GLP投資法人 2024年2月期決算概要

GLP投資法人
2024年2月期(第24期)決算動画説明書
○動画   https://www.net-presentations.com/3281/20240416/trggjuk2/
○説明資料
https://www.glpjreit.com/file/ir_library_term-f219128ac02ac2d59275ee5ede6099192b49f154.pdf
○説明者 GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 川辻 佑馬
○説明 
物流不動産を取りまく事業環境、金融環境が変化していることもあり、第24期の決算概要説明の前に、現在の環境認識と今後の見通し、それらを受けたGLP法人の今後の成長戦略について、先ず初め説明させて頂きます。

先ず、4頁をご覧ください。初めに物流不動産市場の事業環境と今後の見通しについて説明します。左上の表にある通り、首都圏の物流不動産の供給は足元まで増加しており、ヒストリカルハイの水準となっていますが、この供給は、2023年でピークアウトする見込みです。又、供給が増加する中においても、需要が堅調に供給を吸収する中、賃料は堅調基調で推移してきています。一方、左下の表をご覧頂くと、物流不動産の建築費は上昇する状況が続いています。この建築費高騰を受けて、今後新たに竣工する物件の募集賃料は、高い水準になるものと考えています。

こうした環境を纏めると、先進的物流施設への需要は底堅い中、供給がピークアウトし、事業のファンダメンタルは改善基調になる一方、新規物件の募集賃料は今後一層高くなっていくことから、既存物件においては、更なる賃料上昇が実現できる環境になっていくものと考えています。

続いて5頁をご覧ください。金融市場の環境認識と見通しについてお伝えします。左上のグラフで、長期金利および物流不動産マーケットの取引指標の1つである、キャップレートの推移を示していますが、日銀の金融政策修正の思惑から市場金利は上昇基調で推移してきています。一方で、物流不動産の売買マーケットでは、安定的なキャッシュフローを生み出す資産であることを背景に、投資家からの需要は堅調であり、高価格での取引が継続しています。左下のグラフでは、株式マーケットの動向を載せていますが、東証REIT指数は、日銀の金融政策の変更後も、方向感が依然として定まらない状況が続いています。一方で、日経平均対比での割安感は、歴史的に見ても高くなっており、J-REITがインフレ環境下においてもしっかりと成長できることを示せれば、その割安感の解消に繋がってくるものと考えています。こうした環境認識の下、不動産マーケットや資本市場の動向を踏まえた成長戦略を実行し、あらゆる局面において投資主価値の向上を目指していきたいと考えています。

今申し上げた成長戦略については、6頁で説明します。これまでもGPLリートは、外部成長、内部成長、物件売却という3本柱の成長戦略に基づき、アクティブアセットマネジメントを実行し、投資主価値拡大を実現してきました。この戦略を踏襲しながら、更なる柱として、負債比率の一定引き上げや、追加の自己投資口取得などの財務戦略も、より一層検討していきます。これまでの3本柱の中では、金利や物価の上昇に対応した内部成長に、1番に注力していき、物件売却については、分配金の底上げやバリューアッド、物件取得、自己投資口取得のための資金確保を行うべく、複数物件の一括売却も検討しています。外部成長は、投資主価値向上に資する物件の取得を、先ほど申し上げた負債の活用も含めて検討していきます。こうした成長戦略を実行し、あらゆる局面において、投資主の価値向上を実現できるリートを目指していきます。

それでは24期の決算内容について説明します。8頁をご覧ください。初めに分配金について報告します。24年2月期の実績分配金は、23年4月予想比+4.6%の2,760円となりました。これは特殊要因を含んでおり、後ほど説明しますが、特殊要因を除く実力値ベースでは2,848円となり、24年8月期予想分配金は、23年10月予想比+6.6%の2,885円としております。内部成長の実績として、リース契約満期更改に伴う賃料上昇は7.2%と、引き続き賃料増額を実現しており、加えてCPI連動条項によるリース契約期間中の賃料上昇も3.4%となっており、内部成長が更に拡大しました。又、NOIの向上を企図して、太陽光発電設備への投資やLED化への取り組み等、アクティブな追加投資も実施しております。

2021年に発生したGLP 舞洲Ⅱの火災に関して、当時のテナントのロジスティードと合意でき、損害賠償金の支払いおよびロジスティード保有物件を、GLP加須Ⅱとして取得したことによって、損害の早期補填を実現しました。又、GLPリートは、次世代型のALFALINKを含む豊富なパイプラインがあり、資本市場の状況を踏まえながらブリッジスキームを活用することで、投資主価値の向上に資する外部成長を今後も検討していきます。物件売却については、これまで8期連続で売却を実行し、売却益を分配金として投資主に還元し、得られた資金を、成長戦略の原資として活用してきました。依然として堅調な物流不動産の取引市況を捉え、複数物件の一括売却等を積極的な物件売却戦略を今後も検討していきます。財務戦略に関しては、昨年末に資本市場の環境に鑑み、約40億円の自己投資口取得を実施しました。今後も資本市場の状況を見極めながら、自己投資口取得を検討していきます。又、レバレッジの活用や物件の一括売却を通じたキャッシュ創出と、資本コストを意識した資金調達も行っていきます。ESGの面でも取り組みを加速しており、新たにSDTi認定を取得するとともに、ESGについて掲げている目標についても順調に進捗しております。

続いて9頁から決算数字について説明します。改めてですが、2024年2月期の一口当たり分配金は2,760円となり、去年4月に公表した予想から4.6%上振れして着地しております。こちらは特殊要因による下振れの影響があり、これまで継続的利益超過分配については、減価償却費30%を目処に払い出しを行っておりましたが、GLP習志野Ⅱの建物部分の売却の影響により、投信協会の規則に基づき、継続的利益超過分配金額に制限が掛かってしまうことが主な要因となっております。この特殊要因を除いた本来の実力値ベースでは、当初予想から7.9%成長しております。

分配金の変化の内訳については10頁をご覧ください。去年行った公募増資を通じた物件取得や、堅調なリーシングを背景とした内部成長、自己投資口の取得などを通じて着実な成長を実現しております。一方で一時的な下振れとして、先ほど説明しました特殊要因により、最終的な分配金は2,760円となっています。

続いて業績予想について11頁をご覧ください。24年8月期の一口当たり分配金は、23年10月予想から6.6%上振れした2,885円に上方修正しております。続く2025年2月期の分配金は、2,667円を想定しています。

24年8月期の業績予想の上方修正の内訳については、12頁をご覧ください。去年10月に公表した業績予想対比で、堅調なリーシングや自己投資口取得の効果により、着実に上振れを実現しています。又、GLP舞洲Ⅱに関連して、火災保険金の一部が、特別利益として計上されることにより、分配金を増額修正しております。

14頁以降では、成長への取り組みについて纏めております。先ず14頁ですが、より注力していく内部成長についてのハイライトとなっています。契約満期における賃料上昇に加え、GLPリートのとの強みである、CPI連動条項を通じた契約期中での賃料上昇も、今後の内部成長のドライバーの一つとなります。更に、太陽光発電設備の設置やLED化、電気代収支改善など様々な取り組みを通じて、NOIの最大化を実現していきます。

続いて内部成長の実績として、24年2月期のリーシング状況を、15頁に記載しております。24年2月期についても、スポンサーのリーシングチームを活用し、繰り返しになりますが、賃料増額率は、改定対象面積ベースで7.2%と、力強い賃料増額を記録しています。又、CPI連動条項につき、契約期中での賃料上昇も顕在化してきており、3.4%の成長を実現しています。

内部成長の主な事例について16頁をご覧ください。左のGLP三郷Ⅱにおいては、複数テナントの潜在ニーズを捉え、1万坪のスペースの分割工事を速やかに実施することで、10%近い大幅な賃料成長を、実現できた事例もあります。グループインハウスでリーシングチームとエンジニアリングチームを有していることで、テナントのニーズに対して一気通貫に、スピーディに対応できたことにより、賃料増額を実現できたGLPグループならではの事例です。右のBTS物件においては、LED化を通じたテナントの電気代削減への貢献し、高いレントギャップを活用し、10%を超える賃料上昇を実現できた事例です。引き続き本投資法人は、GLPグループの物流不動産運営における総合力に加え、レントギャップを活用することで、高い賃料上昇を実現していきます。

続いて今期のリーシングについて17頁をご覧ください。2024年8月に満期を迎えるリースのうち、既に80%以上が内定済みであり、賃料増額は5から6%と、高い水準での内部成長を見込んでまいります。又、CPI連動条項による効果は更に大きくなり、賃料上昇率は、同様の5から6%を見込んでおり、内部成長は一層加速する見込みです。

NOI向上の取り組みについて18頁をご覧下さい。太陽光発電への投資に加え、期中LED化の実施といったバリューアッド投資、光熱費の削減や、固都税コンサルの導入といったコスト削減にも取り組み、NOIの最大化を狙っていきます。又、グリーン電力証書の売却やEV充電器の設置等、新たな取り組みについても進めております。

続いて19頁をご覧ください。2021年11月に発生したGLP舞洲Ⅱの火災に関連し、当時 入居していたロジスティードとの間で、損害賠償に関する合意を締結しております。本火災において、投資法人に生じた損害は、滅失したGLP舞洲Ⅱの建物価値と、GLP舞洲Ⅱにより得られていた賃料の逸失分となります。

建物被害については、火災保険金の受領とロジスティードからの損害賠償金によって、全額が補填されました。又、本投資法人の保険使用に伴う、保険料の増額分については、今後ロジスティードが決算期ごとに負担して頂く形です。逸失利益については、火災以降の2年間は、利益保険の使用により逸失利益をカバーしてきました。当初は、GLP舞洲Ⅱの再開発による、逸失利益の補填を検討していましたが、再開発完了まで時間も一定かかることから、早期の補填を実現すべく、ロジスティードに対して、先方保有物件の売却について打診を行ったことが、GLP須賀Ⅱの取得に繋がりました。GLP須賀Ⅱの取得により、逸失利益の大部分を、早期に埋め戻すことができます。又、GLP舞洲Ⅱの土地部分は、引き続き本投資法人が保有しており、今後再開発を含めた有効活用によるアップサイド実現を図っていきます。

GLP加須Ⅱについては20頁をご覧ください。GLP加須Ⅱは、2021年に竣工し、厚生労働省の医薬品の適正流通ガイドラインに準拠した、最新鋭のメディカル物流施設です。ロジスティードがテナントとして1棟利用するBTS 施設となっており、長期にわたって安定的な賃料収入が期待できる物件となっています。CPI連動条項も導入しており、インフレにも対応した契約となっています。取得価額は、鑑定価格対比で12%程度低く、取得利回りは4.5%程度と、好条件の取得になっております。

外部成長については 21頁をご覧ください。優先交渉権を有する物件は、昨日発表したGLP狭山日高Ⅲを含めて、現在9物件となっており、全て100%稼働であり、本投資法人の外部成長を支える盤石の土台となっています。但し、公募増資を伴う物件取得については、ブリッジスキームの特徴も活かして、株式市場の動向を見極めながら、時宜を得た物件取得を実現しています。又、投資主価値向上に資する第三者物件の取得についても、引き続き積極的に検討していきます。

物件売却について22頁をご覧ください。これまで、20年8月期から8期連続で物件売却を行い、含み益の顕在化とポートフォリオの質向上を達成してきました。投資家に分配した売却費の合計額は100億円に上り、これは売却した物件のNOIの10年分に相当します。今後は、堅調な物流不動産取引マーケットの状況を踏まえながら、複数物件の一括売却も検討しています。物件売却によって得た売却益はついては、投資主に引き続き分配しながら、簿価相当分は、バリューアッド投資、物件取得、自己投資口取得など、戦略投資の原資として活用していきます。

財務戦略について23頁をご覧ください。昨年末には株式市場の状況を踏まえ、投資主価値向上を目的として、自己投資口取得を実施しました。引き続き資本市場の動向を見極めながら、今後の自己投資口取得を検討していきます。又、リファイナンスにおいては、金融機関との積極的な交渉を通じ、ESGローン、変動金利や相対融資の導入等によって、コストの抑制を実現していきます。今後の財務面における取り組みとして、資本コストを意識しながら、負債の一層の活用や物件の一括売却によるキャッシュ創出を通じて、外部成長のための資金調達手法の柔軟化を目指しています。

24頁ではデットファイナンスの現況を纏めています。GLPリートの格付はAAフラット、デットの平均年限は7.8年、鑑定LTVの水準は34.8%となっていて、調達先の分散および調達手法の分散も図っており、安定したデット運営を実現しています。先ほどお伝えしたような取り組みを通じ、市場金利が上昇する側面においても、オールインコスト上昇の抑制を実現しています。

最後にESGの取り組みについて25頁を参照ください。ESGにおける取り組みも積極的に進めており、新たにSDTiの認定を取得しています。再エネ化や省エネ化を通じ、温室効果ガス排気原単位は、2年間で11%削減しており、カーボンニュートラルに向けの取組みを加速しています。又、グリーンリース化100%を達成するなど、テナントとも協働しながら、ESG目標の達成に向けて順調に進捗しています。
本日の私からの説明は以上となります。ご清聴、有難うございます。