KDX不動産投資法人 2025年4月期決算概要

KDX不動産投資法人
2025年4月期(第40期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/8972/20250617/ml5luwh1/
○説明資料
https://www.kdx-reit.com/file/top-9e13a37c40eb6dce56cbacdfb0dad540141a0896.pdf
○説明者 KDX不動産投資法人 執行役員 兼
     ケネディクス不動産投資顧問株式会社
      取締役 最高業務執行者(COO) 兼 上場リート本部長 桃井 洋聡
〇説明
本日は、KDX不動産投資法人の、2025年4月期の決算説明動画をご視聴頂き有難うございます。足元でのJ-REITマーケットは、投資口価格が緩やかに回復基調を辿って推移しており、漸く長い冬が明け、暖かい春の日差しが差し込んできた状況です。引き続き不動産の売買マーケットは堅調です。保有するアセットの運用状況も、全てのアセットタイプにおいて良好で、賃料引き上げによる内部成長もしっかりと進捗しています。昨年12月に発表した通り、2025年は収益性の低い物件を中心に譲渡を先行させる方針とし、これを着実に実行しています。

譲渡により得られた資金は、分配金の底上げに回したものも一部ありますが、まだ十分残余がありますので、アメリカの関税問題に起因する不透明感が漂う中、投資口価格の推移等を見ながら自己投資口取得の機動的な検討や、ポートフォリオの質改善および収益力の強化につながる物件取得、或いは、非連続的な成長戦略機会の探索など、柔軟に運用戦略を組み合わせながら、DPUの成長を目指していくための礎として、今後積極的に活用してまいりたいと考えています。

4頁をご覧下さい。先ずは新たに設定したDPU成長目標について説明させて頂きます。2024年12月の決算発表時に、目標DPUとして4,200円を掲げましたが、今回これをさらに磨き上げ、B/S Managementを意識しながら、年率3%以上の成長を目指していく目標を新たに掲げます。足元では、物価や金利の上昇傾向が続いていますが、しっかりとこれに負けない賃料の適正化を中心に取り組みながら、成長を実現させていきたいと考えています。終わりました2025年4月期の分配金実績は、一口当たり4,045円と、年率3%成長、予想比でも2.9%の成長を実現しています。今回2025年10月期の分配金は、一口当たり4,105円、2026年4月期で4,166円と、しっかりと目標に沿って成長させていくことを前提に予想分配金を発表しています。尚、お伝えてしています通り、現状、物件譲渡を先行させて資金を確保した状況ですので、一口当たり純利益、所謂、EPUは2025年4月実績と比較して低下しているように見えますが、確保している資金を活用し、EPU水準の引き上げに向けて取り組んでまいります。

5頁をご覧下さい。エグゼクティブサマリーです。先ず、資産入替についてです。 方針・戦略については記載の通りですが、2025年は、年間を通じて300から500億円規模の物件譲渡を行っていくという方針のもと、既に完了しているものも含めて330億円強の譲渡に目処をつけています。確保した資金は物件取得や自己投資口の取得、LTVコントロールなど、既に示しておりますアロケーション方針に乗っ取り活用してまいります。これに加えて、大きなテーマの一つである内部成長についてです。賃料のアップサイドが期待できる資産への入替を進めたことや、積極的な新規賃料の引き上げおよび契約更新時の粘り強い増額交渉などを通じて、2025年4月期では、前期実績を大きく上回る賃収増を実現することができました。引き続き金利コストの上昇による減収圧力に負けない、力強い内部成長を実現していきたいと思います。

6頁をご覧下さい。資本コストを意識したキャピタルアロケーションについて説明します。これまでも有言実行してまいりました自己投資口の取得と、LTVコントロールおよび夫々の効果について示しています。ご存知の通り、自己投資口の取得を行いますとLTVが上昇するという点も踏まえ、当期では81億円の借入金を返済し、LTVの水準を引き下げています。今までも、又、これからも不動産マーケットのみならず、資本市場やレンダー、格付け機関などとの対話をしっかりと積み重ねながら、不動産の投資運用だけに留まらない多様、且つ、アクティブな施策にも積極的に取り組んでまいります。

次に7頁をご覧下さい。譲渡資金の活用方針についてのおさらいです 。
引き続き投資主利益に資する運用を第一に考え、資産入替に取り組みながら、物件譲渡の進捗状況、投資口価格やP/NAV倍率およびLTVの水準等を見据え、必要に応じて内部留保の一部活用なども視野に入れながら、積極的、且つ機動的に自己投資口の取得を検討していきたいと考えています。LTVの水準ですが、先ほど説明させて頂いた借入金の返済などを通じて、2025年4月期末時点において総資産ベースで44.8%となりました。現下の資本市場の状況を踏まえますと、引き続きLTVの水準が一定の幅で上昇することについては許容していきたいと考えていますが、資産規模の拡大を追い求めるつもりはなく、資本コストを意識しながらの、あくまで物件本位の厳選投資やポートフォリオの質改善に資する資産入替を行っていく方針です。基本原則としてLTV49%を上限としながらも、一本調子で上昇していくようなことは想定しておらず、譲渡資金を活用しながらの、適切なLTVコントロールを継続して行っていきたいと考えています。

9頁をご覧下さい。決算ハイライトです。先ず、当期、2025年4月期の決算についてです。前期と比較しますと、547百万円の売却益の剥落が影響し減収とはなりましたが、物件譲渡が先行する中、保有物件数が減少するものの、前期取得した物件の通期寄与や内部成長により、賃貸事業収入が増加し増益となり、一口当たり分配金は、前期実績および当初予想を上回る4,045円で着地しています。2025年10月期予想では、当期水準を上回る売却益と一時的な原状回復収入の計上が見込まれることから増収となる見込みですが、修繕費の一時的な増加によるNOIの減少などの影響もあって、減益を予想しています。

1年後の2026年4月期予想は、当該決算期中に先日付で確定している譲渡はまだありませんので、売却益の計上などは織り込んでいません。このため、2025年10月期予想と比較すると、売却益や前期計上する見込みの原状回復費収入の剥落が大きく影響し、減収・減益を予想しています。一時的な修繕費の増加による減収インパクトがこの期も続くことを予想していますが、引き続き物件数が減る一方で、内部成長の寄与により賃収の伸びを織り込んでいるため、賃貸事業収入自体はほぼ横這いで推移する見込みです。

10頁は2025年4月期 分配金実績の変動要因についてです。
2024年12月の決算発表時にもお伝えしていますが、オフィスビルにおいて、大口テナントに対して解約禁止期間の延長と引き換えに、一定期間に限り賃料減額に応じた影響が当期中に出たこと、および2月まで実施していた60億円の自己投資口取得による底上げ効果が、当期増減の特徴の一つではありますが、先期に取得した物件の通期寄与や内部成長の加速化により、しっかりとEPUも成長しています。
11頁をご覧下さい。2025年10月期および2026年4月期の分配金予想についてです。一口当たりの予想分配金は、年率で3%以上の成長を目指すべく、夫々4,105円、4,166円としています。予想2期を通じて、物件譲渡による収益の低下を、既存物件の内部成長でカバーする見通しとしていますが、一方で、一時的な修繕費の増加などによりEPUは低下する見込みです。現状では、内部留保の取り崩しにより、DPU年率3%成長を目指す形としていますが、内部成長の更なる積み上げや、既に物件譲渡により確保している資金の今後の活用を通じて、EPUの底上げを図る考えです。

次に13頁、2025年4月期以降の資産の入替についてです。上段は取得物件、下段が譲渡物件ですが、引き続き収益性や築年などの観点から、ポートフォリオの質向上に資する多様なアセットタイプ、跨った資産入替を推進しています。このような資産の入替をこれからも継続することにより、物価高や金利高に負けない、より筋肉質なポートフォリオを構築していきます。足元でのインフレ定着化の流れを踏まえ、豊富なパイプラインからの取得を中心に、特に宿泊施設の保有比率については、できるだけ早期に10%以上の水準まで引き上げていきたいと考えています。

続いて14頁、これまで行ってきた譲渡の実績について紹介したいと思います。合併した 2023年11月以降、延べ500億円を超える物件群を譲渡してきました。ご覧の通り、含み損の解消、内部成長余地が限定的など収益性低下リスクの回避のためや、運用効率の向上を目的に譲渡物件を選定してまいりました。引き続きアセットタイプに拘らず、課題を抱えている物件を中心に譲渡していく方針に変わりはなく、この2025年下期にかけてもしっかりと実行していきたいと思います。

15頁をご覧下さい。次に内部成長について説明します。当期の用途別の内部成長実績と月額賃料の構成割合を示しています。当期につきましては、オフィスビル、居住用施設と宿泊施設を中心に月額賃料が伸び、DPU換算で55円の成長効果がありました。内部成長が実現しているオフィスビルや居住用施設、宿泊施設に、長期契約、固定賃料型の契約形態が中心の商業施設や物流施設のうち、残存期間が短く、テナント入替時や更改時の増額改定により、賃料上昇の余地が期待できる契約を加えた賃料割合が、ポートフォリオ全体のうち7割を超えていますので、インフレ耐性を備えた収益構造となっている点を、是非ご認識頂きたいと思います。当面はインフレ局面でもあり、安定的なキャッシュフローを持ち味とする、長期固定賃料型契約が主体のアセット群からの収入割合を3割程度保持しながら、アップサイドが期待できるアセットを中心に、内部成長を実現していきたいと思います。

16頁をご覧下さい。ここからは、各アセット タイプ別の運用状況について、概略説明させて頂きます。先ずはオフィスビルについてです。各種調査結果を見ても、賃貸マーケットの改善が引き続き進んでいることが確認できますが、中規模オフィスビルのマーケット環境も堅調です。元々対面での仕事を好まれる傾向があり、出社率も高い中堅中小企業が主なテナントではありますが、保有物件の稼働率は、一般的な指標を上回る水準感で推移しています。退去率が低水準に留まっていることもあり、2025年4月期末実績および今走っている2025年10月期末の想定稼働率は、ともに98%台後半で推移する見込みです。高稼働やマーケット賃料の継続的な上昇に伴うレントギャップの拡大を捉え、賃料水準の引き上げに向けた土壌が広がりつつあるというのが足元での環境認識です。

17頁をご覧下さい。実際のオフィスビルにおけるテナント入替時や、契約更新時の賃料増減額の改定実績について説明します。退去率が低いことを背景に、実質稼働率の上昇による賃収入増加が期待できる一方で、入替機会が低下していることもありテナント入れ替えの際の賃料上昇は、単価自体は引き上げられているものの、グロス金額の伸びとしては未だ限定的です。引き続き契約更改時の増額改定が内部成長のメインドライバーとなっており、件数 金額ともに増加傾向にあり、収益の底上げに貢献しています。

続いて18頁、居住用施設です。賃貸住宅のマーケットに対しては引き続き良好いう現状認識で、稼働率も高い水準で推移しています。新規賃料の伸びとともに課題として認識し、当期より、これまで以上に取り組みを強化してきた契約更新時の増額改定実績も、過去最高の増額幅を実現しています。

19頁をご覧下さい。これを地域別タイプ別で見ますと、東京経済圏のファミリー向け住戸が新規賃料の伸びを牽引している状況に変わりはありませんが、当期は全てのタイプで前期を上回る伸びを示しており、特にシングル向けの住戸においても増加傾向が定着してきました。更新時の地域別増限率を見ると、前期までは全体平均で0.5%前後と低い水準に甘んじていましたが、当期は1.8%まで引き上げることに成功しています。タイプ別で見ても、全タイプで更新賃料を引き上げることができています。

賃料単価ギャップの拡大を見据え、物件競争力などを見極めながら、工夫を凝らした増額改定交渉を小まめに積み上げてきた結果が、正に実を結んだ決算期であったと実感しています。当期は、前年と比較してファミリータイプのタイプの退去が若干増加しましたが、バリューアップ工事による新規賃料の大幅引き上げにも注力しつつ、全体の傾向としては、近年の物価上昇や人件費上昇などにより、引っ越し費用の高騰、マーケット全体の賃料上昇基調、分譲マンション価格の高止まりなどから、退去率の低下、平均入居期間の長期化というトレンドは継続しており、更新時賃料の増額改定が引き続き重要なポイントであるという認識のもと、高い水準での増額改定 定着化に向け、更に工夫を凝らした運用を心掛けていきたいと考えています。

次の20頁は、商業施設についてです。入居テナントの売上については、引き続き昨年を上回る売上実績が続いており、全体としては、我々が保有する商業施設における消費は、堅調に推移しています。実際に売上堅調なテナントへの入替や、契約更改時の増額改定による当期の月額賃料の伸びを合算した増額幅は、コロナパンデミックの影響を受けていた時期以降右肩上がりに推移しています。インフレ傾向が定着する中、金利やCPIに賃料が連動して増減する賃料形態の割合は10%超となり、売上賃料の実績および割合も徐々にではありますが伸びていますので、商業ポートフォリオの収益構造の転換は着実に進んでいます。
21頁をご覧下さい。 実際の商業施設における賃料の引き上げ状況についてです。テナント入替時には、引き続き8割以上で新規賃料が増加しており、契約更改時の増額改定も当期は7割以上で成功するなど、しっかりと内部成長に寄与しています。賃料ベースで約3割のテナントが、向こう3年程度で契約満期を迎える見込みですが、賃料改定により相応にアップサイドポテンシャルを有しているものと考えていますので、粘り強い交渉を通じてしっかりと成果に結びつけていきたいと思います。

続いて22頁、宿泊施設の運用状況についてです。宿泊施設につきましては、まだ5物件しか保有できていませんが、2024年に変動賃料型の宿泊施設を2 物件取得し、その成果が数字として現れてまいりました。宿泊施設のポートフォリオはまだ大きくありませんので、季節性の影響を分散効果で排除するには至っていませんが、稼働率は高水準で推移しており、保有物件の平均RevPARも、この4月には通年で最も高い15,500円に上昇しています。変動賃料型の宿泊施設については、取得した昨年から1年間のトラックレコードしか未だありませんが、インバウンド需要の増大を追い風に、賃料収入の大きな伸びを見込んでいますので、今後も内部成長におけるキードライバーの一つとして、賃収増を牽引していくことに大きな期待を寄せています。

23頁をご覧下さい。物流施設についてです。商業施設を超える賃料ベースで、約4割の契約が今後3年未満に満期を迎える見込みです。現状全体としては、市況環境があまり良くないとは言われながらも、個別性も強く、保有物件においては、実際に契約更改を迎えたテナントとの間で、7%を超える増額改定に応じて頂ける事例も出てきています。今後3年未満に契約満期を迎えるテナントのうち、マーケット賃料との比較で割安な賃料水準となっているテナントが7割を超えており、その一部では、マーケット賃料と大きく乖離した契約となっていますので、こちらも契約効果を迎えるタイミングで積極的な増額交渉を行っていきたいと考えています。

24頁をご覧下さい。アクティブ運用についてです。賃料増加を実現するため、ケネディクスグループではこれまでも様々な取り組みを行ってまいりました。その一端を紹介していますが、例えばオフィスにおいては、2年に一度テナント満足度調査を実施しており、ここから得られた様々な声を参考に、ビル運営や工事内容の検討に生かし、満足度を高めるための努力を続けています。保有物件の築年数が相応に経過する中、物件競争力の維持向上のための適切な修繕やCAPEXの投入は欠かせません。建築価格の高騰により、利回りの観点からのリノベーションの優位性や、既存不動産そのものの価値上昇といった将来可能性も考慮し、引き続きしっかりと運営してまいります。

最後に財務の状況です。26頁をご覧下さい。引き続き将来的な金利上昇に備え借入金の長期化、且つ固定化を目指す方針を継続していますので、金利変動による全体Cash-Flowへの影響は限定的です。合併したことによる信用力向上によるスプレッド水準自体の引き下げや、スプレッドの高い時代に調達した借入金の借り換えなど、金利上昇に対する相殺効果も一定程度確保できています。グローバルでの不確実性の高まりとともに、金利動向についても一方的な上昇観測から、現状では利上げタイミングの後ろ倒しや、値上げ頻度に対する考え方もより長期化する見方も出てくるなど不透明感も漂っていますが、将来的な金利動向をしっかりと見据えながら、見通しに応じて借入方針を柔軟化することにより、金利コストの上昇による影響を極小化していきます。

又、内部成長により、現状では金利高の影響を十分カバーできていますが、金利や物価動向に応じた賃料の適正化には引き続き取り組んでいき、DPU成長の阻害要因とはならないようしっかりと運用を強化していく方針です。引き続き財務の健全性を意識しながらも、収益性の強化とともに、金利環境の変化に柔軟に対応していきます。

以上、説明しました通り、現在の運用状況としては、どのアセットタイプも引き続き堅調であり、賃料の引き上げもしっかり成果が出せているという認識ですが、好調な運用状況に反して、投資口価格の水準は低位にとどまっています。これまで通り資本コストを意識した経営を心掛け、分配金の安定化だけではなく、しっかりとした成長をお見せする努力を積み重ねていきながら、環境変化にも柔軟、且つ機動的に対応していくことで、投資家の期待に応えてまいりたいと考えていますので、J-REITマーケットや本投資法人の取り組みには、引き続きご注目を頂きたいと思います。
本日は、KDX不動産投資法人の決算動画をご視聴頂き、誠に有難うございました。