NTT都市開発リート投資法人 2023年10月期決算概要
NTT都市開発リート投資法人
2023年10月期(第42期)決算動画説明書
○動画 https://www.irwebcasting.com/20231215/3/71daef03d9/mov/main/index.html
○説明資料
https://nud-reit.co.jp/file/ir_library_term-b324db0f7cf76c53ef8f5811714d031a47c8d72b.pdf
○説明者 NTT都市開発投資顧問株式会社 代表取締役社長 鳥越 穣
○説明
2023年10月期(第42期)の決算について説明致します。
資料2頁をご覧下さい。第42期においては、六番町ビルの第2次の売却を予定通り5月に完了し、11月には公募増資により95億円を調達し、NTT都市開発より京都のアーバンネット四条烏丸ビル、名古屋のアーバンネット伏見ビルを取得しております。次に内部成長です。オフィスの稼働率は、42期の平均稼働率で95.8%と、前期と比較して0.9%増加しており、この原因は、主として空きビルとなっていた六番町ビルの売却によるものですが、全般的には安定的な状況にあります。一方レジデンスは、平均稼働率96.3%と好調に推移しております。賃料水準については、オフィスでは入替時の増減については下げ止まり傾向ですが、更新時については、少しマイナスが出ています。又、レジデンスについては、入替時のネット上限率は6.4%と引き続き堅調です。財務面では六番町ビルの売却の完了に伴い、LTVが更に低下しました。分配金については、42期では予想に対し修繕費や光熱費の減少などがあり、EPUが予定を少し上回り、売却益を加えたDPUでは、3,239円で着地することとなりました。43期はEPU2,580円、DPU 2,680円、44期EPU2,615円、DPU2,700円という予想は今回変更ありません。
3頁以降で各トピックについて詳しく説明致します。先ず外部成長です。3頁は今回の売却と取得の振り返りです。本頁の内容は既にお伝えした通りのものであり、詳細な説明は省略しますが、 41期に続き六番町ビルの残りの50%の売却を無事完了し、1,475百万円の売却益を計上しています。四条烏丸ビルと伏見ビルについては、予定通り11月8日に取得致しました。
4頁は四条烏丸ビルの説明ですが、これも内容の変更はありません。四条烏丸交差点角地で、地下鉄駅直結という京都随一の立地条件や延床5,000坪という規模を生かして、今後は回復の遅れている商業部分の賃料の回復に力を入れてまいります。
5頁は伏見ビルの説明です。こちらも伏見駅徒歩1分と非常に便利な立地ですが、前回の説明時、皆様のご関心の高かった最近の稼働率と賃料の改定状況について右下に纏めております。稼働率は一時85%程度まで下がっておりましたが、予定通り95.5%まで回復しています。又、賃料については9月以降入替分で7%、更新時でも5.8%の引き上げができており、今後も引き続き賃料の引き上げに努めてまいります。
6頁は、優先交渉権を取得しているガーデン板橋氷川町の説明です。こちらについては、発表後順調に交渉が進み、現在は契約など細部の詰めを行っているところで、今年度中の取得に自信を持っています。
7頁は公募増資の結果です。話をしてきた物件取得の原資として、オファリングを実施させて頂き、95億円を調達致しました。増資直前の投資口価格低下があり、結果としてかなり大きなNAV割れでの実施となってしまい、申し訳なく思っています。今回の物件取得は、好立地の優良な物件を、今だからこそ有利な条件で取得できるもので、取得物件の償却後利回りが3.8%と高いことから、EPUの成長にも繋がり、投資家の皆様の利益に叶うものと考えました。この取引だけで見れば、増資をせずレバレッジだけで買うこともできたのですが、今後貴重なレジデンスのガーデン板橋に加え、別の物件取得を検討している状況で、財務の健全性を維持するためには、増資の方が適切と判断致しました。しかしその後の市場での反応や投資家の皆様のご意見を踏まえると、やはり現在のマーケットでは、より慎重な判断が求められていると感じています。今後は、従来申し上げていたリスクの大きくなった物件の売却など、より積極的に検討しながらファイナンシングの工夫をしたいと思います。
8頁は当面のLTVとDPUの推移です。LTVは足元44.4%で、43期のEPUは2,580円、これに積立金の取り崩し100円を加えてDPUを2,680円とし、44期のEPUは2,615円、DPUは2,700円とする予想ですが、ガーデン板橋に加えもう一件の物件取得の協議をスポンサーと進めており、43期へ効果は大きくありませんが、44期には2,700円をEPUだけでカバーし、できればこれを超えていきたいと考えています。
9頁は当面の取得戦略で、これも前回と大きな変化はありません。今回利回りを重視して、伏見と四条烏丸をポートフォリオに加え、全体のバランスは良くなってきたと感じており、今後は右下の品質重視の物件と、左上の利回り重視の物件を、並行して取得していきたいと考えています。又、リーシングリスク や修繕費増大のリスクなどが大きな物件については、従来から売却を検討してきましたが、今後はより積極的にこれを進め、ファイナンシングの負担を軽減したいと思います。
11頁は資産規模の推移で、今回の取得の結果、AUMは約2,900億円となっています。ポートフォリオの分散や投資口の市場での流動性を高めるためにも、今後も中長期的な成長に努めていきますが、当面の市場環境下では、AUMの成長を急ぐべきではないと考えています。
12頁はポートフォリオの状況です。今回の京都と名古屋の物件取得の結果、地方主要都市のシェアが10%程度に上昇していますが、東京都心を中心としたエリアの物件を取得していく、NUD の基本方針に変化はありません。今後も地方物件を取得することはあると思いますが、中心はあくまで東京エリアであり、地方物件のシェアが、今後大きく増加していくとは考えていません。
13頁からは内部成長です。先ず、オフィスの稼働状況ですが、空きビルとなっていた六番町ビルを売り切ったことによる稼働率の回復を除くと大きな変動はありません。
14頁は個別の物件のリーシングの状況です。進捗のあった物件と以前取り組み中の物件の代表的な事例を挙げています。アーバンネット三田は稼働が90%を切っていた時期もありますが、今回館内増床で1月頃には満床となる見込みです。東京オペラシティビルに関しては、西新宿エリアでの需給の悪化で苦しんでおりましたが、今回NTTグループ企業の誘致に成功し、約1,600坪の入居があり、オフィスフロア満床、全体でも98.4%となる見込みです。又、上野THビルも1年以上停滞していましたが、11月に満床となっています。一方で神奈川サイエンスパーク、ランディック第2新橋ビルは、まだ大きな進捗がなく、やや低い稼働が続いています。五反田NNビルについては、一旦100%稼働となりましたが、その後再び空きが出て、まだ十分な回復ができておりません。夫々エリア物件の特徴が異なっており、個別の事情に沿った対応を考えていきます。
次にオフィス賃料についてご説明します。
15頁では、入替時の賃料動向について記載しています。入替時のネット減少率は少しずつ 縮小してきており、今回はゼロとなっています。
次に16頁は更新時の賃料改定状況です。こちらは、今期少し減少が出ていますが、これは先ほど話をしました東京オペラシティの関係です。西新宿の市況悪化を受けて、東京オベラシティでは賃料の調整を行っており、その影響を受けたもので、今後も影響は一定程度残りますが、今回オフィスフロアが満床となりましたので、今後はより強気な交渉をしていきたいと思います。
続きまして17頁は周辺相場と賃料ギャップです。本リートの平均坪単価はほぼ横ばい、一方、周辺相場は微減で、結果として賃料ギャップについては、前期に対して微増ということになりました。賃料ギャップの拡大がペースダウンしている状況ですが、依然オーバーレントの割合が高い状況には変化がありませんので、今後も引き続き、テナントとのリレーションに十分注意を払いながら、運営を行う予定です。
次に19頁はオフィステナントの状況ですが、これは前期から大きな変化はありません。
20頁からはレジデンスの説明です。レジデンスの稼働については、引き続き堅調に推移しており、前期より大きな変化はありません。今期の入居面積と退去面積はほぼ同じで、結果として96.5%と高い稼働を維持しています。
次の21頁は入替時の賃料改定動向です。今期は、ネットの増減率が+6.4%、金額での影響は月額 220万円となりました。大型物件や高額物件を中心に、マーケットの環境の改善は継続していると感じています。
22頁は更新時の賃料改定動向です。こちらは少しずつ値上げに応じてくださるテナントが増えておりますが、金額としての影響は月額で30万円と、まだ限定的なものです。
23頁は、レジデンスの賃料をもう少し詳しく分析した資料です。レジデンスの坪単価は、ご覧の通り約5年で5%程度上昇していますが、それは、主としてコンパクトサイズ以上の、広めの大きさのタイプがドライブしたものです。先ほど説明しました通り、入替に加え更新時の状況も改善しつつあるため、更に賃料を引上げられるよう努めてまいります。
24頁は修繕費などの状況です。第42期については、修繕費が834百万円、設備投資が1,027百万円と、前期に引き続き売却益の計上時期に合わせ、積極的な修繕工事の前倒しを行いました。43期は、こうした施策の効果の半面、工事費単価の上昇や季節要因もあり、比較的高い水準の数字となっています。
25頁以降は財務状況です。この2年間に、借入期間をできるだけ長期化する方向で交渉を行い、有利子負債の残存年数は3.7年から4.6年に伸びました。この間の金利上昇の影響もあり、平均金利もやや増加していますが、今後の金利上昇傾向を踏まえると、リスクヘッジの効果はあったものと考えています。今後についても、長期負債、固定金利という原則に変更はありませんが、借入年数については工夫をして、金融費用に大きな影響が出ないようにしたいと思います。尚、金融機関の皆様には、当リートの戦略を十分にご理解頂き、財務運営にご協力頂いており、その積極的な姿勢に変化はありません。
26頁は借入金の返済スケジュールです。ご覧の通り、先ほどの借換金額は、今後10年間にわたってかなり均等に平準化されています。一時期に大きなファイナンシングの必要が生じるリスクは低いですし、各期の平均借換金額は60億円程度なので、今後、金利上昇があった場合でも、その短期的な影響は限定的なものになります。
27頁は、有利子負債、格付けの状況です。借入先の状況に大きな変化はなく、格付けについてはJCRの評価で、AA-、見通しがポジティブという状況です。先日JCRとのインタビューがあり、NUDのこの1年の進捗が、JCRの理解に沿ったものであることが確認されましたので、できるだけ早期に格付けの変更があることを期待しています。
28頁は含み益の推移です。六番町ビルの売却に伴い、含み益、NAVともに少し減少しています。
29頁は鑑定の状況です。42期ではレジデンスで一部CAP-Rateの低下が継続したものの、オフィスを中心にCAP-Rateに変動のない物件が増加しました。
30頁から分配金について説明します。
先ず、30頁上段が41期実績から42期実績への推移です。売却益を除いたEPUは2,523 円から2,544円と、21円増加しています。原状回復費の受入れや賃料など六番町ビル関連の利益剥落による減益に対し、アーバンネット中野ビルの通期貢献による増益などで外部成長が-208円となった一方、内部成長は、季節要因の影響を受けたオフィス修繕費の減少や、電気料収支の改善などにより+225円となりました。これに六番町ビル売却益から内部留保分を差し引いた695円などを加えて、DPUは3,239円となっています。30頁下段が42期予想と実績の比較です。予想は3,150円でしたが、実績としては3,239円と少し増やした結果とすることができました。主な要因は、修繕費の減少、電気料収支の改善、レジデンスの稼働が予測より好調であったことによる賃料や礼金の増加などです。
31頁が43期、44期の分配金の説明です。先ず、上の図が42期から43期への推移です。EPUでは42期の2,540円から43期2,580円と、36円増加しています。外部成長では四条烏丸と伏見の取得効果などで+322円となっている一方、内部成長では-131円で、これは季節要因に伴うオフィス修繕費の増加を主な原因とするものです。これに加えて、前期の売買に伴う運用報酬の剥落、物件取得に伴う有利子負債の増加による利息増加等、POによる希薄化の影響もあり、EPUで2,580円、これに積立金取り崩しの100円を加えて、2,680円とするのが現段階での予想です。説明しました通り、現在ガーデン板橋を初めとする物件取得の検討を進めており、現在LTVを低位に抑えているため、取得に当たってはレバレッジを活用する予定です。こうした外部成長は、現在の予想に含まれておらず、これに修繕費削減などの内部成長努力を加え、DPUでの2,680円達成を目指していますが、現時点では、物件取得の対象、時期は未定で、効果の定量化は困難であり、今回のEPU予想は2,580円に据え置き、差額の100円については、達成できない場合は積立金の取り崩しで対応致します。下の図が43期から44期への説明です。EPUは43期の2,580円から少し増加し、44期は2,615円となる計画です。外部成長では固都税負担の発生がある一方で、伏見のリーシングの進捗の効果があり-43円となります。一方で、内部成長では修繕費の減少に加え、先ほど説明しました東京オベラシティ等のリーシングの効果が表れ、+118円となっています。43期同様2,700円という数字をEPUで達成するのが目標ですが、現時点ではEPUは2,615円とし、差額は積立金の取り崩しで対応する予測としています。
32頁が業績予想の前提となっている稼働の計画です。オフィスについては六番町ビルでのテナント退去のため、2023年2月に大幅に稼働率が低下しましたが、六番町ビルの売却の結果、5月には概ね回復しました。他には大きな入退去は見込んでいませんが、オフィスは先ほど説明しましたようなリーシングの進捗の結果、少し稼働率が上昇する見込みとなっています。レジデンスについて、今後も大きな変動はなく、高い稼働率を維持できる見込みです。
33頁は今まで説明しました数字を纏めたもので、詳細な説明は割愛致します。
最後に34頁がESGについてです。温室効果ガス排出量目標については、これまで2050年までにネットゼロとしてまいりましたが、この度2030年度GRESBのリアルエステイト評価において、昨年に続き2年連続5-Starsの認定を頂きましたので、これも合わせて報告致します。
今回の私からの説明は以上です。本日は、時間の制約もあり、説明が行き届かない点もあったかと思います。ご質問、ご意見などございましたら、弊社IR 担当まで遠慮なくご連絡下さい。
本日はご視聴有難うございました。