ヒューリックリート投資法人 2025年8月期決算概要

ヒューリックリート投資法人
2025年8月期(第23期)決算動画説明書&質疑応答
○動画  https://www.net-presentations.com/3295/20251020/h591jff/
○説明資料
https://www.hulic-reit.co.jp/file/top-aa1e18322f7b1f8c27dbe1d884025f99ca015170.pdf
〇質疑応答
https://www.hulic-reit.co.jp/file/news-88e896a544e8e66a32ead1d3c24c445e8258a709.pdf
○説明者 ヒューリックリート投資法人 執行役員 兼
     ヒューリックリートマネジメント株式会社 代表取締役社長 一寸木 和朗
〇説明
第23期(2025年8月期)決算についてご報告申し上げます。
先ず決算説明資料4頁エグゼクティブサマリーです。1点目は今年6月と9月に新宿のオフィスと浅草のホテルを取得し 神谷町のオフィスを譲渡する交換取引により 当面の資産入替戦略は順調に進捗しています これらの資産入替は ポートフォリオの収益性、アップサイド、クオリティの全てを改善するものとなりました。2点目は内部成長の実現です オフィス物件は、着実に賃料増額を実現しており テナント入替において平均7.9%、賃料更改では平均4.0%の増額率となり、夫々増額面積も増加しました。

又、ホテルへの投資比率が向上し変動賃料は前年同期対比で大幅に増加するなど成長性の向上が着実に実現しています こうした 試算入れ替えの進展や内部成長の実績を踏まえDPUは4,000円の還元評価を継続しており 調整後EPUも投資主還元強化2年計画の目標3,550円に向け、順調に進捗しています。
5頁は、投資主価値向上に向けた成長戦略です。投資主還元強化方針については2か年計画 以降も継続していくことを表明しており その推進施策として資料 下段の3つの基本施策を位置づけています。その中心となる資産入替の推進においては、収益性、アップサイド、クオリティの観点から ポートフォリオの成長性向上を目指すことを基本的な考え方としています。

6頁は3つの基本施策の進捗状況です。第1の資産入替は、早期に成長性を高めるため当面の資産入替戦略として、ポートフォリオの15から20%に相当する、600から800億円程度の入替を目指すこととしています。2回の交換取引により、合計53億円、ポートフォリオの12.7%の資産入替を実施し、順調な進捗となりました。第2のNOIの成長は、資産入替とともに、ホテルの変動賃料やオフィス賃料の増加等が寄与し、計画の足元に対し、23期実績で+5.6%の大幅な成長となっています。

第3の財務レバレッジの活用は、中長期的にNOI成長を持続するための施策と位置付けており、ネットワークセンター全物件売却後の時価LTVは、37.8%への低下を見込んでいます。仮に45%を目処とした場合の取得余力は648億円と試算され、一定の取得余力活用によるNOIのアップサイドも期待されます。

7頁は当面の資産入替戦略の進捗状況です。2回の交換取引による入替効果として、右の表に記載の通り収益性やクオリティの改善として、ポートフォリオ全体のNOI利回り向上と平均築年数の低下、又、アップサイドの向上として、オフィス全体の賃料ギャップはマイナスに転じています。今後神谷町の残りの持分も含め、アップサイドを見込み難い物件を譲渡し、資産入替の基本的な考え方を踏まえた、物件への交換や入替を進めていく方針です。

8頁は投資主還元強化2ヵ年計画の進捗状況です。これまでの取り組みにより、当初計画時から通算4期2年に亘るDPU4,000円を、今回2期先の業績予想として公表しました。又、調整後EPU水準においても、23期実績は3,509円、24期予想は3,541円と、夫々前回予想を2%強上回るなど順調に進捗しています。25期については、浅草のリニューアル影響等により低下する想定ですが、順次リニューアルオープンに伴い、ADRや稼働率の改善を想定しており、26期は2か年計画目標の3,550円達成を見込んでいます。

9頁は、これまでの取り組みと投資口価格の推移です。昨年12月以降、投資主還元強化方針に沿った施策を展開し、本投資法人の投資口価格は、東証リート指数を大きく上回って推移しました。公表日終値を100とすると、今年9月末において12ポイント以上アウトパフォームしています。
11頁は分配金と調整後EPUの実績推移です。22期よりDPU4,000円へと、水準を大幅に引き上げ、売り上げ23期実績も4,000円を維持、調整後EPU実績は、予想対比2%増の3,509円となりました。その増減要因については12頁の通りです。

12頁をご覧下さい。23期は、新宿と神谷町の交換取引の実施により+27円、ホテル変動賃料等の内部成長により+32円、金利要因の+18円等により調整後EPUは+70円と、予想対比2%の増加となりました。EPUは、その他要因も含め、予想対比+32円の4,177円となったことから、上振れ分は圧縮積立を増額し、期末の内部留保額は一口当たり659円となりました。22期以降4期に亘り計上している譲渡益は、期毎にばらつきがあるため圧縮積立と取り崩しにより平準化を図っています。

13頁をご覧下さい。24期の新予想については、23期実績に対し、先ずネットワークセンター譲渡益の減少等により△325円となりますが、ネットワークセンターは、23期から25期に亘り毎期譲渡する前提ですので、各期影響額の増減を示しています。更に24期の浅草と神谷町との交換差益等により+265円、オフィス内部成長で+73円を見込んでいます。

又、相鉄ホテルの変動賃料計上方法の変更や金利負担増などもあり、DPUは前期実績対比で4,100円に減少しますが、4,000円を上回る100円については、圧縮積立を増額する想定です。譲渡益関連要因を除く調整後EPUについては、+32円の3,541円を見込んでいます。25期予想については、24期新予想対比でネットワークセンターの譲渡要因により△84円、浅草と神谷町との交換差益の剥落等で△237円と、資産入替関連で計△321円を見込んでいます。その他オフィスの内部成長で+113円を見込んでいますが、ホテル変動賃料の季節要因や金利負担等で△112円となり、EPUは3,780円へ低下する見込みです。従って現段階ではこれまでの圧縮積立から220円を取り崩すことにより、DPU4,000円とする想定ですが、資産入替の継続による譲渡益実現も目指していきます。

続きまして15頁以降は運用実績です。資産規模は継続的な資産入替によりネットワークセンター5物件譲渡後で61物件、4,114億円となります。その用途別構成は、16頁左上の円グラフの通り、オフィス・商業施設が64.9%、ホテルが24.1%となり、運用ガイドライン上の、夫々概ね70%と20%のプラスマイナス10ポイントのレンジ内となっています。

17頁は資産入替の実績です。上段は昨年10月の運用ガイドライン変更以降の、取得物件と譲渡物件の一覧ですが、下段はその合計金額として取得914億円、譲渡は予定分も含め726億円となります。これに伴う譲渡益等は合計約32億円、一口当たりの分配金換算で約2,286円を想定しています。この譲渡益等を22期からから25期にかけて、圧縮積立も活用しながら投資主還元強化に充当しているところです。

18頁は23期、24期に実施した交換取引の概要です。これまで公表しているネットワークセンター等の資産入替により、25期(2026年8月期)までの譲渡益には、一定の目処をつけているため、本件においては交換を活用し、神谷町の譲渡益を新宿と浅草の取得簿価圧縮に充当し、中長期的なNOI成長を目指すものです。譲渡した神谷町は、オフィスポートフォリオの2割以上を占める本投資法人最大の物件でしたが、築年数は40年を経過し、継続的な資本的支出が見込まれています。又、賃料ギャップのプラス幅が大きく、退去発生時の賃料低下リスクも有しています。従って今後のアップサイドは見込み難く、ダウンサイドリスクも想定されることから、交換により含み益を有効活用することが得策と判断したものです。

一方6月に取得した新宿ビルは、築10.7年の築浅で、新宿駅直結の立地の希少性や賃料ギャップ△8.4%のアップサイド期待を有しています。又、9月取得の浅草ビューホテルは、東京を代表する観光地に立地、変動賃料のアップサイドが期待されます。神谷町の含み益は合計約101億円に相当しますが、交換の活用により取得した新宿、浅草の両物件の含み益として約157億円に拡大します。これらの交換取引を通じ、資料右下の通り、対象物件の償却後NOI利回り、オフィス賃料ギャップ、築年数とも大きく改善することとなります。

19頁から20頁で取得物件の概要をご説明します。
19頁をご覧下さい。新宿ビルは新宿駅直結で、東口交差点に立地し、その利便性や視認性の高さから、多様なテナントニーズが見込まれます。2014年竣工の築浅物件で、基準階約148坪の中規模オフィスビルです。新宿エリアは、三鬼商事のオフィスデータによると、近時東京ビジネス地区内でも千代田区、渋谷区に次いで空室率が低く、新宿区の賃料指数は、東京ビジネス地区を2019年以降一貫して上回っています。そうした新宿エリアにおいて、立地、ビルスペックにおいて上位の競争力を有しており、中長期的な内部成長が期待されるところです。

20頁の浅草ビューホテルは、浅草の観光名所や商店街等に近い立地で、周辺エリアでは、インバウンドを中心とした宿泊者需要が大幅に増大しています。賃貸借契約は、固定賃料と GOP連動の変動賃料で構成され、ADRや稼働率の上昇に応じた変動賃料のアップサイドが期待されます。本物件は、更なる収益性の向上を目指して、全客室等のリニューアルを段階的に実施中で、資料右上に記載の通り、客室統合による平均客室面積の拡大や、高級客室化など海外富裕層向けの拡充も含め高価格化に取り組んでいます。

リニューアルスケジュールは、左下の通り上層階の高単価を想定したエグゼクティブフロアを先行実施し、順次 オープンしていくことにより、ADRの改善効果を早期に得ることとしています。スタンダードフロアも来年の10月完了を予定しており、同じく順次ADRと稼働率の上昇が見込まれます。本件、リニューアル費用は売り主とオペレーターの負担であり、一時的な稼働率低下の影響は見込まれますが、高価格化によるアップサイドを想定しています。

21頁はポートフォリオ戦略です。これまでの資産入替取引により、ポートフォリオの構成は、資料右下の円グラフの通り、ホテルが24.1%まで拡大するなど、運用ガイドラインのレンジ内において成長性向上を実現しております。引き続き右上の譲渡方針の通り、アップサイドを見込み難い物件を譲渡対象とし、資産入替の基本的な考え方を踏まえた、物件への入替や交換取引の継続を目指していきます。

22頁以降は内部成長の実績です。資料左上のオフィスの入退去は、23期に面積の4.8%相当の退去が発生しましたが、23期から24期にかけ、早期リテナントが実現しました。その結果、資料右上の500m2以上の退去のあった物件については、全て埋め戻しとなる見込みです。これにより、24期末のオフィスの契約稼働率は、右下ボックスの通り98.8%となり、旧予想を0.6ポイント上回る想定です。

23頁はオフィス賃料動向についてです。頁左上のテナント入替において、23期は増額面積が22期対比2倍以上の3,000m2 弱に増加し、増額率は7.9%となりました。増額率は、24期も現時点で16.2%となり、増額基調が続いています。又、入替に際し増額となったテナントの割合は、66%強に上昇しています。下段の賃料改定についても、23期の増額面積は4,000 m2強で、増額率4.0%となりました。24期も現時点で5.4%となり、増額率、増額面積とも 拡大しています。増額改定の応諾率も26.9%、24期も現時点で35.6%と、期を追うごとに上昇し、着実な成長に繋がっています。

続いて賃料ギャップの状況は、24頁左上の通り、直近でマイナス圏に転じ、△3.2%に大きく改善しました。これは左下の円グラフの通り、保有物件の6割以上で前期対比マーケット賃料が上昇したことに加え、賃料ギャップのプラス幅の大きい、神谷町ビルの持ち分を譲渡したことによるものです。賃料上昇側面において、賃料引上げのポテンシャルが高まっており、引き続き5から10%の増額を目指して取り組んでいきます。

25頁に内部成長の実績事例を掲載しています。上段はいずれも館内増床を伴う埋め戻し事例です。虎ノ門ビルは、退去区画への内部増床移転とその後継区画への内部増床により、埋め戻しを実現したものです。下段の五反田山手通ビルでは、テナント退去に際し、リニューアル工事によりテナント満足度を高めたことで、賃料増額に繋がりビル全体の契約賃料単価が3%上昇しました。

26頁は保有するオフィス・商業施設の賃料動向です。物件毎の賃料単価が、22期と23期に上昇した物件を、夫々青とオレンジの星印で地図上にプロットしていますが、広域に亘り賃料上昇が実現していることが見て取れます。右側の円グラフの通り、契約更改やテナント入替があった物件のうち、前期対比で契約賃料単価が上昇した物件の割合は、22期が30.3%、23期が69.7%と大きく上昇しています。前期において、保有物件の6割強でマーケット賃料が上昇しており、契約賃料増額へと確実に繋げてまいります。

続いて27頁はホテルの内部成長です。上段のグラフは、保有ホテルのパフォーマンスについて、24年実績を100とし、2025年実績と2026年想定の推移を2月期 8月期ごとに示しています。2025年のADR 実績は、2月期、8月期とも前年比+13.3 ポイント、+7.7 ポイントと、夫々大きく上昇し、2026年に向けてはいずれも若干の上昇を想定しています。稼働率は、2025年の2月期は前年比上昇しましたが、浅草のリニューアル要因で、2025年8月期実績以降、低下を見込んでいます。

リニューアルは段階的に実施されますので、販売対象客室数の減少により稼働率が低下する一方、先行実施している高単価の客室のオープンにより、ADR上昇効果が見込まれます。この結果、2026年2月期のRevPARは、前年比若干の低下を見込みますが、8月期には上昇を見込んでいます。下段左は、本投資法人における変動賃料の推移ですが、舞浜と浅草の追加取得により、ホテル賃料に占める割合は、2026年に29.7%まで上昇する見通しです。

この変動賃料のうち、GOP連動の対象は舞浜と浅草で、その割合は2026年2月期において76.2%と想定しています。GOPの見通しについては、資料右下、対象ホテルの2024年の年間実績を100とすると、浅草のリニューアル 影響により2026年に低下が見込まれますが、リニューアル後114.6への上昇を想定しています。この想定値は、舞浜の2026年想定を据え置きと仮定し、浅草はオペレーターの計画に基づき、本資産運用会社で一定の前提条件により試算したものです。尚、ホテルの投資比率や変動賃料比率の上昇に伴い、その季節性等の変動要因も踏まえた目標運営についても検討していく所存です。

続きまして28頁は財務の状況です。23期も一部変動金利での借換えにより、調達金利の上昇を抑制する運営を継続し、固定金利比率は85.4%となりました。物価上昇は継続していますが、米国関税政策の見極めに加え、国内政治情勢等もあり、日銀による利上げには一定の時間を要するとも考えられます。従って現時点では、そうした動向を見極めながら、調達コストの抑制と金利上昇リスクを十分に考慮した運営を継続していきます。

29頁の鑑定評価については、ポートフォリオの含み益はホテル・オフィスの賃料上昇等を反映し、22 期末対比27億円増加の805億円となりました。資料右上のキャップレートの変動は、一部個別要因を除き65物件で横這いとなっています。金利上昇傾向にあるものの、オフィスやホテルの賃料上昇は継続しており、内外投資家の不動産投資動向は引き続き堅調と見ております。

31頁はESG対応ですが、GHG排出量の削減目標について、昨年SBTiによる認定を受けております。その達成に向け、再生可能エネルギー由来電力の導入物件も32物件となりました。GHG排出量については、資料下段中央の通り、Scope1+2の2030年末削減目標42%に対し、2024年実績で既に39.5%まで削減しています。
最後に、これまでご説明した通り、投資主還元強化計画は、当面の資産入替戦略も含め順調に進捗しています。今後その達成後も見据えながら、更なる投資主還元強化の継続に向けた、資産入替戦略と内部成長の実現に取り組んでいく所存です。
私からのご説明は以上です。