森トラストリート投資法人 2025年8月期決算概要
森トラストリート投資法人
2025年8月期(第47期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/8961/20251023/c93jd7faf/
○説明資料
https://www.mt-reit.jp/file/term-95d8bd8e5ed03d4e1825249828da90e7a9ecf670.pdf
○説明者 森トラストリート投資法人 失効役員 兼
森トラスト・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 内藤 宏史
〇説明
2025年10月23日に発表致しました森トラストリート投資法人の2025年8月期(第47期)の決算の概要、並びに今後の見通しについてご説明させて頂きます。それでは資料に沿って説明させて頂きます。尚、これ以降のご説明では、2025年8月期のことを当期、2025年2月期のことを前期と呼んでまいります。又、ホテルに関しましては、平均客室単価を ADRと、ADRに客室稼働率を乗じて算出する販売可能な客室一室当たりの宿泊売上高を表す値をRevPARと申し上げます。
3頁をご覧ください。当期も前期に策定しました、戦略的な対応方針に基づく運用を継続しております。改めて簡単にご説明致します。フローチャートの一番左の列にあるMTRの課題や、皆様からのご期待の解決策として、2列目に並べた3つの対応方針に基づき各種施策を推進しています。対応方針の一つ目が、内部成長戦略の着実な進展による実力ベース分配金の成長、次の二つ目が資本コストを意識した運営、そして三つ目がONビルにかかる運営方針検討の推進です。これらの方針の基づく施策を推進することで、チャート右端の投資口価格の更なる向上を目指していきたいと考えています。
それでは、各種施策のうち、当期の取り組みとその成果についてご説明致します。4頁をご覧ください。内部成長にかかる施策の結果についてご説明します。本投資法人では、物件の売却益や内部留保の取り崩しなどの、一時的要因を除いた実力ベースの分配金の提供が、ポートフォリオの中長期に亘る真の実力を表すものであると考え、重要視しています。
足元でこの成長を支えるものとして、オフィス・ホテルの持続的な収益力の成長があります。オフィスについては、賃料の増額改定基調が軌道に乗りつつあり、ホテルについては、ADR 稼働率からなるRevPARの成長が継続しています。これらが成長にエンジンとなり、実力 ベースの分配金は、森トラストホテルリート投資法人合併した、2023年8月期以降4期連続で増加し、当期は合併後の最高額となりました。この間の成長率は年率で7.4%となり、金利上昇等のコスト増による影響を上回り、他の投資法人との比較においても、高い水準で実質的な成長が続いています。
これ以降オフィスとホテルの夫々についてご説明します。5頁をご覧ください。オフィスについては、好調なマーケットを反映し、左側のグラフに示す通り稼働率は高止り、右側のグラフの通り、徐々に賃料が増額するフェーズに移りつつあります。当期は契約改定対象面積の4割を占める、大型テナントの据え置き改定や、オフィスマーケットが加熱していた2020年前後に契約を締結した、高単価テナントの減額改定により、面積ベースでの増額改定の比率は25.6%と、前期の44%を下回りました。尚、当該大型テナントの契約を除くと、約44%が増額となり、前期と同水準となります。増額区画に限った改定率は+6.8%となりました。2026年2月期以降も、増額の比率が更に増加していくものと考えております。
6頁をご覧ください。続いてホテルの内部成長です。左上の表をご覧ください。変動賃料4ホテルの当期の賃料実績の合計は、前年同期から24%増加し、これは前期の増加率12%を大きく上回る急激な拡大といえます。その下のグラフで、変動賃料4ホテルの1年間の賃料合計額の推移を表しておりますが、赤枠でお示ししている直近1年間の賃料額合計は、コロナ前の2019年水準を大きく超えています。一番右のバーでお示しした今後2期の予想値を含めると、2024年2月以降 年平均で12%を超える成長率となります。
又、右上のグラフに赤線でお示しした通り、コロナ後のホテルマーケットを牽引してきたインバウンドは順調に拡大しており、2030年に6,000万人とする政府目標達成に向けた各種施策や、その下のグラフに赤いバーでお示しした、インバウンド消費における宿泊費支出額の伸びの様子を合わせて考えると、今後もインバウンドを中心に、マーケットが力強く拡大する可能性が高いものと考えています。又、このようなマーケットの成長を賃料に適切に反映できるよう、保有するホテルの契約満了の機会を捉え、契約形態を見直すことについても検討してまいります。
7頁をご覧ください。ここでは、変動賃料4つのホテルに関する当期のトピックと、各ホテルにおけるKPIの前年同月比での推移をグラフにしてお示しています。インバウンドの比率が高いシャングリラ、コートヤード東京、コートヤード新大阪の3物件については、当期の賃料反映期間にあたる昨年末から今年前半にかけては、前年実績を大きく上回って推移しており、当期のホテル業績の急進の原動力となっていることが分かります。
一方で、シャングリラ、コートヤード東京において、7月を中心にKPI の落ち込みが見られますのは、夏場のインバウンド需要の落ち込みのほか、本年に関しては海外のSNSを中心に広まった、日本で7月に大災害があるとの噂による影響が一定程度あったものと考えられます。尚、コートヤード新大阪の8月については、昨年夏の自然災害による落ち込みからの回復と大阪万博の効果により、大きく上振れています。これらは2026年2月期の賃料に反映されます。
8頁をご覧下さい。大型テナントの移転が公表されているONビルに関しては、時期も含め未確定ですが、本物件の今後の運営方針について検討を行っています。売却、入替、リテナントなど想定される多様な選択肢について、引き続き幅広に情報収集や検討を行っており、方針などについて公表ができる状況になりましたら速やかにお知らせ致します。
尚、ご参考までに、ONビルが所在する大崎駅周辺エリアの最近の状況について頁右下に纏めておりますが、公表されている通り、大崎エリアでは複数の再開発計画が進む一方で、オフィスの空室率も低下しつつあり、ポテンシャルが向上しつつあるエリアと考えております。次に頁下段、デットの返済の通り、当期は手元資金の一部による借入金の返済を行いました。LTVコントロールにより、機動的に投資を実行する余力を維持しつつ、金利コストの削減を図っています。尚、手元資金の活用方法としての自己投資口の取得については、投資口価格が低迷する局面において取り得る、有力な選択肢の一つであると認識しておりますが、足元の内部成長が好調であることや、優良物件の取得可能性との比較の結果、当期は実施しておりません。以上、各課題への対応方針に基づく当期の各種施策についてご説明致しましたが、来期以降も取り組みを拡大させ、着実に推進してまいります。
続いて2025年8月期(第47期)の決算につきましてご報告致します。10頁左上をご覧ください。当期の実績分配金は、投資口一口当たり1,854円 となり、半年前にお示しした予想を88円上回りました。売却益などの一時的要因を除いた、所謂実力ベースの分配金との比較では、前期実績を102円上回りました。左下のアセットをご覧下さい。中段の期末算定価格は、前期末より82億円増加し4,986億円、含みは562億円となりました。この主な要因は、ホテルの評価が向上したこと、および当期期初に追加取得した仙台MTビルの持ち分が反映されたことによるものです。右側のDebtをご覧ください。有利子負債残高は、借入金の返済により40億円減少して2,205億円、LTVは0.5ポイント低下し46.8%となりました。
続きまして当期決算の概要につきましてご説明します。11頁をご覧ください。頁左側の表中、赤枠で囲んだC列が当期の実績、その左側のB列が2025年4月に公表した予想値です。一番右に両者の差異を示しております。表の一番上、営業収益をご覧下さい。ホテル賃料の上振れ等により、予想比+239百万円の11,668百万円となりました。営業費用は修繕工事の仕掛け、保守的に想定していた水道光熱費や仲介手数料の下振れにより、予想を37百万円下回る4,223百万円となり、これを差し引いた営業利益は予想比+277百万円の7,445百万円となりました。営業外費用が34百万円下振れたこともあり、当期純利益は予想を313百万円上回る6,598百万円、一口当たり分配金は1,854 円となりました。当期は 物件売却益等の一時的要因はございませんが、売却益による上乗せのあった過去4期の実績を上回る分配金額となりました。
12頁では、前期から当期に至る一口当たり分配金の変動要因を、タキチャートで説明します。一番左のバーが前期実績、右から2つ目のバーが当期実績を示しています。前期実績のうち、一時的要因を除いた濃い赤の部分が示す1,752円からスタートして、ホテル賃料の大幅な増加や、期初仙台MTビル追加取得による収益の増加が、支払利息の増加などのマイナスの影響を大きく上回り、1,854円で着地しています。実力ベース分配金としては、前期から102円増加し、一番右側のバーで示した半年前の予想からは88円上振れました。
続いて2026年2月期および2026年8月期の業績予想についてご説明します。14頁をご覧ください。業績予想の前提となる各種イベントを纏めてご説明します。頁左半分は当期までの実績を、右半分がこの先2期分の予想の前提条件となります。以降のご説明では、今走っている2026年 2月期を来期、2026年8月期を再来期と言います。青字でお示ししているオフィスについては、現時点で確定している入居・退去を前提とした場合、記載の通り97から98%の平均稼働率となる見込みです。
業績予想上は、これに加え、一部の空室について今後のリーシングによる埋め戻しを見込んでいます。又、賃料改定期を迎える契約については、賃料ギャップ等の状況により、一定の想定のもと増額改定等を見込んでいます。この前提に基づくオフィスの賃貸事業収益は、当期、来期、再来期と徐々に増加する見込みとしています。変動賃料の4ホテルの賃料合計については、業績の急拡大のあった当期からの反動や、足元の状況、季節要因による業績変動の影響を加味し、来期は前年同期比で109%、再来期は104%となることを前提としています。尚、再来期の業績については、前期間が想定値であるため、今後のマーケットの動向によっては大きく変わる可能性があります。これらを合わせたポートフォリオ全体の賃料の合計額である、不動産賃貸事業収益は2026年8月には11,791百万円となることを想定しております。
続いて15頁をご覧ください。ここでは、只今ご説明した前提条件に基づき、来期(2026年2月期)および再来期(2026年8月期)の業績予想について纏めてお示しています。頁左上をご覧ください。先ず来期つきましては、一口当たり予想分配金は1,791円と、当期実績を63円下回るものの、半年前にお示した当初予想から41円上方修正しています。下の表中、B列に詳細をお示しています。
営業収益は、ホテル業績が急伸した当期からの反動や季節要因により、当期実績を197百万円下回る11,471百万円となることを前提としています。営業費用は修繕費、水道光熱費の減少や減価償却費、仲介手数料の増加等により、当期実績から19百万円減少した4,204百万円を見込んでいます この結果、純利益は、当期から226百万円減少し6,371百万円となります。続いて頁右上をご覧ください。再来期の予想をお示していますが、未確定の要素が多いため、収益、費用ともに今後変動する可能性があります。再来期の一口当たり分配金は1,809円と、来期予想を18円上回る予想としています。頁右側に、前の期との差異要因を記載しておりますのでご確認ください。
続く16頁では、当期の一口当たり分配金実績から、来期および再来期の分配金予想に至る変動要因を、滝チャートでお示しています。左端の3つのバーが、当期を含む過去3期分の分配金実績です。頁中央のバーでお示している来期(2026年2月期)予想1,791円については、ホテルの季節要因等の影響により当期を下回る予想としていますが、前回の予想値である1,750円からは上振れていることが分かります。又、頁右端の再来期についても、来期予想を上回る水準となる予想としています。
17頁をご覧ください。こちらはホテルの季節要因による影響を除いた比較をするため、今後の予想について、2月期、8月期の夫々について、1年毎の変動を比較した滝チャートとなります。右側の8月期については、当期のホテル業績が急激に伸びた影響を除けば、2年間で順調に成長する予想であることがお分かり頂けます。
続く18頁、2024年2月期以降の分配金実績および予想の推移を一覧にしております。濃い色でお示しした実力ベース分配金にご注目頂くと、過去から将来に向けて、そして各期においては、当初予想、修正予想、実績と、予想の見直しの度に着実に成長している様子がお分かり頂けます。
ここからは外部成長、内部成長戦略につきましてご説明します。20頁をご覧ください。最初に外部成長戦略です。頁上部に外部環境に対する認識、およびそれに対する今後の方針を纏めてお示しています。全般的に優良物件の売却情報は限定的であり、価格も高止まりしている状況が継続しています。オフィスについては、好調な賃貸市況にも後押しされ、国内勢に加え、海外投資家の取得意欲は引き続き旺盛です。
又、ホテルについても、活発な取引が続いています。この環境における本投資法人の今後の方針については、前期までの方針を概ね踏襲する内容となっています。具体的に申し上げますと、先ず、スポンサーサポートの活用や保有物件との入替等様々な手法でポートフォリオのクオリティ向上や資産規模の拡大を目指すこと、次に、成長が期待できるセクターであるホテルについては、積極的に取得を検討すること、そしてオフィスについては、利回りが期待でき、稼働が安定している地方物件、および中長期的に競争優位性が保てる東京都心部のハイグレードな物件を中心に検討すること、以上3を外部成長方針とします。
次に内部成長戦略について、オフィスとホテルに分けてご説明します。21頁をご覧ください。先ずオフィスです。頁左上に外部環境について纏めています。好調な企業業績による業容拡大や、人材確保などを目的とした前向きな 移転が増えたことに伴い、都心部のみならず都心周辺部においても引き合いが強まりつつあり、空室率の低下や賃料の上昇が見られます。これは全国的な傾向でもあります。
左下のグラフでもわかるように、空室率の低下や賃料の上昇が顕著になりつつあり、右下のグラフの通り、オフィスマーケットは今後も力強く推移することが予想されます。これに対する今後の方針ですが、新規のテナントリーシングでは、企業のニーズを的確に捉え、立地、スペック等の優位性を生かして、高単価での成約を目指します。又、既存テナントの賃料改定については、個々の契約ごとに目標水準を定め、積極的な増額改定を狙ってまいります。
続いてホテルについてご説明します。22頁をご覧下さい。頁左上の外部環境については、国内需要には足踏みが見られるものの、引き続きインバウンド需要の拡大等を背景に、ADR、稼働率、RevPARの状況が継続しています。一方で、レストラン、宴会といった売り上げは、宿泊に比べて緩やかな回復が続いています。又、人件費などの運営コストの上昇については、引き続き留意が必要な状況です。これに対する今後の方針ですが、引き続きインターナショナルブランドの販売チャネルを通じて、高単価のインバウンド事業を取り込むことと併せ、レベニューコントロールによりGOPの最大化を目指します。レストラン・宴会等については、法人代理店のセールスを強化し、売上の向上を目指します。又、賃料形態の見直しによるアップサイドの可能性も追求してまいります。
次に財務の状況について簡単にご説明します。25頁をご覧ください。トランプ関税の影響や国内の政局の動向などにより、先行きが不透明な金融環境が続いていますが、本投資法人では、現時点においては引き続きベース金利の上昇が緩やかに続くことを想定し、借入期間の短縮や短期変動金利借入への振替などについて取り組む想定でおります。但し、今後金融環境に変化が生じた際には、更新の修正などについて柔軟に対応してまいります。
最後に ESGに関する取り組みについて簡単に触れさせて頂きます。28頁をご覧ください。当期におきましても、ESGに関する取り組みを継続しております。2025年GRESBリアルエステイト評価におけるレーティングは、前年に続き4-Stars、開示評価においても最高位のAレベルを取得しました。又、保有物件に関する環境認証・評価の取得については、物件数ベースでの現在の取得割合である、94.7%を100%に引き上げるべく引き続き取り組んでおります。ESGに関する詳細な情報につきましては、本投資法人のHP内の特設頁およびサステナビリティレポートをご覧ください。決算説明資料では、これ以降、本投資法人の特徴や詳細なデータについて掲載しておりますのでどうぞご覧ください。
ご説明は以上となります。
最後になりますが、今後とも皆様のご期待に添えるよう最善を尽くして運用してまいる所存でございます。引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます 。
