トーセイ・リート投資法人 2022年10月期決算概要
トーセイ・リート投資法人
2022年10月期(第16期)決算動画説明書
動画 https://www.net-presentations.com/3451/20221219/olqwns3to/
資料
https://tosei-reit.co.jp/file/term-31cf554ecb16a9be5f8a5118909bf820ca21ec39.pdf
説明者 トーセイ・リート投資法人 執行役員 大河内 幸貴
説明
資料3頁に、トーセイ・リート投資法人の概要を纏めています。
資料4頁、第16期のサマリーをご覧下さい。今回の決算説明のポイントは、こちらに記載しています3点です。先ず1点目は分配金についてです。当初予想の3,570円に対し+68円を上乗せした3,638円にて着地致しました。前回発表では、内部留保の取崩し32円を予定しておりましたが、利益相当分の分配金が上振れたこともあり、内部留保の取崩しは見送らせて頂きました(※余力も感じさせる着地です)。2点目は、稼働率・賃料についてです。第16期の全体の稼働率は、前期末比で0.6ポイント上昇し、96.6%にて着地致しました。オフィスのリーシング環境は引き続き不安定な状況が続いていますが、分割やリニューアル工事などきめ細かい対応により稼働率は改善、商業・住宅においても安定して、高い水準を維持することが出来ました。賃料の状況については、稼働率向上を優先した運営を行いつつ、入替え・更新とも賃料単価の上昇を継続しております。3点目はESGです。今期も新たに3物件の環境認証を取得するとともに、LED化等の環境対策を推進しました。併せ、本投資法人初となるグリーンローンによる調達を実施しています。又、共用部のLED化率、環境認証取得率についても、着実に前進しております。ESG対策については、トーセイ・リートらしさを発揮して、今後も環境に配慮した持続的な運営を続けてまいります。
それでは決算概要に移ります。6頁をご覧下さい。第16期(2022年10月期)決算の概要を説明致します。最初に左上の第16期の実績をご覧下さい。第16期は、営業収益および各利益段階で、予想、並びに前期実績を上回る結果となりました。予想比では、水道光熱費収支が悪化する中、稼働率が予想を上回り、賃料収入が増加したことや、その他営業収入の増加により打ち返しました。前期比では、昨年12月に取得した物件が通期で寄与したことから、増収・増益となりました。続いて、左下にあります当期純利益の変動要員をご覧下さい。水道光熱費収支は、予想比で△14百万円の悪化、前期比では△19百万円悪化する結果となりました。これに対し、水道光熱費収支を除く賃貸事業収支が+44百万円改善した結果、当期純利益は予想比で36百万円の上振れにて着地致しました。
続いて分配金の推移です。7頁をご覧下さい。第16期の一口当たりの分配金は、当初予想比+68円の3,638円となりました。エネルギー価格の高騰という逆風を乗り越え、今期も予想を上回る実績を計上することが出来ました。利益相当分の分配金が、予想比+100円の上振れとなったことを踏まえ、従前予定していた内部留保の取崩し32円は見送ることとしました。不動産マーケットの環境変化に備えた、分配金支払い余力の温存とご理解頂ければ幸いです。
次に、運用実績について説明致します。9頁、稼働率の実績をご覧下さい。第16期(2022年10月期)末の稼働率は、96.6%で着地致しました。前期末比では+0.6ポイントの上昇、予想比では+1.4ポイントの上振れとなっています。オフィスの稼働率については、前期末比+0.2ポイント上昇し、94.6%となっています。2021年7月末の稼働率93.4%をボトムに改善傾向にありますが、オフィスのリーシング環境については、いまだ力強さに欠ける状況です(※業績はしっかりですが意外と慎重な見通し)。住宅の稼働率は、前期末比で+0.9ポイント上昇し、97.4%となりました。郊外のファミリータイプを中心に、高稼働を維持しており、引き続き安定した運営を行うことが出来ました。商業の稼働率も、前期末と同様に100%を継続しております。右上の表では、不安定なリーシング環境が続くオフィスの中で、低稼働な物件、具体的には稼働率が90%未満となっている4物件を抽出し、現況を説明しております。八王子トーセイビルは、大口のテナントがワンフロアごと退去したことで、稼働率が大きく低下しています。一方で、賃料アップも期待できる状況となっておりますので、分割対応を含めしっかりとリーシングしてまいります。NU関内ビルは、16期末の稼働率が前期比で+4.1ポイント改善しており、更に17期に入ってからも契約済みの新規入居が1件、館内増床の申し込みが1件あり、17期末の稼働率は93%以上で着地する予定です(※関内は入替も多そうですが何とか稼働率維持)。一方で、18期も解約が見込まれていますので、引き続きリーシング注力物件として管理し、稼働率の維持・向上を目指してまいります。西台NCビルは、空室となっているワンフロアに申し込みが入り、100%稼働となる予定でしたが、9月下旬に先方の事情で急遽キャンセルとなりました。現在、分割対応も視野に入れ、テナントニーズを探りながら、リーシングを再開しております。長者町デュオビルは1年以上に亘り低稼働が続いている物件ですが、近隣からの増床移転ニーズをキャッチし、年明け1月の申し込みを受けました。本件が正式に契約となれば、稼働率は100%に回復することになります。右下では、稼働率向上の好事例として、新横浜センタービルを紹介しております。昨年7月に4フロア、550坪が退去したことで、稼働率が50%に急低下した物件です。分割対応等を行ったため、リーシングには多少の時間がかかりましたが、この度、100%稼働に回復することが出来ました。今回のリーシングにより、1テナントから、合計7テナントに分散を図り、坪単価は平均で+1,400円上昇したことを報告致します。
続いて10頁、賃料の状況です。第16期中に発生した、テナントの入退去による賃料の増減につきましては、左上に記載の通りです。オフィス、住宅とも稼働率が上昇したことを主因に、全体の月額賃料は+3,396千円の増加となっています。左下の表では、同一区画で退去した旧テナントと、新たに入居した新テナントとの賃料が、どのように変化したかを比較しています。オフィス、住宅とも賃料が増加するケースが、減少するケースを上回っており、差し引きで月額賃料は、+243千円増加しました。稼働率を重視し、高めの賃料設定を避けた結果、賃料の増加率は低下していますが、引き続きプラスを維持しています。
続いて11頁、賃料改定の状況です。契約更新の際の賃料改定については、トータルで110件の増額改定を実現致しました。一方で退去リスクを考慮して、無理な賃料引き上げ交渉を避けたことから、賃料増加率は1.9%に止まっています。賃料の改定については、テナントの意向も十分に汲みとりながら、今後も丁寧に、根気強く対応していきます。
続いて12頁、CAPEX投資についての説明です。第16期も物件の資産価値向上を大命題に掲げ、環境改善、顧客満足度向上に資するCAPEX投資を、積極的に進めてまいりました。費用対効果を見極めたCAPEX投資を心掛け、稼働率向上や賃料水準の引上げに繋げています。左のグラフは、CA’PEX投資額、減価償却額等の推移を表したものです。第16期のCA’PEX投資額は、工事が一部翌期にずれ込んだこともあり、少し凹んでいますが、今後も、減価償却の範囲内で、積極的に行っていく姿勢に特段の変更はありません。CAPEX投資例は右の通りとなりますが、大口のCAPEX投資については、全物件をベースに優先順位を付けながら、計画的に実施しており、各物件にとって必須、且つ、意義のある投資を今後も継続していく予定です。
続いて13頁、資産価値の維持・向上への取組みをご覧下さい。多摩センタートーセイビルでは、トイレの全館リニューアル工事を実施し、11月に完工致しました。当該ビルは第17期末の想定稼働率が90%程度まで低下することとなっておりますが、共用トイレはテナントの快適性を左右するポイントの一つであり、明るく綺麗になったトイレにより、新規テナント獲得の一助になればと思っております。因みに、この設備は節水能力が高く、水道使用量の削減も期待しているところです。八王子トーセイビルは、エレベーター等の共用部のリニューアル工事を実施しています。当該ビルも9月末に大口テナントが退去し、稼働率が低下しておりますが、このリニューアル工事を契機にテナント誘致に繋げていきたいと思っております。
続いて14頁をご覧下さい。物件競争力の強化、省エネ、省資源に配慮し、オフィス4物件、住宅3物件でLED化工事を実施しました。これにより、共用部のLED化率は、前期末の54.4%から71.6%に上昇しています。右側では、退去後のリニューアル工事により、賃料増額に繋がった例を記載しています。T’s Garden新小岩、ルミエール三番館はともに、20%弱の月額賃料増額に成功しており、物件価値の向上に資する投資となっています。
続いて15頁をご覧下さい。第16期末の鑑定評価額および含み益は、いずれも前期より10億円強増加していますが、主な要因はCap-Rateの低下によるものです。その結果、含み益は140億円となり、含み益率は左下の折れ線グラフの通り18.2%上昇しました。尚、引き続き含み損を抱える物件はありません。
続いて財務の状況です。17頁をご覧下さい。2022年5月から11月にかけて64億円の借換えを行いました。西葛西トーセイビルでBELSより星3つを獲得したことに併せ、三菱UFJ銀行様および三井住友銀行様より、本投資法人初のグリーンローンでの調達を実施しました。
続いて18頁をご覧下さい。上段の表は財務指標を一覧にしたものですが、特に大きな変動はありません。左下は返済期限の分散状況を示したグラフとなりますが、昨今の長期固定金利の上昇を踏まえ、出来上がり金利を睨みながら、返済期限を分散しています。LTVについては、保有資産の分散が進捗し、住宅比率も向上するなど、資産の安定化が進んでいるとの認識ですが、これまで同様に45から50%のレンジを意識した運営を継続してまいります。尚、鑑定評価の上昇により、鑑定評価ベースのLTVは41.0%にまで低下しています。
続いて業績予想となります。20頁をご覧下さい。第17期(2023年4月期)、第18期(2023年10月期)サマリーを纏めております。最初に分配金です。2023年4月期の分配金は、前回予想比不変の3,570円としておりますが、予定していなかった内部留保取崩し40円を含んでおります。水道光熱費の悪化を予測する一方、不足部分を内部留保の取崩しで賄うことで、分配金を維持する計画としております。2023年10月期についても、同様に3,570円を維持する予定です(※内部留保を予定してますが順調に行けばこれまで通り取崩不要と思われます)。続いて外部成長です。外部成長はトーセイ・リートのステップアップに欠かせない重要な柱の一つと認識しています。前期はマーケットの地合いも芳しくなく、新規での取得には至りませんでした。今後もマーケット環境を見極めながら、POに拘らず、手元資金の活用、物件入替えの資産価値向上なども柔軟に検討しつつ、分配金水準の向上を図り、投資主価値の最大化を目指してまいります。続いて内部成長です。2023年4月末の稼働率は95.1%としておりますが、この数字は従来同様、保守的に算出しています。水道光熱費等のコストの増加をカバーするために、予想値を上回る稼働率を目指してまいります。ESGについてもトーセイ・リートらしい深化を進めてまいります。併せまして2023年度のGRESBへの参加を検討すべく、各種準備を進めていることを報告させて頂きます。
続いて21頁は、第17期、第18期の業績予想です。第17期は、保守的に設定した稼働率95.1%をベースに算出しているため、前期上振れした賃貸事業収入の剥落などにより、前期比で減収・減益を予想しています。一方、当初予想からも変動は、主に水道光熱費収入および費用の増加を織り込んだものとなっています。第18期は、更に水道光熱費が上がることを予想した計画となっておりますが、トーセイ・リートが保有する物件全体で見ると、冬の電力使用量より、夏の方が大きい傾向にあり、その点も考慮した予想となっています。尚、水道光熱費については、テナントへの価格転嫁を進めており、成果が出ているところですが、共用部はテナントに転嫁できないなど、エネルギー価格の上昇が続く限り、影響は残ることとなります。
続いて22頁、分配金についてです。2023年4月期(第17期)の分配金は、3,570円を計画しています。水道光熱費収支の悪化により、42円の分配金減少を見込んでおり、不足した40円については、内部留保の取崩しで賄うことと致しました。エネルギー価格の上昇による影響を受けていますが、各種コストの見直しや、稼働率の上振れを目指すことは勿論、省エネ化やテナントの交渉を継続し、今期も分配金予想を上回る実績をあげられるよう、デしっかりと運営してまいります。2023年10月期の分配金についても、水道光熱費収支の悪化による18円の減少を見込み、内部留保の取崩しにより、3,570円を維持する計画としております。
続いて24頁、今期のESG TOPICSです。2022年10月期は、新たに環境認証を3物件で取得しました。LED化だけでなく地道に出来る環境対策を進めながら、月光町アパートメントが星4つ、ツイン・アベニューでは星3つ、日本橋浜町ビルでは星1つのグリーンビル認証を新たに取得しました。中でもツイン・アベニューは、築30年を超える物件ですが、1昨年に大規模修繕を行い、更にLED化、緑化等々の環境対策を重ねてきたものです。取得前は、環境認証を目指すような物件ではなかったと思いますが、トーセイ・リートが保有していることで、環境認証を取得できる物件に、生まれ変わることが出来たと自負しております。これらの活動により、環境認証の取得率は32.7%に上昇、一歩、一歩前進していることをご理解頂ければ幸いです。LED化工事も着実に進めており、共用部のLED化率は71.6%にまで進捗致しました。併せまして、資産運用会社として、先般TCFDに賛同を表明、この度トーセイ・リートのHPにTCFDに関わる掲示を掲載しましたので、時間がある時にでもご覧下さい。
続く25頁では、環境認証の取得状況を纏めております。更に右側ではGHG低減、環境配慮、電気使用量削減、節水等主な環境改善工事の実施例を掲載しております。以降の頁でも、その他のESGへの取組み、SDG’s、Appendix等掲載しておりますが、ここでの説明は割愛させて頂きます。
私からの説明は以上となります。ご清聴、有難うございました。