野村不動産マスターファンド投資法人 2024年8月期決算概要
野村不動産マスターファンド投資法人
2024年8月期(第18期)決算動画説明書&質疑応答
○動画
https://c-hotline.net/Viewer/Default/4779d39e4c7745c9bd0e33950a8cb76b97a3
○説明資料
https://www.nre-mf.co.jp/file/term-a63b13e3ef3f8f3ca01ef69b94a806f83ef07fc8.pdf
〇質疑応答
https://www.nre-mf.co.jp/file/top-financial-08dd3c802cf2632b2cdf101d86231b2aa5725d19.pdf
○説明者 野村不動産投資顧問株式会社 NMF運用グループ統括部長 増子 裕之
○説明
日頃より本投資法人の運営に多大なるご支援を賜り、誠に有難うございます。早速ですが、野村不動産マスターファンド2024年8月期の決算内容について説明します。
4頁をご覧ください。今年に入り本投資法人の投資口価格は大きく下落しており、NAVに対するディスカウントが拡大している状況です。この環境の変化を踏まえ、投資主価値を引き上げる目的で、7月9日に公表した通り70億円の自己投資口を取得し、8月23日に償却しております。その結果、一口当たり分配金およびNAVは上昇し、投資主価値を向上させることができました。又、現在の投資口価格の水準を踏まえ、本日(10月17日)付で、改めて30億円の自己投資口取得を公表しております。不動産の投資運用は勿論のこと、今後も資産売却等を通じて有効な資本政策を打ち出しながら、投資主価値の向上に、継続して努めます。
6頁をご覧ください。昨年10月に公表した運用戦略に基づき、収益力に停滞懸念のあるオフィスなどを約400億円売却する一方で、成長が期待できるホテルを中心に、約430億円の物件を取得しました。この入替により、本日時点の公表ベースで、オフィスセクター比率が3.3ポイントマイナスとなり、当初の想定水準である39.4%となる一方で、ホテルセクター比率が+1.7 ポイントの2.2%に変化しています。1年前に、売却益相当額を4期に分けて分配する方針を掲げました。ところが堅調な運用状況に対して、投資口価格は軟調に推移していることから、投資主への還元方針を柔軟に変更しております。2度の合併を経た本投資法人ならではの特徴を生かし、会計上の売却益相当額と手元資金を活用し、4期分割分配に加え、自己投資口取得も同時に実現しています。
8頁をご覧ください。本投資法人は、投資主価値の向上に向けて、記載の運用戦略にてインフレに対峙していきます。一番重視しているのが収益力の向上です。先ず、定期借家契約の導入を継続推進し、協議における貸主優位性を高めます。実際にオフィスにおいて、約8年半で、定借割合を52%にまで高めましたので、更に引き上げてまいります。次に契約期間を短くすることで、賃料に関する交渉機会を増やしていきたいと考えています。そして3点目です。商業においては売上連動賃料、長期間の契約などにおいては、CPI連動賃料の設定を提案し、粘り強く導入機会を模索していきます。
最後に、既に導入済みのセクターもありますが、PMへのインセンティブ報酬を設定することにより、PMにもモチベーションを高めてもらい、増額幅の拡大を追求します。次は資産の入替です。かねてより資産の入替を継続しておりますが、今後は成長期待が見込める物件を取得しながら、収益力に停滞懸念を有する物件を売却することで、インフレ耐性を有するポートフォリオの構築を目指していきます。尚、拡大してきている含み益については、従来通り顕在化させつつ、投資主への還元に効果的に活用していきます。右上は金利上昇への対応です。借入期間の平均残存年数は4年、固定金利比率は70%を目処に利払いの増加をコントロールし、分配金への影響を軽減していきます。最後に還元方針です。昨年の10月以降、売却益が生じるたびに4期分割分配を実現し、計4回約18億円の実績を積んできました。
今後もこの方針は原則継続してまいります。 但し、投資口価格の状況次第では、売却の機会を通じて、自己投資口の取得に資金を投じることを選択していきます。これらの施策を通じて、インフレ対応に持続的に取り組み、いずれは外部成長も選択肢に加えていきたいと考えています。
10頁をご覧下さい。24年8月期の決算ハイライトです。一口当たり分配金は右から2列目ですが、当初業績予想で示しました3,302円を、4.5%上回る3,450円の着地となりました。一番左の前期比では+36円となり、1%の増加となります。棒グラフは24年2月期からの増減要因を示しています。賃貸事業収入は、既存物件の賃料・共益費が全セクターで増収となり、192円のプラスとなりました。オフィスと物流セクターが牽引しておりますが、賃料上昇とフリーレント解消が主因となります。一方で、賃貸事業費用においては、一過性のものを含みますが、夫々若干増加しており、182円のマイナスとなっております。その他資産入替を通じた17円のプラス、自己投資口取得による34円のプラス等により、紺色で示した巡航分配金は3,320円と2%上昇しております。又、24年8月期におきましても、売却益を計上しております。売却益等については右から3つ目の棒グラフになりますが、前期からの分割分配分を含め130円が加わり、実質分配金は3,450円となります。
11頁は損益計算書とその差異要因です。営業収益は、前期比+5,706百万円の45,081百万円、営業費用は前期比+937百万円の25,140百万円、当期純利益は前期比+4,730百万円の17,688百万円となりました。主な変動要因としましては、不動産売却益が4,750百万円増加したことです。
12頁をご覧ください。この頁では、本投資法人の新規上場以降の一口当たり分配金とNAVの推移を示しています。売却益等を除いた巡航の分配金、実質分配金、そしてNAVのいずれも、24年8月期が過去最高値を実現しており、好調な運用状況がお分かり頂けます。
14頁をご覧下さい。この頁では、24年8月期と25年2月期の資産入替を纏めています。上段が取得、下段が売却を示しており、夫々右下に築年数や収益性を掲載しておりますが、優良資産への入替を通じて ポートフォリオの強化を継続推進しています。
次の15頁は、スポンサーサポートです。スポンサーから高機能型物流施設であるLandport多摩を取得すると同時に、晴海トリトンスクエアオフィスYを外部に売却しました。Landport多摩は、環境性能に優れた設計で、ZEBの評価を取得しており、長期で安定運用が期待できる物件です。又、スポンサーに対しては再開発後の優先交渉権付きで、築50年のMNF新宿南口ビルを売却し、将来の優良資産の取得機会を確保しております。
16頁は、今期に取得したホテルのご紹介です。いずれも築浅で、特徴を有した物件であるため、国内外の観光客等から安定した需要が期待できると考えています。ラ・ジェント・ステイ函館駅前は、JR函館駅徒歩1分と交通利便性が高く、豊富な観光資源に恵まれていることから、底堅い観光ニーズが期待できます。客室は16m2から160m2と様々なニーズに対応でき、大規模な朝食会場や天然温泉の大浴場を備えていることから、高い競争力を有しています。ホテル・アンドルームス新大阪は、大阪の玄関口であり、新幹線が停車するJR新大阪駅から徒歩6分であり、関西広域のレジャー需要に加え、ビジネス需要も見込める物件です。客室は14m2から37m2 と様々なタイプを備え、実質3名以上で利用可能な客室が全体の約半分と、幅広い需要に応えることができます。又、館内の大浴場、和食を中心とした個性のある朝食、そして夜食そばの無料提供など、差別化が図られた施設構成およびサービス提供から安定した運営が期待できます。
次からは、各セクターの運用状況について説明します。18頁をご覧ください。先ずは、オフィスセクターです。オフィスマーケットは順調に需要が回復してきており、24年8月期末の稼働率が98.3%と、高水準を維持することができました。25年2月末も同水準を想定しています。左下は、テナント入替による賃料増減です。24年8月期は、全体で6.5%と大きく改善致しました。内訳として、東京圏は概ねEvenとなりましたが、地方が大きく牽引しており+28.3%となっています。又、右下の賃料改定においても、24年8月期は+0.3%と回復基調になっております。
次の19頁で個別の実績をご紹介します。賃料ギャップが大きい、地方エリアにおける好事例を紹介しています。主に札幌と大阪において、テナント入替時に大幅な賃料増額を実現しています。尚、右下に記載の通り、野村不動産大阪ビルでは、野村不動産が運営する入居テナント向けのサービスプラットフォームである、「NOMURA WORK-LIFE PLUS」が入居の決め手となり成約に至っています。野村不動産はオフィス事業において、ハード面のみならずサービス面での付加価値提供を強化しており、その成果によるものです。
20頁では、25年2月期のリーシング進捗状況を示しています。25年2月期に1,962坪の解約を予定しておりますが、9月末時点で既に1,150坪のリースアップが完了し、賃料増減率は+2.9%となっています。又、右側のPMOに焦点を当てましても、453坪の解約面積に対し236坪が契約済みであり、賃料増減率は+6.9%とリーシング環境は良好です。下段をご覧ください。今申し上げたリーシング事例の一部を紹介しています。東京圏におけるオフィスも、力強い需要を背景に上昇基調となっており、今後の内部成長の拡大を期待しています。
21頁をご覧ください。物流は、引き続き100%稼働を維持しています。今回から物流セクターにおきましても、テナント入替および改定時における内容を時系列で開示しております。24年8月期は、賃料改定において、+8.1%と大幅に賃料が増額できています。右下では、25年2月期に契約満了を迎える2物件の再契約状況です。いずれも5年間の再契約で、3%超の賃料増額を実現しており、既存物件にとっては良好な環境が持続しています。
22頁をご覧ください。住宅セクターです。左上のグラフで示していますように、24年8月期の入替賃料増減率は+8.6%となり、月額10百万円超の増額を実現しています。又、右上の更新時賃料増減率につきましても、24年8月期は+0.7%となり、月額1,600千円を超える増額に繋げることができました。そして本投資法人は、24年7月よりPMに対し、賃料増額時におけるインセンティブ報酬を設定しました。その後9月から11月改定分の賃料増減率は、+2.0%と大幅な伸びを見せており、今後の内部成長に大きく貢献してくれるはずです。引き続き都市部への人口流入、限定的な供給、企業による賃上げ、分譲住宅価格の上昇等を背景に、賃貸住宅への底堅い需要は継続すると考えています。
23頁は、良好なマーケット環境を追い風に、推進しているバリューアップ工事の内容です。本投資法人は、大きな投資効果が期待できる、ファミリーやコンパクトタイプを優先して、バリューアップ工事を推進する方針としています。左上の表が纏めとなりますが、24年8月期は、14件でバリューアップ工事を実施し、20%超の賃料増額を実現することができました。尚、左下では、今年4月に追加取得した麹町ミレニアムガーデンの、住宅棟2戸のうちの1住戸におけるリースアップ実績です。高額帯のファミリータイプになりますが、取得時の想定したリニューアル後の賃料を、約37%上回る内容で成約することができています。
24頁をご覧ください。内部成長機会のあらゆる可能性を探索し、様々な収入向上施策の推進状況を示しています。左側では共用部リニューアルをきっかけに、契約期間中での改定交渉を行ったものです。右上では、1棟貸し物件における部分解約をチャンスに変えた事例、そして右下では、付帯収入の大幅な増加事例です。いずれもアップサイドに拘ったユニークな取り組みであることが分かり頂けます。
25頁は商業セクターです。24年8月期末における商業セクター全体の稼働率は98.4%と、若干低下しておりますが、これは、中座食いだおれビルがリニューアル工事を推進中であることが主因です。商業全般としては、経済活動の正常化も進展し、飲食、物販、サービス系などのテナント需要が増加中になっております。下段では、入替改定時の賃料増減率を示しています。施設の運営状況が改善してきたことに伴い、いずれもプラス圏に転じました。今後は賃料増額協議のほか、売上連動賃料の導入等を通じて、インフレを意識した運営を強化していきます。
26頁は中座くいだおれビルです。来春の開業に向けリニューアル工事を順調に進めており、全テナントとの契約につきましても締結が完了しております。それらを反映し、24年8月期末の鑑定価格は161億円まで上昇し、前期比63億円の資産価値向上を実現しました。本リニューアルは、右上記載の通り「Eat、Enjoy +Nakaza」をコンセプトに掲げ、個性豊かな20の店舗に出店頂くことになりました。公表済みの店舗以外に、新業態テナントも出店予定ですので 半年後にご期待ください。
27頁をご覧ください。商業セクターにおきましても、好機を逃さず各種増収施策を推進しております。左下は、UCW大阪において、GAPとの再契約により概ね2倍の賃料に増額、右上は、nORBESAにおける観覧車のプロモーション強化、およびPMへのインセンティブ報酬設定により、観覧車収入を19年比で約60%増加させることができました。又、右下は、本投資法人が保有する、底地13物件における地代の増額です。従前契約を前倒しで期間延長し、段階的な賃料増額にて再契約を締結しました。いずれも、大きく内部成長に資する取り組みです。この1年で、観光地に依拠したホテルを5物件取得し、ホテルポートフォリオは合計7物件、245億円まで拡大してきました。運営状況は、概ね堅調に推移しており、特に本年4月に取得した「MIMARU SUITE東京浅草」については、変動賃料が大きく上振れ、約5ヶ月間ではありますが、取得時想定比で+22百万円となっています。政府は、2030年に訪日客数6,000万人を目標に掲げており、今後も国内外の高位安定した観光需要が期待、見込めるものと考えています。
30頁をご覧ください。鑑定評価については、商業セクターを中心に上昇が継続し、含み益は、前期比+171億円の2,680億円まで拡大しています。右上の表をご覧頂きますと、過半の物件で鑑定評価額が上昇しています。又、好調な売買マーケットを反映する形で、計測鑑定における平均キャップレートも夫々若干低下しています。
32頁は財務活動です。24年8月期は、233億円のリファイナンスを行いましたが、変動借入比率や借入年限の調整により、金利上昇影響を抑えています。加えて24年8月期は、投資家需要を把握しながら、期間5年の投資法人債44億円を起債し、直接金融による資金調達も推進しています。今後のリファイナンスにおきましても、金利上昇に柔軟に対応していきます。
34頁は業績予想です。一口当たりの分配金の視点で差異要因を分析しています。結論から申し上げますと、25年2月期は、売却益一部剥離もあり、前期比-4円の3,446円、25年2月期は+63円の3,509円と予想しており、過去最高の分配金となります。又、紺色部分の巡航分配金につきましても、25年2月期は前期比+1.7%の3,375円、25年8月期が前期比+1.9%の3,438円と着実に内部成長を実現しています。尚、25年2月期、8月期ともに、賃料・共益費の増加が牽引しています。
35頁をご覧ください。業績予想における損益計算書です。前の頁で説明した内容を、総額ベースで示しています。25年2月期の営業収益は、前期比-1,802百万円の43,278百万円、営業費用は-259百万円の24,880百万円となっており、当期純利益が-1,661百万円の16,026百万円となります。25年8月期につきましては、最右列に記載の通りです。尚、不動産等売却益の減額により減収・減益となっておりますが、賃貸事業収入につきましては、夫々約200百万円の増収になっていることを申し上げます。
最後にESGの取り組みについて紹介します。37頁をご覧下さい。本投資法人は、2030年および2050年に向け、温室効果ガスの意欲的な排出削減目標を設定し、取り組んでおります。環境分野においては、温室効果ガスの削減状況をアップデートしています。2030年度に2019年度比で80%に削減する目標に向けて、着実に取り組みを進めております。又、2024年8月1日には、本投資法人初のZEBセブ物件であるLandport多摩を取得しました。その他環境指標として目標を定めている水使用料、グリーン認証の取得割合は、右側に記載の通りです。
38頁をご覧ください。24年8月期に、新たに7物件でCASBEE不動産認証を取得しました。これにより、グリーン認証取得割合は、2023年度末の56.8%から64.9%に上昇しております。又、省エネの新たな取り組みとして、NMF芝公園ビルの屋上に室外機芋緑化システムを導入しました。屋上室外機をサツマイモ栽培で緑化することで、熱負荷を低減させる試みとなります。これにより都市緑化の推進、電力使用量の削減等の効果が期待できます。
39頁をご覧ください。本投資法人は、不動産運用を通じて社会課題を解決することを目的として、社会分野におけるマテリアリティについても改めて設定をし、2024年4月に公表しております。安全・尊厳、心身の健康、豊かな経済、魅力ある地域という4項目に基づき、本日時点の取り組み状況を紹介します。上段は安全・尊厳です。国籍を問わず、利用者が安心できる生活空間を提供するため、野村不動産パートナーズが管理する117物件で、共用部掲示物の日・英表記を推進しました。海外留学生等の入居は年々増加しており、居住者の視点で快適性を高める取り組みです。左下では、本投資法人が保有する物件において、テナントである日本赤十字社と共同し、献血イベントを開催しています。又、右下ですが、住宅2物件で新たに宅配ボックスを設置し、社会課題に向き合っています。
40頁をご覧ください。左上では、規模の大きい住宅4物件で、衣類・雑貨類の不用品回収ボックスを設置しています。Reduce、Re-use、Recycleを通じて、資源の維持・循環に貢献してまいります。左下は、nORBESAの地域学生による、観覧車のデザインイベントを実施しました。地域学生と共同し、札幌の文化、魅力を発信し、合わせて本物件の認知度向上にも繫がったと考えています。右側では継続して推進しているGEMSでの繁殖活動、食べて 地方創生フェアです。24年8月期は、第6弾の愛媛フェアを開催しました。地域食材の発信、豊かな顧客体験、生産者サポート、飲食店支援を目的としておりますが、この取り組みの継続が、GEMSブランドの価値向上、テナントリレーション強化に繋がるものと考えています。
41頁をご覧ください。当社は、約1年間役職員全員で議論を重ね、新たにパーパスとサステナビリティポリシーを策定し、2024年4月に公表しました。私達の存在意義であるパーパスを、人々の豊かな人生の舞台を作り続けるとし、サステナビリティポリシーを信じて集う、豊かな未来に繋げるためにと致しました。今後私達は、パーパス、サステナビリティポリシーに基づき、不動産の資産運用会社として、又、地球社会の一員として、ステークホールダーの皆様と協働し、新たな価値を作り続けていきます。
最後となりますが、運用状況は総じて好調に推移しております。今着ている法被は、中座くいだおれビルのリニューアルにおける、プロモーション用に作成したものです。これは、プロモーションに関わる関係者一同で団結するため、AM担当からの提案によるものです。本 物件のみならず、現場に拘ったマネジメントにより、環境変化に対応し、アップサイドを追及していきますので、引き続きご支援の程、宜しくお願い致します。
以上で本投資法人の、2024年8月期の決算説明を終了致します。ご清聴、誠に有難うございました。