オリックス不動産投資法人 2023年2月期決算概要

オリックス不動産投資法人
2023年2月期(第42期)決算動画説明書
○動画  https://www.net-presentations.com/8954/20230419/hi4uh6/
○資料  https://ssl4.eir-parts.net/doc/8954/ir_material_for_fiscal_ym/133778/00.pdf
○説明者 オリックス・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 田中 充
○説明 
オリックス不動産投資法人(ORIX JREIT Inc.)、略称OJRの2023年2月期(第42期)の決算動画をご視聴頂き、誠に有難うございます。昨今は、日本政府による新型コロナウイルス感染症の対策が見直され、経済活動再開に伴う人流の増加もあり、日本経済は徐々に活力を取り戻しつつあります。一方で、世界的なインフレの継続に伴う主要各国の政策金利の引上げや、米国の金融機関の破綻等による金融不安等、国内外の社会、経済に及ぼす影響について注視する必要があります。このような状況下におけるOJRの現状と、それを踏まえた今後の業績予想などを中心に、資料に沿って説明致します。
5頁をご覧下さい。先ずは、OJRのポートフォリオについて説明致します。下段左側の円グラフ、用途比率をご覧下さい。OJRの保有資産の過半が、オフィス、特に中規模オフィスで構成されております。続いて商業施設が15%、住宅が11%、物流施設が5%、ホテル等が13%を占めております。

8頁をご覧下さい。こちらで、環境認識と実績ならびに運営戦術を説明致します。先ず、外部成長の環境認識としては、依然として不動産取引市場における物件の取得競争は厳しく、優良物件を取得する機会は限定的である一方で、売却するには絶好の環境が続いています。そのような環境の中、ポートフォリオの質の向上に主眼をおいた、物件入替を継続的に行っており、安定的な需要が期待できる東京都心の住宅の取得、および、競争力に懸念があった東京都内の住宅の売却を公表しました。又、外部成長機会への足掛かりとして、私募リートに少額投資を実施しました。今後も、外部成長については、物件入替を中心に、新たな成長へのチャレンジも行ってまいりたいと考えています。内部成長の環境認識としては、オフィスはコロナの落ち着きとともに、テナントの退去の増加は一巡の感がありますが、東京都心部では供給増加によるマーケット賃料の下落圧力が続いております。又、飲食店テナントを主体とした都市型商業施設では、経済活動の再開により人流が増加し、飲食店の新規出店の引合いは、徐々に回復傾向にあります。しかし、飲食店での埋め戻しは、依然として厳しく、幅広い業種・業態をターゲットにリーシング活動を行っています。ホテルについては、経済活動再開による業績の回復が見込まれ、インバウンド需要も期待できる環境になりつつあります。一方で、全用途に掛かる費用の面では、水光熱費等の物件管理コストの上昇傾向が続いているため、予算上は保守的に織り込む形で分配金を予想しております。そのような状況の中、稼働重視のリーシングにより、23年2月末の稼働率は、全体で98.2%、オフィスで96.9%に向上させることが出来ました。稼働重視の方針は継続しつつも、賃料収入の維持・向上を図ってまいります。財務環境としては、金利見通しの不透明感が強まっているものの、金融機関の融資姿勢に大きな変化は見られません。このような状況の中、23年2月期は、サステナブルファイナンス自体の調達比率に対する中長期目標を設定し、取組みを増やすことができました。又、コミットメントラインを405億円、手元の現預金は570億円余りと、十分な流動性を確保しています。資金コストに配慮しつつ、財務の安定性に重きを置いた運営を行ってまいります。又、分配金の安定性に資する内部留保は、決算発表時点で約42億円、一口当たりに換算すると1,526円となり、公表済みの分配金の下振れ、天災、売却損等による一時的な業績の下振れおよび環境関連投資に活用する考えです。ESGに関しては、持続可能な社会の実現に向けた運用の重要性が益々高まり、2050年ネットゼロに向けた対応力が問われています。そのような状況の中、投資主価値の長期的な安定成長の根幹として、ESGの取組みを推進し、2050年にネットゼロを達成するための移行計画を検討してまいります。

続いて、分配金について9頁で説明致します。23年2月期の実績については、前回の決算時における予想より168円増加し、4,068円となりました。主な上振れ要因は、稼働率の向上に伴う賃料収入の増加と、水光熱費収支の良化によるものです。23年8月期は、前回の決算発表時における予想から僅かに増え、3,740円を想定しております。増加の要因は、半年前の想定より賃料収入が増加したことによるものです。24年2月期は、売却益や内部留保充当額を除いた分配金は、23年8月期と同水準ですが、三宿の住宅の売却益を計上することで、3,820円を想定しております。これらの想定分配金を下回った場合には、内部留保の活用を検討致します。

詳細の分配金の推移については10頁に記載していますので、後ほどご参照下さい。
続いて内部成長について説明致します。

先ず、オフィスについて12頁をご覧下さい。上段の折れ線グラフは稼働率の推移を示しております。稼働重視のリーシングによって、23年2月末時点で96.9%と、前回想定を上回る結果となりました。大口テナントの退去は一巡しており、23年8月期以降については、この稼働率の水準を維持する想定です。下段の折れ線グラフは、テナント入替に伴う賃料の増減率を示していますが、23年2月期は-10%となりました。これは、稼働重視のリーシングを行い、稼働率上昇による賃料収入を目指したことによるものです。尚、主なマイナスの要因は、都心6区における入替後の賃料が、従前の賃料を下回ったためであり、それ以外のエリアでは、物件ごとに強弱はあるものの、平均すると入替前の水準を維持できております。

次に13頁をご覧下さい。こちらは、オフィスにおける既存テナントの賃料更改状況です。上段棒グラフは、賃料更改状況を面積で示してお入り、賃料増額面積は徐々に減少しています。賃料減額を伴う更改は限定的で、大半は増額更改となっています。又、下段折れ線グラフは、契約更新時の賃料増減率です。23年2月期は+1%まで低下しましたが、首都圏近郊や地方エリアにおいては、賃料増額を実現できております。

次に14頁をご覧下さい。こちらはオフィスのテナント分析です。左側のテナント分散状況の通り、OJRのテナント数は900社を超えており、1社あたりの平均賃貸面積は130坪、契約賃料が最大となるテナントでも、ポートフォリオ全体に占める賃料割合は2%未満となっています。従って、テナント1社の退去が業績に与えるインパクトは低減できています。テナント業種の分類は、右側の円グフで示していますように、特定の業種への集中は見られません。

15頁をご覧下さい。商業施設について説明します。商業施設における商業型と都市型の賃料割合は、左の円グラフの通り、凡そ半分ずつとなっています。右側上段の折れ線グラフをご覧下さい。黄色い線は、コロナの影響を大きく受けた都市型商業施設の稼働率を示しておりますが、稼働重視、業種・業態に拘らないリーシングを継続的に実施し、ここにきてようやく埋め戻しが進み、23年2月末は前回想定を大きく上回る91.9%となりました。尚、23年8月期は、aune京都三条の追加退去により89.3%となる想定です。下段右側の円グラフをご覧下さい。23年8月末時点の都市型商業施設の空室想定の月額賃料22百万円のうち、約半分が、その隣に記載のJouLe SHIBUYAの空室3フロア分の想定です。リーシング強化物件として、幅広い業種での柔軟な埋め戻しを進めてまいります。

16頁をご覧下さい。都市型商業施設のリーシング事例を紹介しています。記載している3物件は、いずれも飲食店の退去がありましたが、飲食店以外による埋め戻しが進み、大きく稼働率を向上させることができました。
次に住宅について17頁をご覧下さい。先ず、左下の折れ線グラフをご覧下さい。23年2月末の稼働率は、96.7%と前期より大きく向上しました。これは、半年前に稼働が低迷していた物件全てにおいて、埋め戻しが進んだことによるものです。左上の濃いオレンジの折れ線グラフは、入替における賃料増減率ですが、22年2月期を底に、徐々に増額の割合がアップしており、改善傾向にあります。23年2月期においては、稼働9率を向上させつつ、エリア、物件、面積ごとに賃料設定を、慎重に見極めたリーシングを行ったことで、入替時の賃料増減率は、+1.0%となりました。右上の、エリア、広さ別の賃料増減率をご覧下さい。特にご確認頂きたいのが、コロナ禍で苦戦していた東京6区のイングルタイプです。前期-3.8%から今期-1.1%へと、2.7ポイントマイナス幅を縮小させることができました。今後も、稼働重視の方針を継続しつつ、物件ごとに賃料水準の引上げを図ってまいります。
次に、物流施設について18頁をご覧下さい。現在、合計5物件を保有しており、いずれも物流施設として利便性の高い立地であり、収益性が高く、安定した運用ができています。又、複数物件においてテナントとの契約更改を迎え、いずれも賃料増額を達成しました。

次に、ホテル等について19頁をご覧下さい。ホテルポートフォリオの7割を占めるテーマパークのオフィシャルホテルである、ホテルユニバーサルポート、略してHUPと、東京ベイ舞浜ホテルファーストリゾート、略して舞浜において、経済活動の再開により、底堅い宿泊需要が継続することを想定しています。HUPについては、2023年4月に既存テナントとの定期借家契約の期間満了にあたり、現テナントの運営実績を重視し、改めて現テナントと契約を締結しました。大きな変更面の1つ目は、変動賃料の算出根拠が売上高連動から、GOP連動になった点。2つ目は固定賃料と変動賃料の割合です。コロナの動向が見通せない時期での交渉となりましたが、一定の固定賃料を確保したことや、変動賃料の内容など、リテナントでは得られない好条件を確保することが出来ました。今回、変動賃料の算出根拠は、ホテルの売上高連動からGOP連動をなったことで、ホテル利益の増加が賃料収入アップに繋がる形となり、テナントとのベクトルが、より同じ方向に向うことが可能になったと考えております。各期の賃料想定については、下段の表をご覧下さい。新契約の内容を織り込んだ鑑定評価書の巡航賃料水準は、コロナ前と同程度の賃料を受領する想定となっています。

続いて21頁をご覧下さい。舞浜に関して、23年2月期は、ホテル売上が前回想定を上回ったことで、受領する変動賃料も前回想定より増加しました。23年8月期は、受領する合計賃料は前回想定と同水準を見込んでおります。24年2月期は、ホテル売上は、コロナ前比9割程度の回復を想定し、旧契約の賃料一時減額対応の回収分を除いても、コロナ前に受領した賃料を上回る見込みです。

続いて外部成長です。24頁をご覧下さい。2019年以降、ポートフォリオの質向上に向けた物件入替を推進しております。直近発表しました売却物件は、将来的な競争力に懸念があった東京都内の三宿の住宅で、取得物件は、コロナ禍からの回復傾向が見られる東京都心立地で、交通利便性が高く、中長期的に安定した需要が期待できる新築のマンションです。又、OJRとして初めて私募リートへの投資を実施致しました。この狙いは、物件取得の実績がないエリアや、物件タイプに知見が深く、実績が豊富なパートナーとRelationを構築し、外部成長の機会を増やすことにあります。

財務戦略について、28頁をご覧下さい。財務の安定性に重きを置いており、コストに配慮しつつ、返済期限の分散化を図ってまいりました。上段、折れ線グラフの通り、平均残存年数を維持しつつ、調達金利の低減を図っております。又、下段の棒グラフの通り、返済期限が分散されているため、金利の上昇による影響を最小限に抑えられており、分配金に急激に大きな影響を与えないものと考えています。
29頁をご覧下さい。上段グラフには、LTVの推移と、LTV50%までの借入金余力を記載しております。将来の機動的な物件取得のため、借入余力を維持していく方針で、現・預金は、下段左側の一番下に示しています通り、2023年2月期末時点で576億円を確保しています。又、今期より下段の表に、サステナブルファイナンスによる調達比率を記載しております。足元、ポジティブ・インパクト・ファイナンスやグリーンローンの取組みを推進しており、比率は10%超となりました。
又、30頁に示しておりますが、調達先金融機関とは、良好な関係が築けており、借換え等、丁寧な対応を頂いております。

最後に、今回のESGの取組みについて紹介をさせて頂きます。32頁をご覧下さい。外部機関の評価としては、GRESBの最高位5-Starsの取得や、アジア・セクターリーダー選出のほか、CDPにおいて2スコア改善となるB評価を獲得することが出来ました。又、ESGファイナンス・アワード・ジャパンの資金調達部門において、ポジティブ・インパクト・ファイナンスによる調達を行ったことなど、取組みの新規性や波及性が評価され、環境大臣賞(銀賞)を受賞しました。
最後の今後の成長戦略ですが、外部成長においては、物件入替を中心に推進し、ポートフォリオの質向上による賃料収入の下振れリスクの低減を図るとともに、新たな成長にチャレンジ致します。又、入替と併せ、売却検討物件については、この環境下で確実に実行してまいりたいと考えております。内部成長においては、稼働重視のリーシングを継続し、稼働率向上による賃料収入の増加を図ります。今後もESGを経営の基盤におき、総合型リートの強みを生かした柔軟な戦略を駆使することで、投資主価値の安定的成長を目指す所存です。
以上、2023年2月期(第42期)決算報告ならびに運営方針の説明とさせて頂きます。
ご清聴、有難うございました。