GLP投資法人 2025年8月期決算概要
GLP投資法人
2025年8月期(第27期)決算動画説明書
○動画 https://www.net-presentations.com/3281/20251015/pknm2db/
○説明資料
https://www.glpjreit.com/file/ir_library_term-cb5f9a42d634533216b033927f1de2745db3d5c4.pdf
○説明者 GLP投資法人 執行役員 兼
GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 川辻 佑馬
〇説明
本日はGLP投資法人2025年8月期の決算概要及および今後の運用方針についてご説明します。
本日は資料 2頁の目次に沿って、第1章の運用ハイライトから第5章の物流不動産マーケットまでご説明します。
先ず、今回の決算における運用ハイライトについて4頁をご覧ください。GLP 投資法人の経営状況ですが、25年8月期の一口当たり分配金は過去最高の3,643円となりました。経営目標である年間一口当たり分配金7,000円、およびDONAV4.5%を前倒しで達成しました。当社が考える外部環境の認識においては、金利上昇、GDPの成長株価の成長といった、正のインフレが顕在化している環境だと認識しています。そうした環境と今後の需給改善が見込まれる物流不動産市場の環境を追い風に、資本効率を意識して各戦略を着実に実行し、中期的に巡航DPUで2.5%の年率成長を目指していきたいと考えております。
各成長戦略の話に移ると、内部成長については、本投資法人のインフレに強いポートフォリオを活用しながら、金利コストの上昇を超える賃料成長に引き続き努めていきます。26年2月期の賃料改定においても、契約満期、CPI連動条項による契約期間の改定の双方で、8から9%と高い賃料成長を見込んでいます。売却戦略として年間200億円の売却を掲げている中、本年は合計4物件、344億円の売却を公表しております。投資口価格が回復する中で、売却によって得た手元資金の活用先として、賃料成長力の高いGLP栗東湖南の取得を昨日発表しております。GLP栗東湖南は、マルチ型の物件、且つ全てのリース契約にCPI連動条項が設けられている物件となり、中長期の本投資法人の成長に寄与する物件と考えています。
財務運営においても、J-REITで初めて借入当初からTONAの基準金利への適用、融資意欲の高い新規行との相対取引の実施など、金利コスト抑制の取り組みを行っています。又、滞留資金を定期預金運用し、収入面でも分配金成長に貢献する財務運営を行っています。それぞれ次頁以降でより詳細をご説明します。
先ず、2025年8月実績および来期以降の予想値についてご説明します。6頁をご覧ください。25年8月期の分配金実績は、過去最大の3,643円と、当初予想比で34.8%の大幅な上振れとなりました。
上振れの内訳について7頁をご覧ください。GLP春日部、GLP川島の売却による利益に加え、堅調な賃料改定による内部成長、自己投資口の取得、財務コストの抑制など、多面的な運用成果により過去最高となる3,643円を達成しました。
賃料改定実績について8頁をご覧ください。25年8月期の実績としては、契約満期更改で9.4%、契約期間中のCPI連動条項よる賃料増額で7.4%と、本投資法人の強みである着実な賃料成長を実現しています。
続いて物件売却の実績について9頁をご覧ください。年間目標の200億円を上回り、4物件、344億円の売却を公表しており、トータルの売却益は約81億円に上ります。含み益の投資主への還元と、ポートフォリオのクオリティ改善に加え、投資主価値向上のための資金確保も行っています。こうした取り組みを通じ、掲げていた経営目標を早期に達成しました。
10頁をご覧下さい。経営目標である、年間一口当たり分配金 7,000円およびDONAV4.5%を今期前倒しで達成しました。又、一口当たりNAVについても、物件売却による含み益の還元を行っていますが、賃料成長などを通じて鑑定評価が向上しており、着実な増額を実現しました。
今後の予想概要について11頁以降でご説明します。
先ず、11頁をご覧下さい。26年2月期の一口当たり分配金は、3,339円と業績予想を上方修正しました。26年8月期の一口当たり分配金は3,057円としており、引き続き継続的な物件売却方針を織り込んだ業績予想値となっています。
分配金の内訳について12頁をご覧ください。26年2月期は、GLP郡山Ⅲおよび柏Ⅱの物件売却およびGLP栗東湖南の取得により、業績予想を当初予想から7.7%上方修正しました。
13頁をご覧ください。リーシングの状況についてです。26年2月期は、満期更改で8から9%の賃料上昇を見込んでおり、CPI連動条項により期中の改定においても、8から9%の賃料上昇を想定しています。引き続き力強い内部成長により、インフレ環境下においてしっかりと成長を推進していきます。
第3章では、当社が認識する本投資法人を取り巻く外部環境についてご説明します。
15頁をご覧ください。足元では、インフレ環境が継続する中、実体経済も堅調に推移しています。そういった環境下、去年までは金利が上昇すると東証リート指数は弱含む状況がありましたが、今年に入り、金利が上昇する環境下で、リート指数の回復が見られる状況になりました。金利・物価上昇、経済成長、株価の上昇といった正のインフレの環境へシフトしてきたと感じており、そうした正のインフレ下における戦略をしっかり実現していきたいと考えています。
続いて物流不動産マーケットに対する当社の認識について、16頁をご覧ください。建築資材の高騰などの影響で、倉庫の建築費坪単価は2020年代上昇しています。そうした価格上昇の影響で、首都圏における物流不動産の供給は、2023年にピークを迎えており、当社グループの見立てでは、今後もコスト上昇の流れが続くなら、新規開発は限定的になり、供給面積は減少していくと考えています。一方で、物流施設への需要は、社会的な構造変化を背景に引き続き堅調で、供給が限られることにより、マーケット全体の空室率は改善していくものと想定しています。これは、競争力の高いポートフォリオを持つ本投資法人の運営に、とりわけプラスに働くと考えています。
物流施設は、J-REITが保有するアセットクラスで主要なものになりますが、不動産市場の状況が、J-REITのパフォーマンスにどのように影響を与えているか、17頁でJ-REITの主要なアセットクラスである物流とオフィスを比較してご説明します。オフィスJ-REITの空室率は、マーケット空室率と連動してきた一方、物流J-REITは、物流不動産マーケットの空室率が上昇した局面でも、高い稼働率を維持してきたことがお分かり頂けると思います。この背景としては主に3点、物流セクターは、構造的な需要拡大に支えられて継続的なマーケット賃料上昇が見られること、既存物件はコスト上昇を受けて高い賃料設定になっていた新築物件対比で、レントギャップがある状況が続いており、高い競争力があること、最後に比較的長い賃貸借契約によって、物流は契約満期が分散されており、マーケットの影響を受けにくいことがあると認識しています。
続いてマーケットの空室率と賃料成長の関係について、18頁をご覧ください。オフィスセクターの賃料成長は、空室率が5%を超えてくるとマイナスとなっていた一方、物流セクターでは、空室率が8%の状況でも賃料成長が実現してきました。こうした背景には、先ほどご説明した通り、物流セクターの継続的なマーケット賃料上昇により、既存物件は賃料上昇余地が大きいこと、e-Commerceや3 PLの拡大、サプライチェーン効率化といった社会的な構造変化を背景とした、需要拡大の後押しがあると考えております。
その結果、空室率が 比較的高い環境においても、物流リートは高い稼働率と安定した賃料成長の両方を実現しています。本投資法人としては、正のインフレ、物流不動産マーケットの改善期待、物流J-REITの特性という、外部環境を踏まえた成長戦略を実行していくことが重要だと考えています。
こうした外部環境を踏まえた、本投資法人の今後の成長戦略について説明します。20頁をご覧ください。正のインフレの局面において、ポートフォリオのキャッシュ創出力の強化を通じ、2.5%の年率DPU成長を目指していきたいと考えています。成長の柱は内部成長であり、分配金への寄与度で言うと、年間 3から4%の成長により、金利上昇によるコスト増を吸収できる成長に努めていきます。又、投資口価格の状況を見ながら、物件売却を通じて得た資金、鑑定ベースで35%と余裕のあるレバレッジドリースを活用することで、中長期的にポートフォリオの成長に資する成長力の高い物件を、規律を持って取得し、0.5から1.5%の成長を図ります。物件売却については、物流J-REIT最多の物件数を活用し、今後も継続的に実施していく方針で、豊富な含み益の還元によるDPUの押し上げを行っていきます。
続いて当社のポートフォリオマネジメントの考え方や強みについて、21頁でご説明します。本投資法人では、成長性と安定性を両立した期中運用方針を作り、物件取得・売却の戦略を組み合わせて、投資主価値の資格の最大化を目指しています。期中運用はスポンサーグループのリーシングチームと協業することによる、緻密なエリア分析や物件競争力の分析といったといったボトムアップの手法と、アセットマネージャーとしてのトップダウンアプローチを組み合わせることにより、力強く、安定的な内部成長を目指しています。
こうした物件評価やエリア評価を踏まえながら、物件売却戦略を策定しており、中長期での目線でのDPU)貢献度合いを分析することで、売却候補物件を選定し、売却を通じたポートフォリオのクオリティ向上を狙っています。物件取得に関しては、期中運用におけるエリア評価をベースとしながら、クオリティ、且つ賃料成長力の高いスポンサー開発物件の取得と、相対的に利回りの高い第三者物件の取得を組み合わせる戦略を、資本コストを意識しながら規律を持って遂行していく方針です。
本投資法人の成長の軸である内部成長について、より詳細に説明します。22頁をご覧ください。本投資法人のインフレ対応契約割合は90%超であり、且つCPI連動条項の改定タイミングを踏まえた実質WALEは3年であり、インフレ環境下において高い賃料成長を狙えるポートフォリオとなっています。こうした内部成長力を支えるものとして、開発から運営まで一貫したサービスを提供できる、スポンサーである日本GLPのサポートがあります。業界トップの開発物件、リーシングチームやPMチームが提供する、テナントの課題解決に資するソフトサービス、ブランディングやマーケティングを通じたネットワークの構築により、本投資法人が賃料成長を実現できる基盤が作られております。
続けて実際の賃料増額事例について、次頁でご説明します。23頁をご覧下さい。首都圏の国道16号エリアの物件、関西圏の物件の2つの事例を挙げておりました。ともに20%を超える賃料成長を実現しています。戦略的なCAPEXの活用により、国道16号エリアの物件においては、太陽光パネルや蓄電池の設置を行い、関西圏の物件においてはLED化や空調設備の新設により、テナントの課題解決を行っております。これらは、グループのリーシングチームやPMチームがテナントニーズを即時に掴み、その課題解決をアセットマネージャーとエンジニアリングチーム含め議論し、テナントに提案することによって実現できており、グループの一貫したサービスの提供により、大幅な賃料増額を実現できた事例だと考えています。
CPI連動契約について24頁をご覧ください。3年以上の契約の約8割にCPI連動条項が組み込まれており、CPIが上昇する中、本投資法人の賃料もCPI の伸びに沿って上昇していく見込みです。CPI連動条項による改定対象面積によって、期毎の賃料改定効果の影響にずれは生じますが、CPIの伸びが大きくなる中、着実にCPI連動条項による賃料成長のインパクトは拡大しています。
続いて外部成長について、昨日取得を公表したGLP栗東湖南についてご説明します。25頁をご覧ください。GLP栗東湖南は、栗東湖南インターから4kmに立地しており、滋賀県内に加え、大阪や名古屋への広域配送にも適した物流施設です。近隣駅からも通勤可能、且つ周辺も住宅地であること、施設内に空調設備や大型シーリングファンも設置されており、雇用確保の面で優れた施設となっています。又、ESGの観点においても、自家消費型の太陽光発電を設置していることに加え、全館LED照明を採用しており、CASBEE、BELSにおいて優れた環境認証を取得しています。本物件は手元資金での取得となっており、鑑定価格128億円に対して、鑑定対比で10%割安な115億円で取得予定です。
続いてGLP栗東湖南を取得するに至った背景についてご説明します。26頁をご覧ください。GLP栗東湖南は成長性に優れた物件となっており、インフレ環境下において、ポートフォリオの成長力強化に資する物件と考えています。全リース契約にCPI 連動条項が盛り込まれており、次回の改定タイミングを26年8月期に迎えることから、取得後直ぐの成長が期待できます。又、マルチ物件であることから、契約更改のタイミングを含めて、豊富な賃料増額の実現機会を有しています。
本取得に当たっては、資本効率を意識し、インプライドキャップレートを上回る取得を行っており、DPUおよび一口当たりNAVを向上させ、投資主価値向上に資する物件取得になっております。本投資法人は、物件売却によって得た資金、負債調達により物件取得余力があり、投資口価格を踏まえながら、ポートフォリオの成長力強化につながる物件の、規律ある取得を今後も検討していきます。
物件のパイプラインも引き続き豊富にある状況です。27頁をご覧ください。引き続き本投資法人は、ブリッジスキームを活用し、適切なタイミングでの物件取得を行ってまいります。今期はGLP八千代Ⅴの優先交渉権を取得しており、相対的に高利回りの第三者物件の取得についても、スポンサーと協業し取得検討を進めており、投資主価値向上に資する物件取得を目指していきます。
続いて物件売却についてご説明します。28頁をご覧ください。
本投資法人は、物流REIT最大の物件数を保有している強みを生かして、中期的にDPU成長が相対的に限定的な物件の売却を継続して検討していきます。現時点での売却候補は500から600億円ほどあり、売却益は引き続き分配金として還元し、簿価相当額の手元資金の状況を踏まえながら、物件取得、若しくは自己投資口取得に充当してまいります。先日売却を公表したGLP柏Ⅱは、売却価格ベースでのNIO利回りで3.4%、鑑定評価を11%上回る価格で売却予定であり、当社の売却におけるオペレーション力と、物流不動産の売買市場が活発であることを示した案件になったと考えています。
戦略の説明の最後に財務戦略についてご説明します。29頁をご覧ください。金利上昇の環境下、多様、且つこれまでに囚われない財務運営を行い、財務安定性の確保とともに金利コストの抑制を行っていきます。ポートフォリオ全体では、巡行DPUの成長に貢献するべく、中期的に年平均でAll-in Costの上昇を15bpsに抑制していく方針です。今期の取り組みとしては、J-REITで初めて、借入当初からTONAを基準金利として採用したことや、金利上昇局面において前倒しでのローン契約の実行、融資意欲の高い新規行との取引の実現、ESG目標の達成によるESGファイナンスでの適用金利の削減を通じて、コストの抑制に努めました。又、滞留資金を定期預金として活用することにより、コスト削減だけではなく収益面での貢献も行っています。
最後に物流不動産マーケットについてご説明します。31頁をご覧ください。こちらは CBREのデータとなりますが、外部環境についての説明の際に申し上げた通り、首都圏の供給は今後減少傾向で推移していく見込みで、今後の空室率の改善を想定しています。又、関西圏においても、2025年の供給は、大型物件の供給によりピークを迎えるものの、需要も過去最大の水準となっており、空室率は低水準で推移すると見込んでいます。
続いて首都圏における供給のエリア分析について説明します。32頁をご覧ください。今後の新規供給においては、相対的に空室率が高いエリアにおける供給が減少し、東京湾岸や外環道等のプライムエリアへの供給が増加してくる見込みです。新規供給量の減少に加え、こうした供給エリアの変化も相まって、物流不動産のファンダメンタル、空室率の改善は今後 進んでいくものと想定しております。
本日の私からの説明は以上となります。今後も本投資法人は、金融市場、不動産市場の双方の外部環境の変化を捉えながら、様々な戦略を検討し、投資主価値の向上に努めていきます。足元では正のインフレ環境への変化に対応しながら、持続的なDPUの成長を目指していきます。今後ともご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。
