日本ロジスティクスファンド投資法人 2024年7月期決算概要
日本ロジスティクスファンド投資法人
2024年7月期(第38期)決算動画説明書&質疑応答
○動画 https://www.net-presentations.com/8967/20240912/yw4yh43/
○説明資料 https://ssl4.eir-parts.net/doc/8967/ir_material_for_fiscal_ym/163402/00.pdf
○説明者 日本ロジスティクスファンド投資法人 執行役員 兼
三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
代表取締役社長 鈴木 靖一
○説明
これより日本ロジスティクスファンド投資法人2024年7月期の決算について説明させて頂きます。
それでは2頁をご覧ください。冒頭に、少々お時間を頂き、JLFの運用法品について、お話をさせて頂きたいと思います。不動産市場の好調が継続している一方で、資本市場は軟調な状況が続いており、NAVの本源的な価値と投資口価格に対する評価との間に、乖離が生じていると感じています。なぜ乖離が発生してしまうのか、そのために我々は何をするべきなのか、多くの投資家様とディスカッションをさせて頂き、又、社内では、部門横断的に分析、シミュレーションを重ねた結果、新たな戦略を策定致しました。
本日、説明させて頂く 新成長戦「Develop The Value 2.0」は、従来よりも力強い賃料増額と、継続的な物件売却に伴う売却益の獲得により、分配金の水準を大幅に引き上げることが特徴です。JLFが有するJ-REIT最高水準の含み益という特徴を生かし、その含み益を顕在化して、投資主の皆様への還元を強化することなどを通じて実現してまいります。私達が上場以来一貫して追求しているのは、一口当たり分配金とNAVの安定と持続的成長です。売却で回収した資金は、再投資により次の価値創造に当て、売却益を除いた一口当たり利益とNAVの成長を更に追求してまいります。金利上昇やインフレに対応したポートフォリオ、優良な投資機会に繋がる物件パイプラインの積み上げが着実に進んだことで、足元の環境下においても、成長し続ける力は着実に高まっています。
又、強固な財務基盤による環境変化への体制と、手元流動性による機動的なアクションが可能な俊敏性を備えています。これらの特徴を生かして伸びしろのある物件を取得し、適切な運用により価値を向上させた上で、最適なタイミングで売却する、これによって含み益を顕在化し、投資主の皆様に還元する不動産投資ライフサイクルにわたる価値創造を、継続的に推進してまいります。JLFが投資家の皆様から選ばれ続ける銘柄であり続けるよう、更に1段高いレベルの投資リターンの実現を目指してまいりますので、引き続きのご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
では、本日の説明の構成ですが、まず、Chapter-1にて、私共の足元の環境認識とその対応策として、新成長戦略「Develop The Value 2.0」を説明します。続くChapter-2、Chapter-3では「Develop The Value 2.0」の骨格となる2つの基本戦略、インカムゲイン戦略とキャピタルゲイン戦略について説明します。その後Chapter-4では、ハイプライン戦略について、最後にChapter-5にて決算と業績予想を説明します。
それでは5頁をご覧ください。
JLFでは上場以来、一貫して投資主価値の向上に取り組んでおりますが、足元、必ずしも投資口価格の向上に結びついていない状況に、大変強い危機感を持っています。JLFの特徴を生かしたJLFならではの戦略で、インフレや金利上昇、不動産価格の高止まりといった環境を、逆風ではなく追い風にする方法はないか様々な試行錯誤を行った結果、収益獲得の軸足を、賃料増額と物件売却益の獲得にシフトすることと致しました。これにより利益成長を加速させ、投資主還元を大幅に強化致します。新たな戦略の主軸となるのは、インカムゲイン戦略とキャピタルゲイン戦略です。インカムゲイン戦略は、従来のポートフォリオ戦略に変わるもので、インフレへの対応を強化し、金利上昇下でも利益成長が可能な構造を構築し、より力強い賃料増額を目指します。
そしてキャピタルゲイン戦略は、J-REIT最高水準の含み益率を活用した継続的な物件売却により、含み益を顕在化させ、投資主還元を強化致します。又、回収した資金は、多様な取得手法により、優位な利回りを確保した物件パイプラインや自己投資口への再投資を行い、巡航EPUを維持・向上させ、更なる成長を目指します。従来のJLFの分配金は、その殆どが保有物件からの運用益、インカムゲインを原資としておりました。ここは、これに売却益、キャピタルゲインが加わることで、収益の源泉を1つから2つに増やします。これにより、分配金水準の飛躍的な成長を目指します。新たな分配金目標は6,300円とし、今後3年から4年を目途に達成を目指します。
6頁をご覧ください。JLFでは、19年間の運用で培ってきた独自の優位性を活用し、外部環境が不透明な状況が続く中でも、事業環境の変化を想定し、リスクの低減や成長機会の獲得ができる戦略を推進することで、DPUや一口当たりNAVといった投資主価値の安定と成長を目指しています。今回策定した新成長戦略「Develop The Value 2.0」においても、その哲学は不変です。
7頁をご覧ください。足元JLFの投資口価格は、一口当たりNAVに対してディスカウントした状態が続いています。この状況の解消に、私共としてどう取り組んでいくべきか、私共が主体的に関わることができる変数は何かについて、分析を重ねてまいりました。頁中段に示しましたようにNAV]倍率は、分配金をNAVで割ったDONAVと、分配金を時価総額で割った分配金要求利回りに分解できます。このうち、DONAVは、私共運用会社が主体的に関わることのできる変数のみで構成されています。このDONAVを、分配金要求利回りを上回る水準へと引き上げることを新たな指針とし、NAV倍率の回復に主体的に取り組むことで、投資主価値の向上を目指します。
DONAVを引上げる戦略は、下段の通りです。DONAVは、利益率、回転率、財務レバレッジ、配当性向に分解できますが、インカムゲイン戦略によって、ポートフォリオの利益成長を追求し、キャピタルゲイン戦略で含み益の実現を目指します。JLFが上場以来一貫して取り組んできた、一口当たり分配金とNAVの安定と持続的成長の方針は一切変わりません。私共の運用により創出した付加価値の分配について、分配金要求利回りの水準を意識したDONAVを目指すことで、より投資家の目線に寄り添ったアロケーションを目指してまいります。
8頁をご覧下さい。新成長戦略「Develop the Value 2.0」では、一口当たり分配金の新たな目標として6,300円を設定します。一口当たりNAVにつきましては、割安な物件取得と適切な運用により、不動産価値を向上させることで今後も成長させていきます。そして、DONAVを、運用により生み出す付加価値の最適な分配を目指す上での指標とし、分配金 要求利回り以上を目指します。参考として、8月末時点の投資価格における分配金要求利回りは4.0%です。
続いてインカムゲイン戦略について説明します。11頁をご覧ください。JLFでは、賃料増額と満期サイクルのコントロールにより、賃料収入の増加が金利コストの上昇を上回る構造を構築しています。インカムゲイン戦略では、この取り組みを更に強化し、賃料増額目線を引上げることにより、賃料収入から金利などのコストを差し引いたネット利益で、中期的に年率1%以上の利益成長を目指します。賃料増額目線は、足元の賃料ギャップやインフレを踏まえ、従来3%から4%に設定していた目線を4%から6%に引き上げます。
よりアグレッシブな賃料増額に取り組むため、多少のテナント入替が発生する前提とし、想定稼働率は 従来の100%から若干の柔軟性を持たせることに致しますが、適正な賃料水準を追求することで、中期的により多くの利益獲得を目指します。金利コスト上昇に関しましては、更なる 金利上昇を想定した保守的な金利水準を前提に置きつつ、従来通り満期の分散を維持し、金利コスト上昇の影響を緩やかに抑えます。下段右側に、今後10年間のシミュレーション結果をマトリックスで示しておりますが、このインカムゲイン戦略を推進することにより、物件売却益や再投資効果を除いた純粋なポートフォリオ運用のみで、中期的に年率1%以上の利益成長を目指します。
12頁をご覧ください。賃貸借契約と有利子負債の満期サイクルのコントロールについて説明します。頁上段に賃貸借契約の満期の分散状況を示ししておりますが、満期サイクルのコントロールに取り組んできた結果、全体の約50%が、今後3年以内に満期を迎える予定です。当面は、3年以内の満期比率の目安50%程度に設定し、満期を期近に集中させることで賃料増額機会を多く獲得します。一方の有利子負債については、返済期限の分散状況を、下段にグラフで示しております通り、今後3年以内に満期を迎えるのは、全体の約32%と分散が図れており、金利上昇の影響を低減しています。引き続き3年以内に 満期を迎える負債の比率を30%程度とする運用を継続し、満期の分散の維持に取り組みます。このように、JLFでは、賃貸借契約と有利子負債 、夫々の山の形をコントロールすることで、より多くの賃料増額と金利コスト抑制の両立を図り、利益成長が可能となる構造を構築しています。
13頁をご覧下さい。賃貸借契約につきましては、周辺の賃貸市場、そして、テナントの動向等をしっかりと分析し、戦略的なテナント交渉を行うことで、力強い賃料増額に加えて、インフレに対応した契約条件への見直しを進めております。頁左側に、再契約などにおける 期毎の賃料変動率を記載しておりますが、直近4年間の平均賃料変動率は、+6.9%としっかりと賃料増額ができており、好調を維持しています。引き続き既存の契約賃料とマーケット賃料にレントギャップがあることから、先ほど説明した賃料増額目線の引き上げにより、力強い賃料増額の獲得を目指します。加えて5年を超えるような長めの契約の締結を目指す交渉においては、CPI 連動条項の導入を積極的に進めており、実績が7件に増加しました。又、普通借家契約の定期借家契約への切り替えも進めており、直近2年半で、定借割合は79%から84%に5ポイントをアップしました。こうした賃料増額以外の契約条件についてもしっかりと交渉を行い、インフレ 対応力の向上を更に進めてまいります。
14頁をご覧ください。有利子負債の調達につきましては、引き続き返済期限の分散を図った上で、平均調達年限および高水準での固定金利比率の維持に努めることで、安定性と金利上昇への体制を確保しています。頁右側上段に有利子負債の状況について、2年半前との比較を示しました。金利の上昇が進んだこの2年半において、JLFでは、リファイナンスを含め約470億円の有利子負債を調達しましたが、平均残存年数、固定金利比率を維持しながら、平均調達金利を維持しております。又、来年の2月末まで、暫く借り換えは発生しない見込みです。足元の金利固定化比率は100%と極めて高い状態にあり、他銘柄との比較においても、変動金利の採用をはじめとする調達条件の柔軟化によって、金利コストを抑制する余力があります。左下に2年前と直近の市場金利の比較を示しておりますが、短期金利と比較して、長期のスワップレートの上昇が大きい環境が続いていることから、今後につきましては、リスクをコントロールできる範囲内で、変動金利での負債調達によるコスト削減も、有力な選択肢として検討してまいります。
続いて新たな戦略である キャピタルゲイン戦略について説明します。16頁をご覧ください。本戦略は、不動産ライフサイクルに応じた継続的な物件売却の実行により、継続的な投資主還元の強化を推進するものです。JLFでは、資産価値向上が期待できる物件を取得し、適切な運用により価値を向上し、価値を最大化させた後に、最適なタイミングで売却することにより、インカムゲインだけでなく キャピタルゲインを獲得し、高いトータルリターンの実現に取り組みます。2024年7月末時点における、JLFの保有物件の鑑定評価額は4,000億円、含み益は1,558億円があります。このうち資産価値最大化のフェーズにある、いわば旬の物件は、鑑定ベースで445億円あります 。このような物件について継続的に売却を進め、継続的な投資主還元の強化を実現してまいります。
17頁をご覧ください。続いてキャピタルアロケーション、再投資方針について説明します。JLFの2024年7月末時点の現預金残高は、分配金控除後で約108億円あり、又、減価償却費見合いのCashが、資本工事費控除後で、年間約28億円積み上がる構造となっています。今後はこれに加え、キャピタルゲイン戦略の推進により、売却する物件の簿価相当額が加わります。これらを自己投資口の取得や物件取得などへの再投資に、優先的に充当する方針です。質の高い再投資を実現するため、自己投資口の取得と物件取得の判断に当たっては、インプライドキャップレートやパイプライン物件の投資リターンを比較し、投資効率を意識します。この再投資により、物件売却による収益の剥落をカバーし、売却益を除いたベースでのEPUを維持・向上する方針です。こうして物件売却のみならず、投資効率を意識した再投資をセットで行うことで、投資主の安定と成長を追求してまいります。
18頁をご覧ください。JLFでは、売却によって獲得した資金を活用した、質の高い再投資を実現するための選択肢を増やすべく、割安な水準での自己投資口の取得を行うことを可能とする、継続的なBuybackプログラムを導入致します。インプライドキャップレート見合いで、投資口価格が低位な水準で推移する局面においては、物件取得よりも自己投資口の取得に投資妙味が生じます。インプライドキャップレートが高くなるほど、即ち、投資口価格が低くなるほど、物件売却に伴い剥落する収益を、効率的に補うことが可能なことから、本プログラムは、インプライドキャップレート水準に応じて三層構造とし、インプライドキャップレートが高くなるにつれて、取得枠を増やしていく仕組みと致します。
今回設定するプログラムにおいては、第1層の取得上限を15億円、第2層の取得上限を20億円、第3層の取得上限を25億円とし、最大で計60億円、発行済み株式数の約2.4%に相当する取得枠を設定します。買付期間は、本日から本年12月30日までとなります。来年以降につきましても、資本市場における本プログラムの受け止められ方や、投資口価格への影響なども 検証の上で、継続的なBuybackプログラムの実施を検討致します。
19頁をご覧ください。直近の物件売却と再投資の事例を紹介します。JLFでは、今年3月に行なった物件入替に続き、追加の物件入替を実施致します。左側に掲載しているのが6月に取得した物件です。当社独自のネットワークにより、相対での交渉を進め、鑑定価格より大幅にディスカウントされた価格で、割安にソーシングした物件です。又、賃料ギャップもあることから、将来の収益性向上も期待できる物件です。そして右側に掲載しているのが、10月に売却予定の物件です。私共運用会社による適切な運用により、資産価値が最大化した物件を、鑑定価格より大幅に高い価格で売却致します。本入替によって、ポートフォリオのNOIも増加し、売却益を除くEPUも向上にも寄与致します。又、収益性向上のポテンシャルも獲得致します。売却益につきましては、一部を2025年1月期の分配金として投資主還元を強化します。今後につきましても、新たに推進するキャピタルゲイン戦略のもと、売却、再投資の規模を拡大させつつ、継続実施致します。
続いてパイプライン戦略を説明します。21頁をご覧ください。JLFでは、スポンサーが開発した物件を定期的に獲得する戦略とは一線を画し、様々な創意工夫を行い、多様、且つ、独自のアプローチで、取得機会を創出する戦略を推進しています。又、不動産売買市場の環境変化に応じて、これらの組み合わせ、注力分野などにつき、自立的、主体的に変化させることで、環境変化に拘わらず、優良な物件パイプラインを獲得し続ける体制を整えています。足元では、物件価格が引き続き高水準で推移していることを踏まえ、相対的に高い利回り、割安な価格での物件取得が可能な事業パートナーとの共同開発や、当社独自のネットワークを活用した他プレイヤーとの相対取引を注力分野とし、パイプライン構築を進めております。右下にJLFの物件パイプラインの利回り感について記載しておりますが、鑑定NOI利回りは平均4%台後半を確保しており、J-REITにおける直近の物流施設取得実績や市場での取引利回りと比較して高い利回りとなっています。
22頁をご覧ください。こちらの頁には、物件パイプラインの一部を記載しておりますが、一覧表に、新たに四日市案件が追加されました。事業パートナーとの共同開発は、工事費高騰などの影響で、以前よりも案件化の難易度が高まっておりますが、本案件は、JLF独自のソーシングにより、土地を相対で割安に確保することや、地場のゼネコンとのパートナーシップにより、建築費と開発利益を合わせた全体のコストを抑える工夫をし、社内の技術者による商品企画や、セールスチームのテナント事業調査など、様々な検証、分析によって、優位な利回りでの案件化に成功致しました。このように、予てより取り組んできた私共運用会社における人員の拡充や、業務推進プロセスの変革などによる物件取得体制の強化が、着実に成果として現れてきており、物件パイプラインは1,000億円を超えています。これらパイプラインは、いずれもブリッジ機能を活用して、取得時期の柔軟性を確保します。又、準共有の形で部分的に取得することも可能であり、取得規模の柔軟性も確保します。これらの柔軟性を生かし、継続的な物件売却を行う際の物件入替にも活用してまいります。
最後に、2024年7月期の実績および2025年1月期、2025年7月期の業績予想について説明します。25頁をご覧ください。2024年7月期の実績です。当期は、浦安千鳥物流センターⅡの売却益などによる収益の増加があった一方で、浦安千鳥物流センターⅡと市川物流センターのテナント入替に伴う、ダウンタイムの発生による収益の減少などがありました。その結果、営業収益は前期比566百万円増加の10,714百万円、NOIは前期比164百万円減少の8,090百万円、当期純利益は前期比459百万円増加の5,320百万円となり、売却益のうち387百万円を内部留保した結果、一口当たり分配金は、前期比77円増加の5,300円となりました。
26頁をご覧ください。2025年1月期の予想です。 当期は物件売却益の計上による営業収益の増加と、前期の物件売却益の剥落による営業収益の減少があり、又、物件入替による賃料収入の増加や、仲介手数料の減少などを見込んでおり、営業収益は前期比38百万円増加の10,752百万円、NOIは前期比105百万円増加の8,195百万円、当期純利益は前期比33百万円増加の5,353百万円となり、売却益234百万円を内部留保する予定のため、一口当たり分配金は前期比200円増加の5,500円を予想しております。
続いて2025年7月期の予想です。27頁をご覧下さい。当期は物件売却益の剥落による営業収益の減少があるほか、賃料共益費収入の増加や仲介手数料の増加などを見込んでおり、営業収益は前期比548百万円減少の10,204百万円、NOIは前期比41百万円減少の8,153百万円、当期純利益は前期比557百万円減少の4,796百万円となり、これに内部留保の一部取り崩しによる323百万円が加わり、一口当たり分配金は前期比同等の5,500円を予想しております。
冒頭申し上げました通り、JLFでは、19年間の運用で培ってきた独自の優位性を生かし、外部環境の変化に対応した新たな戦略のもとで、更なる付加価値の創出に邁進致します。これまでも、そしてこれからも環境変化に柔軟に対応し、一口当たり分配金とNAVの安定と持続的成長を追求してまいります。引き続きのご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
ご清聴有難うございました。
<質疑応答>
Q:今回目標として出された6,300円という分配金に関してですが、イメージで結構ですので、どのような形で作り込んでいくのか、イメージがあればお伺いします。分配金の内訳について、例えば、賃料増額により年1%以上の成長であれば、3~4年で200円ぐらいになるかなとか、あとは自己投資口の取得、それから物件入替での収益性向上、これによって 200円ぐらい上げて、残りの300円ぐらいは売却益で補っていくとか、どのような内訳のイメージをお持ちか、もしあればお伺いできればと思います。
A:6,300円の新たな分配金の設定の内訳等、作り込みについてのご質問でしたはが、今回の6,300円達成のシナリオとしては、今足元、今回の決算が5,300円ということで、あと1000円ということになりますが。内訳としては、インカムゲイン戦略で2割ぐらい、残りをキャピタルゲイン戦略で達成していきたいというのがメインのシナリオで考えているところでございます。インカムゲイン戦略は説明させて頂いた通りです。年率1%程度の成長は作っていきたいということ。それからキャピタルゲイン戦略については、年間1%から2%ぐらいの含み益を顕在化していこうと考えております。私共、ここで重視しておりますのは、サステナブルな取り組みとして、これを継続していきたいと考えておりまして。今回の「Develop The Value 2.0」では、売却によって回収した投資資金、これを手元の資金、所謂、減価償却費の見合いのCashなどを加えることで、巡航EPUを維持して、又、NAVの成長も追求していこうという規模感での目標設定となっております。目標達成時期につきましては、プレゼンでも触れさせて頂きましたが、3~4年程度を想定しております。このスピード感に関してですが、JLFの上場来のDPUの成長率というのは、年率、大体4.5%ぐらいですが、5,300円から4年で6,300円を達成すれば、同等水準ということになりますし、3年であれば 6%近い成長になりますので、しっかりと今まで以上の成長をお見せできるように頑張っていきたいと考えております。
Q:賃料増額についてですが、以前よりも踏み込んで、4%から6%の賃料増額を達成していきたいという話でしたが、今の物流リーシング環境において、これは十分可能な状況なのか、足元の物流施設市場、リーシングマーケットの状況も含めて、この賃料増額の実現可能性、環境についてのお伺いできればと思います
A:賃料増額について、リーシング環境などを踏まえてということですけれども、賃料の需給に関しましては、2023年は過去最大の供給によって、全体としての空室率は高まっているというところではございますけれども、空室というのは供給が集中した新築、一部のエリアに集中しておりまして、好立地の既存物件の影響っていうのは限定的な状況でございます。需要に関しましても、過去最高水準の需要が続いておりまして、底堅いという状況だと認識しております。加えて、最大市場の首都圏は、2024年、今年以降、物件の供給が鈍化する見通しとなっておりますので、中期的には需給は引き締まっていく方向だろうと思っております。そういった環境下、JLFのポートフォリオに与える影響ですが、物件の多くが東京湾岸エリアなど、首都圏の中でも、比較的需給環境が良好なエリアに多く物件が存在していること、それから新築ですが、既存物件との賃料差が、今非常に大きくなっておりますので、既存物件については価格競争力があるということ、それから、まだ引き続きポートフォリオに賃料ギャップがあることなどから、引き続き好調を維持できる環境だというふうに考えております。
Q:売却益についてですが、含み益がかなりあるということは、重々承知はしていますが、売却環境としては、これまでとの比較で変化があるのか、まだまだ買い手が多くて、高く売れる状況が続きそうかとか、買い手の方に変化はないのかについても、補足的にお伺いできればと思います
A:売却の蓋然性、売買マーケットに関してですが、引き続き物流施設の売買価格というのは高水準にある状況でございます。工夫を凝らした取得による、物件パイプラインの積み上げを行っておりますけれども、一方で、今回掲げたキャピタルゲイン戦略、要は物件の売却を行うには、非常に環境としては良い状況ではないかと思っております。背景としましては、日本はイールドスプレッドが、やはり米国とか諸外国に比べて相対的に大きいことがあり、今後予想される利上げも緩やかであろうという見方がされていること、それから建築コストが上昇しておりますので、既存物件の価値というのは相対的に高まっているということとか、あとは、不動産取引の透明性とか、流動性というのも以前より高まっていると考えておりますので、投資家の需要というのは、まだ非常に高いなと足元を実感しているところでございます。又、国内の不動産ファンド、私募リートの数もすごく増えてきておりまして、そういったプレイヤーの増加もあると感じております。あとは、キャップにつきまして、金利が上昇してくればキャップが反転するのではないかということで、私どもも注視している状況ですが、足元、そういった兆候は、現場では感じていないということでございます。関係会社にもヒアリングを行っておりますけれども、引き続き物流施設の利回りは、低位で推移するというような見方をされていると聞いております。それから、地方に関しましては、 物流施設のマーケットが、今育っている最中ですので、特に九州においては、キャップがまだ下がっていく余地もあると思いますし、賃料の増額の勢いも増していると感じております。こういった環境も踏まえまして、インカムゲイン戦略ということで、より賃料増額に力を入れてやっていく、そういったマーケット環境であろうということで、今回の戦略を策定しております。
Q:DPU6,300円の目標について補足で伺いたいのですが、説明によればポートフォリオの10%強を、3~4年で、均等ベースで売って、内部成長と合わせて再投資、売却益で徐々にDPUを上げていく、というイメージなのかと思っておりましたが、そういうイメージで良いのかの確認をお願いします。それからの、6,300円の達成目標が早まる、或いは、後ずれになる要素はどういうことを考えておられるのか、例えば、キャップが上がる兆しがあれば売却を急いで、結果的に売却益が多くなることで、早めにDPU6,300円を達成できるとか、このDPUの成長ペースに変化が生じる要素というものがあればお聞かせ願います。
A:6,300円達成に向けてのポートフォリオの売却の考え方、前提についてですが、3年から4年で10%を売っていくというような考えではなくて、先ほど少し触れましたが、年間1~2%ぐらいの含み益を顕在化していく、これぐらいのペースで、今回設定した3年から4年で6,300円は達成できると、私共は考えております。仰って頂いたよりも大分少ないベースでも、この水準というのは達成できると考えております。それから、この6,300円の時期が早まる要素と致しましては、私共高値での売却を今後追求していきますので、想定よりも高い価格で売れれば、投資主に還元していく金額もペースも早まっていくということがあります。これが一つと、それと他の質問とも絡みますけれども、NAV倍率がしっかりと回復して公募増資をすることで、しっかりとした投資主価値の向上が図れるような環境になった場合には、1,000億円以上の優良なパイプラインがありますので、これを取得することで利益の水準を一段引き上げることができると思っており、そういった環境が整えば、この目標の達成は早まる可能性があると考えております。
Q:パイプライン戦略について、一応ご説明ではNAV倍率回復時のオプションとありますが、この回復というのは、1を上回ると理解しても良いのでしょうか。言葉を変えると、PO による外部成長で付加価値を出していくのは、最低でも株価がNAVを上回ってからという理解をしていいのかどうか。又、逆に、NAV割れの状態であれば、基本的には自社株買いを続けていくというようにも捉えていいのかどうか、この点に関してご意見をお聞かせ願います。
A:自社株買いについてですが、今回のBuybackプログラムというのは、再投資の選択肢として位置づけているというのが私共の今回のBuybackプログラムの目的になっております。質の高い再投資によって、この売却による収益の剥落をカバーして、更なる成長に繋げていくというためのものと考えておりますので、再投資の選択肢として、今後も、来年以降も継続していくようなプログラムにしていきたいと思っているところでございます。仮に投資口価格が回復して、インプライドキャップレートが低位となっても、相場が一時的に不安定になるようなこともあるかもしれませんし、そういった局面に備えて、機動的に投資妙味があるタイミングで、Buybackができる環境を常に持っておくというのは、有効ではないかなと考えております。
追加で、財務企画部長から補足させて頂きます。
2つ目のご質問のところで、少し補足させて頂きます。
株価の水準とPO、或いは、株価の水準とBuybackとの関係ということだと思いますが、一つ目のPOとの関係で申し上げますと、NAV倍率が何倍になったらPOできるといった明確なラインというのは設けてございません。私共がPOを実施する上で重要視していることというのは、資料の43頁に乗せておりますけれども、予てから申し上げておりますDPUの成長、一口当たりNAVの成長、或いは取得物件についてその時点のインプライドキャップレートの利回り以上の利回りで買えるかとか、こういったことを重視してPOについて検討してまいります。ただ、足元の0.8倍台と言うような水準というのは、決してマーケットに歓迎される、そのようなセンチメントではないと考えておりますので、実施を検討する段階においては、投資環境、投資家の反応とか、こうしたところを十分吟味して検討したいと思っています。それから、バイバックの関係で申し上げますと、昨程鈴木の方からも申し上げましたように、再投資という位置付けになっておりますので、NAV倍率が何倍だからというよりは、我々が取得を目指す物件の利回りと、その時点のインプライドキャップレートとの比較の中で実施を判断するということになりますので、飽く迄もインプライドキャップレート見合いで、Buybackの実施基準というのは判断していくという考え方になっております。
Q:今回の戦略は、投資主価値の向上、とりわけ、株価上昇を強く意識した内容だと思いますので、投資家にとっては非常にポジティブとは思います。一方で、別の角度から見ると、バランスシートの拡大を前提としない内容でもあるので、運用会社に支払われる資産運用報酬を増やす余地があんまり大きくないと思いますし、御社の資産売却報酬がないので、売却を続けるということは、運用会社にとってはあまり直接的なメリットはないのではないかと思います。要するに、中長期的な日本ロジの成長力、株価と言い換えても良いと思いますが、中長期的な成長力を回復するために、短期的には、スポンサーの利益はある程度犠牲にしているような内容と私には思われましたが、スポンサーは、その趣旨は十分理解して、全面的にサポートしていると考えて良いのでしょうか。又、運用会社の経営基盤維持についても、この戦略を追及していくことで問題ないのかどうかお聞かせください。
A:B/Sの拡大等々に関しての話ですけれども、先ず、運用会社は、仰って頂いた通り、売却による報酬というのは設定しておりませんが、運用報酬に関しましては、2021年だったと思いますけれども、運用報酬の構造を変えまして、投資家と運用会社の利害の一致というのを高めるということを行っております。その結果、NOIに大きく連動しているというのが一つと、あともう1つが、画面53頁が出ましたけれども、DPUにも大きく連動しておりますので、しっかりと含み益を顕在化させて、投資主還元を強化して、DPUをしっかり上げていく、利益もしっかり上げていくことで、運用会社の受け取る報酬も増えていきます。ということで、私共も利害はしっかりと一致していると考えております。それに関しまして、スポンサーについても利益が上がることになりますので、そこに齟齬があるとは思っておりません。それから、規模の拡大については、当然そういった期待はあろうかと思いますし、私共運用会社としても、我々が目指しているのは、上場以来、安定を成長をサステナブルに続けていくということですので、勿論、マーケットの環境に合わせて足踏みするタイミングというのはあると思いますけれども、中長期的にはしっかりと成長させて、時価総額もしっかり上げていって、流動性も上げていって、選ばれ続ける銘柄として成長していきたいというところに向かって、進んでいきたいと考えております。
Q:インカムゲインの利益率上昇の手段についての確認ですが、配当が6,300円の達成に対し、基本的には賃料ギャップのある物件を獲得していくのでないかと考えましたが、それでいいのかという確認をお願いします。御社は以前からOBRとかもされておりましたし、例えば、考え方としてはSPC経由で、例えばですけれども、ダブルレバレッジを踏まえて利益率を上げるという考え方もあろうかとは思いますが、こういったところは6,300円の達成に向けての優先順位としては、あまり高くないという理解で良いのかの確認です。おっしゃる
A:インカムゲインの手段のご質問だったと思いますけれども、私共は、今回の目標設定の1%というのは、再投資の効果とか、そういったものは一切含めないベースでシミュレーションセッションを行っておりますので、仰って頂いた通り、賃料の増額をメインドライバーとしてこれを達成していくというのが、今回の戦略の中でのベースのシナリオになっています。入替とか賃料の伸びしろのある物件とかも積極的に取得していきたいと思っていますので、そういった物件を取得して、更にそこの賃料、バリューアップが図られるというのは、この中のシミュレーションには入っておりませんので、プラスアルファで効いてくるかなというふうに思います。
Q:鑑定LTVですが、それを踏まえると取得余力は高いと考えていますが、基本的には資産回転率の上昇を優先するということなので、財務レバレッジを高めるということの優先順位は高くないということでいいのかどうかの確認をお願いします。
A:LTVに関しての方針ですが、「Develop The Value 2.0」では、レバを積極的に活用することは考えておりません。レバに関しては、現行水準に抑えて、今後想定される金利の上昇等にしっかりと備えていきたいと考えております。仰って頂いたように、余力という意味ではしっかりとあるかなと思っております。鑑定LTVに関しては、もう、今29%まで下がっておりますし、そういった意味では、余力はしっかりと持ちつつ、将来の活用を考えていきたいと思っています。
Q:今回、NAVというところをフォーカスが当たっていますが、仮にキャップレートがフラットであっても、御社の物件についてはNCFベースで上げていく自信があるので、結局、鑑定評価は、第三者の方が決めに行くと思いますけども、時価の方については上げていく自信があるということで見て良いのかご意見をお願いします。
A:鑑定に関しましては、正に仰って頂いた通り、私共でできるところは、物件から生み出すCash-Flowを、如何に最大化していくかというところと思っております。そこについてやることという意味では、インカムゲイン戦略と同じでして、そこでしっかりとNOIを上げていきたいと考えております。キャップに関しましては、確かにマーケットによって上下するところはあると思いますので、極端にマーケットが変わった場合には、戦略の見直しを迫られるタイミングはあるかもしれませんが、今、目先急速に物件の価格が反転するような兆しというのは、我々としては確認しておりませんし、多少の上下であれば、含み益率も60%とかなりありますので、十分利益を出せる水準では、売却が達成できると考えております。それから、又、再投資の観点で見ますと、仮にその物件の売却価格が下がるような局面であれば、逆に物件を買う方は、より良い条件で買えることにもなりますので、入替によるプラス・マイナスの効果、そういったところもしっかりと見ながら判断をしていくのかなと思っています。結果として、しっかりと今回のキャピタルゲイン戦略は、計画通り達成、それ以上で達成していけるだろうと考えております。
Q:39、40頁にOBRのことが載っておりまして、御社の特徴であるというとこだと思いますが、40頁に8物件が潜在的な候補と書かれております。こういった物件が、場合によっては売却の対象となり得るのか、売却する物件との基準の違いがあるのか教えて頂ければと思います。
A:OBRについては、先ほどもご質問があったのに触れなくて申し訳ありません。OBRに関しましては、仰って頂いた通り、今、候補は8物件ということで、40頁の下段に書いている通りです。今、足元100%稼働していて、賃上げもしっかりとできているような状況ですが、一方で、OBRをするには、工事をしなければいけないのですが、工事費の方は大分上がってきているという中で、私共、いつも収支は半年ごとにアップデートしておりますが、以前に比べると、収益性がそこまで望めなくなってきていますが、今はノーリスクで100%稼働して収益を上げていますので、そこまで急がないで対応しているというところではありますけれども、将来的なバリューアップの可能性が高いということで選定している8物件ですので、ベストなタイミングでの実施っていうのも、今後考えていくというところでございます。そういった観点で、売却する物件のリストという意味では、OBRの物件というのは対象には含めておりますが、このバリューアップの余地といった観点からは、売却の順位としては劣後するという位置付けかと思います。
Q:先ほどパイプラインが1,000億円程度あるというお話でした。これについての取得となりますと、今後、もしかしたら、場合によってはPOということもあるかもしれませんけれども、どういった内容なのか、要は、エリアとか利回り水準について、お話頂ける範囲で結構ですのでお願いします。
A:物件パイプラインの内容についてですが、22ペーに記載しています。これが全部ではないのですが、示している物件パイプラインの1件、1件のリストになります。エリアに関しましては、この物件名から大体お分かり頂けるかなと思っております。上の方が事業パートナーとの共同開発ですけれども、これに関しては、私共が土地のソーシングをするとか、テナントを連れてきたりするとか、我々も汗をかくことで、開発領域の部分を安くすることができますので、相対的に高い利回りでの、物件のパイプライン化ができているという特徴がございます。下の方は、色々な手法、様々な手法でパイプライン化しておりますけれども、最近注力しているのが他プレイヤーとの相対取引です。これは入札ではないので、競争は相対的に低いということで、有利な利回りでの物件取得ができるケースが多いということで、今 物件価格が高いマーケット環境下ですので、こういった工夫をしながら優良なパイプラインを積み上げているということになります。1つ前の頁、21頁に戻って頂いて、このパイプラインの利回り感につきましては、右下になりますけれども「取得物件パイプライン」と書いてある、これが、今のご覧頂いた物件パイプラインの利回り感になりまして、鑑定NOI利回りで平均4%台後半ということですので、直近の物流リートとの比較を右側に示していますが、比べても50basisぐらいは良い利回りで物件が仕込めていると思っております。あとは、先ほどの頁、22頁に戻って頂きますと、地方の物件パイプラインというのは、やや増えているかなというところがご想像頂けるかと思いますが、その背景として、地方における物流施設の開発というのが、非常に盛んになってきております。これまで供給が少なかったために顕在化してこなかった物流の賃貸の需要というのが出てきておりまして、マーケットが育ってきてり、そういうことで、投資対象としての魅力が上がってきていると考えております。又、JLFのポートフォリオは、都心の比率が高いというのが特徴でして、これは特徴としてこれからもずっと守っていきたいと思っていますが、投資方針で、首都圏の比率は50%から80%というのを目標としておりますが、今その上限の80%を超えているような状況にありますので、集中しすぎているというところがあります。そうした中で、地域でのこういった投資対象として適したマーケットが育ってきている中で、少しバランスを取るような動きで、全体としてのポートフォリオの収益性と安定性の両立を図っていくという意味でも、こういった地方の、地方と言っても大都市になりますが、福岡とか札幌とか、そういった地域でのパイプライン化には、今注力しているところでございます。
ご質問がないようですので、これで、質疑応答を終了とさせて頂きます。
以上をもちまして、日本ロジスティクスファンド投資法人の、2024年7月期決算オンライン説明会を終了致します。ご参加有難うございました。