KDX不動産投資法人2024年10月期決算概要
KDX不動産投資法人
2024年10月期(第39期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/8972/20241216/84b26c09vh/
○説明資料
https://www.kdx-reit.com/file/top-f669a433ffc57438944f648bfb1d42fe8c491abf.pdf
○説明者 KDX不動産投資法人 執行役員 兼
ケネディクス不動産投資顧問株式会社
取締役 最高業務執行者(COO) 兼 上場リート本部長 桃井 洋聡
○説明
当期は、11月1日付での3リートによる合併から丸1年となる節目の決算期となりました。金利動向に対する先行き不安から、残念ながら投資口価格は、全体的に軟調に推移していますが、不動産の売買マーケットは堅調であり、オフィスや賃貸住宅などポートフォリオの大半を占めるアセットの運用環境は、引き続き良好です。積極的な資産入替によるポートフォリオの質向上や、賃料引上げによる内部成長もしっかりと進捗しています。又、譲渡資金を原資とした自己投資家の取得についても、基本方針に沿って、本日本年2回目となる取得実施を発表しています。こうした取り組みの内容や今後の見通しなどについて、資料に沿って説明したいと思います。
4頁をご覧下さい。エグゼクティブサマリーです。お伝えしております通り、投資口価格の水準を踏まえ、足元では資産入替を中心とした運営を行っており、これを着実に行うことができました。合併後には、累計で約200億円に上る物件を譲渡し、譲渡代金を成長資産の取得や、投資主還元策の資金として活用しています。自己投資口の取得については、本日決定した取得金額が実際に実行された際には、2024年に決定された自己投資口の取得金額としては、J-FREITで最大規模となる見込みです。
内部成長も堅調で、前期以上の実績を上げており、資産入替に伴う売却益の活用や、収益の増加と相俟って、当期の分配金は予想以上で着地することができました。今後の方針ですが、先ずは、合併後1年間の実績を上回る 年間300億円から500億円の物件譲渡を計画しており、引き続きポートフォリオの質向上に資する資産入替や、投資口価格の水準にも目配せしながらの、機動的な自己投資口取得 の検討など、資金を効果的に活用していきたいと考えています。又、稼働率も高水準を維持できていますので、個別物件夫々の競争力を見極めながら、新規賃料の引き上げに拘った運営を行い、金利コストの上昇などを上回る内部成長を実現していきたいと思います。
最後に 分配金についてですが、これまでDPU4,000円を目指していくということで目標をお伝えしてきましたが、当期決算において、一時的ではありますがこの水準を超えることができましたので、新たに4,200円という目標を設定しました。当面は譲渡先行で取り組む方針ですので、達成時期を明確にお伝えするのはなかなか難しいですが、売却益の還元や資産入替による利回り向上、力強い内部成長と、積極的な資本政策などを駆使しながら早期実現を目指します。
5頁をご覧下さい。譲渡資金のアロケーションについてです。引き続き投資主利益に資する運営を第一に考え、資産入替に取り組みながら、物件譲渡の進捗状況、投資口価格やP/NAV倍率、LTVの水準等を踏まえて、内部留保の一部活用も視野に入れながら、必要に応じて、積極的且つ機動的に自己投資口の取得を検討していきたいと考えています。LTVは、本日決定した資産入替後総資産ベースでは、44.7%程度となる見込みです。足元での資本市場の状況を踏まえると、LTVの水準が一定の範囲内で上昇することは許容したいと考えていますが、資産規模の拡大を追い求めるつもりはなく、資本コストを意識しながら、飽くまで物件本位での厳選投資や、ポートフォリオの質改善に資する入替を行っていく方針です。基本原則として、49%を上限としながらも、一本調子でLTVが上昇していくようなことは想定しておらず、譲渡資金を活用しながら適切にコントロールしていきたいと考えています。
6頁をご覧下さい。続いて、本日決定した自己投資口の取得についてです。投資口価格が運用状況とは乖離した割安な水準にあるとの判断のもと、本日付で決定したリソラ大府の譲渡資金を活用して、取得想定額約60億円の自己投資口取得を決定しました。DPUへのインパクトとしては、足元での投資口価格水準で上限金額まで取得できた際には、約1%程度の成長効果を期待していますが、継続的にP/NAV倍率が0.9倍を下回っている場合には、自己投資口の取得を積極的に検討するという基本方針のもと、本年2度目となり、合計金額としては、160億円となる投資主還元を決定するに至りました。今後もしっかりとこうした基本方針を維持しながら、行動するリートとして機動的な運営を心がけていく考えです。
次に決算ハイライトです。
8頁をご覧下さい。当期は資産入替に伴う売却益の計上や外部成長、内部成長が寄与し、増収決算となりました。前期は合併による負ののれん発生益173億円を計上し、純利益は嵩上げされていますので、当期は大幅な減益のように見えますが、この影響を除いたベースで 比較すると、当期は増益での着地となります。売却益については、一部を内部留保する予定ですが、その他は分配金としてお支払いすることとし、一口当たり分配金は、当初予想をも上回る水準となり、前期比+2.6%の増配となる4,030円で着地しています。
2025年4月期は、売却益の剥落や大口テナントとの契約条件の見直し対応に伴う、一時的な減収などの影響もあって減収減益を予想していますが、翌10月期は、引き続き売却益の剥落の影響はあるものの、4月期に見込んだ一時的な減収インパクトの回復や、物件譲渡に伴う賃料収入の減少を補うだけの内部成長により、NOIの水準は当期と同水準まで上昇する見込みです。尚、本日時点における予想数値には、既に決定している資産入替以外の将来的な物件売却による影響や、今後始まる自己投資口取得による効果は織り込んでおりませんので、念のため申し上げます。
9頁をご覧下さい。2024年10月期分配金実績の変動要因についてです。当期においては、オフィスで一時的に嵩んだ纏まった面積での解約に対し、当期中にしっかりと埋め戻すことができているのですが、フリーレントの付与などの影響で、収入が少し落ち込みました。これに対して、合併以降注力してきた資産入替による売却益の確保と、取得物件の収入増加が大きく寄与し、オフィスセクターの減収インパクトをカバーしたことに加えて、合併関連コストの費用計上が剥落したことから、前期比EPUは増加し、一口当たり分配金も増配となりました。
10頁をご覧下さい。 2025年4月期および10月期の分配金予想についてです。先ず、2025年4月期ですが、オフィスビルのフリーレント付与が明けてまいりますので、賃料が発生する面積ベースでの実質稼働率の上昇が見込まれることと、引き続き取得物件の収入寄与により、賃収の上昇を見込んでいますが、一方で、物件譲渡による賃收の減少や一時的な減収インパクトや修繕費の発生などで、EPUの低下を見込んでいます。但し、翌期となる10月期においては、引き続き物件譲渡による賃収の減少が続く一方、取得物件の賃収寄与や既存物件の収入増加により、NOI、EPUともに2024年10月期同水準 程度まで上昇することを見込んでいます。又、今後行われる自己投資口取得と2025年4月中に予定する買入れ投資口の償却効果に加え、物件譲渡を積み上げていくことで、予想DPU水準の更なる引上げを目指して精力的に運用してまいります。
12頁をご覧下さい。決算発表と同時に、本日アセットタイプを跨いだ資産入替を決定しました。上段はスポンサーとの間の相互売買取引となりますが、スポンサーから中核都市中心部に近接し、2024年問題などから中継エリアとしても注目されている静岡で、新築したての物流施設を取得する一方、物件規模や築年数、将来的な設備更新コストや利回り動向等を踏まえて選定したオフィスや、居住用施設を譲渡する資産入替を行います。又、中段にある商業施設のリソラ大府は、2024年10月期末の簿価ベースでは若干の含み益を有するものの、将来的には資本的支出や修繕費等の増加が見込まれ、含み損を有する可能性が懸念される状況でしたが、鑑定評価額以上の価格で第三者に譲渡することとしました。譲渡代金は、本日決定した自己投資口取得の原資として充当する予定ですが、いずれもポートフォリオの質向上につながる資産入替となり、資本コスト等を意識しながら収益性の強化にもつながる取引となりました。引き続きこうした取り組み実績を積み上げていきたいと考えています。
13頁をご覧下さい。続いてポートフォリオの状況です。ご覧の通り資産規模については、拡大傾向にありながらも大きく積み上げていくという局面にはないという環境認識のもと、これまで手薄だった宿泊施設や物流施設の保有比率を着実に伸ばすなど、より筋肉質なポートフォリオへの組み換えを推進していきたいと考えています。オフィスビルについては 含み益を有するものが多いため、効率的に資金化するという観点から、譲渡資産として検討対象とはするものの、一方では、賃貸 マーケットの改善も進み、賃料の上昇期待も広がっていますので、今回の用途を跨いだ物件売却のように、様々なタイプのアセットを組み合わせて資産を入れ替えていきながら、投資主利益の最大化を図ります。
14頁をご覧下さい。次に内部成長の外観についてお伝えします。先ず、左側のパイチャートですが、我々の保有物件の大半はインフレ耐性を有し、賃料の反転、上昇が期待できるオフィスビルや居住用施設、宿泊施設の3つのアセットで構成されており、これらで過半を超えています。これに長期契約固定型の契約形態が中心の商業施設や物流施設のうち、残存期間が短く、テナント入替や更改時の増額改定により、賃料上昇の余地が期待できるものを加えると、7割を超える構成となっているのが特徴です。右側が当期の月額賃料の増減状況ですが、保有物件におけるオフィスビルや居住用施設、商業施設の内部成長実績は前期を超える勢いを示しており、賃貸マーケットの状況を睨みながら更に拍車をかけるべく、賃収増加に向けた取り組みを強化していきます。当面はインフレ局面でもあり、安定的なキャッシュフローが持ち味の、長期固定賃料型契約のアセット群を3割程度保持しながら、アップサイドが期待できるアセットを中心に内部成長を実現していきます。
15頁をご覧下さい。ここからは、主要な3つのアセットの運用状況について概略を説明させて頂きます。先ずは、オフィスビルについてです。各種調査結果を見ても、賃貸マーケットの改善が進んでいることが確認できますが、引き続き中規模オフィスのマーケットは好調を維持しています。もともと対面でのお仕事を好まれる傾向があり、出社率も高い中堅 中小企業が主なお客様ではありますが、保有物件の稼働率は、一般的な指標を上回る水準感で推移しており、2025年4月期末は、期末稼働率としては2020年4月期以来となる99% と想定しています。ただ、新規供給が限定的な地方を除くと、現時点では、平均賃料の上昇には繋がっていませんので、高稼働やマーケットレントの上昇に伴うレントギャップの拡大を背景に、積極的に賃料水準を引き上げていきたいと考えています。
16頁をご覧下さい。続いて居住用施設です。賃貸住宅のマーケットに対しては、引き続き順調という現状認識で、ファミリータイプが牽引している新規賃料も、当期は全てのタイプで増加率が上昇しました。一方で、周辺のマンションも賃料上昇が続いていることから退去率は低下しており、入居期間は長期化しています。契約者は一般の方が大多数ということもあり、まだまだ契約更新時の賃料引き上げが全体には浸透していない環境ながら、賃料単価 ギャップも拡大していますので、物件競争力などを見極めながら、工夫を凝らして増額改定に向けた取り組みを強化していきたいと考えています。
17頁をご覧下さい。次に商業施設です。入居テナントの売り上げについては、暖冬の影響で動きの少なかったアパレル系店舗が苦戦を強いられた結果、直近2024年10月の全体売上のみ昨年同月の水準を割り込みましたが、2022年1月から2024年9月までは、昨対比プラスが継続しており、当期も10月期通算での売上は前年を超える水準で推移することができました。右上ですが、実際に売上堅調なテナントへの入替や、再契約時の増額改定による当期の月額賃料の伸びはいずれもプラスで、直近5期の中で、当期の合計金額は最大となりました。又、リテナントの際の内部成長事例を載せていますが、戦略的にテナント構成を見直すことで、商業施設の収益性を高めていくことは十分可能ですので、こうした取り組みの積み重ねや、今後も満期を迎える契約が相応にありますので、プラス改定となるべく取り組んでまいります。
18頁をご覧下さい。続いてアクティブ運用についてです。賃料増加を実現するため、ケネディクスグループではこれまでも様々な取り組みを行ってまいりました。その一端を紹介していますが、例えばオフィスビルにおいては、2年に一度CS調査を実施しており、ここから得られた様々な声を参考に、ビル運営や工事内容の検討に活かし、満足度を高めるための努力を続けています。保有物件の築年数が総合に経過する中、物件競争力の維持向上のための適切な修繕やCAPEXの投入は欠かせません。建築価格の高騰により、利回りの観点からのリノベーションの優位性や、既存不動産そのものの価値上昇といった将来可能性も考慮し、引き続きしっかりと運営してまいります。
19頁をご覧下さい。最後に財務の状況です。引き続き将来的な金利上昇に備え、有利子負債の長期化、且つ、固定化を推し進めていますので、キャッシュフローへの影響は限定的です。クレジットの上昇によるスプレッド水準自体の引き下げや、高いスプレッドによる借入金の借り換えなど、金利上昇に対する相殺効果も一定程度確保できています。引き続き財務の健全性を確保しながら、収益性の強化とともに金利環境の変化に対応していきます。
現在の運用状況としては、どのセクターも堅調であり、賃料の上昇も期待ができる局面との現状認識ですが、これに反して投資口価格の水準は低位にとどまっています。資本コストを意識した運営を心掛け、相対的に高い利回りとなる投資口価格の水準を訴求し、安定した分配金を支払う努力を重ねていくことで、投資家の期待に応えていきたいと考えておりますので、J-REITマーケットや本投資法人の取り組みに対して、引き続きご注目を頂きたいと思います。
本日は、KDX不動産投資法人の決算動画をご視聴頂き誠に有難うございました。