インヴィンシブル投資法人 2023年6月期決算概要
インヴィンシブル投資法人
2023年6月期(第40期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/8963/20230825/2h3ufe/
○説明資料 https://www.invincible-inv.co.jp/ir/upd/140120230824546099.pdf
○説明者 コンソナント・インベストメント・マネジメント株式会社
取締役会長 市來 直人
○説明
2023年6月期の決算説明を始めます。
4頁をご覧下さい。2022年6月期決算概要を説明致します。前期と当期を比較しております。当期はホテルの業績回復により、大幅な増収・増益を達成致しました。営業収益は、対前期比で33%増加の159億円、一口当たりの分配金は対前期比76%増の1,460円となりました。尚、2023年1月25日に公表致しました当初の業績予想と比較して、営業収益は36%、一口当たり分配金は92%、夫々上回りました。
続いて5頁、ポートフォリオの収益構成をご覧下さい。当期の営業収益は、マイステイズの固定賃料は原契約に戻り、国内の変動賃料のホテルの変動部分の賃料とケイマン2ホテルの運営委託収益の回復によって、前期比33%増加致しました。又、コロナ前の2019年同期との比較においては、住居、商業物件の売却による減少はありますが、98%まで回復致しました。
6頁に参ります。2023年12月期業績予想の概要についてです。左側の最初の列が2022年12月期の実績で、2列目が23年12月期の予想です。2023年12月期は、ホテルの更なる業績回復に外部成長効果も加わり、営業収益は、対前年同期比49%増の178億円、一口当たり分配金は、73%増の1,441円を見込んでおります。2019年12月期との比較では、シェラトンからの受け取り配当金や売却益の剥落により、当期純利益は17.6%減、一口あたりの分配金は16.5%減と予想しておりますが。尚、この予想には盛り込んでおりませんが、2023年8月10日に報道されました、中国人の団体旅行を解禁に伴う需要の回復次第では、更なる上積みも期待されるかと考えております。
続いて7頁、国内ホテルKPIをご覧下さい。本投資法人が保有する国内ホテル75 物件の KPIを、当期と2019年同期と比較しますと、ADRは2019年同期を7.5%上回りました。稼働率はまだ6.1ポイント低いですが、RevPARは2019年同期と同額の8,772円を達成致しました。又、当期は、対前年同期比でRevPARが1.9倍になったのに対し、GOPは3.3倍となり、マイステイズによるコスト削減の継続や高度な価格戦略が引き続き功を奏しております。2023年年間のGOPは、前年比90%増加することが見込まれ、2019年年間と比較すると93%の水準への回復を予想しております。
8頁をご覧下さい。ケイマンホテルのKPIに関して説明します。ここでは、棒グラフは、為替変動の影響を排除するため、全てドル110円で換算しています。オレンジ色の折れ線グラフは、各期における加重平均為替レートを使って円換算をしております。当期は、稼働率以外の全てのKPIが2019年同期を上回りました。2023年年間の米ドルベースのGOP は、2019年を12%超える見込みで、又、前年比では105%増加の予想となります。これは 82%の増加が見込まれるRevPARの成長率を上回る見込みです。
9頁に参ります。資本的支出及び減価償却費についてです。2023年年初に、2023年最大の設備更新案件でありましたアパホテル館内の空調機の全館更新、これに関しましては、アパホテルからの営業上の要請で、2024年の実施に計画変更になりました。年初には、この中で実施できなかった設備更新を含めて、最大限の予算を組んでいましたが、各案件に関する工事実施の優先順位や、工事業者の手配を含めた時期の精査、見直しの結果として、現時点では、2023年年間のメンテナンスCAPEXは、年初計画の70%、37億円レベルになると見ております。尚、減価償却費が年初予算より3.2%増加したのは、8月1日に取得した6物件分の増加と、当初予算より資本的支出が減少した影響をネットした結果です。
次に10頁から12頁で、第3章2023年8月取得物件の概要に関して報告致します。10頁は取得物件サマリーです。8月1日に国内ホテル6物件を平準化NOI利回り6.0%となる、合計5,702.3億円で取得致しました。取得額の7割を占めます フサキビーチリゾートホテル&ヴィラズは398室、敷地面積10.8ヘクタール、ホテルの目の前に広がる全長1キロのビーチを誇る日本有数のリゾートホテルで、資産規模において本投資法人ポートフォリオ最大の旗艦物件となります。
11頁では、この 6物件取得によるホテルポートフォリオの推移を示しています。主として国内リゾートホテルの投資を拡大し、全J-REIT最大のホテルポートフォリオは、取得価格ベースで5,078億円になりました。コロナ禍が収束し、今後増加が期待される国内外のリゾート需要の取り込みを目指します。
続いて12頁で新たに取得した6物件を含めた本投資法人のホテルタイプ別、国内所在地を示しております。本投資法人のホテルポートフォリオは、宿泊特化型、フルサービス型、リゾートホテルの3ホテルタイプが、バランスよく保有され、広く地域分散していることが、ポートフォリオの収益案件に寄与しています。今回、今までインビジブルがホテルを保有していませんでした秋田県、長野県、岡山県にも新たに物件を取得致しました。
13頁をご覧下さい。ここから第4章で、ホテル運営状況と市場の環境について説明致します。先ずは、国内の状況とインヴィンシブルのホテル稼働率の推移についてです、インビジブルが所有する国内75 ホテルの稼働率は、全国平均を継続して上回っております。2022年10月から開始しました全国旅行支援は、国内需要を大きく押し上げ、2023年1月から6月の日本人延べ宿泊者数は、概ね2019年同期の水準を達成致しました。又、低迷していました外国人延べ宿泊者数も、2023年6月には、ほぼ2019年同月の水準まで大幅に回復致しました。
14頁に参ります。インヴィンシブルの国内75 ホテルのKPI回復推移についてです。棒グラフは、2019年の各月のKPIを100として、2022年7月以降の回復度合いを示したものです。青が稼働率、 オレンジがADR、グレーがRevPARです。当期は、ゴールデンウィークの祝日が1日も平日になかった4月を除いて、ADRは毎月2019年同月を上回りました。前期は、RevPARが2019年同月を上回ったのが1か月のみでしたが、当期は、半分の月で2019年同月を上回りました。ADRとRevPARが2019年同月を上回る推移は、7月、8月も続いております。
続きまして15頁から3頁に亘って、マイステイズホテルグループのチェーン拡大の取り組みをご紹介します。マイステイズは強固な顧客基盤を有しており、マイステイズのチェーン拡大に伴う提案力や、ポストコロナで活発化する企業活動のフォローアップにより、積極的な提案営業と各種プランで多様な顧客需要を獲得しています。右側にございますように、教育旅行やスタディツアーなどのプランは、既に2019年同時期の売り上げを超えております。既存のマイステイズのロイヤリティプログラムの強化により、ホテルチェーンとしての顧客獲得力の強化とリピーター増加を促進するとともに、アコーディアゴルフ場との連携により、新たな顧客基盤開発をスタート致しました。
16頁をご覧下さい。マイステイズの73 物件のGOP の変化です。棒グラフはGOPの実数を、2019年を100として、前期と当期の対2019年同月比率を指数で示しています。折れ線グラフは、GOP 率を月次比較で、グレーが2019年、オレンジが2022年および2023年です。マイステイズによるGOPPAR(販売可能 室数に対する GOP)を最大化する戦略が引き続き奏功し、マイステイズが運営する国内73 物件のGOP比率は、前期の34.7%から当期は37.4%に上昇しました。GOP金額ベースでは、2019年同期比で前期の69%から登記は90%まで回復しました。当期5月、6月のGOP 金額とGOP率は、コスト上昇を吸収しながら2019年レベルまで概ね回復しております。マイステイズは、水道光熱費や食材などのコスト上昇の影響を最小化するため、ホテル毎、日別に需要予測を行い、1部屋の宿泊者数や1名あたりの販売単価など、 原価を踏まえて木目細かく価格設定を行っています。
17頁はマイステイズによる今後の見通しと戦略についてです。国内のビジネス需要は、オンライン会議の普及などによる出張減の要素もあるものの、コロナ以前の水準に回復する見込みです。国内のレジャー需要につきましては、全国旅行支援による需要増からの一時的な反動減が予想されるものの、大きな増減はないものと予想しています。インバウンドの 需要全体については、2024年2月頃に2019年水準に回復すると想定し、中国については来年春から夏にかけての回復を見込んでおり、以降1年間は蓄積された潜在費用が顕在化すると予想しています。尚、本日説明会資料では、8月10日に発表された中国からの日本への団体旅行を解禁による影響は織り込んでおりません。マイステイズではFortressグループ全体のネットワークも活用し、更なる需要発掘に努めております。又、人員確保に大きな問題は生じておりません、本年 6月には、外国人技能実習生の入国を、講習に特化した成田ホスピタリティアカデミーを開講し、自ら多様性のある人材の育成も行っています。
次に18頁では、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルの取り込みに関して紹介しています。当期は継続的な法人営業活動により、会議、宴会売上高は前年同期比2.5倍に増加しました。引き続きホテル運営費用をコントロールしながら、様々な宿泊パッケージやプロモーションを展開していきます。当期より、地元企業や関連団体との関係強化により、ケータリング事業を3年契約で受注致しました。今後は、一般宴会などの団体利用も期待されます。前期に紹介しましたフライトシュミレーターやキッズエリアのリニューアルによるファミリー層への宿泊プランの提供など、更なる需要の取り込みを図ってまいります。
続きまして19頁と20頁でケイマン2ホテルの状況について説明致します。当期はオレンジ色で示しておりますADRも、グレーのRevPARも、毎月2019年同月を上回りました。今後もこの傾向が続くと考えております。青色の稼働率が、2019年同月に及ばない主な理由は、カリブ海の競合リゾートと比較して、ケイマンの旅行制限撤廃が遅れたため、2019年同月比で、当期の団体予約が限定的であるためです。当期は、個人需要が団体需要よりも早く回復しました。これは、団体客は個人客よりはるかに長いリードタイムで予約を行うためで、当期におけるケイマン2ホテルの個人による客室稼働率は、2019年同期の93.4%まで回復した一方、団体による客室稼働率は73.3%にとどまりました。団体による客室稼働率は23年12月期に大きく回復するものとみられます。米ドルベースの運営委託収益は、対前年同期比240.9%増加し、2019年同期比で9.4%増加となりました。尚、ウェスティンの増築と建設許可に関しましては、政府中央計画委員会、CPAと申しますが、によって本年7月25日付きに、条件付きで承認がなされました。今後のステップとしては、 増築に必要なコストと市場分析の更新を行い、投資によるリターンを改めて算出し、CPA が定めた条件を満たすことが求められます。
続いて20頁では、ケイマン諸島への宿泊訪問客数と就航エアラインの情報を示しています。新型肺炎の旅行関連規制撤廃が去年8月でした。それを受けて、昨年の第4四半期には、2019年の89%までケイマン諸島への宿泊訪問客数が達しましたが、2023年1月から5月においては、19万5000人と2019年同期の84%の水準となりました。ケイマン諸島への訪問客の大半は米国発ですが、エアライン各社は、パイロットや客室乗務員の人員不足に悩まされており、更に、コロナ禍後にケイマン諸島への旅行再開が遅れたことにより、2023年6月期の団体旅行の回復は、先ほど申し上げましたように、緩やかになっております。比較事例としまして、米国本土の観光客による旅行再開が最も早かったプエルトリコとセントトーマス、ここでは、2023年4月までの12ヶ月間における商業便の回復は、2019年比、夫々125.8%と138.9%となっており、今後ケイマン諸島への旅行需要は、引き続き増加するものと予想されます。最近の増便事例としましては、本年7月ケイマン航空は、ロサンゼルス国際空港を水曜日の夜に出発するという直行便を、今年の後半から増便することを発表いたしました。
21頁をご覧下さい。国内の新規ホテル供給状況とフローに関して、週刊ホテルレストランによりますと、半年毎の調査で2019年以降、パンデミックの影響で新規供給が減少する状況が8回連続で継続しています。2023年から2025年の3年間の新規供給予定の客室合計数は、2022年の新規供給客数を下回る見込みであります。
続いて22頁は国内既存ホテルストックの状況についてです。ホテル市場全体の回復化傾向の中、2023年1月から6月の旅館、ホテル業の倒産件数は、対前年比微増でした。2022年の日本におけるホテル数は、2021年対比2.4%減少しました。特に、リゾートホテルは8.1%減少しています。
23頁をご覧下さい。ビジネス・レジャー需要の動向に関する試算です。この頁の下段に記載しております一定の前提に基づいた試算によりますと、マイステイズ73 物件のビジネスに利用による稼働率は、2022年以降2019年レベルまで回復していると考えられます。今年8月に中国政府が日本への団体旅行を解禁したことにより、インバウンドによるレジャー需要は、更に回復すると見込まれます。
24頁は海外の状況についてです。左側のグラフをご覧下さい。国連世界観光機関によりますと、2023年3月の国際観光客数は、2019年比81%まで回復しました。地域別の国際間 航空便の座席数は、2022年11月時点では、アジア太平洋では戻りが遅いものの、中東では2019年5月比106%、米州では98%まで回復、欧州も95%まで戻っております。米国ホテルのRevPAR指数は、引き続き高水準のADRにより、多くの州で2019年を上回って推移しております。
25頁に参ります。インバウンド市場の動向について説明します。2023年1月から6月の訪日外国人数は、2019年同期比0.64倍、しかしながら平均宿泊日数は1.38倍と長期化し、訪日外国人旅行消費額は0.92倍と、2019年同期に近い水準まで回復しました。右上の消費額の内訳では、2019年1月から6月に最大の35.4%を占めていた買い物代の割合が、今年の1月から6月には24.9%に減少し、宿泊費が2019年1月から6月の29.2%から、今年は34.4%に増加して最大の項目となりました。又、飲食費、交通費、コト消費の割合も増加致しました。2023年1月から6月の訪日外国人数は、中国以外の多くの国で、2019年同時期レベルに近づいてまいりました。今後、考える上で右側の資料が重要で、中国と東南アジア諸国からの人口1000人あたりの訪日客数は、2019年時点で香港、台湾、韓国よりはるかに限定的で、今後、これらの国の一人当たりの国民所得は増加して、訪日客数が大きく増加することが期待されます。
続いて26頁と27頁で住居運用状況について報告致します。当期の住居41 物件のNOI は、1,126百万円と前年同期比1.2%増、2019年同期比2.4%増でした。住居41物件と商業1物件はともに安定的な収益を見込んでおります。
27頁は住居ポートフォリオの賃料改定状況についてです。新型コロナ感染症による行動制限の撤廃により、企業においても社員の転勤の動きが昨年より活発化してきており、一時期の低迷状態は収束しました。ポートフォリオ稼働率の回復に伴い、当期も引き続きテナント入替時の賃料下落割合が減少し、テナント更新時の賃料上昇割合が増加しました。インヴィンシブルの住居ポートフォリオの約2/3は東京23区に所在しますので、2023年12月期もこの傾向が続くことが見込まれます。
28頁は財務の状況についてです。今年5月には、3年ぶりに投資法人債62億円を、期間3年、5年で発行しました。その後のリファイナンスも、3年以上の長期借入中心で進めております。借入期間の長期化、返済期限の分散化を進めまたことにより、有利子負債の平均残存年数は、2022年12月末時点の1.1年から、今年8月1日時点で1.9年に増加しました。
29頁と30頁で第7章 ESGに関する取り組みを紹介致します。先ず、インヴィンシブルによる取り組みです。当期は保有するホテル7物件でBELS評価を追加取得し、BELS評価取得物件は、前期取得の8物件と合わせて15 物件となりました。又、新たにホテル2物件でCASBEE建築評価認証、住居2物件でCASBEE不動産評価認証を取得致しました。 グリーンファイナンス実施のため、グリーン・ファイナンス・フレーム・ワークを策定し、 JCRによるグリーン・ファイナンス・フレーム・ワーク評価において、最上位の評価を今月取得致しました。加えて、本資産運用会社は、TCFD提言への賛同を表明するとともに、 国内賛同企業による組織「TCFDコンソーシアム」に加入致しました。
続いて28頁はマイステイズによるECSの取り組みについてです。マイステイズでは、脱炭素社会への実現に向けた策として、EV充電インフラの導入を決定し、環境保護とホテル利用者の利便性向上に取り組んでいます。マイステイズ独自の取り組みとして、外国人技能実習生のホテルでの技能実習に特化した、成田ホスピタリティアアカデミーを開講し、人材のダイバーシティを推進しています。又、再利用可能な物品を販売するチャリティイベントをグループホテルで開催し、売上の寄付を通じて、エコツーリズムの普及や観光、産業、文化の持続的発展に寄与しております。
最後に35頁をご覧下さい。当期は、物件売却益なしで大幅な増収増益を達成できました。 又、7月以降4年ぶりの増資とともに、6 物件572億円を新たに取得し、資産規模10%以上を拡大する外部成長を実現致しました。今後、J-REIT最大のホテルポートフォリオ、更に充実させ、業績向上に全力を尽くして参る所存です。私からの説明は以上とさせて頂きます。
長時間有難うございました。