございます。
Q:今までのところを伺いますと、結構堅調になってきたというか、それなりの状態になってきたという感じがしますが、賃料水準については大底なのか、これから底打ちするのではないかと見ているのかどうか。再来年には大量供給がありますので、その影響は気になるところですが、そのあたりもどうお考えなのか教えていただければと思います。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
レントについてのご質問ですが、我々の感覚では、レントについては底を打って上昇に転じるのではないかと思っています。前回の決算説明会でも、リーシングの稼働率の予算に対する比例のところで、大型区画のリーシングがなかなか進まなかったと説明させていただきましたが、まだ進んでいないところもありますが、今までかなり苦戦していた区画についても、これは来期、37期以降になりますが、一部決まってきている感覚があります。稼働については、かなり自信を持っているところですので、今後賃料の上昇に転嫁していけるのではないかと思っております。足元、そこまで大きく賃料が、この決算説明書でも、賃料が思い切り上がっているということを示すことはできておりませんが、見ていただくと、37期は新規成約、入替、改定を含め、かなりの増額というのが現時点で見えていますので、そこらへんは。期待していただければと思っております。
Q:価値創造CAPEX3.5億円を調達され、7物件ほどを今見込んでいるということなので、1件当たり50百万円になると思いますが、そのあたりは正しいかどうか。又、7物件は、どのようなエリアを考えておられるのか教えていただければと思います。今後、価値創造CAPEXの影響が出てくるのではないかと思いますが、これによる巡航分配金はどの程度考えておられるのか教えていただければと思います。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
CAPEXファイナンスですが、金額については少しバラつきがあります。例えば、岩井から説明のありました笹塚については、退去面積が大きいものですから、このような物件には、かなり資金を投入する予定です。一方、30~40坪ぐらいの空室区画にCAPEXをかけて、レイアウトオフィス、セットアップオフィスをやるといった場合には、そこまでの金額にはならないということなので、物件によって差があるとご理解いただければと思っております。DPUのところですが、CAPEXファイナンスの効果として、350百万かけてROIが10%以上ということで、我々の実際のところは、もっと高いROIになっていますが、仮に10%ということであれば、35百万円の利益となります。ですので、賃料収入を上げに行くとDPUベースで10円ぐらいになりますし、仮にこれが20%のROIであれば、20円ぐらいの巡航ベースのDPUの上昇が見込めるという形になるかと思います。我々としては、より高いROIを目指し、そうしたDPU成長を図っていきたいと思っております。
Q:名古屋の栄の物件で、NIKEの入居があったとのことですが、可能であればNIKEが決まった経緯、立地が全てというところもであったのではないかとの気もしますが、決まった経緯を大まかに教えていただければ幸いです。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
NIKEの経緯についてですが、前のテナントのドラッグストアが退去されるというのが決まってから、我々の方で、当然リーシングブローカー等も使って、しっかりリーシングをさせていただいて、この辺りの周辺に、行っていただきますと結構グローバルスポーツブランドが他にも出ておりまして、彼らとしてもこのエリアに旗艦店を出して、競合他社に負けないような形で運営をしていきたいということで、決まったという経緯ですので、そういった意味も含めて本物を選んでいただいたという経緯でございます。
Q:CAPEX投資のところで、350百万円調達されていますが、若し足りなくなった場合、再度投資法人債にて調達されるのか、借入金なのか、或いは、手元資金を使うのか、そのあたりはいかがでしょうか。
A:<常務執行役員オフィスリート本部長 加茂 勇次>
我々としては、スポンサーから調達した350百万円をシードとして実績を出して、できればスポンサーではない外部の金融機関、或いは、普通の公募の投資法人債等で調達していきたいと思っているところでございます。ポイントは、手元資金よりも長期で1%の資金ということで、資本コストが安いというところと思っています。できれば今回の取り組みのような形で、今回はスポンサーから調達しましたが、今回のトラックレコードを生かして、別の形での調達という形で、この取り組みを行っていきたいと思っております。
質疑応答は、この辺りで終了させていただきます。
以上を持ちまして、いちごオフィス2023年10月期Web決算説明会を終了させていただきます。本日はお忙しいところご参加をいただき、誠に有難うございました。